堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

19.4.30 短答H18〔52〕

2007-04-30 09:48:12 | Weblog
 平成18年度 短答式試験 

〔52〕特許発明の技術的範囲に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許請求の範囲の請求項の記載が機能的な表現を含んでいる場合、その請求項に係る特許発明の技術的範囲は、常に願書に添付した明細書に記載した実施例に限定して定められる。
〔解答〕誤り
 キルビー特許の最高裁判決が出る前は、裁判所において無効理由の存否を審理判断できなかったことから、実施例に限定して特許権の侵害を否定する裁判例が多かった。しかし、現在では、特許法104条の3第1項があるので、被告は、広すぎる請求の範囲に対しては、特許法36条6項1号違反であるとして、無効理由の抗弁を主張することができる。したがって、実施例に限定して特許権の侵害を否定するという無理な解釈をする必要性がなくなってきている。


2 特許庁の判定においては、特許発明の技術的範囲を認定するために、願書に添付した要約書の記載を考慮することができる。
〔解答〕誤り
 特許法70条3項は、「前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。」と規定している。したがって、特許庁の判定においても、要約書の記載を考慮して特許発明の技術的範囲を認定することはできない。


3 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載のみに基づいて定めなければならず、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないなどの特段の事情がある場合に限って、願書に添付した明細書の記載を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈することができる。
〔解答〕誤り
 最高裁判決平成3年3月8日(トリグリセリドの測定方法)は、「特許の要件を審理する前提としてされる特許出願に係る発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなど、発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。」と判示しているが、その後、特許法70条2項が新設されたので、この最高裁判決は現行法には適用できなくなった。すなわち、特許法70条2項は、「前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」と規定しており、明細書等の記載を考慮すべきこととされた。


4 特許庁の判定においては、具体的な製品が他人の特許発明の技術的範囲に属するか否かについての判断を求めることができる。
〔解答〕正しい
 特許庁の判定においては、具体的な製品(イ号製品)が他人の特許発明の技術的範囲に属しないとする判断を求めることができる。


5 特許権侵害訴訟においては、特許発明の技術的範囲を認定するために、当該特許に係る出願の経過を参酌することができない。
〔解答〕誤り
 最高裁判決平成10年2月24日(無限摺動用ボールスプライン軸受)は、「明細書の特許請求の範囲に記載された構成中に他人が製造等をする製品又は用いる方法と異なる部分が存する場合であっても、右部分が特許発明の本質的部分ではなく、右部分を右製品等におけるものと置き換えても特許発明の目的を達することができ同一の作用効果を奏するものであって、右のように置き換えることに当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が右製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、右製品等が特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は右の者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、右製品等が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、右製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解すべきである。」と判示している。
 均等の第5要件として、「右製品等が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情」がないことが挙げられている。この第5要件について、前期最高裁判決は、「特許出願手続において出願人が特許請求の範囲から意識的に除外したなど、特許権者の側においていったん特許発明の技術的範囲に属しないことを承認するか、又は外形的にそのように解されるような行動をとったものについて、特許権者が後にこれと反する主張をすることは、禁反言の法理に照らし許されないからである。」と述べている。
 したがって、文言侵害においても、出願の経過を参酌して、技術的範囲を定めることができるものと解すべきである。

19.4.29 短答H18〔51〕

2007-04-29 09:35:12 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔51〕特許法に規定する訂正審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ)特許権者は、願書に発明者の氏名を誤って記載しているとき、特許無効審判が特許庁に係属していることなどにより訂正審判を請求することができない期間を除き、当該誤記の訂正を目的として、訂正審判を請求することができる。
〔解答〕誤り
 特許法126条1項は、「特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。」と規定している。
 したがって、訂正審判において訂正ができるのは、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項であって、願書に記載した事項は、訂正審判の訂正の対象にはならない。

