「民法上の組合」と「権利能力なき社団」の区別は,不分明であると巷間言われるところである。
「民法上の組合」の成立要件は,以下のとおりである(民法第667条第1項)。
a.複数の当事者が存在すること
b.当事者たる組合員による出資があること
c.特定の共同事業を営むことを目的とすること
d.当事者が組合の成立を約すること(当事者意思の合致)
「権利能力なき社団」の要件は,以下のとおりである(最判昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁)。
a.団体としての組織をそなえ
b.多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し
c.代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している
「民法上の組合」と「権利能力なき社団」は,法律上の取扱いを異にするものであるが,両者の性質は,そもそも択一ではなく,併存し得るものであって,法人格のない団体については,次のような分類が可能であると考えられる。
① 「民法上の組合」の要件を満たし,かつ,「権利能力なき社団」の要件も満たすもの
② 「民法上の組合」の要件を満たすが,「権利能力なき社団」の要件を満たさないもの
③ 「民法上の組合」の要件を満たさないが,「権利能力なき社団」の要件を満たすもの
④ いずれの要件も満たさないもの
よって,法律上の区別が問題となるのは,①の場合である。
「民法上の組合」と「権利能力なき社団」の区別が問題とされるのは,法律上の取扱いを異にするからであるが,両者の性質は,併存し得るものであるから,法律上いずれで取り扱うのかについては,団体の明示の意思に従うべきである。
例えば,団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」とあり,そのように運営されている団体が,「権利能力なき社団」の実質を備え,①の範疇に属するに至ったからといって,任意に「権利能力なき社団」として取り扱うべしと考えるのは法的安定性を著しく欠くであろう。当該団体が「民法上の組合」の要件を満たす限り,「民法上の組合」として取り扱うべきである。
また,当該団体が「民法上の組合」の取扱いを是とせず,「権利能力なき社団」の取扱いの方を是とするのであれば,「民法上の組合」の要件から外れるようにすべきである(特にcの「共同事業」要件など)。
このように考えれば,「民法上の組合」と「権利能力なき社団」の区別が問題となるのは,①の範疇に属する団体で,団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」旨の明示の定めがないような場合に限定されることになる。この場合であっても,例えば,団体としての独自性が比較的弱く,民法の組合の規定を適用するのが妥当な団体であると判断されるような場合には,「民法上の組合」として取り扱うべきである。
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された後は,諸々の団体が法人格を取得することが容易である。「法人格のない団体」を敢えて「権利能力なき社団」として取り扱う意義も低下していると思われる昨今であるが,「法人格のない団体」を新たに設立する場合に,以後法律上「民法上の組合」として取り扱われることを望むのであれば,当該団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」と高らかに宣言しておくべきであろう。そうでない場合には,当該団体の意図に反して,「民法上の組合」or「権利能力なき社団」のいずれの取扱いを受けても,甘受せざるを得ないのではないか。
特に,税法上の取扱いについては,「民法上の組合」は,個人課税(配当所得)となり,組合としては,課税の対象ではなく,いわゆるパススルー課税であるが,「権利能力なき社団」は,法人とみなされるので,法人税の対象となり,個人がそこから受け取る配当金について,雑所得の対象となる,という大きな相違があるので,要注意である。
「民法上の組合」の成立要件は,以下のとおりである(民法第667条第1項)。
a.複数の当事者が存在すること
b.当事者たる組合員による出資があること
c.特定の共同事業を営むことを目的とすること
d.当事者が組合の成立を約すること(当事者意思の合致)
「権利能力なき社団」の要件は,以下のとおりである(最判昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁)。
a.団体としての組織をそなえ
b.多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し
c.代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している
「民法上の組合」と「権利能力なき社団」は,法律上の取扱いを異にするものであるが,両者の性質は,そもそも択一ではなく,併存し得るものであって,法人格のない団体については,次のような分類が可能であると考えられる。
① 「民法上の組合」の要件を満たし,かつ,「権利能力なき社団」の要件も満たすもの
② 「民法上の組合」の要件を満たすが,「権利能力なき社団」の要件を満たさないもの
③ 「民法上の組合」の要件を満たさないが,「権利能力なき社団」の要件を満たすもの
④ いずれの要件も満たさないもの
よって,法律上の区別が問題となるのは,①の場合である。
「民法上の組合」と「権利能力なき社団」の区別が問題とされるのは,法律上の取扱いを異にするからであるが,両者の性質は,併存し得るものであるから,法律上いずれで取り扱うのかについては,団体の明示の意思に従うべきである。
例えば,団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」とあり,そのように運営されている団体が,「権利能力なき社団」の実質を備え,①の範疇に属するに至ったからといって,任意に「権利能力なき社団」として取り扱うべしと考えるのは法的安定性を著しく欠くであろう。当該団体が「民法上の組合」の要件を満たす限り,「民法上の組合」として取り扱うべきである。
また,当該団体が「民法上の組合」の取扱いを是とせず,「権利能力なき社団」の取扱いの方を是とするのであれば,「民法上の組合」の要件から外れるようにすべきである(特にcの「共同事業」要件など)。
このように考えれば,「民法上の組合」と「権利能力なき社団」の区別が問題となるのは,①の範疇に属する団体で,団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」旨の明示の定めがないような場合に限定されることになる。この場合であっても,例えば,団体としての独自性が比較的弱く,民法の組合の規定を適用するのが妥当な団体であると判断されるような場合には,「民法上の組合」として取り扱うべきである。
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された後は,諸々の団体が法人格を取得することが容易である。「法人格のない団体」を敢えて「権利能力なき社団」として取り扱う意義も低下していると思われる昨今であるが,「法人格のない団体」を新たに設立する場合に,以後法律上「民法上の組合」として取り扱われることを望むのであれば,当該団体の規約に,「当会は,民法第667条第1項の定めに基づく組合として組織する」と高らかに宣言しておくべきであろう。そうでない場合には,当該団体の意図に反して,「民法上の組合」or「権利能力なき社団」のいずれの取扱いを受けても,甘受せざるを得ないのではないか。
特に,税法上の取扱いについては,「民法上の組合」は,個人課税(配当所得)となり,組合としては,課税の対象ではなく,いわゆるパススルー課税であるが,「権利能力なき社団」は,法人とみなされるので,法人税の対象となり,個人がそこから受け取る配当金について,雑所得の対象となる,という大きな相違があるので,要注意である。