tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費増税と経済環境の考え方

2014年09月27日 11時09分32秒 | 経済
消費増税と経済環境の考え方
 消費税の8パーセントから10パーセントへの増税の時期を来年の10月に控えて、安倍総理は「7-9月のGDPの改定値の様子を見て年内に決めたい」という考えだと報道されています。

 総理にしてみれば、消費税増税の政権に対する「恐ろしいマイナスの影響」(橋本内閣や民主党政権)を意識しているのでしょうか、更なる増税には、国民の反応を見ながら、特別に慎重な姿勢を見せているのでしょう。

 しかし、客観的に見れば、安倍内閣「以前」の消費増税と今回の消費増税では、「経済環境」が全く違いますから、当然結果も違うわけで、その違いを十分頭に入れて考えるべきだと思いますが、安倍さんの本心はどうなのでしょうか。

 経済環境の大きな変化は、基本的には2つあるように思います。
 1つは、過去の消費増税の場合は「日本経済が円高デフレの真只中にあった」ということです。
 もう1つは、「日本経済が大幅経常黒字を計上し続けていた」ということです。

 ということで、この2つの環境変化が、消費税増税にどう関連して来るかについて考えてみましょう。

 先ず、デフレについてです。失われた20年のデフレは基本的には円高によるものです。日本の物価が下がり続けて国際価格並みになるのは2000~2002年です。それまではデフレは不可避で、当然の結果として経済は不振を極め、GDPも縮小傾向となります。
 それに加えて橋本消費増税の1997年にはアジア通貨危機が起こります。マネー資本主義がアジア経済を震撼させた事件です。

 例え、消費増税がなかったとしても、日本経済はマイナス成長で不振を極めたでしょう。3パーセントから5パーセントへの消費増税は、他の減税措置で、サラリーマンに対してはほぼ中立だったと記憶しますが、消費増税でマイナス成長になったと錯覚した人はエコノミストも含め多かったようです。

 2010年菅直人は消費税10パーセントを打ち出し、選挙に惨敗しました。この時期日本経済はリーマンショックによる更なる円高に苦しみ、最悪状態でした。
 こうした経験から消費税増税は政権にとってのトラウマとなったようです。

 しかしどうでしょうか、安倍内閣の3パーセントの消費税増税は、駆け込み需要とその反動はありましたが、何とか日本経済の中で「大過なく」吸収されそうな気配です。

 この違いを生んだのは、2014年には日本は「デフレでなくなっていた」という現実でしょう。2013年春の日銀の政策変更による20円幅の円安で日本経済はデフレからほぼ抜け出したのです。
 デフレ経済か否かで消費増税の影響は全く異なると見た方がいいようです。

 もう1つの日本経済の経常黒問題ですが、長くなるので次にします。