tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

コダックと富士フィルムの財務と収益を見る

2014年10月17日 09時41分01秒 | 経済
コダックと富士フィルムの財務と収益を見る
 前回、2000年直前に、コダックの売上高を富士フィルムが追い越したと書きました。その時の両社の売上高はほぼ1,500億円弱でした。
 現在はどうでしょうか。
   コダック(2013年通期)   2,400(百万ドル) 約2,400億円
   富士フィルム(2013年度) 24,400億円
                        (各社財務諸表より。以下同じ)

 売上高だけでは中身は解らないので、収益状況と自己資本比率も見ておきましょう。
 コダックの場合は、2013年の4-6月期から2014年の4-6月期まで、5四半期基本的には毎期、課税前利益で50~60億円の赤字ですが、2013年7-9月期のみ2,054億円の黒字です。
 これは資産の部を見ますと有形固定資産が前期の3,487億円から740億円に減っています。減価償却を含むgrossからnetにしたようで、(含みを表に出したのか)いずれにしても会計上の操作によるもののようです。

 自己資本比率は、総資産2,853億円、自己資本525億円で18.4%(2014.年4-6期末)です。1年前の債務超過から何とか一応の改善(財務上のバランスシート調整による)しています。しかし、黒字企業にはなっていません。

 一方、富士フィルムは、売上高営業利益率は5.8%ですし、自己資本比率は総資産32,270(億円)、自己資本20,206(億円)で、62.6%という状況(2013年度)で、極めて健全と言えましょう。

 コダックが破綻し、大量の解雇が行われた時、エクセレント・カンパニーだったコダックを愛する従業員の中に、多くの悲劇があったことも報道されました。

 アメリカでも、IBMのように、肉の秤から、メインフレームコンピュータ、パソコン、ソリューション事業と変身しながら発展している企業もあります。創立者トーマス・ワトソンの企業理念が生きているようです。

 共通に見られるのは、矢張り「人間を大事にする経営」ではないでしょうか。企業は人間集団というという考え方は洋の東西を問わず大事なのではと考えてしまいます。

 職務構成や、機械設備には柔軟性はありません。これらは単なる「コト」や「モノ」です。最も柔軟性があるのは人間です。「コト」や「モノ」は、人間が何かを考え、活用することで初めて動くのです。人間こそが主体であり、創造性を持ち最も柔軟なのです。

 その人間集団を統率し、適切な目標を常に求め、それに向かって人間集団のベクトルがバラバラにならず一致して向かっていくような統率力、リーダーシップが存在するとき、企業は困難をも乗り越え、発展していくように思われます。