tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ思想と日本

2016年05月26日 14時58分29秒 | 国際政治
トランプ思想と日本
 些か先走りというご意見もあるかもしれませんが、今回は、アメリカ共和党の大統領候補のトランプ氏の考え方と日本の立場について、思考上のシミュレーション(の入り口)を試みてみたいと思います。

 トランプ氏は、大変な過激な発言をする方です。ここで繰り返すことはやめますが、基底にあるのは「栄光あるアメリカ」でしょうか。
 おそらくアメリカが、世界の警察官のような役割を担って、国力をすり減らし、独立戦争以来の輝かしい栄光が 霞んでいくのは許せないという「本来のアメリカ人の持つ」気持ちを代弁しているのでしょう。

 背後には、アメリカが自分自身のために確りやれば、世界一の国として過去の栄光を取り戻すのは容易で、それには「余計なことはやらなければいい」のだ、という自分のビジネス経験も含めての自信があるのでしょう。

 当然アメリカに寄りかかろうとする国に対しては「オレに頼るな、自分でやれ」ということになります。
 メキシコに対して自分で壁を築けというのも、日本に、アメリカを頼るなら、それなりの費用を全額負担しろ、ということになるのでしょう。
 日本の面倒など見るな、と言わないのは、多少は日米関係に理解があるからかもしれません。

 すでに日本の中でも、「アメリカに見捨てられたら大変だ、早いうちにトランプ氏に『日本はアメリカにとって大切だ』と理解してもらわなければ」といった意見もあるようです。

 そんな意見を聞くと、「やっぱり日本は完全な独立国ではなかったのか」と考えてしまう人もいるでしょうし、中国やロシアを頼ったらどうなるかわからないので、やはり頼るのはアメリカか、ということになるのかもしれません。

 しかし、現状のトランプ発言からは、「今後も日本の面倒は見るよ」という意向は感じられません。核武装して自分を守れと言われるかもしれません。
 こう考えてくると、日本も、国としての在り方を、白紙から検討しておくといったシミュレーションも必要になるのではないでしょうか。

 そのシナリオの中には、アメリカに頼ることなく、日本としていかに独立を保つというケースの検討も入って来るでしょう。
 国際環境は、紛争やテロが絶えない大変難しい時代になっています。その中で日本は比較的平穏な状態を保っています。

 今日から伊勢志摩サミットです。G7は中国、ロシア抜きで、世界の多様共存より、「同じ羽根の仲間」の集まりになっています。まずはここで本音の意見がまとまるかです。
 より多様共存のシンボルであるG20では、なかなか意見はまとまりません。
 人類社会にとって最も大事なはずの「国連」では、安保理の常任理事国が拒否権の多用で機能不全に近いのではないでしょうか。

 世界の平和を希求することを憲章の前文に謳っている国連傘下のユネスコは、アメリカの分担金不払いで財政は四苦八苦、(因みに分担金上位5ヵ国は、アメリカ(22%)、日本(10.834%)、独(7.142%)、仏(5.594%)、英(5.179%)アメリカは投票権を失っています。国際機関のガバナンス欠如か、協力意識欠如でしょうか・・・・・?

 トランプ氏も、もし本当に大統領になったら、今のようなことは言わないだろうという意見が多いようですが、時に「想定外」も多い世の中です。今、日本として何を考えるべきかが問われているのかもしれません。

 この問題は、また、改めて取り上げなければならないでしょう。天災ではありませんが、何事も「備えあれば憂いなし」でしょうから。