田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

キバネカミキリモドキも毒がある

2010-01-04 | 甲虫
キバネカミキリモドキ
カミキリモドキ科ナガカミキリモドキ亜科のキバネカミキリモドキ Nacerdes (Xanthochroa) luteipennis (Marseul, 1876) 

豊津海岸のマサキの花にカミキリモドキが居た。種名はようやくキバネカミキリモドキと判明した。海岸には居たものの,この種は海浜性ではない。成虫は花が好きらしい。

原色日本甲虫図鑑(Ⅲ)によると,「9-13mm。体,触角,肢が黒く,上翅のみ黄褐色で赤銅光沢を帯びる。♂の第5腹板は三角形に深く切れ込み,♀では先端が小さくえぐられる。」又,同書によると,カミキリモドキ科は「幼虫は主として針葉樹の朽ち木中に生活し,成虫は花に集まり,蜜や花粉を食べると考えられる。夜間灯火に飛来するものには,しばしばその体液中のカンタリジンによって人体皮膚に炎症を起こさせる衛生害虫が含まれる」

黒佐(1958)によると,「本邦では全土に亘って広く分布し,平地及び山地にかなり普遍的に棲息するが,西日本よりは東日本に於いて特に豊富に産するように思われる。東京付近の平地に於ける筆者の観察によれば,成虫は5月下旬から8月上旬に亘って出現し,アオカミキリモドキに混じって灯火に飛来するが,個体数は極めて少ない。実験的には毒性が認められた。」

『鈴鹿市の自然』によると,山地の灯火採集で良く採られている。
生川ほか(2006)をみると,大紀町,尾鷲市,熊野市などで良く採られている。

参考文献
I Lobl・A Smetana(2008)Catalogue Of Palaearctic Coleoptera, Volume 5: Tenebrionoidea,670pp.Apollo Books, Denmark.
黒佐和義(1958)カミキリモドキ類とこれによる病害について : 有毒甲虫の研究, I.衛生動物 9(3) :130-148,日本衛生動物学会.
生川ほか編(2006)熊野灘沿岸照葉樹林の昆虫, 285pp,三重昆虫談話会.

海浜性のハイイロカミキリモドキ

2008.6.26

キバネカミキリモドキ
キバネカミキリモドキ


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