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2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第8項

2022-04-30 12:55:52 | Weblog
2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第8項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
8 第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。


・134条の2第8項(特許無効審判の請求の取下げと訂正の請求のみなし取下げ)

 134条の2第8項は、特許無効審判の請求が取り下げられた場合は、訂正の請求も取り下げられたものと扱うことを明らかにするため、平成23年改正において追加された規定である。

 かりに、特許無効審判の請求が取り下げられた場合に、訂正の請求をそのまま残すことにすると、その後に訂正の機会が与えられなければ、訂正前の状態に戻すことができず、特許権者の意思が反映できない場合もある。
 そこで、特許権者が、特許無効審判の請求の取下げに承諾するか否か(155条2項)により、訂正の請求の取下げをするか否かについて実質的な選択をすることができることを踏まえ、特許権者が承諾の上、特許無効審判の請求が取り下げられた場合は、訂正の請求も取り下げられたものとして扱うこととした。

 請求項1~3が一群の請求項である場合において、特許無効審判の請求が請求項1~3について請求項ごとにされた。被請求人は、請求項1~3について一群の請求項ごとに訂正の請求をした。その後、請求人が請求項1のみについて特許無効審判の請求を取り下げた。この場合は、請求項1に係る訂正の請求はみなし取下げとなるが、請求項2と請求項3に係る訂正の請求はみなし取下げとなならない。特許権者の防御の機会を奪うのは適切でないからである。この場合は、請求項2と請求項3の訂正が認められる場合があり、特許請求の範囲の一覧性が確保されないこととなる。


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2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第7項

2022-04-30 12:52:31 | Weblog
2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第7項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
7 第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。
 この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。


・134条の2第7項(訂正の請求の取下げ)

 134条の2第7項は、平成23年改正において追加された規定であり、訂正の請求の取下げをすることができる時期と範囲について規定している。

 訂正の請求の取下げは、特許無効審判の審理対象を変更する点において、訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面(訂正明細書等)の補正(17条の5第2項)と共通しており、この取下げと補正の時期的制限をそろえることとした。

 訂正の請求の一部取下げを認めれば、明細書等の一覧性を確保するという134条の2第3項及9項で準用する126条4項の規定を設けた趣旨に反する場合があること、取下げ後の訂正の内容を把握するために、取下書や訂正前の明細書等を参照する必要が生じること、などの問題を生じることになるので、訂正の請求の一部取下げを認めないこととした(155条4項と同趣旨)

 訂正の請求の一部取下げに相当する手続として、訂正明細書等の補正(17条の5第2項)により、訂正事項の一部削除を行うことができ、この場合には、上記の問題が生じることはない。


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2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第6項

2022-04-30 12:49:36 | Weblog
2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第6項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
6 第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。


・134条の2第6項(先の訂正の請求のみなし取下げ)

 134条の2第6項は、複数の訂正請求がなされた場合の調整規定である。

 特許無効審判の請求書の補正が認められる場合には、134条1項の指定期間内にされた先の訂正の請求と、134条2項の指定期間内にされた後の訂正の請求が並存することがある。その際、両訂正の間に矛盾がある場合には、訂正の請求の趣旨の解釈が問題となり得るが、特許権者の意思を最も良く反映しているのは後の訂正の請求であることから、条文上、先の訂正の請求が取下げとみなされる旨を明定し、手続の繁雑さを回避した。

 訂正の請求は、訂正の要件を満たす限り、複数回することができる。
 特許無効審判の請求書の副本の送達を受けたときは、特許権者は、答弁書提出期間内に訂正の請求をすることができる(134条1項、134条の2第1項)。
 その後、審判の請求人が請求書の請求の理由について要旨を変更する補正をした場合において審判長により補正が許可されたときは、手続補正書の副本が特許権者に送達されるが、特許権者は、答弁書提出期間内に再度の訂正の請求をすることができる(134条2項、134条の2第1項)。


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2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第5項

2022-04-30 12:45:59 | Weblog
2022年4月30日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第5項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
5 審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
 この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。


・134条の2第5項(職権訂正拒絶理由通知)

 134条の2第5項は、訂正拒絶理由について規定している。

 平成15年改正前の特許法では、訂正拒絶理由に係る規定は、単に165条を準用するものであったが、平成15年改正において134条の2を新設するに当たり、165条の準用をやめて特許無効審判における訂正拒絶理由の根拠条文を明確化することとした。

 訂正の請求について請求人が反論しなかった場合において、審判官が職権で訂正の要件を満たすかどうかについて審理し、訂正の要件を満たさないと判断したときは、審判長が職権で訂正の拒絶理由の通知をすることができる。

