tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ギリシャの悲劇

2015年06月30日 12時07分23秒 | 政治
ギリシャの悲劇
 「ギリシャ悲劇」は人口に膾炙していますが「ギリシャの悲劇」はどうでしょか。近頃問題の「総理大臣談話」と「総理大臣の談話」も「の」があるかないかで大部違うようですが、「の」の字もご活躍のご様子、ご苦労様です。

 一国の政治・経済というのは、リーダーの思考や行動次第で、とんでもないことになりかねないという実例はたくさんありますが、今回のギリシャ問題もその一つでしょう。

 ギリシャはEU加盟(1991年)、ユーロ導入(2001年)でユーロ経済に一員としてやって来ていましたが、歴史的にはヨーロッパ文明の源流(ヘレニズムとヘブライズム)の一方の雄であり、ヘレニズムの原点の国ですから。アクロポリスなど歴史・文化遺産はきわめて豊富で、観光立国としてやってきたようです。

 しかしよく言われますように、享楽的、楽天的な国民性の故か生産的な活動の弱さと贅沢な生活で、国としてはいつも赤字(経常収支)で、自国通貨ドラクマの時代は、通貨価値の下落が贅沢を制限しましたが、ユーロ導入により、通貨価値は下落しなくなり、実力以上の生活を謳歌したようです。

 その結果、国の赤字(経常赤字)は急増、当時 このブログでも取り上げていますが、結局、IMFやヨーロッパ中央銀行(ECB)が緊縮生活による経済立て直しを要求、それに応えて一昨年あたりから漸く赤字国を脱していきました。

 ところが緊縮をやらなくてもやっていけると主張するチプラス政権が誕生、そこからギクシャクが始まりました。「経済にタダの昼飯はない」というのは常識ですが、はっきり言えば、チプラス政権は「ただの昼飯を食わせろ」と主張、昼飯のメインの提供者であるドイツが反発、結局経済原則に則るべしとIMFもECBも厳しい態度で臨むことになりました。

 チプラス氏はこれに反発、国民投票で賛否を問うということになったわけですが、マスコミ報道ではチプラス氏は負けそうです。国民の方が真面目なようです。
 
 国際投機資本は、これをネタに儲けようとマネーマーケットの乱高下を仕掛け、昨日は世界中で株価が暴落しました。
 
 物事の本質を読めないリーダーが間違って登場してしまいますと、その国に無用な混乱を起こします。国際投機資本はそれを増幅します。
 国民にとっても、世界にとっても、誤ったリーダー選択をしないということは誠に重要なことのようです。