tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

杭州G20、多国間より2国間?

2016年09月06日 11時13分03秒 | 国際関係
杭州G20、多国間より2国間?
 今回のG20の舞台、中国杭州の西湖は、杜牧が「千里鶯鳴いて緑紅に映ず」と謳った名勝です。
  蘇軾もまた「雨の西湖もまた奇なり」と詠み、松尾芭蕉も「奥の細道」の中でそれを引き、安倍総理もG20終了後の記者会見で、客観情勢が良くない中でという趣旨でそれを引きました。

 中国はこうした歴史的名勝に主要20カ国の代表を招き議長国として世界の融和を狙ったのでしょう。
 しかし、中国の拡張主義的な行動の下ではG20の結束よりも、それぞれの国の個別の事情から、「G20の場を利用して2国間の対話を実現する」といった雰囲気が強まったように感じたのは私だけではないでしょう。

 首脳宣言の主要内容は、会議以前に報道され、最終案では、成長下振れ防止のための財政、金融、構造政策の総合的活用、為替の安定に重要性、タックスヘイブン対策、保護主義に反対、鉄鋼過剰生産問題、英国とEUの緊密な関係の維持、パリ協定の発効促進と、必要なものはすべて盛り込まれていますが、マスコミは2国間対話重視のようです。

 世界経済社会が様々な問題を抱えつつも、主要国が一致して求心力を持って取り組もうという以前に、各国が、多様な問題を抱える2国間の問題により大きな関心を抱かなければならにないような状態になってしまったのは、恐らく、20カ国の協調の邪魔になる、主要国各国間の意識や行動の不揃いが目立ってきたからでしょう。

 しかもそれは、G20が担当する経済問題というより、政治的な問題の分野にかかわるものが多いといった状態でしょう。
 経済における協調や協力は、政治的な安定状態の上で初めてなり立つものでしょう。如何に政経分離といっても、それは現実にはいささか違うようです。

 誰しもが、G20は、主要国が求心力をもって知恵を出し、世界の平和、安定と、経済的な発展をリードしようという目的を持った会合だと思っています。
 議長国中国も、まとめ役になってみれば、主要国の意見がまとまらなければ、本当の成果は得られないという感覚を当然に感じたはずです。

 主要国が国際協調の可能な思想・行動を堅持し、2国間関係の調整は2国間できちんと行い、多国間の会合の場で、求心力のある話し合いができるような主要国の知恵と行動を、G20には期待したいものです。