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2023年6月30日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12

2023-06-30 07:26:31 | Weblog
2023年6月30日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の12

(国際公表の効果等)第六十条の十二
1 国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。
2 特許法第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。この場合において、同条第五項中「出願公開後」とあるのは「国際公表後」と、同条第六項中「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条から第百五条の二の十二まで、第百五条の四から第百五条の七まで及び」とあるのは「意匠法第三十八条、同法第四十一条において準用する特許法第百四条の二から第百五条まで、第百五条の二の十二及び第百五条の四から第百五条の六まで並びに意匠法第五十二条において準用する特許法」と読み替えるものとする。

〔解説〕

・60条の12第1項(補償金請求権の創設)

<趣旨>
 改正協定10条により、国際登録は各指定締約国での権利化より前に国際事務局による国際公表がされる。
 国際公表は、現在、原則として、国際登録の日から12月経過後に行われる(改正協定第17規則)。
 日本国の意匠法では、意匠権の設定の登録後に初めて意匠が公開されることとなっており(20条3項)、意匠権の設定の登録までの間に、第三者に自己の意匠を実施(模倣)される懸念は少ないが、国際意匠登録出願に係る意匠について国際公表がされてしまうと、第三者に自己の意匠を実施(模倣)されることによる被害を受ける懸念が大きく拡大することとなる。
 このような問題に対応するため、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法における補償金請求権(特65条及び184条の10)が存在する。補償金請求権は、公開された自己の発明を業として実施した第三者に対しあらかじめ警告することにより、その発明について特許権の設定の登録がされた後に実施料相当額の補償金の支払を請求することができる権利であり、公開による出願人の損失を補償する趣旨に立った制度である。
 そこで、国際意匠登録出願に関し、意匠権の設定の登録前の産業財産権を保護する措置として、特許法に倣い、補償金請求権に係る所要の規定の整備を行ったものである。

 改正協定 第十条 国際登録、国際登録の日、公表及び国際登録の秘密の写し
(3)[公表]
(a)国際登録は、国際事務局が公表する。その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされるものとし、名義人が他の方法による公表を求められることはないものとする。
(b)国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。

<補償金請求権の発生の要件>
 国際意匠登録出願について補償金請求権が発生するのは、以下の要件を満たした場合である。
(1)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知らないで国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
(1-1)国際公表があった後に、国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたこと
(1-2)警告を受けた者が、その警告後、意匠権の設定の登録前に、業として国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
(2)国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知って国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施している者に対しては、
 その者が、国際公表後、意匠権の設定の登録前に、業として国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施したこと
 この場合は、警告は不要である。

 補償金の額は、国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額である。

・60条の12第2項(特許法65条2項~6項の準用)
 国際意匠登録出願に係る補償金請求権については、特許法65条2項~6項を準用することとした。

<特許法65条6項の読替え>
 令和元年改正により、特許法においては、査証の制度(特105条の2~105条の2の10)が導入され、補償金請求権(特65条)においても準用することとした。
 しかし、意匠法においては、査証の制度を導入しないこととしたので、意匠法における補償金請求権においても、同様に査証の制度を準用しないこととした。

 査証制度は、方法の特許やソフトウェア特許といった、高度に専門的な製造等工程やソフトウェアの作動状況を実見し、その詳細を理解したうえで初めて侵害を立証できる特許に係る侵害訴訟において必要となる制度であることから、実用新案法、意匠法及び商標法には同様の制度を設けないこととした。



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2023年6月30日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の10

2023-06-30 05:35:02 | Weblog
2023年6月30日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の10

(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)第六十条の十
1 国際意匠登録出願については、第十五条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条(同項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)並びに第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第一項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第二項の規定は、適用しない。
2 特許法第四十三条第二項から第九項までの規定は、ジュネーブ改正協定第六条(1)(a)の規定による優先権の主張をした者に準用する。この場合において、同法第四十三条第二項中「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内」とあるのは、「経済産業省令で定める期間内」と読み替えるものとする。

〔解説〕

 令和元年改正により、国際意匠登録出願についても、特許法43条2項から9項までを準用することとした。

<意匠法15条等の令和元年改正>
 平成27年以降、意匠法条約(DLT)については、予想外に各国間の意見の隔たりが大きく、令和元年現在で採択の見通しが立っていない。他方、DLTの素案に規定のある救済規定及び同時に措置する予定であった優先権書類に関する通知規定等については、出願人の利便性を向上させる観点から、早急に整備すべき事項である。特に、近年、特許と意匠との間の変更出願が増加してきており、その数が年間約100件から、多い年には約180件にのぼっていることにかんがみれば、特許制度と意匠制度の調和が重要な課題となっている。
 そこで、手続救済規定及び注意喚起のための通知規定の整備については、DLT採択に先んじて、措置を講じることとした。
 すなわち、出願人に対する救済措置を充実させるべく、意匠法において準用されていなかったパリ条約の例による優先権主張(特43条の2)、指定期間経過後の救済規定(特5条3項)、優先権主張に関する注意喚起のための通知規定等(特43条第6項及び第7項)を新たに準用するため、必要な規定を整備した。

・60条の10第1項(適用除外)

 国際意匠登録出願については、特許法43条、43条の2は準用しない旨を規定している。
 準用する必要のある規定は60条の10第2項で明記することとした。
 分かりにくい規定である。

 60条の10は、国際意匠登録出願についての優先権の主張の手続の特例を定めた規定である。
 国際意匠登録出願についての優先権の主張については、各指定締約国に対して直接行うことについてジュネーブ改正協定にはこれを妨げる規定は置かれていないが、「締約国に対する出願手続の一元化」というジュネーブ改正協定の趣旨にかんがみ、ジュネーブ改正協定の規定による国際事務局経由の手続に一元化することとしている。このため、60条の10第1項において、国際意匠登録出願については、日本国の特許庁に優先権の主張をする場合の手続の規定は適用しないこととしている。

