tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費性向低下と政治不信

2016年06月18日 11時35分02秒 | 経済
消費性向低下と政治不信
 もともと「アリ型」(勤倹貯蓄型)の日本人ですが、このところ利息は付かなくても個人国債や銀行預金、さらにはタンス預金(振り込め詐欺の事例などで「自宅にあった何百万円を・・」などとよく聞きます)などが増えているようです。
 
 こうしたこ国民の防衛型の生活態度は、将来不安に大きく影響されていることは皆さまご自身が実感しておられるところでもありましょう。
 マスコミが老後生活には何千万円が必要などというのも危機感をあおりますが、その背後にはやはり「国は面倒を見てくれないのでは」という心配があるのでしょう。
 
 残念ながら、政治不信は次第に強まっているように思います。消費税は増税したが、年金の手取りは減る一方、子育ての難関である保育所問題では待機児童は増えるばかりのようです。

 もともと消費増税は全額社会保障に充てるといっても、深刻な高齢化だから年金は悪化を少しでも防ぐのがやっと、とか、保育所を増やしても待機児童の数はもっと増えるからとか、説明はありますが、3パーセントの所得増税が何円の増収を齎しそれが社会保障の核政策に全額このように配分されました、その結果がこうですといった解り易い説明は聞いたことがありません。

 一方で今回の2パーセントの所得増税延期で、社会保障の原資がこれだけ足りなくなるといった説明は聞かれたりしています。
 場当たり的な消費増税延期で 財政のマイナスがどうなのか、「2020年にぎりぎり間に合う時点で、消費増税をしますから大丈夫」では誰も納得しません。

 かつて「 政府の信用」を書きましたが、現状、日本政府の国民の間にはなかなか信頼関係が出来ないようです。
 伊勢志摩サミットでの世界経済危機発言が国内の選挙用だったことが判明したり、この間まで最大の政治の争点だった憲法問題を参院選の争点にしないと言ったり、日本の国づくりの理念といった根本問題が置き去りにされるようなこのところの状況は論外ですが、これでは国民も戸惑うばかりです。

 多くの政治家が「信なくば立たず」と言われるのを聞いています。理屈は皆お解りなのでしょう。知っているということと、やっているということのギャップが大きいのでしょうか。

 企業の人事考課でも「知っている」ではだめで、そう「やっている」が評価の対象になる時代です。今の経済不振の根底に残念ながら「政治不信」があることが、場合によっては致命的なのかもしれません。