Altered Notes

Something New.

孫正義氏「PCR検査キット提供」申し出について

2020-03-13 20:02:45 | 社会・政治
3月11日に孫正義氏が突然Twitterで「PCR検査キット100万人分提供します」という投稿をした。これに対しては様々な方面から反響を呼んだ。結果として検査キットの提供は見送られたが、これらの経緯ついてジャーナリストの有本香氏が解説しているので、その内容の抄録+αの形で紹介する。


まず、PCR検査自体の精度が高くない、という実態がある。正確に判定できる確率は5~7割程度、と言われている。なので感染している人が検査を3回受けて3回とも「陰性判定」になってしまう確率も少なくないのだ。検査を受けて一度「陰性」と判定されたら「やった」とばかりに喜んで旅行に行ったりコンサートやジムに行くかもしれない。そうなれば間違いなく感染は拡大してしまうだろう。また、検査をやりすぎた結果として医療崩壊という悪い状況を招いてしまったのが韓国であり、イタリアもまた似たような状況にある。

そんな中、孫正義氏は突然救世主のように現れて、検査を希望する人に福音を与えるが如くボソッとTweetしたところ、それをむしろ怪しんだネット民達がいろいろ調べたようである。

ソフトバンクはそのグループ内にSBIファーマという製薬会社を持っている。その会社の役員は多くがソフトバンクの人たちだが、取締役としてあの上昌広医師の名前が入っているのだ。こうした事実から推測すると、孫正義氏の申し出は一種のプロモーション的な意味合いもあるのではないか、という勘ぐりも可能にはなる。上昌広医師は「検査!検査!」と主張している人である。だから孫正義氏のTweetはそれと連動しているのではないか、という疑いが持たれているのである。


9年前の3.11の時に福島で原発事故が発生した。日本国中がパニックに陥っている時に孫正義氏が救世主のように出てきて「被災地に百億寄付する」と発言して、さらに「原発は危険だ」と説いて「とにかく原発はなくさないといけない」「日本に原発なんかあってはいけない」と言って、例の再生可能エネルギーを国に非常に高く買い取らせるという事を当時の菅政権に飲ませた。

これで何が起きたのか?

日本国中に訳のわからないソーラーパネルが設置されて、さらにそこに外国資本の参入を無秩序に許してしまったのである。例えば大阪は中国の国営企業である上海電力が大阪市の土地を借りる形でソーラーパネル発電をやっているのだ。そこから出る利益など上海電力ほどの大企業から見れば大したものではないのだが、当時、色々制度をいじって発電事業として日本に参入すればいずれ電力自由化の流れの中で送電事業にも入り込める、と踏んでいるのである。

これまでは日本は地域毎に各々電力会社が発電も送電も独占してやっていた。さらに外資規制もかかっているので外資に買収されないようになっているのだ。しかし電力自由化の流れの中でスルッとソーラーパネル発電で入ってきてしまえば、やがて送電事業の方にも行ける、と見越しているのである。このような意図で上海電力などは参入しているのだ。

そういう意味では酷いのは北海道である。北海道は既に中国資本のソーラーパネルだらけの状態であることをご存知だろうか。このような無秩序を許してしまった一方で孫正義氏が「原発はノーで再生可能エネルギーはイエス」という哲学を持っているのかと言えばそうではない。その証拠に孫正義氏が韓国に行った時には「韓国の原発は良い。素晴らしい」という態度を示していたのである。大いなる矛盾だ。


上述のような経緯があるので、だから誰もが今回も「またかい?」とうんざりしているのだ。しかも今回は自前の製薬会社があってあの上昌広医師がそこの取締役になっている、という事実があるのだ。・・・こうした背景がが見えてきてしまった以上、孫正義氏の検査キット提供の申し出が純粋な厚意によるものだとは誰も信じられないだろう。

東日本大震災の時の孫氏による百億寄付も本当にされたのかどうか不明で誰も確認していない。一説にはソーラーパネルの費用になったという話もあり、それだと結局百億は自分の懐に戻っている事になる。これでは寄付ではなく一種の投資である。


今回の孫正義氏提唱のPCR検査については、「自宅で検体を採取して、それを送ってもらうことで検査して結果を送り返す」というような流れを想定していたようである。こうした遠隔処理で検査したり診療できたりする流れ自体は悪くない。しかし、現在のこのような状況に乗じてそれをやるのはよろしくないだろう。こういう事は平時に環境整備しながら進めるべきことである。

怪しいアクションを起こしているのは孫正義氏だけではない。

孫正義氏の申し出Tweetに呼応する形で自民党衆議院議員の甘利明氏がTwitterを投稿している。その内容は孫正義氏とニトリの似鳥昭雄氏の寄付(孫正義:検査キット100万、似鳥昭雄:マスク100万枚)に対して賛同する立場からの感謝が記されていた。

これに対してネット民がどう反応したかと言えば・・・賛同する声はほぼ無い。逆に「何言ってるんですか?」という疑問を呈する声が圧倒的多数である。孫正義氏が純粋な厚意で言ってるのではないことは既に皆が知っているのである。ネット上では「東日本大震災の時に原発を非難し市民を混乱させメガソーラー推進で暴利を貪った事を我々は忘れていない」などといった反応が多かったのだ。