(ロ)訂正審判は、特許権の消滅後においても、その消滅の理由にかかわらず請求することができる。
〔解答〕誤り
 特許法126条6項は、「訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。」と規定している。
 したがって、特許無効審判において無効にされた後は、訂正審判を請求することができない。

(ハ)訂正審判において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする場合も、誤記又は誤訳の訂正を目的とする場合も、その訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること、及びその訂正が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることが必要である。
〔解答〕誤り
 特許法126条5項は、「第一項ただし書第一号又は第二号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。」と規定している。したがって、3号の明りようでない記載の釈明を目的とする訂正については、独立特許要件は判断されることはない。
 特許法126条3項は、「第一項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(同項ただし書第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。」と規定している。したがって、2号の誤記又は誤訳を目的とする訂正については、かっこ書が適用されるため、願書に添付した明細書等に記載した事項に限定されることはない。

(ニ)訂正審判において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに限られる。
〔解答〕正しい
 特許法126条1項ただし書のとおりである。

(ホ)特許権者が訂正審判を請求するとき、承諾を要する者は、専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者のみである。
〔解答〕誤り
 特許法127条は、「特許権者は、専用実施権者、質権者又は第三十五条第一項、第七十七条第四項若しくは第七十八条第一項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。」と規定している。したがって、登録した者に限定されることはない。

19.4.27 短答H18〔46〕

2007-04-27 15:21:17 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔46〕特許法第41条の規定による優先権の主張( 特許出願等に基づく優先権主張)に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
 ただし、特許出願は、国際出願に係るものではなく、特に文中に示した場合を除き、外国語書面出願でも実用新案登録に基づく特許出願でも、分割又は変更に係るものでもなく、また、他のいかなる優先権の主張も伴わないものとする。

(イ)出願公開の請求をし、出願公開がされた特許出願は、優先権の主張の基礎とすることができる場合はない。
〔解答〕誤り
 特許法41条1項各号には、優先権の主張の基礎とすることができない出願が列挙されているが、出願公開がされた出願を国内優先権の主張の基礎とできないとする規定はない。したがって、先の出願が出願公開された場合であっても、1年以内であれば、国内優先権の主張の基礎とすることができる。


(ロ)実用新案登録に基づく特許出願は、優先権の主張の基礎とすることができる場合はない。
〔解答〕正しい
 特許法41条1項2号は、「先の出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第十一条第一項において準用するこの法律第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合」は、国内優先権の主張の基礎とすることができない旨を規定している。


(ハ)特許出願後に、その特許出願に係る発明についての特許を受ける権利を承継し、特許庁長官に届け出た者は、当該特許出願を基礎として優先権の主張をすることができる。
〔解答〕正しい
 特許法41条1項は、「特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。」と規定している。
 すなわち、「先の出願」は、「その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの」であればよいこととなる。そして、この要件の判断は、41条4項では、「第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定していることから、後の出願時に判断することとなる。
 以上より、後の出願時において、先の出願の出願人と同一の者が後の出願をすることができることとなる。すなわち、後の出願時において、先の出願について出願人名義変更届が提出され、却下されていなければ、変更後の名義人が後の出願をすることができることになる。


(ニ)外国語書面出願の外国語書面の日本語による翻訳文が、当該特許出願の日から2月以内に提出されず、その特許出願が取り下げられたものとみなされたときは、当該期間の経過後に当該特許出願を基礎として優先権の主張をすることができる場合はない。
〔解答〕平成18年改正により、問題不成立
 特許法36条の2第2項本文の「2月」は、平成18年改正により、「1年2月」となった。
 したがって、先の出願が外国語書面出願である場合は、優先期間の1年以内に外国語書面の翻訳文を提出しなくても、外国語書面出願がみなし取下げとなることはない(36条の2第3項)。
 外国語書面出願の日から1年以内であれば、外国語書面出願は特許庁に係属しているため、外国語書面出願を基礎として国内優先権の主張を伴う後の出願をすることができる。
 先の外国語書面出願については権利取得の意思がないため、外国語書面の翻訳文を提出する必要がない。外国語書面出願の日から1年2月を経過すると、外国語書面出願はみなし取下げとなるが(36条の2第3項)、後の出願には影響を与えることがない。


