tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「社会保障と税の一体改革」とGDP

2014年12月01日 17時40分32秒 | 経済
「社会保障と税の一体改革」とGDP
 標記「一体改革」については、政府は様々なPRをしています。閣議決定の記録、財務省や厚労省の見解などネットで様々な政府の発言が見られます。

 財務省は税担当、厚労省は社会保障担当、政府は全体の整合性を考えて取りまとめ、という所でしょうから、カネを出す方、使う方、両方の調整をするところのそれぞれが十分な知恵と全体の理解を持ってことを進めることが大事でしょう。

 税金というのは個人の所得にかける所得税、法人の所得にかける法人税、保有する固定資産にかける固定資産税、消費(実は付加価値)にかける消費税・・といったことになりますが、社会保障の拠出金も、別名「社会保障税」で、これも広義の税金の一種です。

 税と社会保障の一体改革は、こうした広義のいろいろな「税金」をどのような構成で取り、それをどう配分するかでしょう。ですから「一体改革」になるのは当たり前です。

 所が今の作業を見ていると、収入が足りないから増税しようとか、給付が少ないから増やそうとか、全てが従来の配分の上にパッチワークで積み上げて、最終的には「安定財源を探す」などとツジツマ合わせばかりが目立ちます。

 折しも日本経済は、「失われた20年」を脱してプラスの経済成長に向かうという大転換期にあります。少子化、高齢化といった大問題を踏まえ、マイナス成長時代の実績へのプラス・マイナス論議だけでは本格的な改革は出来るとは思えません。
 全体のバランスを俯瞰した抜本的な構想、いわばシステムデザインとしての理想状態を国民と共に論議し、それと現状のギャップの解消を政策のプロセスにすといった取り組みが必要でしょう。

 国民生活の原資はGDP、より具体的には国民所得です。国民所得を使い残すのは無駄ですし、はみ出すのは不健全です。
 本当のことを言えば、税と社会保障の一体改革ではなく、国民の中で国民所得をどう配分するかという一体論議でしょう。

 年金については不完全ながら「マクロ経済スライド」が制度化されました。他の社会保障制度はマクロ経済と関係ないということはありえません。
 国民所得の最適配分という基本目標を掲げた、日本経済の総トータルの配分という視点の一体改革が検討されるべき時期に来ているのではないでしょうか。