tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

リーマンショック前、洞爺湖サミットの轍、世界経済は分岐点???

2016年05月27日 11時49分13秒 | 国際政治
リーマンショック前、洞爺湖サミットの轍、世界経済は分岐点???
 伊勢志摩サミットは今日も続きますが、経済についての議論は昨日で終了でしょう。今日は気候変動問題など、宣言が出て終了、オバマ大統領は広島、ということでしょうか。

 サミット参加の首脳を出迎える沿道の人たちの姿が放映されていました。大人も子供も、心から歓迎しているといった暖かな雰囲気が感じられ、各国首脳も、ごく自然な日本人のおもてなしの雰囲気を感じたのではないでしょうか。

 伊勢神宮も記念植樹も、良い雰囲気のように感じました。こうした和やかな雰囲気の中で、各国首脳が個人的にも相互理解を深められるのであれば、正に素晴らしいことだと思いながら眺めていました。

 一方会議の方は、これは「仕事」ですから当然厳しさも出るでしょう。 
 安倍総理は国際経済状態について標記しましたように、リーマンショック前と似た指標がある、洞爺湖サミットでリーマンショックを防げなかった轍は踏みたくない、世界経済は分岐点、失敗すれば危機、と厳しさを強調したようです。

 おそらく、各国首脳は多少の違和感を禁じえなかったと思います。
 アメリカ経済は徐々に自信を回復し金利引き上げに挑戦しています。ユーロ圏はギリシャ問題も見通しが立ち始め、全体として黒字基調を強めています。イギリスの問題は政治でしょうし、カナダは資源価格を気にするとしても、原油価格に見られるように底は見えてきた感じです。

 各国首脳は、世界経済は先行きの改善が見え始めた、各国が確りやっていけば前進できるといった感覚を持って参加されたのではないでしょうか。

 リーマンショックはアメリカ発の「金融危機」でした、今の問題は、政治と国内・国際の紛争、それによる難民の大移動といった政治問題が中心でしょう。途上国への資金の流入の減少は、アメリカの金融正常化というリーマンショックの対策の仕上げに端を発します。たとえ似た事象があっても、中身が全然違うのです。
 
 その一方で、昨日からの日本のマスコミは、安倍総理がリーマンショックを持ち出したのは、消費税増税を延期する理由にするためではないかという指摘をしています。当然選挙との関係を意識してのものという見方です。

 メルケル首相からは、「危機というのは言い過ぎでしょう」といった意見もあったようですが、各国首脳も当然日本のマスコミの書きようは知るわけですから、中にはサミットを国内政治の道具にしたと直感する首脳がいることも考えられます。

 もしそんな受け取り方をされれば、「一体日本の『おもてなし』というのは何なんだ」などということにもなりかねません。

 サミットは日本のためのものではなく、いかにして世界をより良いものにするかということを、参加各国また世界の身になって考える場であるべきでしょう。

 ことの真実が奈辺にあるかは解りかねますが、昨日今日の会議とマスコミ報道から、各国首脳がどんな印象を受けたのか、大変気になる所です。