(ホ)発明イについて特許出願Aをした後、Aを基礎とする優先権の主張を伴って発明イ、ロについて特許出願Bをした。その後、Bの分割をして、発明イについて特許出願Cをした場合、特許法第39条(先願)の規定の適用については、CはAの出願の時にされたものとみなされる。
〔解答〕正しい
 特許出願Bに係る発明イは、先の特許出願Aに記載されているので、優先権の利益を享受することができる(41条2項)。分割に係る特許出願Cは、もとの特許出願Bの時にされたものとみなされる(44条2項本文)。そうすると、特許出願Cに係る発明イは、特許法39条の適用においては、分割の効果と国内優先権の効果により、特許出願Aの時にされたものとみなされることになる。

19.4.26 短答H18〔44〕

2007-04-26 11:30:11 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔44〕特許法に規定する審決取消訴訟に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許を受ける権利の共有者が、共同して拒絶査定不服審判を請求し、請求は成り立たない旨の審決を受けた場合、各共有者は単独で審決取消訴訟を提起することができる。
〔解答〕誤り
 最高裁判決平成7年3月7日(磁気治療器事件)は、「実用新案登録を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする実用新案登録出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、右共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきである。けだし、右訴訟における審決の違法性の有無の判断は共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものであって、右審決を取り消すか否かは共有者全員につき合一に確定する必要があるからである。実用新案法が、実用新案登録を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは共有者の全員が共同で請求しなければならないとしている(同法41条の準用する特許法132条3項)のも、右と同様の趣旨に出たものというべきである。」と判示している。


2 請求は成り立たない旨の審決の謄本が、審判を請求した者に対し、ある年の5月15日(月曜日)に送達された場合、その審決に対する審決取消訴訟を同年6月15日(木曜日)に提起することができる。ただし、審決取消訴訟の提起のための付加期間は定められていないものとする。
〔解答〕誤り
 特許法178条3項は、「第1項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から30日を経過した後は、提起することができない。」と規定している。
 特許法3条1項1号が適用されるので、5月16日が30日の初日となる。5月は31日まであるので、16日あることになる。残りは14日であるので、30日の末日は、6月14日(水曜日)となる。


3 審決取消訴訟において、5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体でする際には、当事者の意見を聴かなければならない。
〔解答〕誤り
 特許法182条の2は、「第178条第1項の訴えに係る事件については、5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。」と規定している。
 すなわち、当事者の意見を聴かなければならないとする規定はない。


4 審決取消訴訟において、裁判所は、審判の手続で審理判断されていた刊行物記載の発明のもつ意義を明らかにするため、審判の手続に現れていなかった資料に基づき、当該特許出願当時における当業者の技術常識を認定することができる。
〔解答〕正しい
 最高裁判決昭和55年1月24日は、「実用新案登録の無効についての審決の取消訴訟においては、審判の手続において審理判断されていなかつた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断することの許されないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところであるが(最高裁昭和51年3月10日大法廷判決)、審判の手続において審理判断されていた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断するにあたり、審判の手続にはあらわれていなかつた資料に基づき右考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)の実用新案登録出願当時における技術常識を認定し、これによつて同考案のもつ意義を明らかにしたうえ無効原因の存否を認定したとしても、このことから審判の手続において審理判断されていなかつた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断したものということはできない。」と判示している。


