Altered Notes

Something New.

中国の浅はかなプロパガンダを喝破する (中国が本当に望むものは何か?)

2020-03-17 03:50:00 | 国際
武漢肺炎・ウィルスの拡散は止まらず、WHOが遅まきながら「パンデミック」を表明した。また、米中で当該ウィルスの呼称について攻防があり、中国の言い分では「差別的」としている。
今回はこうした問題について国際政治学者の藤井厳喜氏に依る解説を抄録の形で紹介させていただく。


中国では武漢ウィルスが「終息に向かっている」と言っているのだが、それを最も象徴的に表すために習近平主席が3月10日に武漢市を視察に行った。(*1)

中国では3月上旬から感染者の数が急速に減っている。これは完全に嘘の数字であり、その根拠は筆者が記した先日の記事に明らかである。

つまり中国共産党の思惑で3月いっぱいで完全な終息宣言をしたい、ということであろうし、そのために数字や情報を操作しているのである。なので、実際の問題は全く解決していないどころか悪化している可能性が高い。

中国共産党はなぜ数字を操作するのか。

経済が止まってしまったら習近平主席も権力を失うし、中国共産党の支配体制も崩れてしまうのだ。特に問題なのが、外国企業が逃げていってしまう事である。そうさせないためには、とにかく”人の命よりも経済優先”である。それが中国共産党としての優先事項であり、中共の為の経済優先が何より大切だ、ということである。・・・という理由で操業再開を無理やりにでもやらせるのである。

操業再開と言っても部品が思うように調達できていないので、通常時のように動かせないにしても一応は「操業再開した」という形は作りたいのである。

これはどういうことか。

現在、世界で動き始めた潮流がある。すなわち、これを機に5Gの問題も含めて世界のIT産業などのサプライチェーンから中国を排除しようという動きがアメリカを中心に始まっているのだ。

現在の武漢ウィルスだけではなくSARSや鳥インフルエンザなど頻繁に中国から感染症が発生しているのである。こういうリスキーな場所では安定してサプライチェーンの一端を任せることはできない、と考えるのが普通だろう。さらに、米中での国家間の対立問題もあるので、この際サプライチェーンから完全に外していこう、という流れが顕著になっているのだ。

これは何も中国からシャツや靴下を買うな、ということではない。重要な情報産業の分については国防の観点からもそれをやっていこうという動きがアメリカを中心にはっきり出てきているのである。

だが、それをやられると中国は困るので、外国企業が逃げていかないようにするために無理矢理にでも操業開始して平静を装いたいのだろう。

中国としては「武漢は片付いた」。中国全体でも片付いている…ということにしたいのだ。これをプロパガンダでやっているのである。


3月1日から明らかに中国共産党の方針は変わった。防疫から政治宣伝戦に重点を置き換えたのである。そのせいで発表される感染者数の数字が「異常なほど順調に減っている」のである。普通ではあり得ない減り方なのだ。

百歩譲って武漢はなんとかなっていると仮定しても、感染の初期段階で武漢から逃げ出した人民達が中国国内や世界中に広がってしまった分は対策が遅れている筈である。そちらの方がこれからピークを向かえるべく数字は増えている筈なのだ。・・・それにも関わらず、湖北省武漢以外では新規感染者は出ていない、とする中国の主張はいかにも不自然で無理があり信じがたい。先日の記事に示した通りである。数字の推移を見るならば明らかに”人為的に減らしている”のがよく判るのだ。

この件では中国の医師が心配していたそうである。この感染症がここでこのような形で減るわけがないのに「減ってる」という事にされたら俺たち(中国の医師達)がどんな状況になってるか判らないことになる、と。

中国が都合の悪い情報を隠蔽するのはいつものことである。SARS(2003年)の時に中国の医師であるマーガレット・チャンは香港衛生署長だったが、その時にも中国はSARSの情報を隠蔽していたのだ。マーガレット・チャンはその後WHOに入って2007~2017年に事務局長を務めた。

