tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ベーシック・インカム考

2016年06月06日 11時31分28秒 | 経済
ベーシック・インカム考
 今朝のニュースでスイスのベーシックインカム導入を問う国民投票で、反対が76パーセント以上で否決されたということです。
 多分否決だろうとは思っていましたが、やはり圧倒的多数数で否決されたということは、働き者と言われるスイス国民の感覚の結果なのでしょう。

 ベーシックインカムというのは、国民一人一人に無条件で一定額の所得を政府が保障するという考え方で、今回のスイスの場合は月額で日本円にして18歳以上は一律27万円ほど、18歳未満は6万円余を本人や家計の状況に関わらず一律支給するというものでした。

 スイスでは10万の署名を集めれば国民投票にかけられるという制度があり、いろいろなことが国民投票にかけられますが、大抵は否決ということのようです。
 物価の高いスイスですから、27万円も我々の感覚よりは低いものでしょうが、10万円だったらどうだったろうなどと考えたりもします。

 ヨーロッパではフィンランドが矢張りベーシックインカムの構想を持っており、近く特定の地域で試行の段階に入る可能性もあると報道されていますが、金額は日本円で10万円程度のようです。
 そのほか、オランダやカナダで一部の地方自治体が試験的に導入したり、実際に一時期実施したりといったこともあるようです。

 ベーシックインカムという構想は、現状の社会保障システムとどう調整するかという問題を含むもので、社会保障が充実した国で、その行政コストが馬鹿にならないのであれば、一定金額の支給で社会保障システムを代替してしまおうという面もあるでしょう。
 27万円なら完全代替、10万円なら一部代替でしょうか。

 皆様もすぐ気づかれると思いますが、問題は大きく2つあり、一つは、国や地方自治体の「財政上可能かどうか」という問題です。確かに現状の社会保障制度は行政コストはかかりますが、本人や家計の状況に応じてきめ細かでしょう。ベーシックインカムは簡便ですが、大まかでその分余計なコストもかかりそうです。

 もう一つの問題はベーシックインカムが手厚くなると、勤労意欲にどう影響が出るかという問題です。上に挙げたような国々は、どちらかというと勤労意欲の高い国民の国ではないでしょうか。
 日本は世界でもトップクラスの勤勉な国民の国ですが、さて、皆様のお考えはいかがでしょうか。