5 特許無効審判についての審決取消訴訟において、審決取消しの判決が確定したとき、改めて行われる特許無効審判手続の審判官は、当該取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につき、その判決を不服とする当事者が従前の主張を裏付ける新たな証拠を提出した場合に限り、当該認定判断が誤りであるとの主張をすることを許すことができる。
〔解答〕誤り
 最高裁判決平成4年4月28日(高速旋回式バレル研磨法)は、「1 特許無効審判事件についての審決の取消訴訟において審決取消しの判決が確定したときは、審判官は特許法一八一条二項の規定に従い当該審判事件について更に審理を行い、審決をすることとなるが、審決取消訴訟は行政事件訴訟法の適用を受けるから、再度の審理ないし審決には、同法三三条一項の規定により、右取消判決の拘束力が及ぶ。そして、この拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから、審判官は取消判決の右認定判断に抵触する認定判断をすることは許されない。したがって、再度の審判手続において、審判官は、取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すこと、あるいは右主張を裏付けるための新たな立証をすることを許すべきではなく、審判官が取消判決の拘束力に従ってした審決は、その限りにおいて適法であり、再度の審決取消訴訟においてこれを違法とすることができないのは当然である。このように、再度の審決取消訴訟においては、審判官が当該取消判決の主文のよって来る理由を含めて拘束力を受けるものである以上、その拘束力に従ってされた再度の審決に対し関係当事者がこれを違法として非難することは、確定した取消判決の判断自体を違法として非難することにほかならず、再度の審決の違法(取消)事由たり得ないのである(取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断の当否それ自体は、再度の審決取消訴訟の審理の対象とならないのであるから、当事者が拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断を誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返し、これを裏付けるための新たな立証をすることは、およそ無意味な訴訟活動というほかはない)。」と判示している。

19.4.25 短答H18〔41〕

2007-04-25 19:26:23 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔41〕特許法に規定する手続に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 特許法第30条の発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けた先の特許出願を優先権の主張の基礎として特許出願をした場合、その優先権の主張を伴う特許出願と同時に、同規定の適用を受けようとする旨の書面及び同法第29条第1項各号の一に該当するに至った発明が同規定の適用を受けられる発明であることを証明する書面が特許庁長官に提出されたものとみなされる。
〔解答〕誤り
 特許法41条には、44条4項のような書類のみなし提出の規定は設けられていない。したがって、国内優先権の主張を伴う後の出願をするときには、30条4項の手続をあらためてしなければならない。41条2項は、30条1項から3項までの規定の適用については、当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす旨を規定している。したがって、6月以内に先の出願がされていればよいことになる。30条4項については、後の出願と同時に適用を受けたい旨の書面を提出し、後の出願の日から30日以内に証明書面を提出すればよい。


2 実用新案登録に基づく特許出願については、当該特許出願の分割をして新たな特許出願をすることができる場合がある。
〔解答〕正しい
 特許法46条の2に基づく特許出願において、発明の単一性を満たしていないときは、44条1項により分割出願をすることができる。
 例えば、基礎とした実用新案登録の明細書には発明の単一性を満たさない複数の発明イとロが記載されていた場合において、発明イと発明ロの両方について実用新案登録に基づく特許出願をすることにより特許権を取得したい場合がある。しかし、実用新案登録に基づく特許出願は1つしかできないため、とりあえず1つの実用新案登録に基づく特許出願をしておいて、後日、この特許出願を分割することにより、発明イについてはもとの出願で、発明ロについては分割出願で、それぞれ特許権を取得することができる。


3 訂正審判において、特許法第156条第1項に規定する審理の終結の通知があった後であっても、当該訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる場合がある。
〔解答〕正しい
 特許法17条の4第2項は、審理終結通知後に審理が再開されたときは、その後さらに審理終結通知がされるまでは、訂正特許請求の範囲等について補正ができる旨を規定している。


4 パリ条約による優先権の主張を伴う特許出願の分割をして新たな特許出願をする場合、その新たな特許出願と同時に当該優先権の主張をするための手続をしなくとも、その新たな特許出願について当該優先権の利益を享受することができる場合がある。
〔解答〕正しい
 特許法44条4項は、43条1項及び2項の手続については、もとの出願について書面及び書類が提出されている場合には、分割出願について提出されたものとみなす旨を規定している。


