東日本大震災によって被災した株式会社において,当該株式会社が1人会社である場合等に株主が死亡し,当該株主の相続人が不存在である場合が想定される。
この場合の解決策としては,利害関係人から,相続財産管理人の選任の申立てをすることが第1歩となる(民法第952条第1項)。
問題となるのは,相続財産管理人が選任された場合に,当該相続財産管理人が相続財産に属する株式に関して,議決権を行使することができるのか,である。
相続財産管理人の職務は,財産の管理行為であって,家庭裁判所の許可を得て行うことができる権限外行為(民法第953条によって準用する民法第28条前段)も,財産の管理行為の範疇に属するものである必要があり,これに該当しないものは行うことができないと解される。
そして,株式の議決権の行使は,財産の管理行為には含まれない。
cf. 平成20年8月19日付「会社法と成年後見」
例えば,破産管財人は,オールマイティのような感があるが,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権限を有する(破産法第78条第1項)のであって,会社組織に係る行為等については,取締役又は監査役が権限を行使し得る(最高裁平成16年6月10日第一小法廷判決)とされ,破産管財人の権限外である。そして,破産財団に属する株式に関して,議決権を行使することができるのは破産管財人ではなく株主であるとして,株主総会の招集通知を株主宛に送付すべきであるとした裁判例もある(大阪地裁昭和32年12月6日判決)。
この理からしても,相続財産管理人は,相続財産に属する株式に関して議決権を行使することができない(権限外行為として許可を得る対象にもならない。)というべきである。
したがって,当該株式につき,議決権の行使が期待されるのであれば,相続財産管理人が家庭裁判所の許可を得て第三者に当該株式を売却し,当該第三者が株主となることによらざるを得ないということになる。
株主が所在不明であることから,不在者財産管理人の選任がされたケースも同様である。
この場合の解決策としては,利害関係人から,相続財産管理人の選任の申立てをすることが第1歩となる(民法第952条第1項)。
問題となるのは,相続財産管理人が選任された場合に,当該相続財産管理人が相続財産に属する株式に関して,議決権を行使することができるのか,である。
相続財産管理人の職務は,財産の管理行為であって,家庭裁判所の許可を得て行うことができる権限外行為(民法第953条によって準用する民法第28条前段)も,財産の管理行為の範疇に属するものである必要があり,これに該当しないものは行うことができないと解される。
そして,株式の議決権の行使は,財産の管理行為には含まれない。
cf. 平成20年8月19日付「会社法と成年後見」
例えば,破産管財人は,オールマイティのような感があるが,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権限を有する(破産法第78条第1項)のであって,会社組織に係る行為等については,取締役又は監査役が権限を行使し得る(最高裁平成16年6月10日第一小法廷判決)とされ,破産管財人の権限外である。そして,破産財団に属する株式に関して,議決権を行使することができるのは破産管財人ではなく株主であるとして,株主総会の招集通知を株主宛に送付すべきであるとした裁判例もある(大阪地裁昭和32年12月6日判決)。
この理からしても,相続財産管理人は,相続財産に属する株式に関して議決権を行使することができない(権限外行為として許可を得る対象にもならない。)というべきである。
したがって,当該株式につき,議決権の行使が期待されるのであれば,相続財産管理人が家庭裁判所の許可を得て第三者に当該株式を売却し,当該第三者が株主となることによらざるを得ないということになる。
株主が所在不明であることから,不在者財産管理人の選任がされたケースも同様である。
コメントというより、教えていただければと思い投稿します。
代表取締役は、退任する事になるため、可能な限り会社を存続させたい場合、相続財産管理人が選任されるまでは、代表取締役は、事務管理として、会社の事務を行い、相続財産管理人が選任されると引き継ぎ、株式が誰かに譲渡されて、代表取締役を選任し活動を継続していく。
このようなことが可能でしょうか。
民法上の事務管理(民法第697条以下)としてではなく,会社法上のルールなのです。
取締役が任期の満了又は辞任により退任した場合に,株主について相続放棄による相続人不存在であることから株主総会の開催ができず,後任取締役の選任ができないときは,相続財産管理人が選任されて,株式の譲渡がされ,株主総会が適法に開催される状態になった後の株主総会で後任の取締役が選任され,代表取締役が選定されるまでの間は,当該取締役が引き続き取締役の権利義務を有し,株式会社を運営していくことになります。
代表取締役たる父親の死亡による後任取締役を選任するため株主総会にて議決権行使することは、民法第920条の単純承認に該当し、後日予定している相続放棄を不可能になりますか。
1人会社の株主が死亡→相続財産管理人が選任されたケースで、記事本文では「第三者に譲渡し、当該第三者が議決権行使」とありますが、当該株式が譲渡制限付であった場合、第三者への譲渡承認はどうなるのでしょうか。
1人株主による譲渡の場合承認不要ですが、同様の結果となるのでしょうか。
ただ、上記承認不要のケースが、「承認機関(唯一の議決権者)と譲渡人が同一」であることを前提とするのであれば、議決権のない相続財産管理人による譲渡は条件が異なると思われ、承認を要する(すなわち承認機関が存在しないため譲渡承認を得られない)こととなると思われるのですが、ご意見をいただければと思います。
取締役会設置会社でなく,1人取締役&1人株主である場合には,原則としては,相続財産管理人が利害関係人として仮取締役(仮代表取締役)の選任を申し立て,当該仮取締役による承認等の手続を経ることになるかと。
https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/2c97a40102827940c3cc9d8e1a8ec60e