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少子化止まらず日本は衰退まっしぐら

2020-06-06 14:26:36 | 社会・政治
厚生労働省が6月5日に2019年に於ける人口動態統計を発表した。
そこで目を引くのは1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」であり、数値は1.36である。前年比で0.06ポイント下回っていて4年連続での低下となっている。政府は出生率を2025年度までに1.8に引き上げる目標を掲げているのだが、こんなもの誰も達成できるとは思っていないだろう。

なぜか。

明らかに政府は「やる気がない」からだ。

なぜやる気がないのか?

「(選挙の)票に結びつかないから」だ。そして、「己の懐を肥やす案件(利権)ではない」からである。政治家が関心を持つのは「選挙の票」と「利権」である。それ以外のテーマ、例えば「日本の将来のことなどどうでもいい」と考えているからだ。

少子化問題は既に数十年に渡って語られ検討されてきたテーマであるし、少子化担当大臣という役職が置かれて対策してきた筈である。政治というのは政策であり結果である。しかし現実は結果を出せた事は全くなく、それを嘲笑うかのように少子化だけが進行してゆく。

どうしてそうなるのか?

前述のように政府は少子化対策に対しては全くやる気はない。少子化担当大臣を置いているのも「やってます」というアリバイを作る為だけの目的だからだ。その証拠に少子化対策としてやってきた政策は全て的外れであり、その結果が現状である。これがもう数十年間に渡って続いてきているのだ。現在は安定した長期政権なのに少子化に対する無為無策を続けてしまった事で昨年の出生数は過去最少の86万5234人になった。2070年には日本は人口6800万の小国になると推定されている。明らかにこのままでは日本はやがて衰退するだろうし凶暴な他国から侵略されて無残な終わり方をするだろう。

今回の人口動態統計の発表に際して厚労省の担当者は「18年の婚姻件数が前年比3.4%減で戦後最少だったことが、19年の出生率低下につながったとみられる。子育ての不安や経済的問題を取り除くことが重要だ」と述べている。

このコメントは数十年前の政府見解に比較すると若干の進歩は認められる。それは少子化の原因が「既婚者が子供を作らない」事にあるのではなく「そもそも婚姻数が減っている」ことにあるからだ。数十年前の政府見解では「既婚者が子供を作りやすい環境・子育てしやすい環境を作る事が大切」として、そもそも問題がどこにあるかも把握できていなかったのだ。

確かに「子育てにまつわる経済的な問題」がネックだから「婚姻件数が戦後最少」になった部分もある。昭和の昔とは違って現代は雇用は安定せず年功序列の給与でもなく、給与は極力低く抑えられたレベルで動かない。いつでも失職するリスクがある上に、政治は雇用される側ではなく雇用する側に都合の良い政策をとっている。その結果として労働者は経済的な安定を得ることができず従って結婚して所帯を持つ事自体がリスクになってしまい、結婚し子供を作る事に足踏みするようになってしまった。(*1)

何のことはない。一方で「経済的問題を取り除くことが重要だ」と述べていながらもう一方では(国民に対して)政治が経済的問題を作りだして押し付け続けているのであり、これでは何も変わらないどころか状況が悪化する方向にしか推移しない事は当然だ。上述のように少子化担当大臣を置いたところでアリバイ作りでしかない、というのはこうした理由に依る。どうしたら良いかは少なくとも経済的には判っている。それでも何も変わらない(変われない)のは主に財務省官僚が嘘をついて(*2)でも国民から金を少しでも多く巻き上げる事ばかり考えているからであり、与野党問わず政治家の誰もそれに対抗できていないしする気も無いからである。

政治や経済とは異なる別の要因もある。

婚姻件数が減少しているのは本ブログでも度々提起してきているように男性と女性の関係性が昔とは大きく異なり変化してきているところに主たる要因がある。最も大きなファクターは女性の意識のあり方の変化や価値観の変化である。それは国の政策だけでなくマスメディアが醸成を目論む社会全体の空気の変化によるところが大きい。

このような人々のメンタリティーに関わる部分に主因がある問題は政治では非常に扱いにくい。まして想像力皆無な政治家や官僚達には理解することすら困難であろう。ここを変革することはすなわち社会の価値観や慣習的意識を変える事にほかならず、それは政治だけでなくマスメディアも含めた全体が同じベクトルで動く必要がある。

このまま無為無策が続くならば、本当に日本は衰退して消える事になるだろう。今のような政治家・官僚達が今後も身勝手に振る舞い続けるのなら衰退・滅亡は間違いなくやってくる。


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<参考資料>

男性の生涯未婚・彼女諦め その理由

生涯未婚率上昇の背景にあるもの

恋愛強者3割の法則。彼氏・彼女がいない方が多数派



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(*1)
政府の少子化問題担当者に依ると、少子化の原因として「男性の経済問題」つまり「低収入の男性は結婚できない」という厳然たる事実を指摘するとお役御免になってしまうそうである。実際に男性の経済問題は少子化問題の大きなファクターであるにも関わらず、そこを見ないようにして活動しているとすれば、それは正に政府の少子化対策が「やっているフリをしているだけ」のものである証拠である。

(*2)
例えば「国の借金が一千兆円を超えて大変なんです」という嘘。日本の財務は確かに債務が一千兆円を超えているが所有資産も同じだけあるのだ。差し引きゼロである。つまり財政は全然問題ないのだ。その証拠にIMF(国際通貨基金)も「日本の財政は大丈夫」と太鼓判を押している。それでも財務省は増税がしたいので「借金が大変なんです」と嘘をつき続ける。