5 国際特許出願に係る発明について、特許法第30条の発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする場合、同規定の適用を受けようとする旨の書面及び同法第29条第1項各号の一に該当するに至った発明が同規定の適用を受けられる発明であることを証明する書面を、国内処理基準時の属する日後30日以内に特許庁長官に提出することができる。
〔解答〕正しい
 特許法184条の14は、「第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第29条第1項各号の一に該当するに至つた発明が第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第4項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。」と規定している。特許法30条4項の手続を直接できない場合の救済規定である。

19.4.24 短答H18〔36〕

2007-04-24 18:27:53 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔36〕特許無効審判及び延長登録無効審判に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

1 特許無効審判が請求された場合において、請求書に記載された請求の理由が、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定したものではなく、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでないときは、その請求書について補正が命じられることなく、審決をもって審判の請求が却下されることがある。
〔解答〕正しい
 記載不備が著しく、補正をすると必ず要旨の変更となるような場合は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるとして、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもって審判の請求を却下することができる(135条)。


2 特許無効審判において、審判の請求以外の手続に対して当該手続は不適法であってその補正をすることができない旨の通知がされ、請求人より弁明書が提出されたが、決定をもって当該手続が却下された。この場合において、請求人がこの決定に対して不服があるときは、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができる。
〔解答〕正しい
 特許法133条の2第1項は、「審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。」と規定している。この場合、却下の決定を受けた者は、審判長の処分であるので、特許庁長官に行政不服審査法に基づく審査請求をすることができる。


3 医薬の特許発明について、登録された専用実施権者が、薬事法の規定による許可を受けることが必要であり当該特許発明を実施することができない期間があったことを理由に特許権の存続期間の延長登録の出願を行い、延長登録を受けた。この場合において、当該延長登録の出願人が専用実施権者であることは、延長登録無効審判における無効理由となる。
〔解答〕正しい
 特許法125条の2第1項第4号は、「その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。」は、延長登録無効理由となることを規定している。
 したがって、専用実施権者が延長登録を受けた場合には、4号に該当するので、延長登録無効審判において無効理由となる。


4 特許無効審判が請求され、答弁書が提出された後、請求の理由について補正がされ、審判長が決定をもって当該補正を許可した。この場合において、被請求人は、当該決定の取消しを求める訴訟を提起することはできないが、行政不服審査法に基づく不服申立てをすることは可能である。
〔解答〕誤り
 特許法131条の2第4項は、「第2項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。」と規定している。したがって、審判長の補正の許可の決定に対しては、訴訟の提起もできなければ、行政不服審査法に基づく不服申立てもすることができない。


5 2以上の請求項に係る特許権について、複数の存続期間の延長登録の出願がなされ、複数の延長登録が設定されている。この場合において、すべての延長登録を無効にするには、請求項ごとにではなく、延長登録ごとに延長登録無効審判の請求をしなければならない。
〔解答〕正しい
 延長登録無効審判は、請求項ごとには請求することができず、延長登録ごとに請求しなければならない(125条の2第1項)。延長登録の要件を請求項ごとに判断するわけではないからである。複数の請求項のうち、延長登録の要件を満たす請求項が一つでもあると、全体として延長登録がされる。

19.4.23 短答H18〔35〕

2007-04-23 22:25:36 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔35〕特許法に規定する国際特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 国際公開がされた後、所定の翻訳文が提出された外国語特許出願が、その後取り下げられたため、国内公表されなかった。この場合、当該外国語特許出願の明細書に記載された発明について当該外国語特許出願がいわゆる拡大された先願の地位(特許法第29条の2)を得ることはない。
〔解答〕誤り
 特許法184条の13において、29条の2の他の出願から除外されるのは、「第184条の4第3項又は実用新案法第48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた第184条の4第1項の外国語特許出願又は同法第48条の4第1項の外国語実用新案登録出願」である。
 したがって、所定の翻訳文を提出しているので、その後自発的に外国語特許出願を取り下げたとしても、外国語特許出願は、国際公開によって、29条の2の他の出願としての地位を有することとなる。