 令和元年改正において、日本国の特許庁に優先権の主張をする場合には、意匠法15条1項において、特許法43条の2第1項(パリ条約の例による優先権主張)を新たに準用することに伴い、60条の10第1項において、国際意匠登録出願についての優先権の主張については、意匠法15条1項で準用する特許法43条の2第1項(特許法43条の3第3項において準用する場合を含む)の規定を適用しない旨を規定した。

 これに加え、特許法43条の2第1項を、意匠法15条1項において準用する特許法43条の3第3項において準用する場合についても、特許法43条の3第1項に規定するWTO加盟国にした出願に基づく優先権の主張をする場合であって、特許法43条の3第3項において準用する特許法43条の2第1項の期間徒過後の優先権の主張をする場合が想定されるが、国際出願に際して国際事務局に対して、このような優先権の主張の手続を行うことがジュネーブ改正協定第6条(1)(a)の規定によっては認められていない。
 したがって、意匠法60条の10第1項において、特許法43条の2第1項を、意匠法15条1項において準用する特許法43条の3第3項において準用する場合についても、国際意匠登録出願については適用しない旨を規定した。

 また、意匠法15条1項の改正に伴い、意匠法60条の10第1項において、意匠法15条1項で新たに準用する特許法43条6項(優先権書類に関する注意喚起のための通知規定)及び7項(書類等提出規定)を国際意匠登録出願に適用しない旨を規定すべく、所要の改正を行った。

・60条の10第2項(特43条等の準用)

<令和元年改正>
 国際意匠登録出願に係る優先権の主張についての証明書等の提出手続については、ジュネーブ改正協定には国際事務局に提出するものとされていないため、優先権書類等を日本国の特許庁に直接提出することができる。
 令和元年改正前の意匠法60条の10第2項においては、特許法43条2項から5項まで、8項及び9項については、ジュネーブ改正協定6条(1)(a)の規定による優先権の主張をした者に対して準用する旨が規定されていた。
 令和元年改正において、意匠法15条1項が改正されたので、意匠法15条1項において新たに準用する特許法43条6項及び7項についても、ジュネーブ改正協定6条(1)(a)の規定による優先権の主張をした者に対して準用するため、これらの規定を意匠法60条の10第2項において準用することとした。
 他方、意匠法15条1項で準用する特許法43条の2第1項に規定するパリ条約の例による優先権の主張は、国際出願に際して国際事務局に対して優先権の主張の手続を行うことがジュネーブ改正協定6条(1)(a)の規定によっては認められていないため、特許法43条の2第1項については、国際意匠登録出願について適用しないこととした。

<特許法43条1項の不準用>
 特許法43条1項は、国際意匠登録出願に準用しない。
 通常の意匠登録出願がパリ条約の優先権の主張を伴う場合には、15条1項において、特許法43条1項を準用しているが、国際意匠登録出願がパリ条約の優先権の主張を伴う場合には、優先権の主張の申立てについては改正協定及び規則に従うこととしているため、特許法43条1項の規定は適用しないこととした。
 国際出願においては、優先権の主張の申立ては、国際出願の願書に記載する。

<特許法43条2項~9項の準用>
 特許法43条2項から9項までは、国際意匠登録出願に準用する。
 優先権書類に関しては、改正協定及び規則に規定がないため、国内法令を適用することとしたものである。

 国際出願については、改正協定6条(1)により、パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴うことができることとされている。
 その優先権の主張は、意匠法68条4項で準用する特許法26条の規定により、特段の追加的な手続を要することなく、日本国の特許庁との関係においても適法な優先権の主張となるが、優先権書類等の提出手続については、改正協定では国際出願に伴う手続とされていないため、日本国の特許庁との関係における所要の手続規定を整備することとした。

 国際出願における優先権の主張については、各指定締約国に対して直接行うことについて、改正協定にはこれを妨げる規定は置かれていないが、「締約国に対する出願手続の一元化」という改正協定の趣旨にかんがみ、改正協定6条(1)の規定による国際事務局経由の手続に一元化することとした。
 このため、国際意匠登録出願については、日本国の特許庁に優先権の主張をする場合の手続規定(特許法43条1項)は適用しないこととした。

 さらに、意匠法15条1項で準用する特許法43条の3第2項に規定する特定国(パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国のいずれでもない国)についての優先権の主張は、国際出願に際して国際事務局に対して優先権の主張の手続を行うことが改正協定6条(1)(a)によっては認められていないため、意匠法15条1項において準用する特許法43条の3第2項は、国際意匠登録出願について適用しないこととした。

 優先権書類等の提出手続については、改正協定では国際出願に伴う手続とされていないため、優先権書類等は日本国に直接提出できることとし、優先権書類等の提出の手続に係る特許法43条2項~9項の規定を改正協定6条(1)(a)による優先権の主張をした者についても、準用することとした。

<特許法43条2項の準用>
 特許法43条2項は「前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。(各号略)」と規定している。
 準用する際に「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内」を「経済産業省令で定める期間内」に読み替えている。
 国際出願における優先権の主張の手続期間は、改正協定6条(1)(b)により下位規則に委任されていることから、優先権書類等の提出期間は経済産業省令に委任することとした。
 経済産業省令(意匠法施行規則12条の2)
 意匠法第六十条の十第二項の経済産業省令で定める期間は、国際公表があつた日から三月とする。
 国際意匠登録出願についての手続を開始できるのは、国際公表後であるので、優先権書類の提出期限は、国際公表の日から3月とすることとした。

<特許法43条3項の準用>
 特許法43条3項は「第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。」と規定している。

<特許法43条4項の準用>
 特許法43条4項は「第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。」と規定している。

<特許法43条5項の準用>
 特許法43条5項は「第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。」と規定している。
 平成30年改正により、手続の簡素化等によるユーザーの利便性向上の観点から、意匠法においても、特許法43条5項を準用し、意匠登録出願に係る優先権書類のオンライン交換制度を導入することとした。
 そこで、この規定を、国際意匠登録出願にも準用することとした。

