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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

上場企業又はその子会社が発起人となって株式会社を設立する場合の実質的支配者

2018-12-07 14:45:42 | 会社法(改正商法等)
ほくらoffice(文京公証役場の公証人)
https://www.hokura-office.com/

「上場会社であることの根拠資料として,有価証券報告書を提出すること,同書類に代表者の記名押印,印鑑証明書が必要だと言う人がいます。それってどうなんでしょう?なぜなら有価証券報告書は金融庁のEDINETで公開されていて誰でも確認できるからです。」(上掲HP)


 例えば,日司連編のQ&Aは,次のとおりである。

Q.上場企業又はその子会社が発起人であり,100%子会社を設立する場合には,実質的支配者はどうなりますか。
A.発起人が上場企業又はその子会社である場合には,当該上場企業等は自然人とみなされます(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号。以下「犯収法施行令」という。)第14条第5号)ので,当該上場企業等が実質的支配者となります。

Q.発起人が上場企業又はその子会社である場合には,当該上場会社等は自然人とみなされるとのことですが,この場合,当該上場企業等が上場企業又はその子会社であることを証する書面は必要になりますか。
A.原則として必要です。例えば,有価証券報告書の写し等が考えられます。


 日本における上場企業は,3638社(平成30年12月7日現在)もあるので,発起人(=実質的支配者)である株式会社が上場企業であることが公知の事実とはいえないことの方が多いであろう。「この会社は上場企業です」と口頭で伝えて,わざわざ公証人にEDINETで調べてもらうよりは,申告書に有価証券報告書の写しを添付する方がスムーズに処理が進むのではないだろうか。発起人(=実質的支配者)が上場企業の子会社である場合には,有価証券報告書の写しを添付することは必須であろう。

 発起人が法人である場合には,そもそも認証手続において,登記事項証明書と印鑑証明書を提出する必要があるので,発起人=実質的支配者である場合に,別途申告のためにそれらの書類を提出する必要はない。


 電子定款の場合には,司法書士は,嘱託人として,自らの名で,実質的支配者に関する申告をしなければならない。自らが,設立される株式会社の実質的支配者を調査し,確認するために徴求した書類については,公証人もやはり確認することを望むであろうから,適宜対応すべきである。

 スタートしてから当分の間は,公証人によって取扱いがまちまちであるかもしれないが,司法書士の側も,柔軟に,かつ,適切に対応すべきであろう。
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