ニトリホールディングスの似鳥昭雄氏も問題である。この人は以前から中国とベッタリくっついた人である。例えば千歳空港の近くに不自然な中国人向け別荘地を分譲したのはニトリの子会社である。さらにそこから遠くない場所に「1万人の中国人街を作る」という構想も発表している。実に胡散臭いのである。

普通の人が寄付する分には「日本の為に立ち上がった」という厚意に思えるのだが、似鳥氏のような中国ベッタリな人がやると、コロナ蔓延に発する日本国内の中国への悪感情を和らげて対中関係を少しでも良くした上で、しかもそれは結局自分のビジネスにプラスになる話である。自分の会社に利益を誘導するための個人的なプロモーション活動の一貫と捉えられる。こうなるともはや政治云々ですらない話だ。

100万セットのPCR検査キットと言っても、よくある新製品発売時のお試しでサンプル配るような、その感覚ではないのだろうか。そうだとすれば宣伝費だと考えれば安いもんだ、という感覚で発案された可能性は高いだろう。孫正義氏自身から見ればそう考えても不思議ではない。

甘利明氏も厚労省もそういう申し出があって「良かったですね」というフワッとした感じになっているのだが、こういう状況だからこそ厚労省はいかに考えているのか、これが誰もが不安に思っている医療崩壊につながらない為に例えば検査キットをもしも寄贈されたら「国として具体的にこのように活用します」という具体的なビジョンなりプランを提示すべきであろうし、そうでなければならない筈である、本来は。

ネット民の多く、つまり一般の人々もそこは充分に理解している。だからTwitter上で孫正義氏を諌めるような流れになったのである。

甘利明氏に見られるような、このような政治家のボヤーッとした感じはいかがなものだろうか。つい先日もアリババ創業者で共産党員であるジャック・マー氏に「マスク送ってくれてありがとね」と無邪気に感謝していた森法務大臣のような人もいる。大臣や国会議員の立場なのに危機意識や警戒感がゼロである。「ボンクラか!」とツッコみたいほどだ。


以前の別稿にも書いたが、孫正義氏の動きには日本人としては注意し警戒しておいた方が良い。今回の件でも改めてそのように感じた次第である。



武漢肺炎 日本政府・初動の遅れの理由

2020-03-11 21:43:00 | 社会・政治
今回のコロナウィルスによる武漢肺炎は既にパンデミックと呼べる状況(*1)になっているが、日本国内においても政府の対応が「後手後手」という批判をされている通り、芳しくない対応の連続である。正に「初動に失敗した」のであるが、なぜ、どうしてそうなったのか、について経済学者である高橋洋一氏の説明を元に抄録の形で紹介する。

武漢肺炎は1月の時点で既に中国国内でかなり危険かつ過去に例を見ない状況と規模が一部の識者から想定と警告が発せられていた。本当はこの時点で渡航制限をかけていれば日本国内の状況もかなり違っていた筈なのだが、これが出来なかったのは非常に痛かった。

感染症のような問題は一番最初の対応が肝心なのだが、政府のやり方においては、そもそも感染症の指定の仕方もまずかった。どういう感染症に指定するのか、法律の施行期日をいつにするか、といった基本が駄目だったのだ。従って入国管理も当然のようにうまくできなかったのである。最初の第一手から明白な間違いを犯していたのだ。非常に悔やまれるところである。

前述の通り、このような原因も何もわからない状況下ではまず人の移動の制限をかけるのは当たり前のことであって、それをすぐ実行するのが普通なのだが、政府はこれをやれなかった。さらに、1月28日に政令で指定感染症の指定が出たのだが、その時に「いつ効力が有効になるか」の時期を10日先に設定してしまったのが駄目だった。28日に即日施行していれば、入管の方も「これは厳しい事態だ」ということがすぐに自動的に認識できるのである。

そもそも、通関というのはどういう順番になっているのだろうか。

この順番について「QIC」という言い方をする。
Q=検疫(Quarantine)、
I=入国管理(Immigration control)、
C=税関(Customs)

・・・という意味である。

この順番が肝心なのである。
ところが・・・

Q(検疫)の段階できちんとしないと、I(入国管理)の段階では既にちゃんとできなくなる。流れが厳密に繋がっているからである。

Q(検疫)の部分は厚労省の担当で動物は農水省担当である。Iは法務省だ。

こうした順番になっているのだが、”Qで国内に入れてしまう”と、”Iで止めろ”というのは実は無理なのである。だからQできちんと止めておくことが非常に大切なのである。そのためには指定感染症で一番レベルの高い扱いである「一類」扱いにしておかないと駄目なのだ。逆にそうしていれば入管の方もビシッと止めることができるのだ。これをやらなかったから、だからクルーズ船が入港してしまったのである。非常に遺憾なところだ。