<特許法43条6項の準用>
 特許法43条6項は「特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。」と規定している。
 令和元年改正により、意匠法15条1項において特許法43条6項を準用することとしたことから、意匠法60条の10第2項においても準用することとした。

<特許法43条7項の準用>
 特許法43条7項は「前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。」と規定している。
 令和元年改正により、意匠法15条1項において特許法43条7項を準用することとしたことから、意匠法60条の10第2項においても準用することとした。

<特許法43条8項の準用>
 特許法43条8項は「第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。」と規定している。

<特許法43条9項の準用>
 特許法43条9項は「第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。」と規定している。

<特許法43条の2の不準用>
 令和元年改正により、意匠法15条1項においては、意匠登録出願について特許法43条の2(優先期間の徒過の救済)を準用することとしたが、国際意匠登録出願については、準用しないこととした。
 改正協定6条(1)(a)においては、優先期間の徒過の例外を認めていないからである。

 改正協定 第六条 優先権
(1)[優先権の主張]
(a)国際出願には、パリ条約の締約国若しくは世界貿易機関の加盟国において又はこれらの国についてされた一又は二以上の先の出願に基づく優先権をパリ条約第四条の規定に基づいて主張する申立てを含めることができる。



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2023-06-29 07:31:06 | Weblog
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2023年6月29日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の8

2023-06-29 07:21:33 | Weblog
2023年6月29日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の8

(関連意匠の登録の特例)第六十条の八
1 本意匠の意匠登録出願と関連意匠の意匠登録出願の少なくともいずれか一方が国際意匠登録出願である場合における第十条第一項(同条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項及び次項において同じ。)の規定の適用については、同条第一項中「又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による」とあるのは、「若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項又はジュネーブ改正協定第六条(1)(a)の規定による」とする。
2 本意匠の意匠権が第六十条の十四第二項に規定する国際登録を基礎とした意匠権である場合における第十条第一項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「第四十四条第四項」とあるのは、「第六十条の十四第二項」とする。
3 基礎意匠に係る一又は二以上の関連意匠の意匠権が第六十条の十四第二項に規定する国際登録を基礎とした意匠権である場合における第十条第八項の規定の適用については、同項中「第四十四条第四項」とあるのは、「第四十四条第四項若しくは第六十条の十四第二項」とする。

〔解説〕

・60条の8第1項(10条1項の適用)

<趣旨>
 国際意匠登録出願についても10条の関連意匠制度を利用することができるが、改正協定6条の優先権の主張を伴う場合は、出願日は先の出願日とすることとした。
 国際意匠登録出願を本意匠の意匠登録出願とすることができ、国際意匠登録出願を関連意匠の意匠登録出願とすることもできる(10条1項)。
 10条1項の適用において、国際意匠登録出願が改正協定6条(1)(a)による優先権の主張を伴う場合には、優先権の主張の基礎とされた出願日を基準とすることとした。本意匠の意匠登録出願、関連意匠の意匠登録出願がパリ条約の優先権の主張を伴う場合と同様に扱うこととしたものである。

 改正協定 第六条 優先権
(1)[優先権の主張]
(a)国際出願には、パリ条約の締約国若しくは世界貿易機関の加盟国において又はこれらの国についてされた一又は二以上の先の出願に基づく優先権をパリ条約第四条の規定に基づいて主張する申立てを含めることができる。
(b)規則は、(a)に規定する申立てを国際出願をした後に行うことができることを定めることができる。この場合には、規則は、当該申立てを行うことができる期限について定める。
(2)[優先権の主張の基礎となる国際出願]
 国際出願は、その出願日から、出願の結果のいかんを問わず、パリ条約第四条に規定する正規の出願と同等のものとする。

 国際意匠登録出願における優先権の主張の手続については、改正協定及び規則に従うこととされている。

<同条第五項の規定により読み替えて準用する場合を含む。>
 10条5項は、「前項の場合における第一項の規定の適用については、同項中「当該本意匠」とあるのは、「当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠」とする。」と規定している。
 10条4項は「第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、当該関連意匠を本意匠とみなして、同項の規定により意匠登録を受けることができるものとする。当該意匠登録を受けることができるものとされた関連意匠にのみ類似する意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠についても、同様とする。」と規定している。
 60条の8第1項の「本意匠の意匠登録出願と関連意匠の意匠登録出願」には、関連意匠にのみ類似する意匠について関連意匠の意匠登録出願がされた場合の本意匠とみなされた意匠登録出願と関連意匠の意匠登録出願が含まれることとなる。

・60条の8第2項(本意匠の意匠権が国際登録を基礎とした意匠権である場合)

 10条1項ただし書の適用においては、本意匠の意匠権が国際登録を基礎とした意匠権であるときは、60条の14第2項により消滅したものとみなされた場合を含めることとした。
 その結果、本意匠の意匠権が国際登録を基礎とした意匠権である場合において、国際登録が消滅したときは、その後は、関連意匠の意匠登録を受けることができないこととなる。
 60条の14第2項は「前条の規定により読み替えて適用する第二十条第二項の規定により設定の登録を受けた意匠権(以下「国際登録を基礎とした意匠権」という。)は、その基礎とした国際登録が消滅したときは、消滅したものとみなす。」と規定している。

・60条の8第3項(10条8項の適用)

 関連意匠の意匠権が国際登録を基礎とした意匠権であるときは、10条8項の適用において、関連意匠の意匠権の消滅事由として、60条の14第2項により消滅した場合を含めることとした。