今回は初めて中国側から「人から人に伝染ります」という情報を鍾南山という医師が発言して実態が暴露されたのである。

だが、この鍾南山医師は最近になって「このウィルスは出どころが何処か不明だ」と言い出している。
鍾南山は中国政府側の立場にある医師である。彼は非常に巧みなすり替えをやっている。鍾南山の言葉に次のようなものがある。

「これは一国の疾病ではなく人類の疾病だ」

話を中国ではなく人類全体の問題にすり替えている。これが自分たち中国から始まった事を隠蔽したい意思がミエミエである。つまり中国としては問題のすり替えと誤魔化しにかかっていることがわかるのだ。


この感染問題が始まってから中国は初期対応を完全に誤った。共産党の官僚主義隠蔽主義の体質に依るものである。それで昨年の12月中にやるべきことをやらなかったので今年の1月に入って爆発的に増えてしまったのだ。そのことを隠蔽したい。だからわざと「武漢ウィルス」という言い方をさせないで「COVID-19」と言わせているのである。

今さら「パンデミック宣言」を宣っているWHOが間抜けなのは確かだが、それだけで考えてはいけない。

どういうことか。

今のWHOは中国共産党の下部組織のようになっている。つまり中国の都合に合わせてその都度発言を替えているのである。(*2)

中国では「共産党と習近平主席の偉大な指導力で事態は終息しつつある」としておく一方で、世界ではパンデミックとなっている。この状況で中国は「我々を見習いなさい」と言っているのだ。「我々のやり方が正しい」と。

つまり、そういうレトリックに持っていくためにこのタイミングでWHOに「パンデミック」表明をさせたのである。


さらに言うなら、2021年は中国共産党設立百周年である。この時に向けて何か良い実績を作らなければならないのに何も作れないので情報操作をすることで偉そうな態度を示している、ということだ。


それで

「中国はウィルスを制圧しつつあるのだから、だから中国をサプライチェーンからはずすのは意味がないよ」

という、これを言いたかったのである。中国が世界経済から置き去りにされることを最高に恐れているが故のメッセージ…これが中国の言いたいことの本質なのである。

そして、全てはそういう目的のプロパガンダなのであって、我々はそれを見抜かないといけないのだ。





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(*1)
ただ、この武漢市訪問時の写真がおかしい、としてネット民の間で話題である。写真では屋外で習近平主席やその他の関係者が並んで写っているのだが、どう見ても習近平主席から伸びる影と他の関係者から伸びる影の方向が違うのだ。合成写真であることが丸わかりなのである。このことからそもそも習近平主席が武漢市を本当に訪問したのかどうかも疑わしいところである。


(*2)
すっかり有名になったWHOのテドロス事務局長は中国国内では「テドロス同志」と呼ばれている。「同志」とは共産党メンバーの間でお互いに名前を呼び合う時に付ける呼称である。エチオピア国内でも共産主義者として活動していたテドロス氏は正に中国共産党の仲間としてWHOを中国の注文通りに運営しているのである。




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<2020年4月18日:追記>
最近になって中国共産党が各国に対して国際協力・国際協調を訴求し始めている。その理由は日本やアメリカが自国の企業が中国から撤退する時の費用の補助金を出す事にしたので警戒しているのである。中国に進出している外国系企業が全て撤退してしまうと中国国内での失業者はおよそ1億人を超えると思われる。そうなると経済的崩壊となり、必然的に中国共産党の支配は終了となるであろう。だから中国は焦っているのだ。
「中国が各国に対して国際協力」と前述したが、しかしこれもまた中国の悪意そのものである。中国は武漢コロナウィルス対策において世界各国への支援をアピールしているのだが、実はその内容は共産主義の謀略思想そのものである。世界各国に「協力しますよ」と呼びかけて支援する体の美談に仕立てておいて実は洗脳して共産党の勢力を拡大する中華思想の野望の実践にほかならないからである。