司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

取締役会を廃止した際に、譲渡制限規定を同時に変更することを看過した場合の処理

2008-02-08 00:10:38 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2008年2月号所収の、葉玉匡美弁護士講演録「司法書士のための会社法の諸論点」に関する若干のコメントpart⑤。

(6)取締役会の廃止と譲渡承認機関
「取締役会を廃止したにもかかわらず、譲渡承認機関を『取締役会』としている場合の処理をどうするか?」

 取締役会設置会社でない株式会社においては、業務の決定は、法律又は定款の別段の定めがなければ、株主総会又は取締役の過半数のいずれにおいても決定することができる。

 取締役会設置会社でない株式会社における譲渡承認機関については、会社法においては株主総会であるとされ、定款の別段の定めが許容されている。本件においては、定款の別段の定めの「取締役会」が空振りになっており、定款の別段の定めがない状態と解されるので、会社法の原則どおり株主総会が承認機関であると解してよいであろうし、理に適うように考える。

 仮に、単純に株主総会が承認機関になったと解釈することが難しいとしても、「譲渡承認請求をしても承認する機関がない」と解するよりは、原則に戻って、「法律又は定款の別段の定めがなければ、株主総会又は取締役の過半数のいずれにおいても承認することができる」と善解する方が会社法的には妥当ではないだろうか。

 なお、「ハンドブック」(368頁)では、同時に申請しなくても却下はしないものとして取り扱われている旨述べられているが、資格者代理人たる司法書士としては、看過することがないように注意義務を尽くすべきであろう。
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