<具体例>
 意匠イについて国際意匠登録出願Aをした後に、国際意匠登録出願Aに係る意匠イを本意匠とする関連意匠ロについて関連意匠の意匠登録出願Bをするときは、令和元年改正前は、国際意匠登録出願Aの国際登録の日以後、国際意匠登録出願Aについて国際公表がされる前に、関連意匠の意匠登録出願Bをしなければならなかった。国際意匠登録出願Aについて国際公表がされると意匠イが刊行物公知意匠となるため、その後に関連意匠ロについて関連意匠の意匠登録出願Bをしても、3条1項3号により拒絶されるからである。
 ところが、令和元年改正により、国際公表された意匠イは、自己の意匠となるので、10条2項により、先行意匠から除外されることとなる。そうすると、関連意匠ロの意匠登録出願Bは、本意匠イの国際意匠登録出願Aの国際登録の日から10年以内にすることができることとなる。

<国際意匠登録出願が3条の2の先願に該当する場合>
 乙の意匠登録出願Bが、甲の国際意匠登録出願Aを先願として、3条の2により拒絶されるのは、乙の意匠登録出願Bが、甲の国際意匠登録出願Aに係る国際登録の日後であって、国際公表がされる前にされた場合に限られる。甲の国際意匠登録出願Aについて国際公表がされた後に、乙の意匠登録出願Bがされた場合は、国際公表に係る公報は、3条1項2号の刊行物に該当し、新規性が否定されることとなるからである。
 国際公表に係る公報は、3条の2本文の意匠公報には該当しないため、国際意匠登録出願が3条の2の先願として引用されるためには、国際意匠登録出願について、20条3項の意匠公報が発行されるか、66条3項の意匠公報が発行されることが必要である。

<具体例>
 甲が意匠イについて国際意匠登録出願Aをした。
 その後、甲は、国際意匠登録出願Aの図面について補正Bをした。補正Bは、図面に記載された意匠イをこれに類似する意匠ロに変更するものである。
 その後、国際意匠登録出願Aの審査官は、補正Bを要旨の変更であるとして決定をもって却下した(17条の2第1項)。
 この場合、甲が、補正B後の意匠ロについて17条の3第1項の新たな意匠登録出願Cをしたときは、新たな意匠登録出願Cは、補正Bについて手続補正書を提出した時にしたものとみなされる(17条の3第1項)。
 しかし、補正Bをする前に、国際意匠登録出願Aについて国際公表がされているので、国際意匠登録出願Aに係る意匠イは国際公表された意匠に該当し(3条1項2号)、これに類似する意匠ロに係る意匠登録出願Cは、新規性がないとして拒絶される(3条1項3号、17条1号)。したがって、17条の3第1項の新たな意匠登録出願Cをすることは、有効とはいえない。
 ところが、令和元年改正後は、意匠ロは意匠イに類似しているので、甲は、意匠ロについて、17条の3第1項の適用を受けることなく、国際意匠登録出願Aに係る意匠イを本意匠とする関連意匠とする意匠登録出願Dをしたときは(10条1項)、国際公表された自己の意匠イは先行意匠から除外され(10条2項)、意匠登録出願Dに係る意匠ロは、国際意匠登録出願Aに係る意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができる場合がある。



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2023年6月28日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の7

2023-06-28 07:36:16 | Weblog
2023年6月28日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の7

(意匠の新規性の喪失の例外の特例)第六十条の七
1 第四条第二項の規定の適用を受けようとする国際意匠登録出願の出願人は、その旨を記載した書面及び証明書を、同条第三項の規定にかかわらず、国際公表があつた日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。
2 前項に規定する出願人が、その国際出願と同時に証明書をジュネーブ改正協定第一条(xxvⅲ)に規定する国際事務局(以下「国際事務局」という。)に提出したときは、第四条第三項の規定の適用については、証明書をジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日に特許庁長官に提出したものとみなす。

〔解説〕

・1項(手続の特例)

<趣旨>
 国際意匠登録出願についても、4条2項の適用を受けることができるが、出願人が外国人であるときは、4条3項の手続をすることが困難である。
 そこで、国際意匠登録出願については、4条2項の適用を受けようとする旨を記載した書面と、公表された意匠が4条2項の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(証明書)は、国際公表があった日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができることとした。

<国際公表があった日後>
 「国際公表があった日後」としたのは、日本国を指定締約国に含む国際出願について国際登録が国際公表されたときに、意匠登録出願(国際意匠登録出願)とみなされ、日本国の特許庁に手続をすることが可能となるからである。
 国際公表は、原則として国際登録の日から12月経過後に行われる(改正協定規則17)。ただし、出願人が出願時に請求したときは国際登録後直ちに国際公表が行われる。

<平成30年改正>
 平成30年改正により、4条2項の「6月」が「1年」に延長されたので、この改正は、国際意匠登録出願にも適用される。

 経済産業省令(意匠法施行規則1条の2)
 意匠法第六十条の七の経済産業省令で定める期間は、三十日とする。
 ただし、同法第六十条の六第三項に規定する国際意匠登録出願(以下「国際意匠登録出願」という。)について同法第四条第二項の規定の適用を受けようとする者がその責めに帰することができない理由により当該期間内に同条第三項に規定する証明書を提出することができないときは、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)を経過する日までの期間(当該期間が七月を超えるときは、七月)とする。

<当該期間が七月を超えるときは、七月>
 「当該期間」とは、4条3項の書面を提出することができる期間を意味する。
 4条3項の書面を提出することができるのは、国際公表があった日からである。
 そうすると、「当該期間」が国際公表があった日から7月を超えるときは、4条3項の書面を提出することができるのは、7月までということになる。
 すなわち、「7月」とは、「30日」と「6月」を合算したものである。

・2項(手続の特例)令和3年改正

<趣旨>
 ジュネーブ改正協定に基づく国際出願の出願人は、国際事務局に直接出願するときは、願書を国際事務局に提出するが、意匠の新規性の喪失の例外の適用を受けるための4条3項の証明書は、国際登録の日から原則6月(令和4年1月1日以降は原則12月)後である国際公表の日から、30日以内に日本国の特許庁長官に提出しなければならない。
 その際、願書と4条3項の証明書の提出時期や提出先の違いに起因し、新規性の喪失の例外を申し出た出願人のうち約4割が日本国の特許庁に4条3項の証明書を提出せず、結果として新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができない事例が生じていた。
 また、令和2年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一部の外国について国際郵便の引受けが停止され、日本国の特許庁から海外の出願人に対する書面の送付が遅滞する事例が生じた。海外の出願人においても、4条3項の証明書に係る証拠の収集や証明書の国際郵便での送付が困難となる事例も生じていた。
 そこで、令和3年改正により、国際出願の出願人が、願書とともに、4条3項の証明書を国際事務局に提出したときは、国際登録の日に日本国の特許庁長官に提出したものとみなすこととした(60条の7第2項)。

