堤卓の弁理士試験情報

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19.2.5 特許法44条1項各号と特許法施行規則30条との関係

2007-02-05 20:50:55 | Weblog
特許法44条1項各号と特許法施行規則30条との関係

 特許法44条1項2号や3号の分割をする場合に、分割と同時に特許請求の範囲の補正をすることができるのかどうか、質問を受けることがよくあります。

 特許法44条1項2号は、特許査定謄本の送達の日から30日以内に分割ができるとする規定です。
 特許査定になったのですから、請求項に記載された発明を分割して、あらためて出願審査の請求をし、実体審査を受けるなどということは、正気の沙汰ではないと思います。
 したがって、特許法44条1項2号は、明細書にのみ記載された発明について分割するための規定であると理解することができます。
 そうすると、特許法施行規則30条は、まったく関係がないといえます。

 特許法44条1項3号は、最初の拒絶査定の謄本の送達の日から30日以内に分割ができるとする規定です。
 この場合は、請求項に記載された発明であっても分割する意味のある場合があります。
 この場合に、特許法施行規則30条の規定によって分割と同時に補正ができるのかというと、できるとする解釈もできれば、できないとする解釈もできそうです。
 つまり、本則では、補正はできないことが明らかです。しかし、単に分割の体裁を整えるにすぎない補正であれば、商標法10条1項の分割の場合と同様に、補正ができるとする解釈をすることもできないわけではありません。

