堤卓の弁理士試験情報

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18.11.30 意匠法3条の2ただし書

2006-11-30 09:24:19 | Weblog
意匠法3条の2ただし書

 ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であって、第20条第3項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第4項の規定により同条第3項第4号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があったときは、この限りでない。

【当該意匠登録出願の出願人】
 審査対象である意匠登録出願であって、後願の出願人を意味します。
 後願の出願人は、後願の査定時における出願人を意味します。

【先の意匠登録出願の出願人】
 先願である意匠登録出願であって、意匠権の設定の登録時の出願人を意味します。
 意匠権者とは書いていませんので、あくまでも出願人を意味します。
 したがって、先願の出願人とは、先願が特許庁に係属していたときの最後の出願人を意味します。
 例えば、甲が先願を出願した後、出願人名義変更届により先願の出願人が甲から乙に変更され、乙が先願について意匠権の設定の登録を受けたとすれば、先願の出願人は、甲ではなくて、乙であるということになります。
 そうすると、先願の意匠権を譲り受けても、後願の出願人と先願の出願人とが同一になることはないといえます。

18.11.24 専用実施権者が存在する場合の特許権者の損害賠償請求権

2006-11-24 10:58:35 | Weblog
専用実施権者が存在する場合の特許権者の損害賠償請求権

 特許権の全範囲について専用実施権を設定登録した場合には、特許権者は自己の特許発明といえども、特許法68条ただし書により、業として実施することができません。
 したがって、特許権者がかりに特許発明を実施していたと仮定した場合に生ずる特許製品の売上げ減少による逸失利益の損害は、発生することがありません。
 この場合は、特許法102条1項及び2項の損害賠償請求をすることはできません。
 また、特許法102条3項の実施料相当額の損害賠償請求についても、特許権者は専用実施権者以外の他人に通常実施権を許諾して実施料を受け取る権利がありませんので、実施料相当額の損害を受け取る権利があるのは、専用実施権者であるといえます。
 以上のとおり、特許権の全範囲に専用実施権を設定した場合には、特許権者は特許法102条1項から3項の規定による損害賠償請求はすることができません。
 しかし、特許権者と専用実施権者との契約により、専用実施権者の売上げに応じた額をライセンス料として受け取ることになっている場合には、第三者が実施すると、専用実施権者の売上げが減少することになります。そうすると、専用実施権者から受け取るライセンス料の額も減少することになります。減少したライセンス料は、第三者が侵害したことによって生じています。この場合は、逸失利益の損害であるとして民法709条の規定による損害賠償請求をすることができます。
 この場合のライセンス料減少分の損害額は、特許法102条3項の実施料相当額とはまったく異なるものです。専用実施権のライセンス料は、通常は、特許法102条3項の実施料相当額よりも高く設定されるはずです。したがって、専用実施権のライセンス料を特許法102条3項の実施料と同一視することはできません。すなわち、特許権者が専用実施権者から受け取るライセンス料というのは、特許法102条3項の実施料ではないということになります。
 第三者が実施したことにより、専用実施権者の売上げが減少した場合には、専用実施権者が売上げ減少分を損害額として損害賠償請求をすることができます。
 この場合、特許権者からみると、第三者の侵害がなければ、受け取ることができたはずのライセンス料が、第三者が侵害したことにより、専用実施権者の売上げが減少したことによって、専用実施権者から受け取るライセンス料が減少します。ライセンス料がゼロになるという意味ではありません。この損害は、民法709条の逸失利益の損害と認定することができます。特許法102条3項の損害と認定することはできません。特許権者は専用実施権者以外の他人に実施許諾ができず、特許法102条3項の実施料を受け取る権利がないからです。

18.11.24 補償金請求権と損害賠償請求権との関係

2006-11-24 10:43:38 | Weblog
補償金請求権と損害賠償請求権との関係

 特許法65条1項の補償金請求権は、民法709条の損害賠償請求権とは異なる別個の権利です。
 つまり、出願公開後特許権発生前の出願に係る発明の第三者の業としての実施は、民法709条の不法行為にはなりません。特許権設定登録前の実施について侵害とするのは行き過ぎです。
 したがって、損害賠償請求をすることができるか、という設問に対しては、補償金請求権は解答の内容とはなりません。