<4条3項の「その旨を記載した書面」について>
 4条3項の「その旨を記載した書面」については、国際出願の願書に必要事項を記載することにより、日本国の特許庁長官への提出を省略することができる。



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2023年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の6第2項

2023-06-26 06:10:46 | Weblog
2023年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の6第2項

(国際出願による意匠登録出願)第六十条の六
2 二以上の意匠を包含する国際出願についての前項の規定の適用については、同項中「された意匠登録出願」とあるのは、「国際登録の対象である意匠ごとにされた意匠登録出願」とする。

〔解説〕

・60条の6第2項(意匠ごとにされた意匠登録出願)

 改正協定に基づく国際出願には2以上の意匠を含めることができるので、その場合は、日本国においては、意匠ごとにされた意匠登録出願とすることとした。
 7条は、意匠登録出願は、意匠ごとにしなければならない旨を規定しているので、改正協定との整合を図るために、国際出願に2以上の意匠が包含されているときは、意匠ごとにされた意匠登録出願とすることにより、国際出願が2以上の意匠を包含していることを理由として、7条違反であるとして拒絶できないこととした。
 ただし、国際意匠登録出願であっても、「意匠に係る物品」の欄に2以上の物品が記載されているときは、7条違反の拒絶理由に該当する。

 改正協定 第五条 国際出願の内容
(4)[同一の国際出願における二以上の意匠]
 国際出願には、所定の条件に従い、二以上の意匠を含めることができる。



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2023年6月25日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の6第1項

2023-06-25 16:35:21 | Weblog
2023年6月25日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の6第1項

(国際出願による意匠登録出願)第六十条の六
1 日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて、その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条(3)(a)の規定による公表(以下「国際公表」という。)がされたものは、経済産業省令で定めるところにより、ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日にされた意匠登録出願とみなす。

〔解説〕

・60条の6第1項(意匠登録出願とみなされる国際出願)

(1)改正協定に基づく国際出願が、日本国の意匠登録出願とみなされるのは、以下の要件を満たす場合である。

(a)改正協定に基づく国際出願であって、日本国を指定締約国とするものであること
(b)国際登録がされていること
(c)国際登録について国際公表がされていること

 国際登録について国際公表がされていることが意匠登録出願とみなされるための要件であるので、日本国の意匠登録出願とみなされたときは、すでに国際出願の内容は国際公表されていることとなる。

(2)日本国の意匠登録出願とみなされた意匠登録出願の出願日は、国際登録の日である。
 日本国の意匠登録出願とみなされた後でなければ、当該意匠登録出願について日本国の特許庁長官に手続をすることができないので、国際登録に係る意匠登録出願についての日本国に対する手続は、国際公表後でなければ、することができないこととなる。

 改正協定 第九条 国際出願の出願日
(1)[直接の国際出願]
 出願日は、国際出願が国際事務局に対して直接にされる場合には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局が当該国際出願を受理した日とする。
(2)[間接の国際出願]
 出願日は、国際出願が出願人の締約国の官庁を通じてされる場合には、所定の方法により決定する。
(3)[特定の不備のある国際出願]
 出願日は、国際事務局が国際出願を受理した日において、当該国際出願に出願日の延期を要する所定の不備がある場合には、国際事務局が当該不備の補正を受理した日とする。

 改正協定 第十三規則 官庁を通じてされる国際出願
(3)[間接の国際出願の出願日]
 第十四規則(2)の規定を条件として、官庁を通じてされた国際出願の出願日は、次のとおりとする。
(i)千九百九十九年改正協定のみが適用される国際出願の場合には、官庁がその国際出願を受理した日。ただし、その日から一箇月以内に国際事務局が当該国際出願を受理した場合に限る。
(ⅱ)他の場合には、国際事務局が当該国際出願を受理した日。

 改正協定 第十四規則 国際事務局による審査
(2)[国際出願に出願日の延期を要する不備]
 出願日は、国際事務局が国際出願を受理した日において、当該国際出願に出願日の延期を要する所定の不備がある場合には、国際事務局が当該不備の補正を受理した日とする。国際出願に出願日の延期を要する不備は、次のものとする。
(a)国際出願が、一の所定の言語で作成されていない。
(b)国際出願に次のいずれかの要素が欠けている。
(i)千九百九十九年改正協定又は千九百六十年改正協定に基づく国際登録を求める旨の明示的又は黙示的な表示
(ⅱ)出願人を特定する表示
(ⅲ)出願人又はその代理人がある場合には当該代理人と連絡を取るために十分な表示
(ⅳ)国際出願の対象である意匠の複製物又は千九百九十九年改正協定第五条(1)(ⅲ)の規定に従った意匠の見本
(v)少なくとも一の締約国の指定

 改正協定 第十条 国際登録、国際登録の日、公表及び国際登録の秘密の写し
(1)[国際登録]
 国際事務局は、国際出願を受理した後直ちに、又は第八条の規定に従って補正をするよう求めている場合には必要な補正を受理した後直ちに、国際出願の対象である意匠を登録する。その登録は、第十一条の規定に従って公表が延期されるか否かにかかわらず、するものとする。
(2)[国際登録の日]
(a)国際登録の日は、(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際出願の出願日とする。
(b)国際登録の日は、国際事務局が国際出願を受理した日において、当該国際出願に第五条(2)の規定に関連する不備がある場合には、国際事務局が当該不備の補正を受理した日又は国際出願の出願日のいずれか遅い日とする。
(3)[公表]
(a)国際登録は、国際事務局が公表する。その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされるものとし、名義人が他の方法による公表を求められることはないものとする。
(b)国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。
(4)[公表前の秘密の保持]
 国際事務局は、(5)及び次条(4)(b)の規定が適用される場合を除くほか、公表するまで国際出願及び国際登録を秘密のものとして取り扱う。

