goo blog サービス終了のお知らせ 

tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

イーストマンコダックと富士フィルム

2014年10月16日 10時05分41秒 | 経営
イーストマンコダックと富士フィルム
 前回、欧米の企業は職務中心、日本の企業は人間中心と書きました。欧米のように企業の目的に沿った職務の体系を作り、その職務に適した人間を採用するという形では、新分野の仕事をやろうといった場合には当然M&Aといった形が中心になります。
 しかし日本のように、企業は人間集団で、その人間が目的を理解して活動するといった場合は動きはより柔軟になるようです。
 
 レーヨン・ナイロンの東レは、今や炭素繊維でボーイングのメイン・サプライヤーです。これは繊維と言っても化学の世界でしょう。旭化成はベンベルグ(今はキュプラというようです)もやっていますが、今は住宅・ケミカルなどがメインで、CO2からプラスチックを作るということまでやっています。

 恐らく皆様のご関係の企業も、この10~20年の間に、全く中身は違った企業になったという所も少なくないと思います。

 そんな中でも、私が強い印象を持っているのは富士フィルムです。
 フィルムと言えばなんといっても世界的に有名なのはイーストマン・コダックです。黄色の箱に入ったコダックフィルムを羨望の目で眺めた方も多いと思います。
 小学校の友人のプロの写真家も、かつては「やっぱりフィルムはコダック」と言っていました。

 富士フィルムはコダックを猛追し、品質でも市場でも、コダックに追いついて来ていたのではないでしょうか。1997~8年、両社の売上高は逆転しています。
 丁度その時期、写真の世界は大変革の夜明けを迎えていました。
 カシオ計算機が中心になり、関連主要企業の頭脳を集めて、デジタルカメラの製品化に成功したのです。(私の記憶に誤りがあればお教えください)

 1996年、QV100を購入、翌1997年、訪米の際、ワシントンで使っているとき、QV100の液晶画面を見た女性が“Oh! So neat!”と驚嘆しているのを聞いて、結構いい気分だった事を覚えています。

 話を本筋に戻しますと、富士フィルムはコダックに追いついた時点で、銀塩フィルム中心から決別し、デジタル時代への適応、化学分野への多角化を始めたようです。「折角コダックに追いつき世界一が見えてきたのに」と思ったのは、私だけではないと思います。
 
 改革の断行は2000年にトップになった小森社長によると言われますが、カメラやフィルムの技術、感光材料の研究で積み上げた化学の技術などを応用、デジタルカメラは勿論、医療機器、多様なフィルム材、化学品、医薬品、化粧品と、「関連する」新分野の積極的な開発に邁進しています。最近はエボラ出血熱の薬で世界に名を馳せています。

 こうした大きな変革の中で、企業買収も行っていますが、従業員は再教育、配置転換で温存、人間集団の基盤は確り維持しています。

 次回はその結果のコダックと、富士フィルム(現在は持株会社)の企業業績の現状を見てみましょう。