tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

先ず賃上げ、この道しかない?

2014年12月17日 11時24分30秒 | 経済
先ず賃上げ、この道しかない?
 選挙が終わって先ず政府が動いたのは政労使会議における労使への賃上げ要請でした。政府にとっては「この道しかない」の続きなのかも知れませんが、残念ながら、この道は誤った道です。

 大多数の日本の経営者は、もともと賃上げが出来れば賃上げはすべきという考え方です。労働組合は経済力に見合った賃上げは最低勝ち取ると行動するのは当然です。
 本来政府の出る幕はないのです。どこの世界でも労使自治は大原則です。特に日本のような素晴らしい労使関係の国では政府の介入の余地はないはずです。

 経団連は「政府も余計な事を言ってくれるなぁ」と思いながら、礼儀として「最大限努力します」と言います。中小企業を代表する商工会議所や全国中小企業中央会は「中小企業にとって環境はまだ整っていない」、「輸入品高騰の価格転嫁や下請け代金の改善が先」と本音を言います。
 
 連合は、経済合理性も十分考えながら「2パーセント以上」「の要求基準を決め、日本経済の安定した発展の中での「長期安定的な」労働者の生活の向上を考えて2015春闘に臨もうとしています。
 そこで政府が「賃上げ要請」をし、賃上げが実現したら「政府の賃上げ要請の成果だ」というのですから、まさに憤懣遣る方ないでしょう。

 視野狭窄の政府にすれ「この道しかない」のかもしれませんが、全体を確り見れば、その前にやることが沢山あります。
 「輸入物価上昇を確り転嫁しましょう」、「非正規雇用の正規化を」の2つは先ず社会の常識にしてほしい所です。これらは経済を不安定にする格差社会の二大元凶です。

 環境を整えずに「賃上げ」ばかり言うのは手抜きです。中小企業でも賃上げの出来る環境を整えるのが政府の役目でしょう。 
 「子供を産め」と言うのではなく、「生める環境を整えるのが政府の役割」と同じです。

 こうして経済環境が改善し、格差縮小が見え、安定雇用が増えて、はじめて消費は増え、中小企業を含め企業経営も順調に回り始め、安定成長が始まるのです。

 種々の歪みは放置したままで、賃上げさえすれば経済は良くなるなどというのはエコノミストの判断としては最悪の部類でしょう。
 安倍さんのブレーンにも、こうした経済の仕組みがよく解ってほしいと思います。