 改正協定 第十七規則 国際登録の公表
(1)[公表の時]国際登録は、次の時に公表する。
(i)出願人が請求する場合には、登録の後直ちに
(ⅱ)(ⅱの二)に従い、公表の延期が請求され、当該請求が考慮される場合には、延期の期間が満了した日の後直ちに
(ⅱの二)名義人が請求する場合には、当該請求が国際事務局により受理された後直ちに
(ⅲ)その他の場合には、国際登録の日の十二箇月後又はその後できる限り速やかに。
(2)[公表の内容] 公報における国際登録の公表は、次のものを含む。
(i)国際登録簿に記録された情報
(ⅱ)意匠の一又は二以上の複製物
(ⅲ)公表が延期された場合には、延期の期間が満了した日又は満了したとみなされる日の表示

 現在、国際公表は、原則として、国際登録の日の12箇月後に行われる。

 改正協定 第十四条 国際登録の効果
(1)[適用される法令に基づく出願の効果]
 国際登録は、国際登録の日から、指定締約国において、当該指定締約国の法令に基づく意匠の保護の付与のための正規の出願と少なくとも同一の効果を有する。
(2)[適用される法令に基づく保護の付与の効果]
(a)国際登録は、第十二条の規定に従いその官庁が拒絶を通報していない指定締約国において、遅くとも拒絶を通報するために当該指定締約国に認められている期間の満了の日から、又は当該指定締約国が規則に基づいて宣言を行った場合には遅くとも当該宣言において特定された時から、当該指定締約国の法令に基づく意匠の保護の付与と同一の効果を有する。
(b)国際登録は、指定締約国の官庁が拒絶を通報し、その後当該拒絶の一部又は全部について取り下げた場合には、当該指定締約国において、当該拒絶が取り下げられた範囲については、遅くとも当該拒絶が取り下げられた日から、当該指定締約国の法令に基づく意匠の保護の付与と同一の効果を有する。
(c)この(2)の規定により国際登録に与えられる効果は、登録の対象である一又は二以上の意匠であって、指定官庁が国際事務局から受理し、又は該当する場合には当該指定官庁における手続によって修正されたものについて適用する。
(3)[出願人の締約国の指定の効果に関する宣言]
(a)その官庁が審査官庁である締約国は、宣言により、事務局長に対し、自国が出願人の締約国である場合には、国際登録における自国の指定が効果を有しない旨を通告することができる。
(b)国際事務局は、(a)に規定する宣言を行った締約国が出願人の締約国及び指定締約国の双方として国際出願に表示されている場合には、当該指定締約国の指定を考慮しない。



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2023年6月25日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の3

2023-06-25 07:21:54 | Weblog
2023年6月25日 弁理士試験 代々木塾 意匠法60条の3

(国際登録出願)第六十条の三
1 日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人は、特許庁長官に意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(以下「ジュネーブ改正協定」という。)第一条(vⅱ)に規定する国際出願(以下「国際出願」という。)をすることができる。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときは、二人以上が共同して国際出願をすることができる。
2 前項の規定による国際出願(以下「国際登録出願」という。)をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより外国語で作成した願書及び必要な物件を提出しなければならない。

〔解説〕

・60条の3第1項(国際出願の出願人適格)

(1)国際出願の出願人適格
 日本国の特許庁長官に国際出願をすることができる者は、「日本国民」であるか、又は「日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人」である。
 日本国民であれば、日本国内に住所、居所又は営業所を有することは必要とされない。
 日本国民が在外者であるときは、意匠管理人(準特8条)により国際出願をしなければならない。
 外国人は、ジュネーブ改正協定の締約国の国民に限定されず、日本国内に住所、居所又は営業所を有する外国人であれば、出願人適格を有する。

(2)「国際出願をすることができる」
 改正協定4条(1)(a)によれば、国際出願は、国際事務局に直接するか、自国の官庁を通じてすることができる。
 そこで、日本国では、出願人が直接出願をするか又は間接出願をするか自由に選択することができるよう、特許庁長官に「国際出願をすることができる」と規定している。
 なお、マドリッド協定の議定書に基づく国際出願においては、日本国民又は日本国内に住所、居所若しくは営業所を有する外国人は、日本国の特許庁長官に国際登録出願をしなければならない、と規定している(商68条の2)。議定書に基づく国際出願は、本国官庁にしなければならないからである。

(3)出願人が特許庁長官に国際出願をするときは、日本国を指定締約国に含めることもできるし、含めないこともできる。
 同一の意匠について日本国に意匠登録出願をしていないときは、国際出願の指定締約国に日本国を含めることにより、日本国においても意匠権を取得することができる。
 一方、同一の意匠についてすでに日本国に意匠登録出願をしているときは、国際出願の指定締約国に日本国を含める必要はない。

(4)改正協定には共同出願に関する規定は存在しないが、日本国では、全員が出願人適格を有することを要件としている(60条の3第1項の経済産業省令)。

 改正協定 第三条 国際出願をする資格
 締約国である国の国民若しくは締約国である政府間機関の構成国の国民である者又は締約国の領域に住所、常居所若しくは現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する者は、国際出願をする資格を有する。

 改正協定 第四条 国際出願をするための手続
(1)[直接又は間接の出願]
(a)出願人は、その選択により、国際事務局に対し直接に、又は出願人の締約国の官庁を通じて国際出願をすることができる。
(b)(a)の規定にかかわらず、いずれの締約国も、宣言により、自国の官庁を通じて国際出願をすることができない旨を事務局長に通告することができる。

