不動産登記規則等の一部を改正する省令案の概要に関する意見募集
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○ 趣旨
所有者不明土地の発生を防止するため、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号。以下「改正法」という。)により、不動産登記法(平成16年法律第123号。以下「不登法」という。)及び関係法律の一部が改正された。本省令案は、改正法(令和6年4月1日施行分)の一部(※)の施行に伴い、不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「不登規則」という。)及び関係省令について、所要の改正を行うなどするものである。
1 法人識別事項関係
(1)法人識別事項の内容(第156条の2関係)
改正法による改正後の不登法(以下「新不登法」という。)第73条の2第1項第1号の法務省令で定める事項(以下「法人識別事項」という。)は、次の①から③までに掲げる所有権の登記名義人の区分に応じ、当該①から③までに定める事項とすることを定める。
① 会社法人等番号を有する法人 当該法人の会社法人等番号
② 会社法人等番号を有しない法人であって、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の法令に準拠して設立されたもの 当該外国の名称
③ ①又は②のいずれにも該当しない法人 当該法人の設立の根拠法の名称
2 国内連絡先事項関係
(1)国内連絡先事項の内容(第156条の5関係)
新不登法第73条の2第1項第2号の法務省令で定める事項(以下「国内連絡先事項」という。)は、次の①又は②に掲げる事項とすることを定める。
① 所有権の登記名義人の国内における連絡先となる者(以下「国内連絡先となる者」という。)があるときは、次のア及びイに掲げる事項
ア 国内連絡先となる者(一人に限る。)の氏名又は名称並びに国内の住所又は国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地及び名称
イ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、当該法人の会社法人等番号
② 国内連絡先となる者がないときは、その旨
3 相続人申告登記関係
(1)相続人申出等に関する手続等(第158条の3から第158条の18まで関係)
次の①から⑤までに掲げる事項などの新不登法第73条の3第1項の規定による申出(以下「相続人申出」という。)等に関する手続等の通則事項を定める。
① 相続人申出等の方法等(第158条の3から第158条の13まで関係)
② 相続人申出等の受付及び調査(第158条の14及び第158条の15関係)
③ 相続人申出等の却下(第158条の16関係)
④ 相続人申出等の取下げ(第158条の17関係)
⑤ 相続人申出に基づく登記(以下「相続人申告登記」という。)等の完了通知(第158条の18関係)
(2)相続人申告登記
ア 相続人申出において明らかにすべき事項等(第158条の19から第158条の22まで関係)
相続人申出において明らかにすべき事項(申出人が所有権の登記名義人の相続人である旨等)や、当該事項に係る情報と併せて登記所に提供しなければならない情報(申出人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する情報や申出人の住所を証する情報等)及びその情報の提供を省略できる場合などを定める。
イ 相続人申告登記の付記事項(第158条の23関係)
相続人申出があったときに登記官が所有権の登記に付記する事項(以下「相続人申告事項」という。)などを定める。
(3)相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記(第158条の24から第158条の27まで関係)
相続人申告事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があった場合における相続人申告事項の変更又は更正の申出の方法などを定める。
(4)相続人申告登記の抹消(第158条の28から第158条の30まで関係)
相続人申告登記の抹消の申出ができる場合や申出の方法などを定める。
4 ローマ字氏名の併記関係
(1)所有権の移転の登記等の申請をする場合におけるローマ字氏名の併記(第158条の31関係)
所有権の移転の登記等の申請をする場合における所有権の登記名義人となる者等が日本国籍を有しない者であるときは、登記官に対してそのローマ字氏名を登記記録に記録するよう申し出るものとすること及びその方法などを定める。
(2)所有権の登記名義人に係るローマ字氏名の併記(第158条の32関係)
日本の国籍を有しない所有権の登記名義人は、登記官に対してそのローマ字氏名を登記記録に記録するよう申し出ることができること及びその方法などを定める。
5 旧氏の併記関係
(1)所有権の移転の登記等の申請をする場合における旧氏の併記(第158条の34関係)
所有権の移転の登記等の申請をする場合における所有権の登記名義人となる者等(当該登記の申請人である場合に限る。)は、登記官に対してその一の旧氏を登記記録に記録するよう申し出ることができること及びその方法などを定める。
(2)所有権の登記名義人に係る旧氏の併記(第158条の35関係)
所有権の登記名義人は、登記官に対してその一の旧氏を登記記録に記録するよう申し出ることができること及びその方法などを定める。
6 登記事項証明書等における代替措置関係
(1)代替措置の要件(第202条の3関係)
新不登法第119条第6項の法務省令で定める場合は、当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次の①か
ら④までに掲げる事由がある場合とすることを定める。
① ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第6条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第2条第1項に規定するつきまとい等又は同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。
② 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待(同条第1号に掲げるものを除く。以下同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。
③ 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(以下「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。
④ 前記①から③までに掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。
(2)公示用住所(第202条の10関係)
新不登法第119条第6項の法務省令で定める事項は、当該登記記録に記録されている者と連絡をとることのできる者の住所又は営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地(以下「公示用住所」という。)とすることを定める。
(3)代替措置申出等に関する手続等(第202条の4から第202条の9まで関係)
次の①から④までに掲げる事項などの新不登法第119条第6項の申出(以下「代替措置申出」という。)等に関する手続等の通則事項を定める。
① 代替措置申出等の方法等(第202条の4)
② 立件及び調査(第202条の5及び第202条の6関係)
③ 代替措置申出等の却下(第202条の7関係)
④ 代替措置申出等の取下げ(第202条の8関係)
(4)代替措置
ア 代替措置申出の申出書に記載すべき事項等(第202条の11関係)
代替措置申出の申出書に記載すべき事項や申出書に添付すべき書面などを定める。
イ 代替措置の内容(第202条の12及び第202条の13関係)
新不登法第119条第6項の規定による措置(以下「代替措置」という。)の内容などを定める。
ウ 代替措置が講じられていない登記事項証明書の交付の請求(第202条の14関係)
代替措置申出をした申出人又はその相続人は代替措置が講じられていない登記事項証明書の交付の請求をすることができること及びその方法などを定める。
エ 代替措置申出の撤回(第202条の15関係)
代替措置申出をした申出人は登記官に対して代替措置申出の撤回をすることができること及びその方法などを定める。
(5)公示用住所の変更(第202条の16関係)
代替措置をした申出人は登記官に対して代替措置申出に係る公示用住所を変更するよう申し出ることができること及びその方法などを定める。
7 その他
その他所要の規定の改正を行う。
<別紙第2条(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する不動産登記法の特例に関する省令の改正)の概要>
相続人申出をする場合において、その申出人が所有権の登記名義人に係る法定相続人情報の作成番号を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、当該申出人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する情報の提供に代えることができることなどを定める。
<別紙附則(経過措置等)の概要>
法人識別事項に関する変更の登記に関する経過措置(附則第2条関係)
改正法附則第5条第5項の不動産の所有権の登記名義人は、登記官に対し、所有権の登記に記録すべき法人識別事項を申し出ることができることなどを定めるとともに、その申出に関する手続や当該申出があった場合における登記官の職権による法人識別事項に関する変更の登記の登記事項などを定める。