堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

H22/11/23 意匠審査便覧15.05

2010-11-23 13:08:23 | Weblog
意匠審査便覧15.05
 パリ条約による優先権等の主張の効果及び優先期間内にされた他の同一又は類似する意匠の出願の取扱い

1.優先権の主張を伴った意匠登録出願に係る意匠についての新規性、創作性、先後願の判断の基準日
 同盟国若しくは加盟国又は特定国の一国への最初の出願の日から他の同盟国若しくは加盟国又は特定国への優先権の主張を伴う後の出願の日までの期間内にされた他の出願等によって後の出願は不利な取扱いを受けない(パリ条約4条B)。したがって、パリ条約及び我が国の意匠法中に条約国に最初に出願をした日を我が国に意匠登録出願した日とみなす旨の規定はないが、意匠登録出願に係る意匠についての新規性(意3条1項)、創作非容易性(意3条2項)、先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠の保護除外(意3条の2)、先願(意9条)、関連意匠(意10条)に関する審査においては、優先権の主張の効果として優先権が認められる最初の出願の日を、その判断の基準日とする。

2.優先期間内にされた他の同一又は類似する意匠の出願の取扱い
 優先権の主張日と我が国への意匠登録出願日との間に優先権の主張を伴った意匠登録出願に係る意匠と同一又は類似の意匠の他の意匠登録出願がされた場合は、優先権の主張を伴った意匠登録出願を優先して意匠登録を受けるべきものとして取り扱うこととする。

H22/11/23 意匠審査便覧42.47

2010-11-23 11:39:53 | Weblog
意匠審査便覧42.47
 意匠登録出願前に公開した模様に基づいて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする場合について

 意匠法第4条第2項の規定から、公開されたものはあくまでも意匠でなくてはならない(注)ことから、創作者の創作した意匠の一部として模様のみを公開した場合は、当該模様は、意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して、又は意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至つた意匠には該当しない。

(注)新規性喪失の例外の規定は、「意匠登録を受ける権利を有する者」の救済を目的とする規定であることから、意匠登録を受けることができない模様のみを公開した場合にまで、本規定を適用することは、創作した意匠を保護する意匠法本来の目的から認められない。

H22/11/17 審査便覧42.46

2010-11-17 13:52:14 | Weblog
審査便覧42.46
 相互に類似する公開意匠A、A’が同日又は異日に初めて公開されたものである場合において、それぞれの公開意匠と同一の意匠について意匠登録出願を意匠法第4条第2項の規定の適用を受ける手続と共に同日にした時に、「証明する書面」にはそれぞれの出願の意匠と同一の公開意匠しか記載されていなかった場合の取扱いについて

 両出願が、本意匠と関連意匠出願の関係にあるか否かにかかわらず、意匠登録出願の意匠Aについては、意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなすことができる公開意匠はAのみであり、同様に意匠登録出願の意匠A’については、公開意匠A’のみである。
 したがって、意匠登録出願の意匠Aは公開意匠A’と類似し、又意匠登録出願の意匠A’は公開意匠Aと類似することから、いずれも意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、拒絶となる。
 なお、意匠登録出願A及びA’の出願に当たり、それぞれ公開意匠A及びA’を「証明する書面」に記載し、意匠法第4条第2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り意匠登録出願の意匠A及びA’は登録される。(説明は、44.44を参照)

H22/11/12 意匠審査便覧42.45

2010-11-12 07:23:17 | Weblog
意匠審査便覧42.45
 意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨の書面を提出した意匠登録出願の意匠Aを「本意匠」とする関連意匠の意匠登録出願に係る意匠A’の登録要件判断における、意匠法第4条第3項の「証明する書面」によって示された公開意匠Aの取扱いについて