 ジュネーブ改正協定に基づく国際出願は、国際事務局に対し直接にするか、出願人の締約国の官庁を通じてするか、出願人が選択することができる。
 締約国は、自国の官庁を通じて国際出願をすることができないこととすることができるが、日本国は、特許庁長官を通じて国際出願をすることができることとしている。
 指定締約国に日本国を含めない場合でも、特許庁長官に国際出願をすることができる。

・60条の3第2項(国際登録出願の手続)

(1)「国際登録出願」
 日本国の特許庁長官にした国際出願を「国際登録出願」と定義している。
 「国際登録出願」は、国際段階の手続を意味する。

(2)言語
 日本国の特許庁長官に国際登録出願をするときは、願書は、英語、フランス語又はスペイン語から選択した外国語で作成しなければならない(経済産業省令)。
 意匠法施行規則2条5項において、国際登録出願の願書の様式は、別に定めることとされている。英語による様式と、フランス語による様式と、スペイン語による様式が規定されている。国際登録出願の出願人は、この3つの様式から選択した様式で、国際登録出願の願書を作成しなければならない。

 PCTに基づく国際出願については、日本国の特許庁を受理官庁とする場合は、日本語又は英語で作成しなければならないが、改正協定に基づく国際出願については、日本国の特許庁を通じてする場合でも、英語、フランス語又はスペイン語から出願人が選択することができる。しかし、願書を日本語で作成することはできない。

(3)「必要な物件」
 改正協定5条(1)において、国際出願時に提出が必要な資料として意匠の見本等が規定されているので、特許庁長官に国際出願をするときは、必要な物件を提出しなければならないこととした。

 改正協定 第五条 国際出願の内容
(1)[国際出願に必須の内容]
 国際出願については、一の所定の言語で作成し、及び次のものを含め、又は添付する。
(i)この改正協定に基づく国際登録の請求
(ⅱ)出願人に関する所定の事項
(ⅲ)国際出願の対象である意匠の一の複製物又は出願人の選択による二以上の異なる複製物の写し(所定の方法により提出されるもの)の所定の部数。ただし、意匠が平面的なものであり、かつ、(5)の規定に基づいて公表の延期の請求がなされている場合には、国際出願には、複製物を含めることに代えて、所定の部数の意匠の見本を添付することができる。
(ⅳ)意匠を構成する一若しくは二以上の製品又は意匠が使用されることとなる一若しくは二以上の製品の所定の表示
(v)指定締約国の表示
(ⅵ)所定の手数料
(ⅶ)その他の所定の事項
(2)[国際出願に追加される必須の内容]
(a)その官庁が審査官庁である締約国であって、自国の法令が意匠の保護の付与のための出願について自国の法令に基づいて出願日が認められるためには、当該出願が(b)に規定する要素のいずれかを含むことをこの改正協定の締約国となる時に要求するものは、宣言により、当該要素について事務局長に通告することができる。
(b)(a)の規定に基づいて通告することができる要素は、次のものとする。
(i)出願の対象である意匠の創作者の特定に関する表示
(ⅱ)出願の対象である意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明
(ⅲ)請求の範囲
(c)国際出願に(a)の規定に基づいて通告を行った締約国の指定を含む場合には、当該国際出願には、所定の方法により通告の対象である要素についても含める。
(3)[国際出願の他の内容]
 国際出願には、規則に定める他の要素を含め、又は添付することができる。
(4)[同一の国際出願における二以上の意匠]
 国際出願には、所定の条件に従い、二以上の意匠を含めることができる。
(5)[公表の延期についての請求]
 国際出願には、公表の延期についての請求を含めることができる。



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2023年6月24日 弁理士試験 代々木塾 意匠法38条

2023-06-24 06:12:13 | Weblog
2023年6月24日 弁理士試験 代々木塾 意匠法38条

(侵害とみなす行為)第三十八条
 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
三 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
四 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該建築にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該建築にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
五 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該建築に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該建築に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
六 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物を業としての譲渡又は貸渡しのために所有する行為
七 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成にのみ用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該作成にのみ用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該作成にのみ用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
八 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成に用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該作成に用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該作成に用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為
九 登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像を業としての電気通信回線を通じた提供のために保有する行為又は登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像記録媒体等を業としての譲渡、貸渡し若しくは輸出のために所持する行為

〔解説〕

・令和元年改正の趣旨
 令和元年改正前の意匠法においては、特101条2号(多機能品型間接侵害)に相当する規定が存在しなかった。しかし、近年、意匠権を侵害する製品の完成品を構成部品(非専用品)に分割して輸入することにより、意匠権侵害を回避する等、輸入手口が巧妙になってきていた。また、特徴ある部分以外の部分をあえて模倣する事例が発生しており、必ずしも部分意匠制度によって対応できない事例が生じていた。そこで、令和元年改正により、意匠法においても、多機能品型間接侵害の規定を導入することとした。

・1号(専用品型間接侵害)
 物品、プログラム等、プログラム等記録媒体等が専用品である場合には、これを製造等する行為を間接侵害とするものである。プログラム等については、令和元年改正後は、侵害とみなす行為を具体的に規定している。
 間接侵害品の「輸出」は、1号の行為から除外されている。「輸出」する行為を1号の間接侵害行為に含めたときは、外国での実施行為をも差し止めることに等しく、意匠権の効力は日本国内にのみ及び、外国には及ばないとする属地主義に反することになるからである。
 同様に、2号、4号、5号、7号、8号においても、「輸出」は除外されている。

・2号(多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、特101条2号と同様に、多機能品型間接侵害の規定を導入することとした。基本的な考え方は、特101条2号と同様である。

・3号(令和元年改正前2号と同様)模倣品拡散防止型間接侵害

(1)専用品の所持については、間接侵害とならない。予備的行為のさらに予備的行為となるため、意匠権の効力の不当な拡張となるからである。

(2)所持とは、倉庫に保管する行為等をいう。
 38条3号に基づく差止請求(37条1項)は、「イ号製品を所持してはならない。」とするものである。同時に、「イ号製品を廃棄せよ。」という付帯請求(37条2項)もすることができる。

