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Altered Notes

Something New.

ドラマー:ビル・ブルーフォード

2022-11-26 17:47:17 | 音楽
イギリスを代表するドラマーの一人にビル・ブルーフォードが居る。

ご存じの方も多いと思うが、イエスやキング・クリムゾンといったメジャーなプログレッシブ・ロックバンドに在籍していた、という経歴が最も有名だろう。

筆者がこのビル・ブルーフォードを知ったのはイエスが「こわれもの(Fragile)」という4作目のアルバムを発表した時であった。1971年頃である。その演奏を聴いたところ、通常のロックドラマーの演奏とはニュアンスの異なるサウンドが鳴っている事に気づいた。

この「通常のロックドラマーとの違い」について、ビル・ブルーフォード自身は

「私のルーツはジャズだ」

と述べている。(*1)

つまり、一般的なロック・ドラマーは一定の強さでビートを叩き続ける事が求められるのだが、ビルの場合は音楽の場面に応じて強くも弱くもどうにでも自由に変化させられるフレキシビリティがあるのだ。そこが、典型的なロックドラマーとは異なる部分(*2)であり、

「そこがプログレッシブなのだ、と思いたいね」

とビル自身が語っている。

ビル・ブルーフォードは非常に上手いドラマーである。技巧的にも音楽センス的にも素晴らしい。彼のドラミングの魅力は端的に言うと「非常に安定したリズム」「抜けの良いドラムサウンド」「場面に応じた変幻自在な演奏」と言えよう。「抜けの良いサウンド」で最も特徴的なのは、スネアドラム(*3)のサウンドが抜けの良い高い音程で鳴る事であった。スネアドラムを叩くと同時にスネアドラムの縁の部分を叩くリムショットと呼ばれる手法を使うことが多く、彼がスネアドラムを叩くと「スコン」とか「カン」といった甲高いサウンドが鳴り、その音がまたビルならではの個性的な音であるところが素晴らしいと思ったのである。リムショットはどのようなドラマーでも普通に使う機会があるが、ビル・ブルーフォードのそれは本当に彼独特のサウンドが鳴るのだ。

普通に8ビートのリズムを演奏しても、いわゆるロック畑のドラマーが演奏するそれとは異なって、定形ビートを刻みながらも音楽の場面に応じてフレキシブルに最適な味を演出するようなドラミングが聴けることがわかるだろう。


ビル・ブルーフォードのイエス時代の演奏を紹介する。

『Round About』

アルバム「こわれもの」内の有名な曲だが、これを聴いて「ジョジョの奇妙な冒険」というテレビアニメを思い出された方もいるかもしれない。

上記の「Round About」はイエスの中でも特に有名な曲だが、アニメ作品の「ジョジョ~」では 1st Season のエンディングテーマとして使われていたものである。(*4)


イエスの結成初期から参加していたビル・ブルーフォードは「こわれもの」の後、「危機」の発表後にイエスを退団している。イエスはその直後に初の日本公演を控えていたのだが、当時ジョン・レノンとのセッションなどで名前を知られていたアラン・ホワイトが加入している。筆者もアラン・ホワイトが演奏するイエスのライブを渋谷公会堂で聴いている。1973年のことである。
余談だが、アラン・ホワイトのスタイルはビルと比較すると正統派ロックドラマーと言える。非常に上手く素晴らしいドラマーであることは言うまでもない。

イエスを退団した後のビル・ブルーフォードは、もう一つのプログレッシヴ・ロックバンドの雄であるキング・クリムゾンに加入する。


キング・クリムゾン時代の演奏例として下記の曲を紹介する。

『King Crimson - Larks' Tongues In Aspic, Part Two』

『Lark's Tongues In Aspic Pt II』



キング・クリムゾンの中にジャズ的な要素と、さらなる進歩的な要素を感じて加入したビル・ブルーフォードだが、バンドが解散した事でジェネシスのツアーメンバーになったり、U.K.の結成に参加するもアルバム1枚で退団したりしている。そしてこれ以後、イエスとキング・クリムゾンに再び加入したり脱退したりを繰り返すことになる。


1991年に行われたイエスの再結成公演の模様が下記のライブである。ビルの後に加入したアラン・ホワイトとのツインドラムである。

『Round About / Yes - Live』


1986年には自身のソロ・プロジェクトである アースワークス というジャズグループを結成した。

1988年3月にドイツ・フランクフルトでのジャズ・フェスティバルでの演奏を紹介する。

『Bill Bruford's Earthworks Live in Frankfurt 1988』

編成はカルテット。ジャズであり、ビルがそれまでに体験してきた音楽のエッセンスも感じさせるモダンな演奏である。楽器もエレクトリック・ドラムが多く使われるようになっている。