 関連意匠の意匠登録出願については、意匠法第4条第2項の規定を受けるための手続がされていないのであるから、公開意匠Aと類似する関連意匠の意匠登録出願の意匠A’は、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、拒絶となる。
 なお、関連意匠の意匠登録出願A’の出願に当たり、公開意匠Aを「証明する書面」に記載し、意匠法第4条第2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り関連意匠の意匠登録出願の意匠A’は登録される。(説明は、42.44を参照)


H22/11/10 代々木塾H23口述練習会・前期(1月~3月)全12回(平成23年度口述試験用)

2010-11-10 07:04:59 | Weblog
代々木塾H23口述練習会・前期(1月~3月)全12回(平成23年度口述試験用)

代々木塾で平成23年度の口述試験を受験される方のために開催するものです。
論文試験の合格発表後の直前の口述練習会のみでは口述試験に合格することは困難な状況となってきています。
早期から口述練習を行うことにより確実に口述試験に合格することができます。

口述練習会・中期(4月~6月)と口述練習会・後期(7月~9月)も開催を予定しています。

口述練習会・前期は、平成23年1月から3月まで、毎週1回(全12回)、1人あたり30分程度(3科目合計)の口述練習を行います。
直前の口述練習会と同様に、講師が質問し、受験生が回答する形式で行います。
1人ずつ口述練習を行います。その間、他の方は質疑応答を見学することになります。
他の方の質疑応答を見学することも勉強になります。

下記の3コースがあります。
月曜コース 定員5名 1月10日~3月28日
水曜コース 定員5名 1月12日~3月30日
木曜コース 定員5名 1月13日~3月31日
会場 東京事務局 ゼミ室
時間 18:30~21:30
ただし、祝日のときは、13:00~16:00

各コースの定員は5名を予定しています。
先着順に申込みを受け付けます。
定員以内の場合にはその旨をお知らせしますので、それまで受講料のお振り込みは待ってください。
定員を超えたときは、申込み後に、定員を超えた旨をお知らせします。
その場合は、参加できませんので、ご了承ください。

通信の受講もできます。
ただし、通信の場合は、実際の口述練習に参加することはできません。
通学の録音CDを聴くことができるのみです。
実際にどのような質疑応答がされているのかを耳で聞くことによっても、勉強になります。

※注意事項
 通学で参加の方は、質疑応答を録音し、録音CDを通信の方に提供することに同意したものとさせていただきます。


H22/11/9 最終合格発表

2010-11-09 15:43:20 | Weblog
 本日(平成23年11月9日)、弁理士試験の最終合格発表がありました。
 口述試験不合格者の数が過去最大の規模となりました。
 
 短答免除かつ論文免除の方は、口述のみの勉強をすることになります。
 今年の口述試験の体験を踏まえて、どのような勉強をすべきか、きちんと計画を立てて、勉強を開始することが大事です。
 青本の読み込み、審査基準のチェック、裁判例のチェック等が、重要な事項となります。

 短答免除の期間が経過した方は、平成23年度は、短答試験から受験することが必要となります。
 短答試験に合格しなければ、口述試験を受けることができません。
 過去2年間、短答の勉強をしていない方は、条約、著作権法、不正競争防止法の勉強もしなければなりません。
 口述試験のみを受験すればよい方とは、相当に負担が重くなります。
 年内のうちにきちんとした計画を立てて勉強することが大事です。

 論文免除の期間が経過した方は、平成23年度は、論文試験を受けて、合格しなければ、口述試験を受けることができません。
 過去2年間、論文の答案を書いたことがない方は、答案を書く練習をすることが大事です。

 飯田橋ゼミでは、短答ゼミと論文ゼミがあります。途中からでも参加できます。

 代々木塾では、口述対策青本講座を開講します。
 短答用として条約、著作権法、不正競争防止法の特別講座を開講します。

 がんばりましょう。応援します。

H22/11/8 意匠審査便覧42.44

2010-11-08 07:34:05 | Weblog
意匠審査便覧42.44
 相互に類似する意匠A、A’が同時に初めて公開された場合において、公開意匠Aに基づいて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願の「証明する書面」には公開意匠Aしか記載されていない場合の当該意匠登録出願に係る意匠の取扱いについて

