tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

タックスヘイブンと世界経済

2016年05月09日 11時36分18秒 | 国際経済
タックスヘイブンと世界経済
 パナマ文書がいろいろな意味で世界中に影響を広げそうです。

 解説によれば、パナマは「海外で上げた収益には課税しない」のだそうで、ならば、そこに会社の籍を置いて(便宜置籍船にパナマ船籍が多いように)例えばシンガポール(キャピタルゲインに課税しない)でマネーゲームで稼げば、政金なしになります。

 タックスヘイブンには正式な定義はないようで、通常、国としては数十の名前が上がり、それにスイス、ベルギー、ルクセンブルグ、オールトリアなどの世界有数の金融センター、さらにはシティーオブロンドンの金融特区、アメリカのデラウエア州などのそうだという見方もあるようです。

 ではそこの集まっているおカネはどのくらいかといいますと3000兆円前後などいう説があります。日本のGDPの6倍という巨額です(よけいなことですが、日本の個人貯蓄1600兆円というのはこれに比べても凄いですね)。

 これからもっといろいろなことが分かるでしょうが、「ゴキブリ」などは「1匹いれば最低5匹は隠れている」などと言われますからもっと増えるかもしれません。

 問題は、「税金逃れは怪しからん」ということのようですが、さらに根本問題を言えば、この金額が何に使われているかでしょう。

 日本の個人貯蓄は巨額ですが、一千何百兆円かは、政府や地方自治体が借りて(国債・地方債など)一応国民のために使っているので「まあいいか」ですが、おそらくタックスヘイブンの金は、国際投機資金になって、キャピタルゲイン獲得に使われているのでしょう。

 これが途上国援助や社会保障の充実に役立つように使われているのなら、結構かもしれませんが、多分、ほとんどは、巨万の富を蓄積した法人・個人が、さらにキャピタルゲインを得るために使われているのでしょう(もちろん資金洗浄などの悪徳行為も)。

 繰り返し述べていますように、 キャピタルゲインは富を作り出す行為ではなく、富を移転させる働きしかありません。
 つまり、このおカネは、社会(地球人類)を豊かにするためではなく、多分おカネを持つ人にますますおカネを集中させるため、格差社会化推進のために使われているのです。

 巨額のおカネが社会のために富を生み出すのに使われず、強欲なおカネの亡者にさらに富を集中させるために存在している・・・、これでは経済発展の大きなマイナスでしょう。

 世界経済の不振が大きな問題になっている今日、タックスヘイブン問題が、いかなる議論と行動の発展を見せるか、注意深く見守る必要があります。