tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

複雑な動きのアメリカ経済

2014年10月06日 14時59分17秒 | 経済
複雑な動きのアメリカ経済
 このところアメリカの株価は暴落したり反発したりを繰り返しています。ドルの動きも微妙です。マーケットというのは大体そういうものだと言ってしまえばそれまでですが、そうした動きが、アメリカの経済成長率、雇用統計、金融政策などの動きに神経質なほどに敏感だと感じる人も多いでしょう。

 今、アメリカ経済は、金融政策の重要な転換点にあります。今までの超金融緩和から何とか抜け出して、いわば、つっかい棒を外しても何とか一人で立って歩けるようになれるかどうか、実験中という所でしょう。

 幸い、経済成長率も基調的には2~3パーセントのプラスを維持している様で、雇用も増加傾向にあり、このまま金融緩和政策からの脱出を続けても、アメリカ経済は何とか持ちこたえるだろうという意見が強いようです。

 しかし、アメリカ経済には基本的な欠陥があります。繰り返しこのブログでは述べていますように、それは経常収支の赤字体質です。

 短期的には、異次元の金融緩和で凌げるかもしれませんが、金融緩和を徐々に絞っていけば、アメリカ以外の国からファイナンスするよりほかに方法はありません。
 今アメリカに安心して金を貸す国があるでしょうか。

 サブプライムローンの証券化で、世界中に大きな迷惑をかけたアメリカです、あの時このブログでは「アメリカ経済への致命傷か」と書きました。
 証券の価値を経済価値の基準に置いていたアメリカの証券が信用を失墜したのです。

 本来なら、アメリカは心を入れ替え、自分のGDPの範囲で生活し、経常赤字を解消するべきだったのですが、それが出来ずに異次元の金融緩和で凌ごうとしました。しかし、いつまでもそれを続けることは出来ません。 

 幸い、経済に元気が出てきたというのでテーパリングで金融の正常化を目指しています。しかし経常赤字体質は基本的に変わりません。
 こうした状態では、いずれにしてもアメリカの経済運営は。極めて神経質なものとなり、株式市場、為替市場はそれを反映して不安定な動きを繰り返すでしょう。

 おりしも、世界情勢はあちらこちらで紛争が発生、世界の警察をもって任ずるアメリカには種々の負担がかかります。
  これからもアメリカ経済関係の統計数字の動き、経済・金融政策の動向からはますます目が離せないようです。