司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

コンピュータ化前の登記用紙の改製等について(2)

2013-03-10 16:12:48 | 会社法(改正商法等)
 登記用紙の改製と移記の歴史を振り返っておくシリーズその2は,現行商業登記法(昭和38年法律第125号)の施行時の経過措置である。

 附則第3項の規定による改製により,「縦書き」が「横書き」となった。


商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)
附則
(施行期日)
1 この省令は、昭和三十九年四月一日から施行する。
(法務府令の廃止)
2 商業登記規則(昭和二十六年法務府令第百十二号。以下「旧規則」という。)は、廃止する。
(登記用紙の改製)
3 登記所は、旧規則の規定による登記用紙(以下「旧登記用紙」という。)をこの省令(以下「新規則」という。)の規定による登記用紙(以下「新登記用紙」という。)に改製しなければならない。
4 前項の規定による改製は、旧登記用紙になされている登記で現に効力を有するものを新登記用紙に移記してするものとする。
5 登記官は、前項の規定による移記をしたときは、両登記用紙にこの省令附則第四項によつて移記した旨及びその年月日を記載して押印し、旧登記用紙を閉鎖しなければならない。
(登記用紙の改製までの経過措置)
6 附則第三項の規定による改製がされるまでの間は、当該旧登記用紙及びこれにすべき登記の手続に関しては、なお従前の例による。ただし、登記の申請の手続については、新規則の規定(第三十五条第一項を除く。)を適用する。
7 登記所は、前項の規定にかかわらず、新規則の規定による各欄の用紙(新規則第八十条第一項及び第二項(新規則第九十三条において準用する場合を含む。)の規定により提出された目的欄の用紙又は役員欄の用紙と同一の用紙を含む。)を旧登記用紙の一部として用いることができる。この場合において、新規則の規定によれば当該各欄の用紙にすべき登記で現に効力を有するものがあるときは、その登記を当該各欄の用紙に移記し、当該各欄の用紙にこの省令附則第七項により移記した旨及びその年月日を記載して登記官が押印し、移記された従前の登記を朱抹しなければならない。
8 前項の規定により新規則の規定による各欄の用紙を旧登記用紙の一部として用いた場合には、新規則の規定によれば当該各欄の用紙にすべき登記及びその手続に関しては、附則第四項及び第六項の規定を適用しない。

第9項以下略
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日司連研修情報システムのeラーニングを視聴してみました

2013-03-10 11:37:02 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 新幹線の車中で,日司連研修情報システムのeラーニングを視聴してみました。「平成23年民法等改正の解説 ~児童虐待防止に向けた親権制度の見直し~」(1時間)です。概要程度は把握していたつもりでしたが,改正の背景等,よくわかりました。途中のトラップ(確認テスト)には,見事にひっかかりました(^^)。

 研修会をビデオ撮りしたものをアップする「研修ライブラリー」(これはこれで,入念な確認&編集作業を経ています。)とは異なり,eラーニング専用に収録するそうで,結構コストもかかっているそうです。

 司法書士の皆さん,ぜひ活用しましょう!

 なお,ちゃんと視聴していることをチェックするために,途中に関所(確認テスト)が設けられています。○×式の5問を全問クリアしないと,先に進めないシステムです。難しい問題ではありませんが,一括採点なので,どの肢を正解して,どの肢を誤答したのかがわからないのがミソ(?)となっています。
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「株主整理の実務」

2013-03-10 06:22:15 | 会社法(改正商法等)
 昨日は,福島県司法書士会会員研修会(福島県郡山市)で,「株主整理の実務」について,お話しました。事前質問が多かった「株主の相続等」(株主に死亡,破産,成年後見等の事情が生じた場合の対応)について丁寧に話したため,肝心の「会社法の活用による株主の整理」が随分端折る形(終了時刻の勘違いもあって)になりましたが,「株式の譲渡」を含め,実務において重要なところは,十分お話できましたので,御満足いただけたように思います。
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否認の登記の職権抹消

2013-03-10 00:21:32 | 不動産登記法その他
 破産管財物件の任意売却による所有権の移転の登記の際に,(1)否認の登記と(2)否認された行為を登記原因とする登記又は否認された登記((2)に後れる登記も)は,登記官の職権により抹消される(破産法第260条第2項)。

 これは,破産法改正(平成17年1月1日施行)の際に,追加された規定である。

cf. 「破産法の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」(平成16年12月16日付け法務省民二第3554号民事局長通達)
http://www.geocities.co.jp/wallstreet/2418/tuutatu/3554.html


 以下は,平成13年5月17日当時の拙文であるが,改正の意図がわかりやすいと思われるので,今更ながらではあるが,掲げておく。


(ここから)
 破産物件に登記されている根抵当権設定請求権仮登記を破産管財人が否認訴訟を起こして勝訴し,否認の登記がされています。その後任意売却がなされると,この仮登記及び否認の登記は朱抹されないまま残されることになりますが,抹消されたのと同一の効力を有するものとして確定し,抹消登記の申請もできないという先例があります。

 さて,当該土地が分筆されるとどうでしょうか?

 先日取引物件に上記の登記が転写されており,売主側の司法書士から「消せない登記だ,法務局にもそう言われている」と言われたのですが,法務局に赴き,表示の校合官に対して「分筆されると現に効力を有する登記のみが転写される(改正前不動産登記法第76条ノ2,現行不動産登記規則第5条第1項)ため,上記の登記は転写を要しないと思われるが・・・」とねじ込んだところ,比較的あっさり局長許可による職権更正により抹消する,との回答を得ました。

 分筆された土地だったからよかったものの,元番の土地の方は朱抹されないまま残り,売買されるたびに買主及び融資金融機関にいらぬ不安を引き起こすことになってしまいます。「司法書士始末記」(日本評論社)には,そのような場合に「枚数過多による移記」を利用し,消すことができたという事例が紹介されていますが,なんらかの立法的解決が図れないものかと思いますね。
(おわり)

 なお,改正前に任意売却された物件上に否認の登記等が残置されたままとなっているものについても,申し出があれば,職権抹消される取扱いであるはずである。



 ところで,旧不動産登記法第76条第4項の規定が類推適用(?)されて,移記閉鎖された事例として,次に掲げるものがあるようだ。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/147/0004/14704040004010c.html

○ 他人の不動産に誤って仮差し押さえの登記や破産の登記をしたため誤記を理由としてその登記を抹消したが,所有者等から信用問題であるとして苦情の申し出があった場合。

○ 登記の抹消請求訴訟の提起があり,裁判所の嘱託により予告登記がされたが,原告の敗訴判決が確定して予告登記が抹消されたものの,所有者等から信用問題であるとして苦情の申し出があった場合。

○ 破産手続等における否認の登記がされたが,破産取り消し等により否認の登記が抹消されたものの,所有者等から信用問題であるとして苦情の申し出があった場合。

○ 第三者によって偽造印鑑証明書等を使用して所有権移転登記等の登記がされたものについて,無効の判決がされた登記が抹消されたものの,所有者等から信用問題であるとして苦情の申し出があった場合

○ 登記簿を部外者により改ざんされたものについて正当な是正措置がされたものの,所有者等から信用問題であるとして苦情の申し出があったというような場合
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