クルーズ船が日本に入ってしまったのも「QIC」のQの部分できちんとやらなかったから、ということなのである。

政府としては1月の終わりに該当の法律は作ったのだが「10日後に施行」というタイムラグを作ってしまったせいで実情が駄目になってしまった。これはもはや論外なレベルだ。

ならば、政令を作って即時施行なんて出来るのだろうか。

できるのである。
実は比較的簡単な話だ。

作られた政令を見てみると審査に5日くらいかかる政令であることが判る。そうすると、28日に発表されたけれども実は22日あたりには既にモノは出来ているのだ。その出来たそのタイミングで大臣に知らせるのだ。そうすると大臣が「今、準備しています」と言う。そうしたら周知が終わって即日施行できるのである。法律の審査の準備で必ず大臣に知らせに行くので、その時に大臣が「今、準備しています」「28日を目処に”やります”」と言ってしまえばいいのである。そうすると周知期間が終わってマスコミが報道することで国民全部に知らされる事になる。従って即日施行ができる、ということになる。

実はこれ↑をしなかったから、だから駄目だったのである。
これは驚くほど愚かなことである。

中国の兵法書「孫子」には「拙速は巧遅に勝る」という言葉がある。拙速とは内容が拙くても速くできる事であり、巧遅とは巧みであるがしかし遅い、という事である。つまり、完璧でなくても「仕事が早い」事が評価される、という意味である。戦争の最前線で弾丸が飛び交っている最中で「計画を立ててじっくり考えて対策を練りましょう」などと言っていたら、たちまち被弾してやられてしまうのは自明の理である。そういう状況に於いては多少考えが浅かったとしても"すぐに実行、迅速に行動する”ことが最も大切なのである。今回の日本政府のやり方は正にこの「拙速は巧遅に勝る」の逆をやってしまった駄目パターンの典型である。

官僚・役人は自ら「こうやります」とは言わない(言えない)。政治家に言われたとおりにしかできないのが彼らの立場である。官僚は言われたことしか出来ないから、だから政治家がやらなくてはならないのだ。このような場合には政治家が先にアナウンスするのであり、しかも悪い話じゃないのだから良いのである。28日ぴったりに言うと「嘘だ」などと言われたりもするだろうが、「28日を目処に」と言えばよろしい。それを22日に言っていたらマスコミも一斉に報道する。こういうふうにやります、と。そうしたら周知期間というのが終わるから即日施行できるのである。それは一番最初の初動であり、政治家の仕事なのである。



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(*1)
世界的には既にパンデミックな状態に達していたが、WHOは3月11日に正式に「パンデミック」を宣言した。






チック・コリアのAKB

2020-03-08 03:13:03 | 音楽
チック・コリアは素晴らしいジャズピアニストであり作曲家である。非常に幅広い音楽性を持っており、ジャズの全てのスタイルに通じているし、クラシックやスパニッシュ音楽にも造詣が深い。モダンジャズの王道スタイルはもちろん、抽象性の高いフリージャズから極めてロック色の強いバンド、そしてスパニッシュ音楽への傾倒など、どのチャレンジも全て実り豊かな音楽の創作をもって聴く者に音楽の喜びを与えてくれる・・・そんな音楽家である。(*1)

チック・コリアは1985年にややロック的な色あいのあるエレクトリックバンドを結成して技術と音楽センスを高いレベルで融合させた音楽を創造した。1989年には、その時のリズムセクションであるベースのジョン・パティトゥッチとドラムのデイブ・ウェックルとチックの3人でアコースティックバンドというトリオを結成した。要するにジャズのピアノトリオ編成である。

なお、普通は「アコースティック」のスペルは 「Acoustic」だが、このバンドにおいては「Akoustsic」である。(*2) 
Akoustsic Band…だから略称はAKBになるのだ。もちろん、あのアイドルグループとは何の関係もない。当然だ。(*3)

Chick Corea Akoustic Band はジャズのピアノトリオと書いたが、実際に聴いてみるといわゆる伝統的なピアノトリオの聴こえ方とは少し違うものを感じるだろう。いわゆる16ビート系のコンテンポラリーな音楽を聴いていた人でもスムーズに入っていける親しみやすさがあることを感じるに違いない。それは何に起因するものだろうか。

バンドサウンドのリズム面の要(リズム型もサウンドも)になるのはドラムである。ドラマーのデイブ・ウェックルはスティーブ・ガッドのようなルーディメンツ的な要素もマスターしており、16ビートを叩かせた時のタイム感覚は聴いていて非常に心地よいものがある。そしてそのタイム感覚が4ビートやその他のリズム型(ラテンリズム、他)においても見事に発揮されているところが伝統的な4ビートジャズドラマーとの違いである。サウンド的にも伝統的なジャズドラマーが相対的に高めのチューニングをしているのに対して、どちらかといえば低めであまり音が残響しないようなチューニングをする事が多い。

このデイブ・ウェックルが演奏するドラムが土台になり、その上で展開されるチック・コリアの非常に現代的でクリアなピアノが展開される時、全体のサウンドは単なるピアノトリオを超えたコンテンポラリーな魅力のあるサウンドとして聴こえてくるのである。また、曲の展開において予めアレンジされた部分も少なくなく、その仕掛けを高い技術力で次々に決めてゆく心地よさもあって、一種のモダンな16ビート音楽を聴いているかのような錯覚をすら覚えるほど気持ちが良いのである。