もう一つはアコースティックなカルテットでの4ビートジャズの演奏である。1999年にブルガリアの首都ソフィアで行われたコンサートのライブ映像である。

『Bill Bruford's Earthworks - Never The Same Way Once』



また、ビルは音楽上の様々な試みを実践しており、下記の映像はキーボードとのデュオ演奏である。2004年にオランダで行われたライブの模様だ。

『Bruford - Borstlap: Arabian Quest (Bruford - Borstlap: In Concert In Holland, 2004)』



また、ビッグバンド系ジャズドラマーのレジェンドであるバディ・リッチのトリビュート企画に参加して演奏している。下記の映像はビルがビッグバンドのドラマーとして演奏しているものである。

『Bill Bruford - Willowcrest (A Tribute To Buddy Rich)』

ドラムという打楽器を気品高く洗練されたサウンドで演奏できるビルのドラミングは非常に音楽的で、要所要所を押さえたセンスが冴えている上に、彼ならではのグルーヴ感が素晴らしい。各所のフィルイン(*5)や後半に出てくる管楽器との合奏部分などはとても気持ち良い流れになっており、ビッグバンドのサウンドを上質の音楽にまとめ上げる原動力となっている。曲はバディ・リッチ楽団の「Willowcrest」で、Gマイナー(ト短調)のブルース形式である。



日本人ミュージシャンとも共演している。1987年にはジャズギタリスト・渡辺香津美の『スパイス・オブ・ライフ』と続編の『スパイス・オブ・ライフ2』のレコーディング及びツアーに、ジェフ・バーリンと共に参加した。

この時の日本でのライブ演奏を紹介する。

『Kazumi Watanabe / Bill Bruford / Jeff Berlin - City - Live in Japan 1987』

『Kazumi Watanabe feat. Jeff Berlin & Bill Bruford: Lim-Poo. (The 'Spice Of Life' Japan Tour, 1987)』



ビルの楽器編成は演奏する音楽によって変化する。オーソドックスな編成もあれば、キング・クリムゾンや自身のバンドではもっと現代音楽的な表現の為にメロタム(*6)や電子ドラムを活用するなど、彼が必要と考える楽器編成を変幻自在に組んで演奏する。しかもそれらを打楽器のインパクトと共に品のあるサウンドとして送り出せる能力はやはり天賦の才と呼ぶに相応しいものであろう。


ジャズを基調にプログレッシヴ・ロックなど様々な音楽をクリエイトしてきたビル・ブルーフォードだが、2009年にライブ活動からは引退している。レコーディング等の仕事は継続しているようである。






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(*1)
イエスがデビューした時代(1969年頃)はロック音楽が本格的に飛躍し始める頃であり、多くのロックドラマーにとって真にお手本になるロックドラマーはほとんどいなかった。むしろ、当時のドラマーの多くが憧れていたのはジャズドラマーである。EL&Pのカール・パーマーも若い頃のアイドルはバディ・リッチだったそうである。確かにカール・パーマーのドラミングにはバディ・リッチの影響が垣間見られるのである。

(*2)
例えば、ジョン・ボーナムのような演奏スタイルは典型的なロック向きの奏法である。レッド・ツェッペリンの音楽にはこれが合っているのであり、ジョン・ボーナムのドラムだからあの音楽が成立するのである。

(*3)
通常はドラマーの正面の一番前に設置される太鼓であり、シンバルと共にベーシックなリズム・ビートを刻む為の打楽器である。右利きのドラマーなら、右手でシンバルのレガートを打ちながら左手でスネアドラムを叩いてリズムの形を提示する。例えば、4拍子のロックなら2拍目と4拍目にスネアドラムが叩かれるスタイルがよくあるオーソドックスな形である。

(*4)
『ジョジョの奇妙な冒険 第一部 ファントムブラッド』に「ブラフォード」という登場キャラクターが居る。もちろんビル・ブルーフォードからとられた名前なのだが、かなり初期の頃から日本ではビル・ブルーフォードのファミリーネームが音楽マスコミを通じて間違った発音で広められた経緯があって、「ブルーフォード」ではなく「ブラッフォード」「ブラフォード」と呼ばれていた時期が長かった。それ故、「ジョジョの~」に於いても「ブラフォード」名が採用されたようである。

(*5)
フィルイン;曲中の繋ぎ目の1~2小節で即興的に入れる手数である。変化と刺激を与える事が目的であり、演奏上のスパイス的な意味合いから日本では”オカズ”とも呼称される。フィルインで何を演奏するかは概ね演奏者の即興でありセンスに任される事がほとんどである。

(*6)
メロディックタム:音程を持っているタムタムである。音程を聴かせる事から通常複数個のメロタムを並べて演奏される。フルセットでは8個である。普通のタムタムと比較すると、胴体が長く下(裏)側は打面が無く抜けている構造になっている。メロタムと呼ばれるように、太鼓としては音域が高めの音であり、橋から順に叩くと音階が鳴るようなセットである。








