tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式運用枠増

2014年09月08日 09時47分41秒 | 経済
GRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式運用枠増
 改造内閣は、GPIFの資金運用を、確定利付きの債券から株式での運用を増やすことに熱心のようです。

 確かにこのところ足掛け2年、株価は上昇基調で、GPIFの現状の運用でも、久方ぶりにプラスになったといった報道があります。
 国債などで運用しても利息はせいぜい1パーセントほどしか付かないのでしょうから、もっと株を買っておけば、もっと儲かったのにと考えるのは、この期間だけ見ればその通りでしょう。

 問題は、今からかって儲かるかどうかです。今から、株運用の枠を増やすことを決め、さて買い増すという時には、その動きの確実性の思惑が市場を支配し、株価や既に上がっているでしょう。

 個人でも、株で儲ける人が少ないということの大きな理由は、証券会社などが株を買いましょうと勧める時は大体「株が高い時」なので、高値掴みになってしまうからというのが最も解り易い説明です。

 株式専門のTVチャンネルなどでも、「株式投資の要諦は安い時に買って、高い時に売ること」などと言っていますが、そういうコマーシャルが流れるのは大体、株が高い時です。

 国際投機資本の動きなどを見れば明らかですが、買うか売るかの決定は、瞬間的な速さでやるのが常識で、株が上がってきたから、株で稼ごうと、時間をかけて決定し、投資顧問などに相談して「さて買いました」というまでには、もうチャンス女神の前髪は疾うに通り過ぎているということになるのが目に見えるようです。政府関係機関には「機動性」などは期待できませんし、専門機関任せでは、それは無責任そのものでしょう。

 何度も書いて来ましたように、株式投資などといった「あぶく銭目当て」で、国民にとって、老後生活の基本を支えるのは、アメリカ流の「なんで儲けても金は金、区別は必要ない」という考え方で、この考え方は矢張り、社会的、経済的に問題が多すぎると思います。
 政府が年金積立金の運用に、そんな考え方を持ったら、日本の経済倫理は地に堕ち、渋沢栄一は草葉の陰で嘆くでしょう。 

 それでも敢て、株式投資で儲けたいというのであれば、昭和40年不況の時の、共同証券や、証券保有組合に倣って、株価がどん底の時に、GPIFが正義の味方として株を買ってみせるという方が、日本経済のためにもなりますし、余程理に叶っていると思います。

 しかし、政府は経済政策をやるところですから、いかにGPIFが独立行政法人だと言っても、「インサイダー」という問題はついてまわりそうな気もします。