たいまつ焚いてあぜ道を歩き、稲作の害虫を駆除し豊作を願う「甚目町の虫送り」が平成27年7月12日、松阪市甚目(はだめ)町の手力男(たちからお)神社を中心に行われました。
この虫送りは、田植えの後、たいまつを焚いて稲の虫を退治し、人々に付く悪霊を追い払おうとするもので、甚目手力男神社虫送り保存会(山際敏雄会長・氏子総代)が中心となって毎年7月の第2日曜日に行われており、松阪市の無形文化財に指定されています。
この行事は約300年前の江戸時代中期から行われているもので、戦時中から20年間中断していましたが昭和40年(1965)虫送り保存会が結成され復活し、今日まで続けられています。
(番家に集合し酒を酌み交わし太鼓を打ちます) (自治会広場で太鼓を打ち鳴らし)
地区内の東組、中組、南組が順番で番家を受け持っており、今年の当番家である東組の豊岡誠さんの家には、ハッピにはちまき姿の子どもたち、若衆、ベテランが集まって来て、大人達は酒を酌み交わし、太鼓を打ち鳴らします。
午後7時に番家を出発した行列は、「ソーリャ ソーリャ キャルワイ」という掛け声に合わせて太鼓や鐘を打ちながら、ほら貝の鳴り響く中地区内を進み、自治会広場に到着します。広場でも太鼓を打ち鳴らし、2つのたいまつに火を付けて左右に振りながら田んぼ沿いの道を進みます。地区内でも途中2ヶ所ほどで立ち止まって太鼓を鳴らし、手力男神社まで進みます。
(手力男神社の鳥居の前で太鼓の乱れ打ち) (拝殿前で最後の太鼓の乱れ打ち)
手力男神社では虫送り音頭に合わせて、一の鳥居の前で太鼓を打ち鳴らし、次いで境内の鳥居の前で太鼓を打ち、最後に拝殿前で勇壮に太鼓が打たれ神事は最高潮に達します。
虫送り音頭には“百年この方 世の中で 早生も晩生も穂に穂がさいて 畦に穂枕さては見事な世の中よ”と続く「世の中踊り」と、“征夷将軍頼朝公は 日本名高き御大将で 富士の巻狩りなされそろう”と続く「巻狩踊り」があり、大人たちが歌います。
掛け声の「ソーリャ ソーリャ キャルワイ」は平成21年7月14日の夕刊三重には「そーりゃ、そーりゃ光るわい」と記載されており、「光るわい」が訛って「キャルワイ」なったのかも知れません。この行事は雨でも行うということです。
素朴で昔から続いている伝統行事をいつまでも続けてほしいと思います。
甚目の虫送り神事は私のホームページ「松阪市なんでも10選」の「松阪市のまつりごよみ」に登録してあります。また私のブログ「松阪市の祭り100選」に記載しました。