「ウェザーリポート」と「Weather Report」

2022-11-19 14:14:14 | 音楽
今や世界最大の民間気象情報会社として知られるようになったウェザーニューズ株式会社であるが、特に近年は24時間配信される気象情報専門のネット番組「ウェザーニュースLiVE」が人気である。お気づきと思うが、社名は「ウェザーニュー」であり、番組名は「ウェザーニュー」である。これはかつての子会社名との重複を避けた結果らしいのだが、それはさておき、この配信番組である「ウェザーニュースLiVE」は女性キャスターのアイドル的人気や細かく解説される緻密な気象情報の有用さなどが評価されて知名度は上昇する一方である。

その「ウェザーニュースLiVE」からの話題である。

昨年入社したばかりの戸北美月キャスターが番組内で「11月3日はレコードの日」であることを話した流れで、実家で父親から紹介された一枚のレコードを紹介した。それはかつてアメリカを代表するジャズグループの一つであった「ウェザーリポート」のレコード『ヘヴィー・ウェザー』である。

実際にレコードを紹介している動画はこちら。↓

『レコードを紹介する戸北キャスター』

戸北美月キャスターがわざわざこのレコードを紹介したのには勿論理由がある。
ウェザーニュースでは全国各地に居る会員から寄せられる気象報告を随時紹介しているが、その報告を「ウェザー・リポート」と呼称しているのである。

レコードの話に戻るが、戸北キャスターはウェザーリポートを「昔のジャズバンド」と紹介したのだが、これはウェザーリポートをリアルタイムに聴いていた我々世代には驚きであった。我々からすればウェザーリポートの活躍していた時代(*1)は「ついこの間」なのだ。(笑) 実際にその音楽はモダンであり続け、古びた印象は皆無だ。だが、時代は進み、いつの間にかウェザーリポートを知らない戸北キャスターのような若年層が社会で活躍する時代になっていた、ということである。(溜息)さらに、レコードプレイヤーも知らない世代であることに改めて喫驚するものであり、隔世の感を新たにするところでもある。

ウェザーリポートの音楽は進取的であり、ある意味プログレッシブで、しかも伝統的なジャズのセオリーにも反していない、非常に進歩的かつユニークなジャズグループであり、未だにこれに比肩するバンドは出現していない、というほど独特な音楽を展開していたのだ。元々このバンドの創立時のコンセプトには「アンサンブルでありながら同時に各々がソロを演奏する」という一見矛盾した二つのことを同時に昇華させる音楽を実際に形にする偉業を成し遂げたユニークなグループなのである。音楽的な面でもサウンドテクスチャーの面でも普遍性のある音楽であり、それは今の時代に生きる戸北キャスターのような若年層が聴いても新鮮であろうことは間違いないところだ。





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(*1)
ウェザーリポートが活躍した時期は1970年~1985年の15年間である。
創立時はジョー・ザヴィヌル(kbd)、ウェイン・ショーター(Sax)、ミロスラフ・ヴィトウス(b)の3人が中心になったバンドであった。草創期は集団即興が中心で時にアブストラクトな表現も含む演奏を展開していたのだが、やがてミロスラフ・ヴィトウスがジョー・ザヴィヌルとの路線対立から脱退し、ジョーとウェインの2人を中心にメンバーが組まれた時代を経て、ここで話題に上がった「Heavy Weather」という作品の時代になる。この一つ前の作品(Black Market)から参加していたジャコ・パストリアス(el-b)の演奏と音楽性が如実に反映された時代の始まりでありこのグループの一つの到達点を示す時代とも言えよう。ジャコ・パストリアスは間違いなくエレクトリック・ベースの天才であり、エレキベースの世界では「ジャコ以前」と「ジャコ以後」で、その有り様がガラッと変わってしまった程の大きな影響を与えたベーシストである。バンドが最も輝いていた時代の最良の一枚…それがこの「Heavy Weather」なのである。

余談だが、ジャコが加入して以降(1976年~)のウェザー・リポートの来日・東京公演は筆者は全て聴いている。だが、残念なことに、ウェザー・リポート初期の[来日(1971年、1973年)は逃している。サックス奏者の山口真文氏は「最初の来日の時が凄かったんだよ」と証言している。もちろん、その時代はベースがミロスラフ・ヴィトウスであり、演奏内容も後年とはかなり異なっていた。









音楽の喜びを京都橘高校吹奏楽部に見出す

2022-11-02 12:12:33 | 音楽
2022年10月10日、台湾の建国記念日である「双十節を祝う式典」に、マーチングバンドの強豪で「オレンジの悪魔」という呼び名でも知られる京都橘高校吹奏楽部が招待されて圧巻のパフォーマンスで台湾の民衆を魅了した・・・というニュースが先日報道された。