・平成15年改正前の訂正における拒絶理由の運用の問題
 訂正拒絶理由通知に関する165条は、平成15年改正前は特許無効審判における訂正の請求に準用されていたが、本来査定系審判である訂正審判に関する規定であるため、訂正の請求が不適法である理由が職権で発見されたものであるか、あるいは審判請求人が申し立てたものであるか否かに拘わらず、常に審判長が訂正の請求をした特許権者にその旨通知し、相当の期間を定めて意見書を提出する機会を与えることとしていた。
 しかし、当事者系の特許無効審判においては、審判請求人が、訂正の請求における訂正が不適法であることを主張することがある。その場合においては、その主張に対して被請求人に答弁の機会が与えられるから、審判長がさらに同一の訂正拒絶理由について通知をし、答弁の機会を付与すると、同一の論争を再度繰り返すこととなり、不必要に審理を長期化させる原因となっていた。また、165条は、職権審理を当然の前提とする訂正審判の規定であるため、特許無効審判における訂正の請求の適法性についての職権審理の根拠条文とはなり得ず、平成15年改正前は、特許無効審判における訂正拒絶理由の職権審理の根拠は必ずしも明らかではなかった。


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2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第4項

2022-04-29 07:58:44 | Weblog
2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第4項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
4 審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。

・134条の2第4項(副本の送達)

 134条の2第4項は、被請求人が提出したものを請求人に送達する旨を規定している。
 請求人に、訂正の要件について反論の機会を与えるためである。


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2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第3項

2022-04-29 07:55:36 | Weblog
2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第3項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
3 前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。


・134条の2第3項(一群の請求項ごとに訂正の請求)

 134条の2第3項は、「一群の請求項」の扱いについて規定するものであり、平成23年改正において追加されたものである。

 134条の2第3項は、126条3項後段の規定に対応するものである。

 一群の請求項に含まれる請求項を訂正するときは、一群の請求項ごとに訂正の請求をしなければならない。特許請求の範囲の一覧性を確保するためである。


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2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第2項

2022-04-29 07:51:16 | Weblog
2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第2項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
2 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。
 ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。


・134条の2第2項(請求項ごとに訂正の請求)

134条の2第2項本文は、平成23年改正において追加された規定であり、126条3項前段の規定に対応するものである。

134条の2第2項ただし書は、特許無効審判が請求項ごとにされた場合に、その審決の確定を請求項単位で行うことができるようにするための規定である。

訂正の請求は、請求項ごとにすることができるが、特許無効審判が請求項ごとにされた場合には、訂正の請求は、請求項ごとにしなければならない。請求項ごとに可分的な取扱いとするためである。


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2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第1項

2022-04-29 07:45:09 | Weblog
2022年4月29日 弁理士試験 代々木塾 特許法134条の2第1項

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
1 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。
 ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。



 134条の2は、平成15年改正に伴い追加されたものであり、特許無効審判における訂正の請求について規定している

 特許無効審判の迅速な審理の実現を図るため、平成5年改正後、特許無効審判の手続において答弁書の提出期間内に訂正を認めることとしているが、平成15年改正において、特許無効審判における審判請求書の補正について例外的に要旨を変更する補正を容認する規定を導入したこと、及び平成23年改正において、「審決の予告」の規定を導入したことに伴い、被請求人である特許権者における訂正の機会を追加することとした。

・134条の2第1項(訂正の請求)

・134条の2第1項本文
 特許無効審判における訂正の機会について規定している。
 特許無効審判が請求されたときは、無効理由を解消するために、所定の時期(新たな攻撃を受けたとき)に訂正の請求を認めることとした。

 訂正の請求ができる時期は、下記の5通りである。
 前条第一項→134条1項の答弁書提出期間内
 前条第二項→134条2項の答弁書提出期間内
 次条→134条の3の指定期間内
 第百五十三条第二項→職権無効理由通知に対する意見書提出期間内
 第百六十四条の二第二項→審決の予告を受けたときの指定期間内

・134条の2第1項ただし書
 134条の2第1項ただし書は、訂正の目的について規定しているが、各号の規定については、126条1項に規定している訂正審判における訂正の目的と同様である。
 このうち、134条の2第1項ただし書4号は、平成23年改正において追加された規定であり、126条1項ただし書4号の規定に対応するものである。
 特許権者が請求項の引用関係を解消する訂正を行うことにより、最高裁(最高裁平成20年7月20日判決・発光ダイオードモジュール事件)で示されたような「攻撃防御の均衡」を図ることができる。


