京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京町屋 上京(14)大市、今原町屋、水野克彦町屋写真館、静家、大根屋、上七軒歌舞練場、大聖寺

2019-08-23 18:02:17 | 京都の町 町屋・建造物


今日は朝から雨続きです。
最高気温は27.6度、前日より7度も下がりました。
そのおかげでエアコンを入れなくても過ごせます。

京都の町屋上京区の続きです。

大市
京都を彩る建物認定48号
創業が元禄年間で「暗夜行路」等の文学作品にも登場するすっぽん料理の老舗です。
約330年もの間すっぽん一筋に17代続き、現在の店舗も当時のままです。
 通りに面する主屋の南側は創業当初,北側はそれから少し時代が下がり建てられたと伝えられています。
南側は卯建を残し,入口の腰高障子を外側に引き,内側に大戸を吊るなど古風な表構えを見せ,北側は入口を塞いであるものの玄関建具の意匠を残し,出格子との組合せで町家らしい雰囲気を醸し出しています。
 主屋の奥には,昭和初期に建てられた5つの客間を持つ離れとそれを取り囲む3つの庭があり,全室から庭の景色が楽しめます。
また夜間にあかりが灯された姿も一見の価値があり,周辺で旧来のまち並みが失われつつある中,昔のままの佇まいを残しています。

志賀直哉『暗夜行路』以外にも、川端康成『古都』、開高健『新しい天体』などでも取り上げられています。
幕末の建築らしく、新撰組荘子たちの刀痕もあり、終戦時の首相、近衛文麿公が大好物でよくお出かけになられたそうです。















今原町屋
京都を彩る建物認定認定第120号
上京区
 住居兼組紐製作場として昭和4年(1929)に建築された表屋造の町家です。
内外に町家の特徴を残し,2階には洋館風の部屋が配されています。
現在は町家や生活文化の継承のため,住まいながら飲食店やイベントに活用されています。
認定理由
 今原町家は間口3間半奥行8間の規模を有する表屋造形式の本2階建町家です。
主屋の奥には小規模な離れが建っています。施主は組紐製造業を営んでいた今原喜久一で,昭和3年に同敷地を購入していいます。
御幣の幣串が残り,大工は西村磯治郎の施工により,昭和4年(1929年)に上棟したことが判明しています。
同家では組紐製造の機械化をせずに正絹の手組みを行なっていたため,専用の工場空間はなく,主屋内で作業を行なったそうです。
 1階は出格子部分を室内に取り込み,腰に自然石を貼り,2階にはガラス窓を嵌め、昭和初期に顕著に見られる外観です。
平面は南側に通り土間をとり,1列に4室を並べています。
2階は表屋部分上部南寄りに洋室,居住棟奥には10畳の客間を配しています。
洋室は通りからの外観では真壁造,背面にはタイルを貼る洋風の外観です。内部は腰に板を貼り,上部を漆喰壁とする簡素な意匠です。
奥の10畳間は床柱に5寸径の太い絞り丸太を用いる点が特徴的です。
階段は玄関部分と仏間奥の2箇所に設けられ,奥の階段は180度折れる形式で特徴的です。
昭和初期の本2階建町家で,2階に洋室を設けたり,2階客間を10畳とするなど,京町家の近代化の過程がみられる町家として評価されます。










水野克彦町屋写真館
上京区









静家
京都を彩る建物認定第24号
上京区
認定理由
 明治初期に糸問屋として建てられたと伝えられています。
主屋は木造一部二階建で,間口は六間半と広い。切妻平入桟瓦葺の屋根にはむくりがつけられ,煙出しを設けています。
外壁は黒漆喰塗で,一階開口部には切子格子が用いられています。
庭の奥には建築当初からの二階建,平入切妻造,本瓦葺の土蔵が二棟並び、糸屋八町と呼ばれた大宮通に沿って栄えた糸問屋街の面影を今に伝える貴重な建物です。










大根屋
京都を彩る建物選定第1-076号
京都市上京区大黒町
推薦理由
 京都の町並みを作っている格子を始め,種々な要素を多く持っている建物です。
外観を残しながら,西陣の工場として内部は織機が置けるように高い空間と柱の間は広くとられています。


























  







上七軒歌舞練場(建築 1897,明治30年頃)
歴史的風致形成建造物
北野天満宮の東門、上七軒花街通りの周辺は日本最古のお茶屋、花街です。
この建物は舞妓さんらの舞踊の練習の場であり、発表の場です。
明治中頃に建築され、そのあと増改築が繰り返され、昭和26年に現在の形になりました。
2009年、京都市の歴史的風致形成建物に指定され、大改修されました。
上七軒ビアガーデンが人気で、舞妓さんがビールをついでにくれます。









大聖寺門跡(御寺御所) 町屋ではないですが。
庭 京都市指定名勝、京都を彩る建物認定99号
上京区
認定理由
 足利将軍家の花御所の跡地に建つ,臨済宗の尼門跡寺院です。日野宣子が過ごした岡松殿を寺院に改めたものとされます。
応仁の乱後,移転を重ねたが,元禄10年(1697)に再び現在地に戻りました。本堂,宮御殿,玄関,表門等からなっています。
本堂は昭和18年(1943)に東京の青山御所の部材を下賜され建てられたもので,6間取りの方丈形式をとっています。
宮御殿は,上段を有する対面所と生活部分からなり,文政8年(1811)祈祷札から19世紀初頭に遡ると推測される建物です。
南側築地塀に沿って,東西方向に延びる枯流を中心とする庭園が配されています(京都市指定名勝)。
尼門跡寺院の伽藍を伝える寺院建築として重要です。非公開。


表門
国登録有形文化財
江戸/1751-1830/1922移築 木造平屋建、瓦葺、間口3.5m
上京区烏丸通上立売下る御所八幡町109-1
間口三・五メートルと大型の一間一戸薬医門、切妻造本瓦葺の門です。
尼門跡筆頭格の寺格にふさわしい堂々とした構えです。










玄関
国登録有形文化財
大正/1923 木造平屋建、瓦葺及び銅板葺、建築面積112㎡
桁行一五メートル梁間五・三メートル、入母屋造桟瓦葺です。
東面に唐破風造銅板葺の大きな車寄せを突出、南から応接室、玄関、内玄関、納戸を並べ、背面に廊下を通しています。
伝統的な和風建築ながら、自動車等の利便を配慮するなど近代性を見せています。
京都御所の御車寄せに似て立派です。





京都を彩る建物

京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。