ノリのファクターについて誤解を恐れずに言うならば、伝統的な4ビート演奏では前のめりというか、ビートを前詰めの感覚で演奏する傾向があるが、16ビート系音楽ではどちらかと言えばゆったりしたリズム感覚で捉える。言い方を変えれば、ビートの核の部分を拍の後ろの方で捉える…といったものだ。そこも大きな違いであろう。

ベースのジョン・パティトゥッチは凄腕のベーシストである。チック・コリアのエレクトリックバンドでは6弦のエレキベースを演奏するが、こちらのAKBではウッドベース(コントラバス)を演奏する。高い技術力と幅の広い音楽性でチック・コリアの音楽を盛り上げている。ちなみにジョン・パティトゥッチはウェイン・ショーターのレギュラーカルテットの正規メンバーでもある。ウェインはバンド全員が即興で曲を解体しながら同時に新たな作曲をするという難解な要求をバンドに与えるのだが、それに見事に応えることのできるスキルとセンスの持ち主でもある。

こうした鉄壁のリズムセクションに支えられたチック・コリアのピアノは非常に自由に動き回ることが可能になる。非常に現代的な感覚の持ち主であるチック・コリアはスタンダードナンバーを演奏しても無理なく現代的な色あいで演奏することができる。そしてチック・コリアの自由な発想で音楽がどのように自由に動いても二人のリズムセクションは瞬時にチック・コリアの意図を読み取って優れた音楽として仕立ててくれる。リスナーは得難く素晴らしい瞬間を何度も耳にすることになるのだ。

是非ともお聞きいただきたい。チック・コリアのAKBである。



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(*1)
チック・コリアの演奏で特徴的なのはジャズに付き物のブルース色が非常に薄いことだ。皆無と言っても過言ではないほどである。1968年に録音された「Now He Sings, Now He Sobs」に収録されている「Matrix」は12小節のブルース(キーはF[ヘ長調])(*1a)なのだが、一聴してこれがブルースだと判る一般リスナーは少ないのではないだろうか。これほどモダンでインテリジェンスを感じさせるブルース演奏はそうそう無いだろう。これを最初に聴いた人はだれでもぶっ飛ぶ。それほどすごい演奏だ。

(*1a)
ブルースと言ってもいわゆる黒人のR&Bのようなテイストの曲や泥臭い演奏を言うのではなく、ジャズに於けるブルースである。1コーラスが12小節で完結する形式で、ジャムセッションなどでは100%必ず演奏される。


(*2)
ちなみにチック・コリア・エレクトリックバンドの方もエレクトリックのスペルは「Electic」ではなく「Elektric」となっている。だから、AKB同様に略すとEKBになる。


(*3)
当然のことだが、時系列的にもチック・コリアの方が圧倒的に先である。いわずもがな。






武漢肺炎 数字を操作する中国共産党のやり方

2020-03-07 22:50:00 | 国際
中国がコロナウィルスの新規感染者が集計以降で最小になったと発表している。武漢肺炎問題は既に中国は克服しつつあり、今問題なのは中国以外の国である…などとうそぶいているのだが、これはお笑いである。

この件について作家で中国ウォッチャーでもある石平氏が説明しているので、その内容を抄録の形でお伝えする。(最後の章部分はジャーナリストの有本香氏の説明によるものである。)




まず、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が今の中国国内で何と呼ばれているかを紹介しよう。

「テドロス同志」

である。
中国共産党のメンバーはお互いに「○○同志」(○○は相手の名前)と呼び合うのだが、中国では既にテドロス事務局長は共産党の仲間だ、と認識されている事を現す事実である。WHOが中国マネーにとことん侵されている実態を示す雄弁な証拠の一つと言えよう。

中国の国家衛生健康委員会が毎日発表している情報が本当なのかどうかがまず問題である。

中国はこの新型肺炎に対して対策本部を組織して対応にあたっているが、この組織のトップは李克強首相である。この対策本部のメンバーには中国共産党の宣伝部の部長が入っているのだが、その一方で国家衛生健康委員会の人間が入っていないのだ。宣伝担当者は居るけど医療衛生関係者は入ってない・・・この時点で笑いがこみ上げてくる・・・つまり、肺炎への実質的な対策ではなくてプロパガンダだけやるぞ、と言っているのと同じである。

もうこれだけで中国が何をしたいのかお判りと思う。非常に判りやすい中国である。

これで毎日発表される新規感染者数の数字…その信憑性が「ある」と思うほうがおかしい。どうかしてるぜ!な実態である。


ここで中国の国家衛生健康委員会がホームページで毎日出している情報を見てみる。2月20日に出した新型肺炎感染者数の予測の情報である。ここには中国の(湖北省等の)各省毎に「この状況がいつ終息するのか」という予測データが掲載されている。

