tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

現状の日本経済に似合う為替レート

2016年06月22日 12時51分10秒 | 経済
現状の日本経済に似合う為替レート
 いよいよ参議院選挙ですが、安倍政権が、争点にしたいといっている日本経済は、円高進行のせいで、なかなかうまくいきません。

 アベノミクスが功を奏したのは2回に亘る20幅の円安計40円の円安、1ドルが80円から120円になった時が絶頂で、その後は次第に円高の影に怯えるようになりました。
 
 日本の実体経済自体は今の円レートでも確り持ちこたえようと努力をすると思いますが、そう簡単ではないでしょう。
 一方、毎日の為替の動きに一喜一憂するのは株式市場で、此の所の株価は円レート次第の色合いを強めています。

 アメリカでは、実体経済重視のFRB議長のイエレンさんは、投機筋の思惑など気にせず、利上げには極めて慎重です。加えて、アメリカは、ななんとしてでもでもドル高にはしたくないというのが本当の気持ちでしょうから日本としては円安にするのは容易ではないでしょう。

 黒田日銀総裁も、まだまだ金融緩和手段はあるといっていましたが、この所は現状維持で黙しています。

 海外投資資本やマスコミは、かつての「有事のドル」という言い方から、「比較的安全な円」という表現で、中国経済が、ギリシャが、アメリカの利上げが、イギリスのEU離脱が、・・・と何かあるたびに円を買う状況です。

 リーマンショックの直前、「いざなぎ越え」の中で円は1ドル120円を付けていましたが、リーマンショックで80円を割り込むまでに円高になり。これでは日本経済壊滅と言われる中、黒田日銀のアメリカ式異次元金融緩和で再び120円を付けました。

 日本の金融界にもさらなる円安という待望論はあったようですが、このブログでは「 過ぎたるは猶 …」と書きました。
 対日旅行者の急増、爆買いの発生など、国際的にみて円は安いという見方が定着する中で、国際投機資本は、これから、どこまで円高に出来るかを試すかもしれません。

 もともと変動相場制というのは「制」というに値しない、「なるようになる」ということですから、自国通貨のレートは自国で守らなければなりません。
 そしてそれは「日本の実体経済」に相応しいものでなければなりません。(日本の生産性が上がれば、円はより円高に耐えられるようになるでしょう。)

 明言する、しないに関わらず、日本の政策当局は、現状の日本経済に相応しい円レートの認識を持つべきでしょうし、徹底してそれにコミットしていくことが大事でしょう。
 変動相場「制」だから「マーケットなりでいい」とはだれも考えないはずです。

 1ドル=120円は円安水準、110円がらみが適正水準などという意見もあるようです。さて皆さまはどんなお考えでしょうか。