tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「格差拡大」「将来不安」「政治不信」

2016年06月15日 10時09分37秒 | 経済
「格差拡大」「将来不安」「政治不信」
 先ずは都政のトラブルが一件落着の方向になり、良かったですね。

 ところで、前回、今の日本経済の不振の原因は「格差拡大」「将来不安」「政治不信」などで、これは社会学的なものだから、金融政策で直ることはないと書きました。
 そのあたりを少しきちんと考えてみたいと思います。

 先ず、日本経済は本質的に良くない状態なのかといえば、どうもそうではないようです。これだけ真面目に,しかも十分に賢く国民が働いている国の経済が、本質的に悪いなどということはあり得ません。

 1ドル80円という過度な円高の中でさえ、「いざなぎ越え」と言われた経済回復を記録した日本経済です。リーマンショックでさらなる打撃を受けても、立ち直りの早かったことは明らかです。

 そしてその後の、(アメリカに倣った)異次元金融緩和で、正常な為替レート($1=¥120)を取り戻してからは、為替差益も含めて企業経営は大幅な増収増益を記録しました。
 安倍さんは、恐らくこのペースで経済は急回復し、日本中がアベノミクス万歳というと思ったのでしょう。

 しかし現実はそう運びませんでした。その最大の理由は「消費不振」だと誰もが気が付くようになりました。
 安倍政権は、消費を増やそうと「賃上げ」を奨励しました。しかし労使ともに『笛吹けど踊らず』です。

 この辺からアベノミクスはおかしくなります。日銀の政策変更で為替レートが劇的に円安になったように、財政出動、構造改悪というスローガンを掲げれば、どんどん良くなるはずがそうならないのです。

 些か脱線しますが、NHKの世論調査(2016/6)でも、今も「安倍政権の経済政策を評価する」が49パーセントで「評価しない」の45パーセントを上回っています。私が回答するにしても、やはり「効果あり」の方だと思います。

 問題は「効果あり」は、円安実現による経済好転がほとんどで、あとは見るべきものはないけれども、しかし円安で、明らかに日本経済は息を吹き返した(日本人の働きの成果が正当な価格で評価されるようになった)ことは評価すべきだということでしょう。
 (余計なことを付け加えれば、その後の失敗で、円高に戻りつつあり、今後さらに円高が進めば「元の木阿弥」になりかねないという心配があります。)

 日本経済が当面する本当の問題は「では、これからどうするか」そのための政策のカギが、消費の拡大なのです。その消費拡大のカギが「格差社会」「将来不安」「政治不信」の払拭にあるというのが現状の課題なのです。
 この3つが、どのように消費拡大を妨げているのでしょうか。皆様も実感として、疾うにお解りのことと思いますが、次回以降、少し整理してみましょう。