 この場合、当該意匠登録出願において意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなすことができる公開意匠はAのみである。
 したがって、当該意匠登録出願された意匠は、意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至った公開意匠A’と類似する意匠であることから、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、拒絶となる。
 なお、意匠登録出願Aの出願に当たり、公開意匠A及びA’を「証明する書面」に記載し、意匠法第4条第2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り意匠登録出願の意匠Aは登録される。

(説明)
 平成11年に改正された意匠法第4条第2項は、意匠登録出願前の公開意匠と当該意匠登録出願の意匠との同一又は類似を問わずに、「証明する書面」に記載された公開意匠が然るべき要件を満たしたときに意匠法第3条第1項又は第2項の規定により拒絶されないよう明示的に規定したものである。しかるに、この規定の反射的効果として意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする公開意匠すべてにつき「証明する書面」に記載することが必要となったものである。
 さらに、①意匠の登録要件の一つである意匠法第3条第1項又は第2項の例外規定である意匠法第4条に、このような場合に対する特段の更なる例外規定が設けれられていないこと、②公開された相互に類似するそれぞれの意匠について意匠の新規性の喪失の例外規定の適用を申請し意匠登録出願することにより、関連意匠制度によってそれぞれの意匠権が独立して発生することから、上記のとおり取り扱うこととする。

H22/11/5 意匠審査便覧10.37

2010-11-05 08:46:46 | Weblog
意匠審査便覧10.37
 意匠法第4条第2項の「該当するに至った日」と意匠登録出願の間になされた公開行為についての取扱い

1.意匠登録を受ける権利を有する者が、意匠登録出願前に意匠法第3条第1項第1号又は第2号の規定に該当するに至った意匠を複数回に亘って公開した場合には、その意匠が最先の公開について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるものであれば、第2回以降の公開によっても、その意匠は意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとする。

2.意匠法第4条第2項の「該当するに至った日」と意匠登録出願の間に第三者が「該当するに至った意匠」と同一の意匠を公開した場合には、その意匠は第三者の公開によって意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当したものとする。
 ただし、第三者の公開が「該当するに至った意匠」の公開に基づくことが明らかな(注)ときはこの限りでない。

(注)「第三者の公開が該当するに至った意匠の公開に基づくことが明らかなとき」とは、例えば「展示会の紹介記事」のようなことをいう。

(説明)
 意匠法第4条第2項に規定する「前条第1項第1号又は第2号に該当するに至った」意匠とは、意匠登録を受ける権利を有する者の行為により初めて公開された意匠ということを意味し、その意匠について「同項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなす」ということは、前記行為によって初めて公開された意匠について、その公開の日から6月以内にその者が出願をすると共に意匠法第4条第3項の手続をしたときに限り、新規性を喪失するに至らなかったものとみなすものである。
 そして、意匠法第4条第2項は、意匠登録を受ける権利を有する者の公開行為に何等制限を設けず、意匠に係る物品を製造し販売する等、第2回以降の公開について意匠登録出願人自身では律し切れない場合も例外事由とするものであるから、前記公開行為によって初めて公開された意匠がその公開に基づいて再度公開される限り、たとえそれが第三者の公開行為によるものであっても、そのことによって当該擬制が否定されることはないと解される。
 しかし、意匠法第4条第2項は、意匠の登録要件の判断を最先の公開時に行うとするものではなく、意匠登録を受ける権利を有する者(原始的には創作者)が、当該権利の発生原因たる意匠の創作に基づいて、意匠登録出願前にその創作に係る意匠を公開することを許容するに止まるから、第三者が別個に同一の意匠を創作し公開した場合についてまで、その意匠が新規性を喪失しないとするものではない。
 したがって、本文のとおり取り扱うものとする。