『橘色惡魔來了!20221010國慶典禮京都橘高校吹奏樂部精彩演出完整版!(Taiwan)』

『20221009橘高校吹奏樂部(Kyoto Tachibana SHS Band)兩廳院廣場三校交流演出』


演奏レベルが高くしっかりしたアンサンブルが良い。しかも、指揮者やトールフラッグのパフォーマンスをするカラーガード隊といった非演奏者だけではなく、楽器を演奏するメンバーもかなり大胆なダンスパフォーマンスを繰り広げるところが素晴らしい。それが真に楽しいと思えるのは、パフォーマンスに不自然さが無いからだろう。すべてが音楽の進行に沿って展開され、音楽を演奏する「プリミティブな喜び」が表現されているからである。その「音楽の喜び」は観客にきちんと伝わっている。

例えば「愛の讃歌」のクライマックスで再びテーマのメインメロディーが演奏される場面で自然と観客席から拍手が湧き上がるのは、明らかにこのバンドの演奏が聴く者の心を動かしているからである。このような場面は随所にあった。人の心を揺さぶる演奏というのは言うほど簡単ではなく、技術・センスなどの上に音楽を届けようとする意志の強さ、そして音楽を演奏する事に命のレベルで喜びを感じている者にしかできないことなのだ。それを彼女たちは成し遂げた。しかも台湾の国家的イベントの会場で、だ。これは真に快挙と言えよう。観客席の蔡英文総統も楽しまれているようで、見事に国際親善・国際交流の役割を果たした、と断言できるパフォーマンスである。

上述のように、このバンドが凄いのは演奏者も演奏しながらダンスとフォーメーションを見事にこなしているところだろう。シンプルに言ってもバリトンサックス(*1)やチューバ、スーザフォン、そして各種の太鼓などは結構な重量があり、それを抱え持つだけでも身体への負担が結構大きいのだ。彼女たちはそれらの楽器を演奏するだけでなく、ダンスやフォーメーションといったパフォーマンスで視覚的な喜びや楽しさをも表現しているのである。

しかも、だ。

そもそも、大きな振りのダンスや飛んだり跳ねたりというパフォーマンスをしながらの管楽器の演奏は極めて難しいものがある。金管楽器の場合なら、アンブシュア(*2)に於いて唇と楽器のマウスピースは接触面が適度な圧を保つことで良質のサウンドを鳴らすことができる。それを最適な形で維持したいなら、身体を動かさず一切のパフォーマンスなどせずに演奏に集中する事が望ましいのだが、彼女たちはかなり大胆な動きをしながら同時に良いサウンドを鳴らすことができるのだ。なかなか凄いことである。(*3)
サックスやクラリネットなど木管楽器の場合でも、金管楽器ほどの制約は無いにしても、激しい動きをしながら良い音を鳴らす事は簡単ではない。フルートやピッコロの場合はサックスよりも大変であろう。アンブシュアを最適な状態に保つ事が難しいのだが、それを楽にこなしているように見えるのは真に凄いことである。

彼女たちがやっている事を箇条書きにすると下記のようになる。

・演奏曲目の譜面を全て暗譜する
・バンドとして音楽上のアンサンブルが高品位に成立すること
・ダンスの振りとフォーメーションを覚える
・常に笑顔で生命力を感じさせるパフォーマンスをする

簡単に箇条書きすればこのようになるが、これを全てこなすのは真に大変なことである。
細かい話だが、「譜面の暗譜」と言っても、そう簡単ではない。アンサンブルに於いては和声を鳴らすには和声の構成音の一つ一つを各楽器に割り振っているので、彼らが覚えるメロディーラインは我々オーディエンスが知っている印象的なメロディーラインではない場合がほとんどである。もちろんトップノートを担当する楽器はその曲のメロディーラインそのものを演奏するのだが、和声の中間部や下部構造を担当する楽器では不思議なメロディーラインを覚えなくてはならない。これはアンサンブル経験者なら常識だが、一般のオーディエンスにはあまり馴染みがないところであろう。

音楽面と視覚的な要素の総合芸術と言えるドリル演奏であるが、このバンド・メンバーの大部分がティーンエイジャーの女性であることも大きなファクターと言えよう。男性メンバーも含まれてはいるが、総じて女性のカラーに彩られているバンドと言って差し支えないであろう。この年代の女性が自ずと持っている「華」が音楽面の魅力を倍加させる大きなファクターになっているのは間違いないところであり、だからこそ演奏やパフォーマンスの訴求力がより大きくより強く聴く者・見る者の心に迫ってくるのだ。実際、そこには感動という情動的な心的作用 (*4) があるのであり、それがこのバンドのパフォーマンスを見聞した多くの台湾人の心を動かしたのである。これは厳然たる事実だ。

演奏・パフォーマンスで台湾を魅了した京都橘高校吹奏楽部だが、そのバンド全体を象徴するアイコンとして指揮者である木花百花さんに注目が集まる現象も起きており、ニュースでも扱われたようだ。


