tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

絶妙な黒田総裁発言

2015年06月11日 10時37分51秒 | 政治
絶妙な黒田総裁発言
 6月10日、黒田日銀総裁は衆議院の金融財政委員会で「これ以上の円安はありそうにない」と民主党前原誠司氏の質問に答えています。

 さすが日銀総裁の発言です。
 発言の形は、「ありそうにない」という市場尊重の言い回しで、その論拠に実質実効為替リートの動きなどを示し、政策意図などは微塵も見せていませんが、その発言がいかなる効果をもたらすかは、誰が見てもはっきりしていうでしょう。

 円レートは2円ほど円高に振れ、午前中100円以上の上昇を示していた日経平均は、午後急落、終値で40円ほどのマイナスになりました。
 一夜明けて、今朝の円レートは123円近辺にまで戻し、日経平均は200円幅の上昇を示しています。
 やはり日本経済の基本的な強さは、金融市場も認識しているということでしょう。

 過日 「要注意? ドル高・円安」を書かせて頂きましたが、さすが黒田日銀、為替レートの動きには、常に厳しい目を光らせているようです。
 投機筋はそれぞれの思惑で為替レートを乱高下させ、キャピタルゲイン極大化のチャンスを求めるのでしょうが、実体経済を担う産業・企業にしてみれば、為替レートは、適切な水準で、なるべく安定していてほしいというのが本来の願いでしょう。

 黒田総裁も「実質実効為替レート」の動きを引用して説明していますように、現実の日本の物価の国際的に見た水準は、「失われた20年」を齎した異常な円高の是正を完了し、正常な日本経済の活動に、ほぼ適合した水準とほんどの企業が考えているのではないでしょうか。

 具体的に言えば、$1=¥120がらみの水準で、日本経済は、国際経済の中で十分に前進していける状態にあるということです。
 さらに円安になれば、日本経済はもっと楽ができるかもしれません。しかし安すぎる為替レートには、いつか必ず「市場の仕返し」があるはずです。
 為替の乱高下は実体経済には結局は有害です。

 折角健全な成長の環境基盤が整ってきた日本経済に、投機筋の思惑で、不要な為替の乱高下の増幅を許し、折角の環境基盤を壊さないようにしたいものです。