tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今なぜ世界経済は不振なのか 1

2014年10月20日 10時07分16秒 | 経済
今なぜ世界経済は不振なのか 1
 安倍内閣は混乱していますが、アベノミクスはさておき、今日は此の所弱気だった日本の株式市場も反発し、日本経済の健全さが垣間見えるということではないでしょうか。

 ところで、このブログでは、企業や経済が「成長できる形」について、その基本となる条件を示してきたつもりです。
 だとすれば、今世界経済が不振なのは、今日の世界経済の在り方が、その条件から外れてしまっているからだということが考えられます。

 ということで、その判定基準で、今の世界経済、主要国の経済の様相を見ると、「矢張りこれではダメかな」という感じを強くします。

 企業でも経済でも、成長するためには「投資」が必要です。企業でも一国経済でも、生産した付加価値を「消費」と「投資」に分け、投資で生産を増やし、消費支出で生産物を購入して、バランスのとれた成長をして行くのです(均衡成長路線)。

 もちろんそこでは技術革新が進行していて、生産するものは年々、今までなかったもの、より性能の良いもの、より美しいもの、より美味しいものでなければ消費は伸びません。
 自動車ならカーナビの付いたもの、より燃費の良いハイブリッド、照明なら白熱電球→蛍光灯→LED、衣料なら吸湿発熱、クール速乾、斬新なファッション、食品なら、美味しい低カロリー、健康に良い機能食品、などなど。

 もちろんこうした技術革新も「投資」の結果ですから、投資は成長の基盤として重要ですが、世の中往々にして、経済成長の中で、「人間の欲望肥大の結果」消費が先行して、投資に回す金が足りなくなるのです。

 その結果技術革新が停滞し、生産増加のペースも落ち、需要が先行するので物価が上がり、実質消費は生産増加のペース並みに落ち、GDPの生産と分配を担当する企業の業績は不振となり、税収も増えず、次第に「経済が成長できる形」が崩れてしまうということになるようです。

 今、世界経済は、国別に事情は違いますが、全体としてこの辺りに来ているようです。
 ギリシャやスペインなどは、国民経済として、こうした消費と投資のアンバランスが進行し、借金が出来なくなったところで行き詰まりました。
 結局IMFの指導で消費を切り詰め、投資と消費のバランスを回復させ(GDPは縮小)ました。その結果、経済の成長路線への復帰が可能になったわけです。

 一国経済なら解り易いのですが、では世界経済はどうなのでしょうか。(以下次回)