tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今なぜ世界経済は不振なのか 2

2014年10月21日 10時10分44秒 | 経済
今なぜ世界経済は不振なのか 2
 ついこの間までは、アメリカ経済は、異次元金融緩和というドーピングが効いて順調に回復基調といった見方が多く、NYダウも上がり、何か明るい雰囲気でした。
 この分なら金融を徐々に正常化しても、アメリカ経済の回復は続くかも、と思ったところ、いよいよ金融正常化の仕上げの段階に来て、矢張り躓きの様相を見せています。

 最近時点での小売売り上げの伸び悩み、卸売物価の下落、製造業の不振など、この所の回復基調に陰が差したようです。この先雇用の伸びがどうなるかに注目が集まるのかもしれませんが、予断を許しません。

 2013年のアメリカのGDP統計では68.5%が個人消費、15.3%が設備投資、政府支出が18.7%となっていますが、設備投資15.3%のうち12.2%が非居住者で居住者分は3.1%に過ぎません。
 それだけ世界中の企業が、アメリカの市場を当てにし、アメリカ国内に直接投資をしているのでしょうが、これはアメリカが世界の金を利用しているという構図でもあります。

 つまりアメリカ経済自体では付加価値(GDP)の分配で消費が先行し、貯蓄(=投資)に適切な分配がされず、投資を外国企業に依存しているといった姿でしょう。
 実体経済の健全な成長のための「付加価値の配分」が出来ていないように思われます。

 アメリカの異次元金融緩和は、世界の金融市場にカネを流し、投機資金を膨らませ、新興国の成長にも貢献しましたが、同時に対米投資でアメリカに還流した部分もあったでしょう。この流れは今、金融正常化で変わろうとしているわけです。

 バーナンキ前FRB議長の主唱した「金融緩和による世界恐慌の回避」という命題は、短期的にはそれなりの効果を持ったかもしれません。しかし、実体経済の形が「経済成長に適した形」にならない限り、本当の経済の健全化にはつながらないでしょう。

  CSRとNGR でも書きましたが、世界一豊かなアメリカが、万年赤字国で、その穴埋めに世界のカネを集めて繁栄するという構図は、矢張り問題があるように思います。

 経済が深刻なのはアメリカだけではありません、EUも経済不振に悩んでいます。折角ギリシャ、スペイン、イタリアなどが経常赤字国から脱し、黒字転換→経済成長達成へ進むときに、「第2の日本になるな」とデフレ警戒論が出ています。
 次回はその点を見てみましょう。