H22/11/4 意匠審査便覧10.31

2010-11-04 12:00:15 | Weblog
 意匠審査便覧10.31
 意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるための手続

 意匠法第3条第1項第1号又は同条同項第2号に該当するに至った意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるためには次の手続がなされていなければならない。

1.その旨を記載した書面が意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されているか(意4条3項)、あるいは願書にその旨が記載されていなければならない(意施19条2項[準]特施27条の4)。
 なお、電子情報処理組織を使用して手続を行う場合には、その旨を記載した書面の提出に代えて、当該意匠登録出願の願書に「【特記事項】」の欄を設けて「意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願」と記載しなければならない。(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則12条)

2.その意匠登録出願の日から30日以内に、意匠法第3条第1項第1号又は同条同項第2号に該当するに至った意匠が意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができる意匠であることを「証明する書面」が提出されていなければならない(意4条3項)。
 なお、「証明する書面」を提出するときは、意匠法施行規則様式第1に規定された「新規性の喪失の例外証明書提出書」を添付しなければならない(意施1条)。

 1又は2のいずれかがなされていない場合には、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができない。


H22/11/3 意匠審査便覧10.30.01

2010-11-03 06:30:49 | Weblog
 意匠審査便覧10.30.01
 意匠法第4条第3項にいう「証明する書面」として内外国特許公報等が提出された場合の取扱い

 意匠法第3条第1項第1号又は同条同項第2号に該当するに至った意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるために内外国特許公報等(内外国の特許公報、実用新案公報、意匠公報及び商標公報)が意匠法第4条第3項にいう「証明する書面」として提出された場合、これらの公報へのその意匠の掲載は意匠法第4条第2項の「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因」したものとは認められないから、その意匠については同規定の適用を認めず審査を進める。

(説明)
 意匠法第4条第2項に規定される「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」の文言は、新規性の喪失の例外事由を限定的に列挙した特許法第30条第1項に比較して包括的表現となっているが、そのように表現したのは立法時の議論にも見られるとおり、意匠の場合は特許法に規定する「試験」、「刊行物に発表」、「学会発表」の他に意匠登録出願前であっても実施化に先立つ市場調査又は実施に相当する「販売」、「展示」、「見本の頒布」等が行われる事例が多いとの事情を考慮し、当該意匠がこれらの公開意匠の存在を理由として登録を受けることができないとすることは創作者にとって酷であり産業の発達に寄与するという法の目的にもとる結果ともなる場合があることから、これら公開行為も新規性の喪失の例外事由に含めるためであったと解され、とすると、上記の文言は新規性の喪失の例外事由を必要以上に拡大するものではない。
 ところで、特許法第30条第1項にいう「刊行物に発表」とは、特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に刊行物を発表した場合をいうのであって、例えば、公開特許公報は、特許を受ける権利を有する者が特許出願をしたことにより、特許庁長官が手続の一環として特許法第65条の2の規定に基づき出願に係る発明を掲載して刊行するものであるから、これによって特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に当該発明を刊行物に発表したものということはできない。これは、外国における公開特許公報であっても同様である、と解されている。(昭和61年(行ツ)第160号 平成元年11月10日最高裁判決)
 そうすると、意匠法第4条第2項にいう「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」についても、この最高裁判決の論旨から「意匠登録を受ける権利を有する者自らの主体的な行為に起因して」と解すべきである。
 また、仮に外国特許公報等に掲載されることを新規性喪失の例外事由として認めることは、パリ条約による優先権等の主張の利益と重ね過重な保護を与えることとなったり、時機を失した出願の救済につながることとなり、結果として第三者に不測の事態をもたらす場合も予測されることから、創作者の救済措置として必要な限度を越えていると言わざるを得ない。
 したがって、意匠登録出願前に当該意匠が上記公報等へ掲載されることは、法の予定する新規性の喪失の例外事由に該当せず、「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因」したものとは認められない。
 よって、本文のように取り扱うものとする。