tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

前向きの経営、後ろ向きの経営

2015年06月22日 21時35分02秒 | 経営
前向きの経営、後ろ向きの経営
 ニュースで安倍総理が「経済成長なくして財政再建なし」と言っているのを見ました。
 2020年までのプライマリーバランスを達成する、そのために経済成長戦略を実行するということのようです。

 言ってみれば当たり前のことですが、これが本当に出来れば、大変結構なことです。
 折しも日本経済は安定成長路線に入りつつあり、やりようによっては成功の「可能性」はあると思います。

 政府が経済政策について中・長期の計画を立て、財界を巻き込んでそれを実行しようというのですから。経済界、個々の企業も、それを活用して、前向きのビジョンを打ち出す時期ではないでしょうか。

 多くの企業は円安実現で資金的な余裕は大きくなり投資には積極的です。しかし、企業は人間が資本を使ってやるものですから、問題は主人公の人間の方についての政策です。
 政府の成長戦略は「人材開発」を含むようですが、仕事をするのは機械ではなくて人間です。大体機械やシステムそのものが人間が開発しなければできません。

 その人間の育成が、今の日本企業は、どうも「後ろ向き」になっているようです。典型的なのが、これだけ景気が改善しても、非正規雇用の割合が増えていることです。
 非正規雇用依存というのは、その人の持っている能力をフルに使おうと言うだけで、時間とカネをかけてその人の能力を高めようという「従業員育成」思想がすっぽり抜け落ちている考え方です。

 長かった不況の中で、コストカットばかり考えていた癖が治らないのでしょうか。仕事は人間がするのですから、従業員を企業の責任で、手間暇かけて育成してはじめて、従業員のやる気と能力の向上、企業の成長が実現するということを忘れては日本の先行きが危ぶまれますす。

 かつて日本企業は、従業員の身分差をなくし、全員「社員」にして、ブルーカラーもホワイトカラーも差別せず、グレーカラーやゼブラカラーなどといわれながら世界が驚く成長を成し遂げました。

 派遣法や労働時間制度の変更がコストカットに役立つかどうかなどという見方ではなく、従業員への投資が一番効率的な投資なのだという視点で、先輩経営者の思想・哲学もう一度直視し、企業としてどうあるべきかを主体的に考える、日本らしい「前向き」の人材への投資の視点の重視に立ち帰るのは如何でしょうか。