tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

物価は上がる、賃金は上がらない、消費不況?

2014年12月09日 09時50分51秒 | 経済
物価は上がる、賃金は上がらない、消費不況?
 前々回指摘の第2点です。円安、原油等の海外価格上昇で物価は上がるが(さらに消費税の追い討ち)、実質賃金は上がらない。実質消費は縮んで景気は良くならないから政府は何とかすべきだ、ということで安倍政権は「賃上げ、賃上げ」と連呼しています。

 経団連は政府に迎合したのか賃上げ容認を言うようですが、具体的なことは言わないでしょう。連合は、当然賃上げ要求を言いますが、中身は「2パーセント以上」というもので。消費者物価指数の最近時点10月の前年同月比2.9パーセントより低いものです。

 これでは景気が良くなるはずはない、デフレに逆戻りなどといった極論もあるようですが、いかなる理解と行動が必要なのでしょうか。

 今、消費者物価が上がっている原因はマスコミも書いていますが、大きく3つでしょう。円安、海外の資源高、消費増税がその3つです。

 まず円安。円安で物価が上がるのは当然です。円高の時物価が下がる(デフレ)の反対です。日本の物価が(コストも)円安によって安くなるというのは、海外の物価に比べて(ドル建て)の話です。これが競争力回復、経済復活の原因です。国際的に安くなった日本の物価(円建て)には上昇圧力が掛ります。

 ですから、ここで大事なことは、安易に円建ての物価(コストも)を上げないことです。安易に賃上げなどして、コストと物価を上げてしまえば、円安のメリットは消えます。

 2つ目の海外の資源高については前回も触れました。これは国内で対抗する手段はありません。きっちり価格転嫁して国民全体で耐え忍ぶより外に方法はありません。

 第3の消費増税につては、国民所得の中で「官と民の配分」を変えるためのものです。民間の実質購買力を消費増税分だけ政府に移すということです。民間の富を政府に移すためですから、民間は耐えるよりありません。財政再建のためです。

 しかし政府は増税で得たカネを、政府支出として使います。GDPとしては、政府が使うか民間が使うかで同じことです。政府が無駄遣いすれば別ですが。
 
 こうしてみて来ると、円安、海外資源高、消費増税の3つとも、それらによる物価高は、国民が耐え忍ぶより方法はないのです。もともとこれらは「一過性」ですから、一定期間耐え忍べば、新たな国際競争力が付いた日本経済が成長を始めるとともに、家計の所得は増え、消費も増えていく段階に入ります。今はそのための調整期間です。

 安倍さんはポピュリストなのでしょう、すぐに良くなるようなことを言った手前、当面の人気を気にし過ぎて、消費税の先延ばしをしたり、解散に踏み切ったり、色々と大変ですが、もう半年か1年すれば、やっぱり日本経済は良くなったと実感できるようになるでしょう。前回も書きましたように、みんな「時間が解決する」問題です。
 
 日本人には間違いなく、こうした問題を適切に解決する能力はあります。連合の2パーセント以上という低めの要求にも、日本人、日本経済の底力を確りと理解していることが見えています。