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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会計監査人のみなし再任の登記の際,株主リストは添付書面となるのか?

2016-10-04 00:08:33 | 会社法(改正商法等)
Q.会計監査人のみなし再任の登記の際,株主リストは添付書面となるのでしょうか?

A.株主リストが添付書面となるのは,「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合」(商業登記規則第61条第3項)ですから,不要であると考えます。

 登記すべき事項が「会計監査人のみなし再任」のみ,という場合には,一瞬悩むのかもしれませんね。

 「会計監査人のみなし再任」においては,会計監査人の退任について,定時株主総会の成立と終結が必要であり,当該会計監査人のみなし再任について,当該定時株主総会で会計監査人の選任又は不再任の決議がされなかったことが必要である。

 よって,これらの事実を証するための株主総会議事録が添付書面となることから,運用として,「必要」という取扱いは,あり得るかも・・・。

 まあ・・・ないでしょう。

 ところで,会計監査人については,権利義務承継規定が存しないことから,定時株主総会において不再任の決議がされたものの,後任の会計監査人の選任がされずに終わる場合があり得る。

 この場合,会計監査人の退任の登記の申請において,株主総会議事録が添付書面となり,不再任の意思決定がされていることから,株主リストも添付書面となる?

 取締役会設置会社にあっては,株主総会は,会社法又は定款で定めた事項に限り,決議をすることができる(会社法第295条第2項)が,不再任の意思決定は,これに該当しないと解される。

 とすると,会計監査人の退任の登記の申請において,添付書面である株主総会議事録によって,定時株主総会の成立と終結,そして不再任の意思決定がされていることを証する必要があるとしても,「株主総会の決議を要する場合」には該当せず,株主リストは,添付書面とならないと考えるべきであろう。

 その他,取締役又は監査役の任期満了による退任の登記のみを申請するときにおいても,同様の問題,すなわち添付書面である株主総会議事録によって,定時株主総会の成立と終結を証する必要があるものの,「株主総会の決議を要する場合」には該当しない,と解される場合があり得るが,株主リストは,やはり添付書面とならないと考えるべきであろう。

 中小の同族企業においては,取締役又は監査役として再任しないことが事実上解任と同じ意味を持つことが多いこともあり,商業登記規則の改正の趣旨である不実登記の防止の観点からすると,この場合においても株主リストを添付すべきとの要請もあり得るとは思われるが,「株主総会の決議を要する場合」と解することは難しいであろう。
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1 コメント

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Unknown (United)
2016-10-04 08:14:30
内藤先生、別立てで記事を書いてくださり、ありがとうございました!
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