例えば湖南省では「2月29日に終息する」という予測が出ている。次に安徽省では「2月29日に終息する」という予測になっている。江西省ではやっぱり「2月29日に終息する」となっている。浙江省では「2月29日に終息する」と予測されている。

中国の全ての省においてまるで申し合わせたかのように2月29日にピタッと終息する予測になっているのである。当然ながら中国の各省は人口も違うし環境も違うし、その他全てのファクターが異なる。それでも中国全土で2月29日には一斉にピタッと止まるのである。感染者発生は2月末で終わらせて3月からはゼロということにしよう、と決めたのであろう。


これが中国共産党のやり方である。


共産党が「この日で終息」と決めたら、その命令に従って2月末でウィルスも自ら滅んでしまうのだろう。凄い国である。(蔑笑)


次に中国の人民日報のWEB版紙面を見てみる。人民日報の2月29日の記事である。そこには「湖南省では前日(2/28)の新規感染者数が1名である」という見出しが出ている。

さらに3月1日発表の記事では、同じ湖南省の2/29の新規感染者数の数字はゼロとなっている。そしてその翌日、3月2日の記事を見てみよう。湖南省の3/1の新規感染者数はゼロである、となっている。

いかがだろうか。

中国の他のどの省でも同じである。3月に入って中国全土から新型肺炎ウィルス感染者はきれいさっぱり消えたのだ。こんなことが現実にあるだろうか。

正に2月20日に国家衛生健康委員会が出した予測通りの数字になっている。中国共産党が決めた日にウィルスは指示通りに消えてくれたのだ。めでたしめでたし。これが偉大なる共産主義中国というものである。(蔑笑)


中国はウィルスが消える日をなぜ2月29日と決めたのであろうか。実はここが問題である。


中国の新浪という大手ポータルサイトのホームページ2月17日付に次のような記事が出ている。

リュウ・セイキンという中国国務院のシンクタンクである国務院発展研究センターの元副主任がいる。

元々は学者で中国では比較的有名で、中国政府のトップクラスのブレーンの一人である。そのリュウ氏が2月17日にあるシンポジウムで話した内容が記事として掲載されているのだ。

その発言は「色々な経済的社会的な情勢からすれば、我が国(中国)は2月末に基本的に疫状を押さえつけなければならない(終息させなければならない)」となっている。

リュウ氏は疫病やウィルス関係の専門家ではなく、社会・経済の専門家である。つまり社会・経済の観点からは「2月末にはこの肺炎問題を終わらせなければならない」と言っているのである。

国家衛生健康委員会はこれを受けて「2月末でウィルス問題終息」という方針を決定したのである。そして実際にその通りに「中国では2月29日をもってウィルス感染は終わりました」と発表したのである。


リュウ氏のこの発言は彼の個人的な意思だけではなく中国の中央政府の意向が働いている。


どういうことか。


ここで人民日報の2月23日のWEB版一面の記事を紹介する。ここに人民日報本紙評論委員が書いた文章が掲載されている。なお、人民日報の本紙評論委員は人民日報の社員ではない。だいたいは中央政府指導部の誰かが書いたものなのである。

その昔、毛沢東主席が人民日報で自分の文章を発表する時には本紙評論委員という肩書で掲載していたのだ。従って今回の文章も最高指導部の誰か、或いは習近平自身の作文である可能性がある。習近平自身の文章でなくても最高指導部の意向を代弁する文章であることは間違いない。

その文章のタイトルは「秩序正しく復工復産」である。「秩序正しく工場や商店などを再開し生産を再開する」といった意味であり、それを進めなければならない、という趣旨である。ビジネスを元通りに再開して進めなくては経済が駄目になるからそう言っているのである。

人民日報にこの記事が出たことで、それと連動して中国全体で「肺炎問題は2月末で終わらせないと3月からの経済の全面回復は無理だ」と言う事だ。

これらを総合すると「2月末までにウィルスに”消えろ”と命令したのは習近平である」ということになる。それで中国政府の発表では習近平の命令通りにウィルスは2月末で消えてなくなった…ということになった。(蔑笑)


内容的には実にお笑いな話であるが、こうした中国政府の進め方に疑問を呈した人が出てきた。
張文宏という復旦大学付属の医院で感染科の主任を務める人物である。感染症の専門家である。

彼は上海政府が設立した対策本部の専門家チームのトップであり、専門家として上海に於ける感染拡散阻止の動きをリードする人物だ。

その彼は「新しく確認された病例がゼロという発表に私はむしろ心配している」と発言したのだ。彼は言う。「そんなこと(新規感染者数ゼロ)がどうしてあり得るのか?各種ビジネスが再開されて地方からも人がたくさん流入しているのに、なぜ新規感染者がゼロだなどと言えるのか?」と。これは専門家の立場からすれば信じられない、と。

中国政府が発表している「武漢や湖北省などで新規に感染する人がいない」というのはどう考えても嘘である。中央政府は2月の中旬~下旬あたりから生産回復をしきりに言っている。そうした大規模な動きがあり、上海でも北京でも人の出入りが激しくなる中で、それでも「新規感染者数がゼロ」という状態は、もはや習近平の頭の中にしか存在しない現実であろう。