 以上のように、このままでは商標法の事件のように、最高裁まで争われるようなことになりそうです。

 しかし、特許法施行規則30条は4月1日までに改正される予定ですので、以上の問題は生じないことになります。

 詳細は、公布後の特許法施行規則30条の内容をご確認ください。

 以上です。 






19.2.3発信 H15.1.31 東京地裁 部品の意匠権

2007-02-03 16:27:02 | Weblog
部品の意匠権に基づく差止請求及び損害賠償請求に関する重要な裁判例です。

◆平成14(ワ)5556 意匠権 民事訴訟事件
平成14年(ワ)第5556号 意匠権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成14年11月29日 
判決
 主文
  1 原告の請求をいずれも棄却する。
  2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
 1 被告は,別紙目録1記載の減速機付きモーター(以下,「イ号物件」という。)及び同目録2記載の減速機付きモーター(以下「ロ号物件」といい,イ号物件と併せて「被告製品」という。)を,製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,若しくは輸入し,又はその譲渡若しくは貸し渡しの申し出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む)をしてはならない。
 2 被告は,その占有にかかる前項記載の各物件を廃棄せよ。
 3 被告は,原告に対し,金2090万円及びこれに対する平成14年3月22日(訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 1 本件は,後掲意匠権を有する原告が,被告に対し,被告がイ号物件及びロ号物件を製造販売する等の行為は原告の意匠権を侵害するとして,それらの行為の差止め及び廃棄並びに損害賠償を求めている事案である。
 2 争いのない事実等 
 (1) 原告は,次の意匠権を有している(以下「本件意匠権」といい,この意匠にかかる登録意匠を「本件登録意匠」という。)。
      意匠に係る物品   減速機
      登録番号   第798521号
      出願日   昭和61年7月22日
      登録日   平成2年7月16日
      登録意匠   別紙意匠公報(以下「本件公報」という。)記載のとおり
 (2) 被告は,平成7年ころより,DME34Kシリーズと称してイ号物件を製造,販売している。イ号物件は,モーターに減速機を取り付けたものであって,その形状は別紙目録1記載のとおりであり,イ号物件から分離した減速機部分の形状は別紙目録3記載のとおりである。
 (3) その後,被告は,平成14年ころまでに,イ号物件における減速機部分の形状を変更し,ロ号物件を製造,販売している。ロ号物件もモーターに減速機を取り付けたものであって,その形状は別紙目録2記載のとおりであり,ロ号物件から分離した減速機部分の形状は別紙目録4記載のとおりである。
第3 争点及び当事者の主張
 1 本件の争点
 (1)本件登録意匠の構成態様
 (2)本件登録意匠の要部
 (3)被告製品の意匠の構成態様
 (4)本件登録意匠と被告製品の意匠との類否
 (5)被告製品における意匠の利用関係
 (6)損害の発生及び額
 2 当事者の主張
 (1)争点(1)について
 (2)争点(2)について
 (3)争点(3)について
 (4)争点(4)について
 (原告の主張)
  前記(3)(原告の主張)のとおり,被告製品において減速機部分は独立して認識されるものであるから,本件登録意匠との類否判断の対象となるべき被告製品は,イ号物件及びロ号物件の減速機部分である。
  前記(3)(原告の主張)のとおり,イ号物件及びロ号物件の減速機部分の意匠は,前記(2)(原告の主張)の本件登録意匠の要部を備えているから,本件登録意匠と類似する。
 (被告の主張)
  本件登録意匠は減速機の意匠であるのに対し,被告製品の意匠は減速機付きモーターの意匠であるから,そもそも両者は非類似物品であり,意匠的にも非類似である。被告製品のうち減速機部分は,互換性がなく,独立して取引の対象にはならないものであるから,被告製品の減速機部分は独立した意匠法上の意匠の対象にはなり得ない。
 (5) 争点(5)について
 (原告の主張)
  意匠法において「意匠の使用」が実施の一態様とされていること,意匠法26条において,自己の意匠が他人の登録意匠又はこれに類似する意匠を「利用」するものである場合には,自己の意匠を実施することができない旨規定していることからすると,①他の登録意匠又はこれに類似する意匠の全部を包含すること,②他の登録意匠の特徴を破壊することなく包含すること,③他の構成要素と区別しうる態様において包含すること,以上の要件を満たす限り,被告製品は本件登録意匠を利用ないし包含しているといえるから,本件意匠権を侵害しているというべきである。
  そして,(a)前述のとおり,イ号物件及びロ号物件の減速機部分の意匠はいずれも本件登録意匠の要部を備えているものであり,減速機部分の意匠は,本件登録意匠に類似すること,(b)被告製品において減速機部分とモーター部分とはねじにより結合されているにすぎず,その間には明瞭な間隙が存在し,両者は視覚的に分割されているし,その間隙から減速機部分のモーター側端に形成された膨出部もはっきりと視認できることからすると,被告製品は本件登録意匠を利用ないし包含していることになり,本件意匠権を侵害している。
  仮に,被告製品において,減速機部分の要部の全体が外部から見えないとしても,被告製品には,その部品として,本件登録意匠と実質的に同一といえるほどに酷似した減速機部分が組み込まれている以上,見えるか見えないかということは重視されるべきではなく,このような場合,たとえ意匠の一部が外部から見えないとしても,意匠の利用関係を認めるべきである。なぜなら,意匠法は,意匠の持つ「形態価値」を保護するものであり,「形態価値」には「機能的工夫により生じた形状の意匠的価値」も含まれるのであるところ,「機能的工夫により生じた形状の意匠的価値」が発揮され利用されるためには,必ずしも形態が目で見える必要はなく,したがって,外部から見えないことは意匠の利用関係を否定する根拠となるものではないからである。確かに,意匠法2条において,意匠とは「視覚を通じて美観を起こさせるもの」と定義され,物品の外部から見えない形態は意匠登録の対象から外されている。しかしながら,かかる定義規定と「使用」概念とを結びつけなければならない必然性はない。意匠保護の前提として,「目に見える形態」として「工夫の成果」が表現されていることが要件とされているとしても,「工夫の成果」が目に見える態様で「実施」されなければ保護されないと解すべき根拠はない。特に本件では,本件登録意匠の「形態価値」はモーターとの結合を前提として造形された意匠である点にあるから,それが不当に利用されたか否かの判断に際しては,モーターと減速機を結合させる「組み立て場面」と,減速機付きモーターとして「使用される場面」に注目しなければならないのであって,単に「流通過程」のみに着目し,減速機部分が単独では取引されていないことを理由として意匠の保護を否定することは意匠法の目的から見て妥当な結論ではない。