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2022年4月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法127条

2022-04-28 04:45:36 | Weblog
2022年4月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法127条

(同前)第百二十七条
 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。
(※赤字部分は、令和3年改正点である。)
 この改正部分の施行期日は、2022年4月1日である。2022年度の弁理士試験の範囲に含まれる。

・令和3年改正前
(同前)第百二十七条
 特許権者は、専用実施権者、質権者又は第三十五条第一項、第七十七条第四項若しくは第七十八条第一項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。


・令和3年改正前
 127条は、126条1項の訂正審判を請求することについての制限について規定している。
 訂正審判の請求は、当該特許権に対して特許無効審判が請求されたときに対する防御策と考えれば、その特許権についての専用実施権者、通常実施権者又は質権者にとって利益になることはあっても、不利益になることはないのであるが、実際には特許権者が誤解に基づいて不必要な訂正審判を請求することもあり、また瑕疵のある部分のみを減縮すれば十分であるのに、その範囲を超えて訂正することも考えられ、そうなると専用実施権者等は不測の損害を蒙ることもある。
 そこで、訂正審判を請求する場合には、専用実施権者等の承諾を得なければならないこととした。

 127条において、承諾を要する通常実施権者について、職務発明に基づく通常実施権者、許諾に基づく通常実施権者に限定し、他の通常実施権者を含めなかったのは、それぞれの通常実施権の発生の原因に着目したからである。

・令和3年改正の趣旨
 特許法上、訂正審判を請求するとき又は訂正の請求をするときは、所定の通常実施権者の承諾が必要とされている(令和3年改正前127条)。
 しかし、ライセンス態様の複雑化等に伴い、訂正審判等において全ての通常実施権者の承諾を得ることが、現実的には困難なケースが増加している。
 ライセンス契約後の関係悪化により通常実施権者の承諾が得られなくなるケースもあり、その場合、特許無効審判の請求に対する訂正の請求等ができなくなり、特許権者の防御手段が実質的に失われることも懸念される。
 米国特許法、欧州特許条約、ドイツ特許法、英国特許法、中国特許法といった他の主要国の特許法又は条約には、日本とは異なり、訂正審判において通常実施権者の承諾を必要とする規定は設けられていない。他の主要国との制度の違いにより、今後国際間のライセンス交渉において日本企業が不利な立場に置かれるおそれがある。
 そこで、令和3年改正により、ライセンス実務の実態に即した制度とするため、訂正審判の請求又は訂正の請求について、通常実施権者の承諾を不要とすることとした(令和3年改正後127条)

 訂正審判を請求する際には、請求書に専用実施権者又は質権者の承諾書を添付しなければならない。

 専用実施権者等の承諾書が添付されていない場合は、審判長による補正命令の対象となる(133条2項)(審判便覧)。

 補正命令を受けた請求人が指定期間内に承諾書を提出しない場合は、審判長が決定をもって訂正審判の請求書を却下する(133条3項)。

 専用実施権者は、契約上の制限がない限り、特許権者が訂正審判を請求することについて承諾しないとすることができ、信義則に反することはないとされている(裁判例)。


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2022年4月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法126条8項

2022-04-28 04:38:33 | Weblog
2022年4月28日 弁理士試験 代々木塾 特許法126条8項

(訂正審判)第百二十六条
8 訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。
 ただし、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。


・126条8項(特許権の消滅後の訂正審判の請求)

・126条8項本文

 126条8項は、126条の訂正審判が特許権について特許無効審判をもって攻撃される場合の1つの防衛手段と考えた場合に、その特許無効審判が特許権の消滅後においても請求し得るものであるならば、訂正審判もまた特許権の消滅後にも請求することができるようにすべきであるという理由から規定したものである。

 特許権が存続期間の満了により消滅した場合、特許権が放棄により消滅した場合、第4年以後の各年分の特許料の不納付により特許権が消滅した場合であっても、訂正審判の請求をすることができる。
 特許権の消滅後であっても、特許権存続期間中における特許権侵害訴訟が提起され、その対抗措置として特許無効審判の請求がされる場合があるからである。

・126条8項ただし書
 取消決定の確定又は無効審決の確定により、特許権が初めから存在しなかったものとみなされたときは(114条3項、125条)、訂正審判の請求をすることができない。
 特許が無効等にされた後において訂正審判の請求を認めることは、128条との関連において確定した無効にすべき旨の審決についての再審理由になってくることにもなり、いたずらに制度を複雑化することになりかねないので、訂正審判の防衛的機能は、特許が無効等にされる前に限って認めることとした。


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