tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

要注意、アメリカの変化

2016年05月03日 09時46分30秒 | 経済
要注意、アメリカの変化
 アメリカの対外経済政策に、ジワリと変化の様相が感じられます。
 大統領選の混迷も要因の一つかもしれませんが、トランプ氏の歯に衣着せぬ発言が、政治家のポピュリストの側面を刺激しているのでしょうか。

 実はそれ以上に、アメリカ経済の弱さがそうさせているのでしょう。FRBも昨年あたりは、経済の活況、雇用の好調、シェールオイルの威力などで、物価の上がり、かなり早期に金利の引き上げを進められるのかもしれませんが、現実は難しいようです。

 もともと競争力の落ちているアメリカ産業です。金利の引き上げは当然ドル高につながります。しかしドル高になれば、アメリカの競争力は一層低下します。
 アメリカに必要なのは、金利を上げてもドル高にならないという状況でしょう。アメリカならばそれができると思ったのかもしれません。

 しかし長い目で見れば、経済原則はきちんと働くのです。ドル高は不可避でしょう。それでは困るアメリカは、中国、ドイツ、日本、台湾、韓国の5か国を指定して、為替政策を監視するリストに入れました。

 判定するのはアメリカですから、恣意的になりかねません。アルゼンチンの国債償還問題でも、 非常識な法律判断が出ていますが、日銀もこれからは、アメリカの匙加減に十分注意を払わないと、自由に政策も打てないことになりそうです。

 誰しも感じていますが、このところの円相場の動きは荒いという日本に対し、アメリカは「秩序だっている」としているとのこと、議論しても多分水掛け論で、最終的にはアメリカが正しいことになるのでしょう。

  アメリカの上記5か国を監視リストに入れた判断基準は基本的に3つ、対米黒字、経常黒字、為替介入です。為替介入については、上のように意見が合わない可能性が大きいですから、検討すべきは、対米黒字と経常黒字でしょう。

 対米黒字はアメリカからいろいろ買えばいいのかもしれませんが、それは当座の策です。事ここに至って日本が大手を振って取るべき政策は、このブログで再三述べてしていますように、 経常黒字の縮小策 国内消費の拡大策です。それこそが王道でしょう。

 表題のように、アメリカの変化には要注意ですが、日本の取るべき道は、アメリカへの反応ではなく、日本経済を活性化させる消費拡大策でしょう。
 日本経済・社会を健全に立て直す政策をとることが、結果的にアメリカへの最善の対応策にもなると考えるべきでしょう。