・4号(建築物の建築に関する専用品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物の建築にのみ用いる物品又はプログラム等又はプログラム等記録媒体等を製造等する行為を侵害とみなすこととした。

・5号(建築物の建築に関する多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物の建築に用いる物品等について、特101条2号と同様の間接侵害規定を導入することとした。

・6号(建築物の所有)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)に建築物を追加することとなったことに伴い、建築物を譲渡等の目的で所有する行為を侵害とみなすこととした。

・7号(画像に関する専用品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像の作成にのみ用いる物品又は画像又は一般画像記録媒体等又はプログラム等又はプログラム等記録媒体等を製造等する行為を侵害とみなすこととした。

・8号(画像に関する多機能品型間接侵害)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像の作成に用いる物品等について、特101条2号と同様の間接侵害規定を導入することとした。

・9号(画像の保有)
 令和元年改正により、意匠法の保護対象(2条1項)となる画像の範囲を拡大したことに伴い、画像を電気通信回線を通じた提供の目的で保有する行為、画像記録媒体等を譲渡等の目的で所持する行為を侵害とみなすこととした。



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2023年6月23日 弁理士試験 代々木塾 意匠法37条

2023-06-23 13:34:31 | Weblog
2023年6月23日 弁理士試験 代々木塾 意匠法37条

(差止請求権)第三十七条
1 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物品、建築物若しくは画像(その画像を表示する機能を有するプログラム等を含む。第六十四条及び第六十五条第一号を除き、以下同じ。)若しくは画像を記録した記録媒体若しくは内蔵する機器(以下「一般画像記録媒体等」という。)又はプログラム等(画像を表示する機能を有するプログラム等を除く。以下同じ。)若しくはプログラム等を記録した記録媒体若しくは記憶した機器(以下「プログラム等記録媒体等」という。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
3 第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。

〔解説〕

・1項(差止請求)

(1)差止請求権は、排他性のある権利にのみ、認められる。

(2)独占的通常実施権は、排他性がないので、固有の差止請求は認められない。

(3)独占的通常実施権の場合は、民法423条の債権者代位行使が認められる。
 債権者代位行使とは、意匠権が侵害されたときに、意匠権者が有する差止請求権を独占的通常実施権者が原告となって行使することをいう。独占的通常実施権の侵害を理由とするものではない点に注意が必要である。

(4)利用意匠の差止請求
 後願の登録意匠が先願の登録意匠を利用するときは、26条が適用されるのであるから、未登録意匠が登録意匠を利用する場合にも26条が類推適用されるのは、当然のことである(最高裁平成4年9月22日判決・かわら事件)。
 登録意匠が「自転車用ハンドル」であり、第三者が自転車Pを日本国内で業として製造販売しており、自転車Pに係る意匠が登録意匠(ハンドル)又は類似する意匠を利用するものである場合において、意匠権者が37条1項の差止請求をするときは、26条1項を類推して、自転車Pの全体の製造販売の停止を請求することができる。この場合は、37条2項に基づいて自転車Pの廃棄の請求もすることができる。

・2項(付帯請求)

(1)令和元年改正により、侵害の行為を組成したものには、物品のほかに、建築物と、画像を表示する機能を有するプログラムを含む画像と、当該画像を記録した記録媒体又は内蔵する機器(一般画像記録媒体等)と、画像を表示する機能を有するプログラムを除くプログラム等又は当該プログラム等を記録した記録媒体又は記憶した機器(プログラム等記録媒体等)を含めることとした。
 令和元年改正により、意匠の保護対象(2条1項)に、建築物と画像を追加することとしたことに伴う改正である。
 画像には、その画像を表示する機能を有するプログラム等を含むこととしたので、画像に関係のないプログラム等と区別するために、「一般画像記録媒体等」と「プログラム等記録媒体等」に分けて規定することとした。
 意匠権の直接侵害となるもの、意匠権の間接侵害となるものについては、廃棄請求の対象となる。

(2)第六十四条及び第六十五条第一号を除き
 意64条は、意匠登録表示を規定している。
 意65条1号は、虚偽表示の禁止を規定している。

・3項(秘密意匠の制限)

(1)3項の規定の趣旨
 差止請求権は、侵害者の善意悪意を問わずに、行使することができるものである。しかし、秘密意匠の内容は一般公衆に公示されていないので(20条4項)、秘密意匠と同一又は類似の意匠を善意で実施している者に対して、いきなり差止請求を行うことができるとしたのでは苛酷にすぎると考えられる。そこで、一定の事項を記載し、かつ、特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければ、差止請求権を行使できないこととした。

(2)「第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面」
 20条3項4号の願書等の内容のみならず、1号~5号の全てについて記載されていることが必要である。意匠公報には、4号の事項が掲載されていないので、意匠公報の写しのみでは、この要件を満たさない。

(3)特許庁長官の証明を受けたもの
 書面の作成を意匠権者等の任意とすると、警告が不当な場合も起こり得る。
 出願書類の謄本であって特許庁長官の証明を受けたものであれば、この要件を満たすことができる。

(4)提示とは、書面を相手方に示すことをいう。

(5)警告とは、相手方の行為が意匠権の侵害であるか又は侵害するおそれがあることを理由としてその行為の中止を求めること、その行為を中止しなければ差止請求権を行使する用意があること、を内容とする意匠権者又は専用実施権者の相手方に対する意思表示をいう。
 文書については内容証明郵便で警告をし、図面については配達証明郵便で警告をすることが考えられる。

(6)この警告を受けた者は、秘密意匠の存在、内容等について、さらに詳細を調査するため、秘密意匠の閲覧を請求することができる(14条4項4号)。
 警告を受けた者は、出願書類の閲覧を請求して、拒絶理由通知書、意見書、手続補正書等の書類を調査して、無効理由の検討をすることができる。



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