 (被告の主張)
  本件登録意匠と被告製品の減速機部分の意匠を対比すると,被告製品の減速機部分の意匠は,①塞板周縁部の形状,②塞板とフランジ部との位置,③軸受けの軸方向の長さと軸受けから突出した回転軸の長さの比及び④膨出部の背面形状において,本件登録意匠と顕著な相違点があり,前記(2)(被告の主張)の本件登録意匠の要部を備えていないから,両者の類似性を認めることはできない。したがって,原告主張に係る意匠の利用関係ないし包含関係は,認められない。
  また,意匠の利用関係ないし包含関係が成立するためには,意匠中に他人の登録意匠の全部がその特徴を破壊することなく,他の部分と区別しうる態様において存在することを要し,もしこれが混然一体となって彼此区別し得ないときは利用関係の成立は否定されるというべきところ,前記(3)(被告の主張)のとおり,被告製品はいずれも,モーター部分と減速機部分とは略同型の同一素材かつ同一色でねじにより密着して取り付けられており,両者間には間隙は全くなく,混然一体となって彼此区別し得ないものであるから,被告製品について本件登録意匠の利用関係ないし包含関係は成立しない。
  さらに,意匠法上の意匠とは意匠法2条で定義されているように「視覚を通じて美観を起こさせるもの」をいい,物品の外部に表れた部分の意匠を意味し,内部にあって外部から見えない部分の意匠を意味しないというべきところ,被告製品において減速機部分をモーター部分から独立して認識しようとしても,減速機部分のモーター側端の意匠は外部から全く見ることができない。ところが,本件登録意匠はモーター側端の膨出部の背面形状にも要部の1つと見られる大きな特徴が存するから,結局,膨出部の意匠が全く見えない被告製品について本件登録意匠の利用関係ないし包含関係は成立しない。
 (6)争点(6)について
第4 争点に対する判断
 1 争点(1)について
 2 争点(2)について
 3 争点(3)について
 4 争点(4)(5)について
 (1)本件登録意匠に係る物品と被告製品の物品とを対比すると,本件登録意匠に係る物品は減速機であるのに対し,被告製品は,減速機部分にモーター部分を連結して一個の物品となした減速機付きモーター(ギヤードモーター)であるから,両者は物品が異なり,被告製品の意匠は本件登録意匠と同一又は類似であるということはできない。  
  また,原告が主張するように,利用関係による意匠権の侵害が認められるとしても,前記認定に係る本件登録意匠の要部は,前記3認定の事実からすると,被告製品の意匠においては,外部から認識できないから,このような場合には,利用関係が存すると認めることはできず,したがって,利用関係による意匠権の侵害も認められない。  
 (2)この点,原告は,本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は,被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり,減速機部分は,ねじでモーター部分と固定されており,減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから,被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも,利用関係の判断に当たっては,減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが,利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)。
  また,原告は,意匠法は意匠の持つ「形態価値」を保護するものであり,「形態価値」を保護するためには保護されるべき意匠が物品の流通過程で見えるかどうかは問題ではなく,モーターと減速機を結合させる「組み立て場面」と,減速機付きモーターとして「使用される場面」に注目しなければならないと主張するが,意匠法において意匠とは,物品の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美観を起こさせるものをいい(意匠法2条1項),また,意匠保護の根拠は,流通過程における混同防止にあると解されるから,意匠法の保護の対象となるのはあくまで物品の外観であって,外観に現れず,視覚を通じて認識することがない物品の隠れた形状は,意匠権侵害の判断に当たっては考慮することはできないというべきであり,この点は,利用関係の判断に当たっても変わらないというべきである。原告が主張するように,モーターと減速機を結合させる「組み立て場面」や,減速機付きモーターとして「使用される場面」に注目したとしても,減速機付きモーターにおいて登録意匠の要部が外観に現れなければ,意匠権侵害といえないことは,前述のとおりであって,これらに注目したところで結論が変わるものではない。
 5 以上のとおり,本件意匠権侵害の事実が認められないから,本訴請求は理由がない。よって,主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第47部

19.2.1 短答式試験の勉強について

2007-02-01 16:12:25 | Weblog
はやいもので、もう2月です。

短答式試験まであと3か月と20日です。

計画どおりにこなしていますか。

弁理士試験の勉強をするときは、毎月、優先事項は何か、これを考えることが大事です。

自分に不足しているものは何か、不足している点を補強することが合格に大きく貢献することになります。

最近の短答式の問題を検討してみると、実に、条文レベルで解答できる問題が多いのに気がつきます。

条文の理解ができていれば、新作問題であっても、変形問題であっても、40問は確実に得点できると思います。

条文の読み込みに時間をかけると、条文に理解が深まります。

条文の理解が深まると、問題のポイントが直ちに分かるようになります。

残りの難しい問題20問のうち、4割の8問が正解になれば、合計で48点になります。

48点もとれば、不合格になることはないと思います。

条文のチェック、青本のチェック、改正法解説書のチェック、これが優先事項であると思います。

問題を解くだけでは、情報不足となる危険性が高いと思います。

がんばりましょう。