ここで中国版Twitterである微博に投稿された記事を紹介する。投稿者は不明だが、かなり拡散された情報である。多くの中国国民が高い関心を持っているのだろう。その内容趣旨を以下に記す。


「友人との雑談の中で防疫の実情を聞くと、正確な数字は言えないが実情は推測通りであり、感染者数が多少下がったとしても以前として高水準で推移しているのは事実。宣伝上では既に勝利が近いとなっているのはただの嘘であり、ビジネス再開の為に作り上げた話だ。それを貴方は理解すべきである。」

要するにこの投稿者もちゃんと実態は理解しているのだ。感染者数が下がったというのは生産回復させたい中国共産党が言ってる嘘である、ということを。

投稿記事の文章はさらに続く。

「今、中国共産党上層部である言葉が流布されている。習近平の考えとして、”今生産活動を再開させねば政権は潰れて中国共産党員一千万人は死ぬことになる。しかし生産回復して感染症も爆発的な拡散をした場合には庶民が一千万人死ぬだろう。ならば我々はどのような選択をすべきか。”というものだ」

中国共産党が選択したのは「無理矢理にでも生産回復して一般庶民が一千万人死ぬ」という道である。

中国経済が崩壊して共産党員が一千万人死ぬよりも、庶民が一千万人死ぬ方がまだマシだ、と言っているのである。それがほかならぬ習近平の意向なのである。

ただ、これはあくまで中国国内の誰かが書いた微博の投稿記事であることは前提として考えておくべきではある。いわば詠み人知らず、である。


上述のように中国全土の各省できれいに足並み揃えて2月末で新規感染者がゼロになったというのはどう考えても操作された数字であって実態は全く不明なのである。ある時点で広大な地域のどこでもピタッと感染者数がゼロになるなどということは世界のどこでも絶対にあり得ない事だからだ。明らかに中国共産党は嘘をついているのである。



さらにWHOの”テドロス同志”が言っている「中国よりも今は日本や韓国が心配」という台詞は、正にWHOが中国と連携しているが故に出てくる台詞であろう。


それにしても、こうして感染の恐怖があり続けているのに無理に仕事を再開すれば、さらに感染者数が増加するのは火を見るより明らかである。そもそも会社のオフィスというのはライブハウスなどと同じで閉鎖空間なので、このままでいくと感染の大爆発、つまり爆発的な感染者の増加が避けられない見通しとなっている。


ここでさらに興味深い事実を提示する。


2月17日に国務院シンクタンクの人が「2月中には抑え込んで、3月からは復興させないと駄目だ」と言った、と。その翌週くらいに習近平と思しき人からのお言葉が人民日報に載った。

実はこの2月16~17日あたりから日本のSNSに「日本と中国は一緒に闘いましょうキャンペーン」という動画が流れ始めたのだ。ちょうどタイミングが合致している。それで、2月下旬あたりに街頭でマスクを配る中国人が街に出現し始めるのだ。

さらに中国のアリババ創業者であるジャック・マーが百万枚のマスクをプレゼントする、と言い始めた。これにこれに対して日本の森まさこ法務大臣が謝辞をTwitterで述べているのだが、これが大炎上している。一議員ならともかく大臣職を拝命している人としてこれは適切なのか、と。

ジャック・マーはアリババの経営第一線からは退いており、社会貢献活動をするなどと言っているのだが、2018年にジャック・マーが実は共産党員だった事実が発覚して世界中が喫驚した。
アリババという大きなビジネスを成功させた手腕は高く評価されるが、しかし中国において共産党と深い関係に無ければそんな大成功は掌中にできないのも確かなことである。

ここで知っておくべきことは、今は日本でも中国でもマスクは不足している状況にある。そんな中で街角で中国人がマスクを配布するとか、突然大物が100万枚のマスクを贈る、などという事がなぜできるのか。それは生産されたマスクをどこかで集中して大量に収奪して、こうした宣伝活動に使おうとしているからにほかならないのだ。それに対してあろうことか日本の閣僚、しかも法務大臣という入国管理を所管する大臣が何を寝ぼけたことを言っているのか、と。

このようなデュープス(*1)が閣内にいっぱいいるのだから、そりゃ中国からの入国を止められない訳だ、と妙に納得できるのである。(中国からの入国は最近になって実質的に止めたが)

中国はこうしたところから日本の世論を絡め取っていこうとしているのだ。中国は我々の想像を超える手段と勢いで日本を取り込もうとしているのは厳然たる事実である。我々は最大の警戒心をもって臨むべきだろう。そして、テレビや新聞からしか情報を得ない一般の人々にはここで述べたような真実は一切伝わらない。


中国政府の最近の発言では「このウィルスが何処から来たかもわからないのだから中国肺炎という呼び名は駄目。ウィルスを抑え込んだ中国に世界は感謝すべきだ」とまで言っている。この凄まじいまでの厚顔無恥ぶり。ただただ喫驚するばかりである。同じ人間とは思えないほどの度し難い図々しさである。