↑動画の1分10秒あたりから指揮者・木花百花さんの紹介がある。



このように、京都橘高校吹奏楽部は音楽面と視覚的なパフォーマンスが織りなす総合的な成果が台湾の人々を魅了し、日台友好の架け橋となる重要なミッションを立派に成し遂げたのである。大きな称賛に値するものと言えよう。




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(*1)
バリトンサックスはもちろんだが、それよりも一回り小さなテナーサックスだって軽くはない。金管だと例に挙げたスーザフォンだけでなくユーフォニアムだって結構な重量がある。

(*2)
アンブシュアとは、管楽器の演奏者に於いて、楽器吹奏時の口の形及びその機能のことである。演奏者の口(または唇、舌、歯、顎、頬、鼻腔、咽喉など)がある特殊な機能を担当した状態でもある。呼吸法と同時に管楽器奏者が身につける最も基本的な技術と言える。ピッチ(音高)、音色、音域の跳躍などをコントロールするためには、楽器に応じた適切なアンブシュアを身に付ける必要がある。

(*3)
金管楽器で言えば、トロンボーンは物理的な尺が長いので扱いが大変なところがある。また、トランペットと異なりバルブで音程を決めるのではなく、管を前後にスライドさせて音程を取るので、激しい動きを伴った中できちんと演奏するのはかなり大変だと思われる。

(*4)
エモーショナルなインパクト…いわゆる「エモい」というやつである。








誰が演奏すべきか 個人的見解

2022-09-06 16:16:00 | 音楽
イギリスの老舗プログレッシブ・ロックバンドの一つであるイエスがアルバム「危機(Close To The Edge)」を50年ぶりに再現する日本ツアーの為に来日中である。冒頭から自慢めいて申し訳ないが、筆者は1973年3月9日に東京・渋谷公会堂で当時のイエスに依る「危機」の演奏を聴いている。(*0)

1973年当時の来日メンバーはジョン・アンダーソン(vo)、スティーブ・ハウ(g)、リック・ウェイクマン(kbd)、クリス・スクワイア(b)、アラン・ホワイト(ds)の5人だ。「危機」レコーディング時のドラムはビル・ブルーフォード(*1)だったが、日本公演直前にビルが退団したので急遽アラン・ホワイト(*2)が起用されて来日したのであった。起用から来日まであまり日数がなかったが、イエスの複雑な曲を全て頭に叩き込んで完璧な演奏を披露したのは流石である。

イエスのオリジナルメンバーは上記メンバーに比してギターとキーボード、ドラムが別人だったが、「危機」の2つ前のアルバム「サード・アルバム」の時にスティーブ・ハウが加入し、一つ前の「こわれもの(Fragile)」制作時にリック・ウェイクマンが加入している。そして、この「こわれもの」~「危機」の時期の5人がイエスの全盛期だったのではないかと筆者は考えている。作品にも演奏にも生命力が溢れており、最もクリエイティブで音楽に依る表現がストレートに伝わるパワーを盛っていた。それは「自ずから然り」な音楽になり得ていたように思う。


それで、ようやく今回のテーマにたどり着く。


今回の『イエス「危機」50周年記念ジャパン・ツアー』だが、筆者はこの公演にはあまり関心が湧かない。「危機」は当時の面子で演奏されて初めて意味と価値が生じると考えている。50年前と共通のメンバーはスティーブ・ハウだけだ。
これはロックなどのポピュラー音楽だから言えることかもしれないが、その曲を聴くならオリジナル版のメンバーに依る演奏が聴きたい…そういう気持ちが強いのである。(*3)

曲は譜面に書かれており、その譜面通りに演奏すれば誰でも形の上での再現は可能だ。だが、音楽の魅力は譜面に表記できない部分に負うところが非常に多い。アルバム「危機」の魅力は1972年当時にこれを演奏したメンバー達の個性の魅力でもあるのだ。音楽を演奏する上で譜面は手がかりでしかない。最終的にはその時の演奏者の表現力・センスがモノを言うのであり、5人の個性が組み合わさった結果としての「危機」の演奏なのである。

ジョン・アンダーソンのヴォーカルは唯一無二のもので、あの声質は彼だけのものである。ヴォーカルだが、ある意味でこれは一つの楽器として捉えるべきものでもある。あの声で歌う事でイエスのサウンドが成立していたのだ。「危機」を聴くなら彼のヴォーカルが良いのだし、他の楽器も同様だ。

もちろん今回の『イエス「危機」50周年記念ジャパン・ツアー』を全否定するつもりもない。メンバーはスティーブ・ハウ以外は違っているが、しかし作品に全く新しい価値を与えることに成功していれば、それはそれでOKである。逆に単なる再現だけならば…ちょっと幻滅、かもしれない。音楽は常に新しい価値というか新鮮なサムシングが加えられて初めて”生きた音楽”になり得るからである。