口述試験に不合格となった方へのお知らせ

2006-11-17 10:24:17 | Weblog
口述試験に不合格となった方へのお知らせ

近日中に、口述試験の勉強方法についてのガイダンスを東京と大阪で開催します。
参加希望の方は、私にメールを送信してください。
アドレスは、下記のとおりです。
tsutsumi@dream.com

18.11.6 特許法17条の2第4項(シフト補正)

2006-11-06 11:47:42 | Weblog
特許法17条の2第4項

★ケース1
 請求項1に発明イを記載し、請求項2に発明ロを記載した特許出願Aをした場合において、請求項1の発明イについては刊行物Xを引用して新規性がないとする拒絶理由と、請求項2の発明ロについては発明イとの関係で発明の単一性の要件を満たしていないとする拒絶理由の通知を受けたとします。
 出願人が請求項1を削除する補正をすると、当該補正は特許法17条の2第4項の規定に違反することとなります。

★ケース2
 請求項1に発明イを記載し、明細書には発明イと発明ロを記載した特許出願Aをした場合において、請求項1の発明イについては刊行物Xを引用して新規性がないとする拒絶理由の通知を受けたとします。
 請求項1の発明イを発明ロに変更する補正をしたとします。新規性が判断された補正前の発明イと、補正後の発明ロを対比した場合に、発明イは新規性がありませんので、その発明特定事項のすべてが先行技術に対する貢献を明示するもの(特施規25条の8第2項)ではありません。そうすると、発明ロと発明イとの間には、同一の又は対応する特別な技術的特徴は何もないこととなり(特施規25条の8第1項、2項)、発明の単一性の要件を満たさないこととなります。
 よって、当該補正は特許法17条の2第4項の規定に違反することとなります。
 

18.11.2(木) 意匠法3条の2ただし書

2006-11-02 13:41:16 | Weblog
意匠法3条の2ただし書について

3条の2ただし書は、後願の出願人が先願の出願人と同一の場合には、3条の2本文を適用しないとするものです。

いつの時点で出願人が同一であればよいかというと、後願の査定時であるとされています(意匠制度のあり方参照)。

では、先願について意匠公報が発行された場合には、先願の出願人はいつの時点のものをいうのかといいますと、特許庁の解釈では、先願の意匠権の設定の登録時の出願人を意味することになるようです。

つまり、3条の2の拒絶理由の通知がきた場合に、先願の意匠権について移転登録申請をして、後願の出願人と同一人が先願の意匠権者となったとしても、3条の2ただし書の適用はしないということです。

そうすると、3条の2の拒絶理由の通知を受けた出願人のとり得る措置は、下記のとおりになります。

例えば、先願Aの出願人が甲で、後願Bの出願人が乙であるとします。
3条の2の拒絶理由が通知されるのは、先願について意匠公報が発行された後です。つまり、先願Aについて意匠権の設定の登録がされた後です。
3条の2の拒絶理由の通知を受けた乙は、出願Bの出願人を乙から甲にするために出願人名義変更届を特許庁長官に提出します。
そうすると、出願Bの出願人甲は、出願Aに係る意匠権の設定の登録時の出願人甲と同一人となります。この場合は、3条の2の拒絶理由が解消します。
その他の拒絶理由がなければ、出願Bについて甲が意匠権を取得します。
その後、出願Bに係る甲の意匠権を乙が譲り受けるために、意匠権移転登録申請書を特許庁長官に提出します。

以上の措置をとることにより、乙は、出願Bに係る意匠について意匠権を取得することができます。
ただし、乙が甲に交渉して前記の措置をとることについて合意することが必要です。

答案構成講座・前期・意匠法の問題では、3条の2の拒絶理由に対するとり得る措置として、先願の意匠権を後願の出願人に移転した場合にも、3条の2ただし書が適用されると説明しましたが、この解釈は特許庁により否定されることになりますので、訂正します。