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(*1)
共産主義者でもないのに結果として共産党や中国と同様の主張をしてしまい、意図せず共産主義者の味方をしてしまう人々、そのような芸能人、アスリート、学者、政治家、文化人などを総称してデュープス(Dupes)と言う。騙されやすく間抜けな人、ということだ。




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<2020年3月11日追記1>
大手マスメディアの報道では中国・習近平主席が「ウィルス抑え込んだ 武漢訪れアピール」というニュースが流れているが、もちろんこれは大嘘である。根拠は本記事に充分示している。また、「ウィルスを抑え込んだ」と言ってる割には習近平主席も取り巻きの連中も全員しっかりマスクしているのは何なのか?と。(蔑笑)
しかも武漢市民は誰ひとりとして習近平主席の武漢訪問を歓迎していない。本当に「抑え込んだ」のなら市民はこぞって大歓迎するであろうに。実態はむしろ中国政府の非道なやり方に強烈な憤りを感じているのであり、それが真実だ。
中国とはこのように平然と嘘をつき、あらゆる数字を操作して自国に都合の良いように書き換え、それがバレバレであっても平気でいられるほど厚顔無恥な国なのだ。
また、日本国内にも中国発表の数字を「信用できる」と平然と言い張る東大卒の医師も居る。敵は中国だけではない。国内にとことん中国に洗脳されきっている日本人が居て、中国に奉仕するべく日夜活動しているのだ。

<2020年3月11日追記2>
作家の石兵氏は、2千年前から現代までの歴史を振り返った時、日本が中国と距離をおいている時代の方が日本は平和で繁栄している、という事実を指摘している。現代の我々はサプライチェーンや製品作りの素材供給を中国に握られてしばしば困った事態に遭遇している事を大いに反省するべきだろう。現在の武漢肺炎問題から一番に学習するべきはこれではないだろうか。

<2020年3月26日追記>
3月23日に中国で新型肺炎対策会議が開催され、そこで李克強首相が「疫病感染の統計数字が正確でなければならない。ゼロ報告の為に隠蔽をやってはいけない」と発言した。これを中国国内の多くのメディアが24日から報じている。3月に入ってからの中国の「新規感染者ゼロ」が大嘘であることがこれに依っても裏付けられた。李克強首相も「新規感染者ゼロ」が情報隠蔽の結果であることをちゃんと判っていたのである。





空に「月が二つ見える」日が来る…かもしれない

2020-03-01 20:10:13 | 自然
宇宙のある場所での超新星爆発が近いようである。

超新星爆発とは恒星の最後の姿である。
最後の姿とは「星の死」ということである。

恒星(星)にも一生(誕生~死)というものがある。
最初は宇宙空間を漂っている水素ガスなどの物質が重力によってだんだん1箇所に集まってくる。ある程度集まってくると中心部で核融合反応が起きて星が誕生する。

ちなみに核融合反応というのは核兵器の水爆と同じ原理である。

で、そのまま時間が経過すると核融合反応はさらに進んで炭素などの元素がいろいろと生まれてきて、やがて膨大なエネルギ-を持つようになる。我々の太陽系の中心にある太陽は「←いまここ」の段階にある。

さらに時間が進んで星の晩年の頃になるとどうなるか。

恒星は終末期に近づくとだんだん膨張して赤く巨大な星になる。その過程で重い元素である鉄が出来てくる。そうすると膨張していた動きにストップがかかる。

最終的には星は自らの重さを支えきれなくなって急速に潰れて超新星爆発を起こしてその一生を終えることになる。

超新星爆発の規模はとんでもなく大きく、長期間に渡って影響が続く。
どれくらいなのか?

我々の太陽系が所属している天の川銀河(銀河全体から見るとかなり辺境地域にある)においては、有史以来数回の超新星爆発の観測記録がある。

有名なものでは新古今和歌集の選者である藤原定家が記した「明月記」という日記の中に「(西暦)1054年に牡牛座の方角に木星くらい明るい星が出現した」という趣旨の記述がある。

では、藤原定家が記したその方角を今現在観測すると何が見えるのか?

そこには「かに星雲」という”カニが手足を広げたような形”をしたガス星雲が見える。このガスは毎秒1300キロという猛スピードで広がり続けている。それで、かに星雲の今の大きさとガスが広がる速度から逆算すると900年あまり前の時点で一点に収束することが判る。

つまり、現在の「かに星雲」は、すなわち藤原定家が見て明月記に記した超新星爆発の残骸が四方八方に広がり続けている状態…であり、二つは同一のものである。


さて、ここから本題に入る。


現在の夜空、オリオン座の左上方に明るい一等星がある。
ベテルギウスである。

ベテルギウスの表面温度は比較的低く約3000度なので赤く見える。直径は14億キロである。太陽系に当て嵌めてみると木星の公転軌道すれすれのところまでに達する超巨大な恒星である。水金地火の各惑星と小惑星帯(アステロイド・ベルト)はベテルギウスに飲み込まれる…そのくらいの大きさである。

恒星が赤くなって巨大化するのは「赤色巨星」と言って、前述のように星の寿命が近い末期にあることを示している。すなわち、ベテルギウスは星の末期状態にある、ということ。ならば、ベテルギウスはいつ爆発するのだろうか。