こうしたオリジナルの面子に依る演奏への拘りはロックなどのポピュラー音楽ならではのものかもしれない。その顔ぶれでなければ出せない味…そこが大きな価値となっているのだ。
イエスで言うなら有名な「ラウンド・アバウト」だってそうだろう。この曲は「危機」当時のメンバーでの演奏が唯一無二の正解なのであり、あのメンバーが出したサウンドだから価値があるのだ。


レッド・ツェッペリンの曲目なら、あのジョン・ボーナムが太鼓を叩き、ジミー・ペイジがギターを鳴らし、ロバート・プラントが高音で吠え、ジョン・ポール・ジョーンズ(*4)がベースで下支えする、あのオリジナルメンバーに依る演奏でなければ、曲が同じでも魅力が半減以下になるだろう。ちなみに(また自慢で申し訳ないが)、筆者はレッド・ツェッペリンの演奏を1972年の10月に日本武道館で聴いている。レッド・ツェッペリンとしては最後の来日になった機会でもあった。ちょうど4作目のアルバムが出た直後だったので、「ブラック・ドッグ」「ロックンロール」「天国への階段」などの日本初演を聴いたのであった。もちろん、全盛期のツェッペリンなので凄い演奏であったし音楽的な満足は得られたのだが、元々武道館は音楽ホールではないので、レッド・ツェッペリンのような音量の大きなバンドは音響的に不向きだな、という確認ができた…という記憶もある。(笑)

アメリカの有名なブラスロックバンドであるシカゴもそうだ。幾度もメンバーチェンジをしているので、現在のオリジナルメンバーは少数になっていると思うが、例えばヒット曲である「サタデー・イン・ザ・パーク」を聴くならオリジナルメンバーでの演奏が聴きたいところである。オリジナルメンバーの演奏にロバート・ラムのヴォーカルとカウンターメロディーを歌うピーター・セテラの声が合わさることであの曲のサウンドが完結するのである。彼らの初期の名曲である「イントロダクション」や「クエスチョン67&68」「長い夜」などもジャズにも精通していたオリジナルメンバー(リズム・セクション+ホーン・セクション)の演奏に価値を感じるものである。
またしても自慢で恐縮だが、オリジナルメンバーのシカゴの演奏を筆者は日本武道館で1973年に聴いている。もちろんギターのテリー・キャスも当時は健在で、ケニー・バレルを思わせるジャズ的な演奏を聴かせてくれたのは良い思い出である。オープニングがビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」だったのには度肝を抜かれた。だが、考えてみれば管楽器が重要な構成要素である曲なのでシカゴ向きの曲と言えよう。


・・・と、ここまで書いておいてなんだが…、若干の例外もある。
それは今回の来日でも健在なスティーブ・ハウが自身のプロジェクトでやっているジャズ・トリオ演奏のことだ。これはスティーブ・ハウのギターの他にオルガンとドラムに依るベースレスのトリオである。このスティーブ・ハウ・トリオでは「危機」も演奏している。しかしその演奏コンセプトはイエスのそれとは全然異なる。「危機」をあくまで即興演奏の素材かつプラットフォームとして使用しているのであり、中心になっているのは3人のアドリブ演奏なのである。ここではジャズ演奏として立派に成立しており、”オリジナルの面子がどうのこうのは関係ない”のだ。逆にこのトリオは興味深い。世界中見回してもイエスの「危機」を演奏するジャズグループなんてこのトリオしかないのである。

また、イエスと同様の老舗バンドでキング・クリムゾンという有名どころがある。こちらも1969年から活動しており歴史が長いのだが、キング・クリムゾンの場合はリーダーのロバート・フリップ(g)が全ての音楽的采配をしているので、ロバート・フリップが居ればキング・クリムゾンになるのだ。実際、このバンドはメンバーチェンジが激しいことで有名だが、他のメンバーはオリジナルである必要も固定である必要もないのである。いわばバンド全体がロバート・フリップの個人プロジェクトのようなものであり、これはこのバンドならでは、の事情と言えよう。



ここまで縷縷記してきたように、ロック音楽・ポピュラー音楽の場合は、リスナーが最初に認知して気に入った当時のメンバーに依る演奏に拘りがあるのに対して、ジャズやクラシックの場合は曲目というよりも演奏者それ自体へのこだわりが強い。

ジャズに於いては、極論的に言えば曲目は符丁に過ぎず、聴衆は眼の前の演奏者がどのような即興演奏を繰り広げてくれるのか、に関心を持っている。「あの曲」ではなく「あの演奏者」への拘りである。オリジナルの演奏はその時のその面子での演奏であって、そもそも再現し得ないものであり、再現する意味もないのだ。

