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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

社外取締役を置くことの義務付けと任期中における要件の喪失&充足の問題

2020-04-21 18:37:28 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2020年3月25日号に,竹林俊憲ほか「令和元年改正会社法の解説〔Ⅴ〕」があり,「社外取締役を置くことの義務づけ」についての解説がある。

改正後
 (社外取締役の設置義務)
第327条の2 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは,社外取締役を置かなければならない。

「社外取締役の員数が欠けた場合についても,補欠の役員の選任(329条3項),権利義務取締役(346条1項)または一時役員(同条2項)に関する規定の適用があることとなる」(上掲8頁注11)


 ところで,平成26年改正により,社外性の要件は,取締役の任期中においても,喪失したり,充足したり,ということが生じ得ることとなっている。

cf. 平成27年2月6日付け「社外性の充足又は喪失による社外取締役の登記の変更の登記」

 したがって,あり得べからざることではあるが,

(1)社外取締役が欠けたと認識していたのに,実は欠けていなかった(社外性の要件を充足している者が隠れていた)

(2)社外取締役の員数が足りていると認識していたのに,実は欠けていた(社外性の要件を充足していたはずの取締役が,いつの間にか要件を喪失していた)

という事態が生ずることがあるのではないか。

 (1)の場合には,補欠役員や一時取締役の就任が無効(登記事項無効による抹消の登記をしなければならない。)となったり,権利義務取締役としての行為が無効となったりという場面が想定される。

 (2)の場合には,合理的な期間内に社外取締役が選任されなかったとして,取締役の善管注意義務違反が問われることや,その間にされた取締役会の決議が無効となり得るという場面が想定される。

 改正後は,社外取締役が1名の株式会社にあっては,当該社外取締役の辞任の登記は,後任者の就任の登記とセットでなければ受理されないはずであるが,これを看過して,辞任の登記のみ単独で申請され,その登記が完了するようなことも起こりそうである。


 今回社外取締役を置くことを義務付けられることになった「監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない」株式会社についても,「社外取締役である旨」を登記事項にすべきであったと思われるのだが。
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