ベテルギウスは既に星の一生の99.9%は終えているので、実はいつ爆発してもおかしくはないのである。

ベテルギウスはオリオン座にある、と書いたが、地球からの距離は650光年である。つまり、今見えているベテルギウスも実は650年前の姿である。現場ではとっくに爆発している可能性も高い。地球時間で明日とか来週爆発してもおかしくない状態にはあるのだ・・・しかしいつ爆発するかの正確な予測は極めて難しいのである。

ベテルギウスの最近の観測記録では「急速に暗くなる」という異変が見つかっているので、超新星爆発がいつ発生してもおかしくはない状態にはある。

暗い、と言ってもどの程度暗くなっているのだろうか。

ベテルギウスは一等星の中でもさらに明るい部類に属していたのだが、昨年(2019年)あたりから急速に暗くなり始めたのである。最近の観測でも明るさは往年の1/3程度であり、等級は二等星になっていて、過去50年で見ても最も暗いレベルになっている。

その一方で、ベテルギウスは膨張したり収縮したりを繰り返して明るさが変化する性質を持つ恒星ではあるので、いずれまた明るくなるだろう、という専門家の意見もある。しかし、やはり星の末期の姿であろう、という見方が今は大勢を占めているようである。


そうなると、実際にベテルギウスが超新星爆発を起こした場合、それはどのように見えるのだろうか?


ベテルギウスは地球から”近い”星なので一大天文ショーになることは必至である。


「近い」ってどのくらいだろうか?

上述したように地球からベテルギウスまでは650光年の距離である。言うまでもなく「光年」とは光の速さで何年かかるかを示す単位だ。光速で650年もかかる距離が「近い」のか?

近いのだ。我々が見ている恒星の多くは桁違いに遠いものがほとんどであり、その中では650光年は「ご近所さん」「すぐそこ」と言っても過言ではない距離である。

ご近所で起きる超新星爆発だから見た目にも派手な夜空の異変になるのだし、なんなら昼間にも見える筈である。

超新星爆発が起きると恒星(ベテルギウス)の温度は急上昇して色が青みがかってくる。爆発から1時間後には他のどの星よりも明るく輝いて誰もが夜空の異変に気がつくレベルになる。3時間後には明るさはさらに増して満月に近い明るさでギラギラ輝くようになる。この状態ではその明るさの強さ故に昼間でも十分に見えるようになり、その状態が3ヶ月続くと予想される。我々の月が見えている時なら「空に月が二つ輝く」状況になる、ということだ。これは一般の人の誰もが喫驚する状態に違いない。

しかしこれはいつまでも続くわけではなく、爆発した恒星の温度はやがて下がっていき、明るさも暗くなってくる。そして4年後には肉眼では見えなくなってオリオン座から姿を消す…ということになる。


ここで一つの心配事に気づく。


そんな「ご近所さん」な距離で超新星爆発を起こされたら地球にも大なり小なりの影響があるのではないか?

もっともな心配である。

だが、「安心して下さい。穿いてますよ。

一般的に超新星爆発では放射線の一種であるガンマ線が放出されることが判っている。国立天文台の山岡准教授の説明では「地球に届くガンマ線の量自体はそれほど多くはない」そうで、しかも「地球の大気がガードしてくれるので大した影響は無いと予測される」とのことだ。


実は地球にはガンマ線よりも大量に降り注ぐものがある。
素粒子のニュートリノである。

ニュートリノは物質を構成する最も基本的な粒子で、星の中心で爆発が始まると同時に光の速さで大量に放出されるのである。

ただ、この粒子は物質とほとんど反応はしないので人体への影響は無いのだが、稀に水の分子と衝突して光を発することがある。

ここで日本の科学技術の出番である。岐阜県の山深い場所に超大量の水を蓄えた観測施設であるスーパーカミオカンデがある。これでニュートリノを捉えようと待ち構えているのだ。

超新星爆発が起きた後、地球上で目視で爆発を確認できるよりもニュートリノの方が十数時間早く地球に到達することが判っている。すなわち、ニュートリノを観測すれば、それがそのまま兆候になるので超新星爆発が発生した事が判るのである。

なので、スーパーカミオカンデでは大量のニュートリノを捉えたら30分以内に世界中の天体望遠鏡に警報を出すことになっている。それで一斉に超新星爆発の方向にレンズを向けてもらって爆発の最初から観測する手筈になっているのである。こうすることで謎が多い超新星爆発の仕組みなどについての解明に繋げたい、という意向があるのだ。


こうしてベテルギウスが超新星爆発を起こしてやがて我々の視界から消えた場合、オリオン座はどうなるのだろうか。

「安心して下さい。穿いてますよ。」(しつこいか)

オリオン座というのは星座の一つであり、星座というのは天文学においてある領域を示しているのだ。夜空は88の領域に分けられていて、その一つ一つに星座が割り振られている。

従ってオリオン座の星の一つが消えても、その領域がオリオン座であることには変わりはないのである。