ジャズを知ったつもりの半可通がジャズクラブで歌手に対して「”センチメンタル・ジャーニー”をやってくれよ。ドリス・デイで」などとリクエストしたりする。(*4) 本人は通ぶっているが、実はジャズを”わかってない”のであり、歌手に対して極めて失礼な要望をしているのだ。その歌手はドリス・デイではないのであり、ドリス・デイ風に歌うことは「単なる再現」をやれ、と言っているのと同じである。その歌手にはその歌手の個性と表現があり、聴衆は素直にそれを受け取るべきなのである。


クラシックもジャズと同じところがある。
リスナーは曲目への拘りもあるのだが、しかしそれ以上に眼前の演奏者がその曲(素材)をどのように表現してくれるのか、に関心を持っている。ジャズ同様に現在それを演奏する人に拘りがあるのだ。クラシックの場合は、原曲が作曲されてから100年~200年以上の経過が有る場合が多く、そもそもオリジナルの演奏も記録されていないので、前提から異なるのだが…。
ブラームスの「交響曲第1番」を聴く時に何に拘るのかと言えば、曲目への拘りではなく、それをカラヤンのベルリン・フィルが演奏するのか、小澤征爾のサイトウ・キネン・オーケストラが演奏するのか、への拘りで人は聴くのである。ちなみに筆者は小澤征爾版が好みである。




・・・などと、『イエス「危機」50周年記念ジャパン・ツアー』をきっかけに筆者の思いを綴ってみた。なお、これらはあくまで筆者の個人的見解であり、他者が全く異なる見解を持っていても、それはそれで結構である。ただ筆者の場合はこうだ、という事を述べたに過ぎないからである。ご了承願いたい。








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(*0)
開演前からストラビンスキーの「火の鳥」の終曲が流れ、曲がエンディング(クライマックス)に達した時に幕が開いてイエスの演奏がスタートするのだが、1曲目の「シベリアン・カートゥル」から彼らの演奏に引き込まれて幸福な時間を過ごすことができたのであった。当時、最も喫驚したのは「レコードで聴いたサウンドがそのままライブで再現されている」ことだった。(笑) いや、これは決して笑い事ではない。ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」以来、ロックバンド、なかんずくアーティスティックなグループの作品は録音・音響技術を駆使してサウンド作りを行った上でレコーディングしているので、そのサウンドがライブでそのまま再現できる事自体が一種の驚きとして受け取られた時代だったのだ。

(*1)
イエスをはじめ、キング・クリムゾンやジェネシスなどでも演奏し、自己のバンドであるアースワークス(*1a)ではジャズを演奏する、幅広い音楽性を持つ優れたドラマーである。インタビューでも「自分のルーツはジャズだ」と語る通り、非常に繊細で音楽的な演奏ができる素晴らしいドラマーである。日本のジャズギタリストである渡辺香津美とも共演しており、「Spice of Life」という作品でその演奏を聴くことができる。

(*1a)
アースワークスで来日したこともある。

(*2)
実はジョン・レノンの有名な「イマジン」のレコーディングでドラムを演奏していたのがアラン・ホワイトである。ジョン・レノンお気に入りのドラム奏者でもあったのだ。

(*3)
1973年来日時メンバーの中で既にクリス・スクワイアとアラン・ホワイトは故人となっており、その意味では厳密な意味でのオリジナル・メンバーに依る演奏は不可能である。

(*4)
もしも「ドリス・デイ」ではなく、「松本伊代で」と言った場合は、それはリクエストではなくてネタでありジョークであって、根本から違う話になってくる。











大野雄二のリッチなサウンドに酔う

2022-07-12 03:03:03 | 音楽

ジャズピアニストからスタートした大野雄二氏は今や日本で最もポピュラーな作編曲家・演奏家として知られる存在である。

その大野雄二氏が、2022年1月28日に東京国際フォーラム ホールAにて「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ」というコンサートを開催した。このコンサートは総勢54名編成でのビッグバンドオーケストラのアンサンブルになっており、リズム楽器・管楽器・コーラスの他にストリングス(ヴァイオリン等の弦楽器群)が参加している。

今回はそのステージから「ルパン三世のテーマ'80」を紹介する。

『ルパン三世のテーマ'80 - You & Explosion Band』

今までにないほどの大編成のオーケストラで演奏されており、非常にリッチでゴージャスなサウンドになっている。音楽の豊かな味わいを満喫できる演奏である。

このコンサートについて筆者が個人的に嬉しかったのは、ドラムに市原康氏が起用されていることだ。「ルパン三世のテーマ'80」のオリジナルレコーディングに参加したジャズドラマーである。伝統的な4ビートジャズからモダンな16ビート系・フュージョン方面までオールマイティーに演奏できる人だ。1970年代後半には鈴木宏昌氏(コルゲンさん)率いるザ・プレイヤーズの前身となったコルゲン・バンドでも演奏していたこともあって、筆者は新宿・歌舞伎町にあったライブハウス「タロー」でその演奏を聴いたことがある。大野雄二氏とはしばらくブランクがあったようだが、再び市原康氏が起用されたことを嬉しく思う。市原氏は大野雄二トリオ(ジャズのピアノトリオ)でも演奏しているようだ。