2 外国語特許出願の出願人が、当該出願の国際公開の後に、当該出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告したときは常に、その警告後特許権の設定登録前に業としてその発明を実施した者に対し、補償金請求権を有する。
 ただし、出願人と発明者は同一であり、発明を実施した者は先使用権を有しておらず、また、取下げなどにより補償金請求権がはじめから生じなかったものとみなされることはないものとする。
〔解答〕誤り
 特許法184条の10第1項は、「国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、」と規定している。
 そうすると、外国語特許出願について補償金請求権が発生するのは、早くても国内公表後である。国際公開がされているとしても、国内公表がされる前の行為については、補償金請求権は発生しない。


3 出願人が、特許協力条約第23条(2)の規定に基づき、国際公開の前に指定官庁である特許庁長官に対し審査を開始するよう明示の請求を行った国際特許出願については、特許法第184条の5第1項に規定する書面(該当する場合には、併せて特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文)が提出され、所定の手数料が納付され、出願審査の請求が行われた場合、特許庁長官は、審査官に当該国際特許出願を直ちに審査させなければならない。
〔解答〕誤り
 特許法には優先審査制度(48条の6)や運用で早期審査制度があるが、国際特許出願について早期に出願審査の請求がされたことを理由として、当該国際特許出願について直ちに審査官に審査させるとする規定はない。審査の開始時期は、特許庁内部の運用で変動するものである。

4 外国語特許出願の出願人が、特許協力条約第34条(2)(b)の規定に基づいて、図面中に説明のない図面のみを補正した場合、国内処理基準時の属する日までに、その補正書の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなくても、その図面について特許法第17条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
〔解答〕誤り
 特許法184条の8第1項は、「国際特許出願の出願人は、条約第34条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。」と規定している。
 補正書の翻訳文とは、図面の補正をした場合は、図面の差替え用紙の全部を意味するので、図面の中の説明がない場合であっても、補正書の翻訳文として提出しなければならない。特許法184条の4第1項では、「図面(図面の中の説明に限る。)」とあるので、図面の中の説明の翻訳文は提出する必要がないが、特許法184条の8第1項では、「補正書の日本語による翻訳文」とあり、図面の線図の部分を翻訳文の対象から除外していない。


5 国内書面提出期間内又は翻訳文提出特例期間内に、外国語特許出願の国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出しなかったにもかかわらず、当該外国語特許出願が取り下げられたものとみなされない場合がある。
(解答)正しい
 特許法184条の4第2項は、「前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。」と規定している。
 特許法184条の4第3項は、「国内書面提出期間(第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。次項において同じ。)内に第1項に規定する明細書の翻訳文及び前2項に規定する請求の範囲の翻訳文の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。」と規定している。
 したがって、国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出しなくても、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文を所定期間内に提出している場合には、外国語特許出願はみなし取下げとならない。

代々木塾からの案内

2007-04-23 18:10:19 | Weblog
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19.4.22 短答H18〔33〕

2007-04-22 13:56:36 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔33〕特許を受ける権利に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許を受ける権利は、特許出願前においては、質権の目的とすることができないが、特許出願後においては、質権の目的とすることができる。
〔解答〕誤り
 特許法33条2項は、「特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。」と規定している。したがって、特許出願後においても、特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。

2 特許を受ける権利が共有に係るとき、特許出願前においては、各共有者は、他の共有者の同意を得た場合であっても、その持分を譲渡することができない。
〔解答〕誤り
 特許法33条3項は、「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。」と規定している。
 したがって、特許出願の前後を問わず、他の共有者の同意を得た場合は、特許を受ける権利の持分を譲渡することができる。

