堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 通常実施権の移転

2024-03-28 20:37:06 | Weblog
2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 通常実施権の移転


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 専用実施権についての通常実施権を実施の事業とともに第三者に譲渡する場合、特許権者の承諾を得る必要はないが、専用実施権者の承諾を得なければならない。


解答


 特許法94条1項は「通常実施権は、第八十三条第二項、第九十二条第三項若しくは第四項若しくは前条第二項、実用新案法第二十二条第三項又は意匠法第三十三条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。」と規定している。


 専用実施権についての通常実施権は、実施の事業とともに譲渡するときは、特許権者の承諾は不要であり、専用実施権者の承諾も不要である。


 よって、本問の記載は、不適切である。





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2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 補償金請求権

2024-03-28 08:27:47 | Weblog
2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 補償金請求権


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 特許権者甲が乙に対して提起した、甲の保有する補償金請求権に基づく補償金請求訴訟において、乙が、甲から発明を実施した行為を組成したものとして主張された物又は方法の具体的態様を否認するとき、乙は、当該物又は方法に乙の営業秘密が含まれることを理由として、自己の行為の具体的態様を明らかにしなくても良い場合がある。


解答


 特許法65条6項は、「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条、第百五条の二、第百五条の四から第百五条の七まで及び第百六十八条第三項から第六項まで並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条(不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が特許権の設定の登録前に当該特許出願に係る発明の実施の事実及びその実施をした者を知つたときは、同条中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「特許権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。」と規定している。


 特許法65条6項において準用する特許法104条の2は「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。」と規定している。


 青本(特許法104条の2)には、下記の記載がある。
 3〈相当の理由〉前記のような積極否認が求められる場合であっても、営業秘密が含まれていたり、主張すべき理由が何もないようなとき等は、自己の行為の具体的態様を明らかにできない相当な理由があると考えられるため、本条の適用がない。なお、相当な理由があるとは認められないにもかかわらず、相手方が本条の規定にしたがった対応をしない場合についての制裁措置は設けられていないが、そのような不誠実な訴訟対応については、最終的には裁判官の心証に影響を与えることもあると考えられる。


 特許法65条6項において準用する特許法104条の2ただし書により、営業秘密が含まれているときは、自己の行為の具体的態様を明らかにしなくてもよい。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 補償金請求権

2024-03-28 08:21:42 | Weblog
2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 補償金請求権


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 甲のした特許出願Aについて、出願公開があった後、甲が出願Aに係る発明イの内容を記載した書面を提示して、出願Aに係る発明イを実施している第三者乙に対して警告をした場合であっても、乙が、出願Aに係る発明イの内容を知らないで自ら発明イをし、出願Aの出願の際現に日本国内において発明イの実施である事業の準備をしていたときは、出願Aに係る特許権の設定の登録がされても、乙は補償金を支払う義務を負わないことがある。


解答


 特許法65条1項は「特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。」と規定している。


 青本(特許法65条)には、下記の記載がある。
 また、その実施者が、その出願に係る発明が特許になった場合に、その特許権に対し有効に対抗できる地位、たとえば先使用(七九条)、職務発明の場合の使用者等の地位を有する者であるときは、補償金を支払う義務を負わない。


 乙は、甲の特許出願Aに係る特許権について先使用による通常実施権(特79条)を有するので、甲から補償金請求権の行使を受けることはない。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 出願審査の請求

2024-03-28 04:43:41 | Weblog
2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 出願審査の請求


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 特許出願Aについて、出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったため、出願Aが取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報が発行された。
 その後、特許出願Aの出願人が当該期間内に出願審査の請求をしなかったことが故意ではないとして、出願審査の請求が認められ、出願Aは、特許権の設定の登録がされた。
 この場合において、出願Aが取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後、出願Aについて出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に、善意に日本国内において当該発明の実施である事業を開始した者は、その実施をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。


解答


(出願審査の請求)第四十八条の三
1 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。
3 出願審査の請求は、取り下げることができない。
4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。
5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。
6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。
7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかつた場合に準用する。
8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があつた旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。


 特許出願Aについて、出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったため、出願Aが取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報が発行された。
 その後、特許出願Aの出願人が当該期間内に出願審査の請求をしなかったことが故意ではないとして、出願審査の請求が認められ、出願Aは、特許権の設定の登録がされた。
 この場合は、特許法48条の3第8項が適用され、出願Aが取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後、出願Aについて出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に、善意に日本国内において当該発明の実施である事業を開始した者は、その実施をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 訴訟手続の中止

2024-03-28 04:32:43 | Weblog
2024年3月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法 訴訟手続の中止


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 甲がある物質Aの製造方法についての特許権者である場合において、乙がその物質Aについての別の製造方法を発明したと称して特許出願をし、その査定前に物質Aの製造行為をした。
 甲は、乙の製造方法は甲の特許権に係る製造方法と同一であることを理由として、裁判所に乙に対する仮処分命令の申立てを行った。
 その後、乙の特許出願について拒絶をすべき旨の査定の謄本が送達された場合であっても、裁判所は、必要があると認めるときは、当該査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。


解答


 特許法54条2項は「訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。」と規定している。


 特許権者甲から乙に対して仮処分命令の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、乙の特許出願について査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。


 よって、本問の記載は、適切である。





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