上記の「ルパン三世のテーマ'80」は、あの宮崎駿監督の劇場用映画第1作である「ルパン三世・カリオストロの城」でも映像のバックで聴くことができる。冒頭の有名なカーチェイス・シーンの開始と同時にスタートする、あの演奏だ。

『【本編プレビュー】ルパン三世 カリオストロの城』

↑このプレビュー映像において 6:13 あたりから演奏がスタートする。スティーブン・スピルバーグ監督も絶賛した秀逸なカーチェイスシーンにマッチした音楽であり、心地よい緊張感を演出していると言えよう。この演奏でドラムを叩いているのが市原康氏である。
なお、映画のBGMではなく、曲自体をじっくり聴きたい場合は下記のリンクからお聴き頂きたい。

『ルパン三世'80』

この市原康氏も参加したオリジナル・レコーディングのメンバーで、もう一人、冒頭のコンサートにも参加しているメンバーがいる。ビブラフォン(バイブラフォン)の大井貴司氏である。ビブラフォンを知らない方のために説明するが、鉄琴の親分のような楽器である。ただ、普通の鉄琴と違うのは全ての音板の直下に共鳴管があって、その上端に円形のハネが仕込まれており、これをモーターで回転させることで音にビブラート(音のふるえ)が付加される。(*1) それでサウンドにムーディーな味わいが出るのだ。ビブラフォンは略してバイブとも呼ばれる。この曲(ルパン三世'80)ではビブラフォンが主旋律を演奏するので、4ビートのリズムと共にジャズを強く感じさせる仕上がりになっている。

また、オリジナルレコーディングの演奏と2022年のコンサートでの演奏は大まかにはほぼ同じだが、アレンジの細かい部分がかなり変わっている。最も違うのはストリングスが加わっている点だ。これで大野雄二サウンドがますますリッチで大人なサウンドになっている。他にもコーラス隊やハモンドB3オルガン、ハープなどを駆使してリッチで豊潤なサウンドが構築される。これほど贅沢な音楽体験はそうそうないことだ。
なお、同曲の管楽器のアレンジもオリジナル・レコーディング事とは少し変更されており、よりジャズのビッグバンド・アレンジの粋が味わえるものとなっている。サウンドを注意深く聴けば色々な違いを発見できるだろう。

コンサート映像ではトロンボーンの中川英二郎氏の姿も確認できる。彼は中学生の頃からプロ活動をしており、中学時代に既にアメリカでジャズのレコーディングもしている天才である。

大編成の旋律楽器・和音楽器たちを最終的に締めてまとめるのはドラムだが、そこは市原康氏がきちんと押さえている。バンドサウンドの最終的なキモはドラムなのである。

TV版の「ルパン三世」は2021年に新シリーズが放送されたが、その2021年版のテーマに於いてもドラムは市原康氏が演奏している。下記を見て(聴いて)頂きたい。

『ルパン三世のテーマ2021』


大野雄二氏は多くの映画音楽やテレビ番組の音楽を担当されているが、例えばNHKの紀行番組『小さな旅』のテーマも有名である。

『NHK「小さな旅」テーマ曲)』

特にこの曲を聴くと「カリオストロの城」のBGMとイメージがダブる人も多いのではないだろうか。大野雄二音楽の特徴でもあるマイナー(短調)の郷愁を誘う美しい旋律とそれを彩る木管楽器を多用したサウンドは聴く者の心を掴んで離さない。メロディーも単純なセンチメンタリズムではなく、心の底というか無意識の領域に素直に入ってくるものであり、それが大野氏らしいモダンな和音とオーケストレーションに依って郷愁の感情と共にある種の音楽的な快感を生み出す事に成功していることを発見できるだろう。

「小さな旅」の、このメロディーを演奏する楽器はずっとオーボエだと思っていたが、実はイングリッシュホルン(english horn)のようだ。イングリッシュホルンはオーボエよりも低い音域を出せるのでアルトオーボエ(alto oboe)とも呼ばれるダブルリード(*2)の楽器である。




なお、大野雄二氏は体調不良の為、2022年3月から入院・療養しており、音楽活動は停止されている。ゆっくり静養して元気を取り戻して頂きたい。ご高齢であるので大野氏のペースで音楽を紡ぎ出して頂ければ幸いに思うところである。






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(*1)
2022年のコンサート映像でも、斜め横から撮影されたカットでは音板の隙間から下で回転しているはねを確認することができる。

(*2)
オーボエなどのリードは葦の一種であるケーンを削って作られる。(*2a)このリードを2枚向い合わせにして、金属管に糸で巻き付けたものを楽器の上管に差し込んで使用するのである。

(*2a)
ちなみに、サックスのリードも同じくケーンから作られる。