3 特許を受ける権利は、特許出願前においては、実施の事業とともにする場合に限り、譲渡により移転することができる。
〔解答〕誤り
 特許法33条1項は、「特許を受ける権利は、移転することができる。」と規定している。
 したがって、実施の事業と分離して、特許を受ける権利を譲渡することができる。

4 特許を受ける権利が甲及び乙の共有に係るとき、特許出願後に、甲が乙の同意を得て、甲の持分を丙に譲渡した場合、甲から丙への特許を受ける権利の承継は、特許庁長官に届け出なくても、その効力を有する。
〔解答〕誤り
 特許法34条4項は、「特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。」と規定している。
 甲から丙への特許を受ける権利の承継は、特許出願後であるので、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。

5 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。
〔解答〕正しい
 特許法34条1項は、「特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。」と規定している。
 条文のとおりである。

19.4.22 短答H18〔27〕

2007-04-22 09:47:21 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔27〕特許法に規定する審判の審理に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ)拒絶査定不服審判において、請求人が、審判の請求書に拒絶をすべき旨の査定に対する不服の理由をなんら記載せず、その査定の取消しを求める旨の主張のみをしている場合、審判長は、その請求書について補正を命ずることなく、審決をもって審判の請求を却下することができる。
〔解答〕誤り
 特許法131条の2第1項ただし書により、拒絶査定不服審判の請求書の請求の理由については、要旨を変更する補正をすることができるので、拒絶査定不服審判の請求書に請求の理由がまったく記載されていないときは、審判長は、133条1項により、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。したがって、補正命令をすることなく、135条により、審決をもって却下することはできない。

(ロ)審査官が進歩性欠如のみを理由として拒絶をすべき旨の査定をしている場合、その査定に対する拒絶査定不服審判においては、発明が自然法則を利用したものであるか否かや、出願が発明の単一性の要件を満たしているか否かについて、審理することができない。
〔解答〕誤り
 拒絶査定不服審判は、審査の続審であり、拒絶査定の当否のみならず、特許審決ができるかどうかを審理判断するものである。したがって、審判官は、拒絶査定に示された審査官の拒絶理由以外の拒絶理由についても、職権で審理判断することができる(121条、158条、159条)。

(ハ)2以上の請求項に係る特許に関し、甲及び乙が別個に特許無効審判を請求し、審理が併合された場合、審判長は、甲が請求項1に係る特許の無効を主張するために提出した刊行物aに記載の発明と、乙が請求項2に係る特許の無効を主張するために提出した刊行物bに記載の発明とに基づき、請求項1又は2について、進歩性欠如の無効理由を新たに通知することができる。
〔解答〕正しい
 特許法153条1項は、「審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。」と規定している。したがって、特許無効審判の審判官は、刊行物aと刊行物bとにより、当事者が申し立てない理由である進歩性欠如の無効理由を通知することができる。

(ニ)2以上の請求項に係る特許に関し、請求人が、請求項1に係る特許のみについて特許無効審判を請求している場合において、審判長は、請求項2に係る特許についても無効理由があると口頭審理中に判断したときは、当事者に対して、請求項2について無効理由を通知し、期間を指定して意見を申し立てる機会を与えることができる。
〔解答〕誤り
 153条3項は、「審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。」と規定している。したがって、請求項2について無効審判が請求されていないときは、審判官は、請求項2について無効理由があると判断できるときであっても、請求項2について無効理由を通知することはできない。

(ホ)職権による証拠調べを行い、ある製品の一般市場への販売開始が審判事件に係る特許出願の前になされたことが明白となった場合には、審判長は、当該証拠調べの結果を当事者に通知しなければならないが、意見を申し立てる機会を与える必要はない。
〔解答〕誤り
 特許法150条5項は、「審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。」と規定している。
 新規性がないことが判明したのは、職権による証拠調べの結果であるので、審判長は、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。