堤卓の弁理士試験情報

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21/1/30 東京地裁平成15年1月31日判決

2009-01-30 12:12:31 | Weblog
東京地裁平成15年1月31日判決

★判決文
4 争点(4)(5)について
(1)本件登録意匠に係る物品と被告製品の物品とを対比すると,本件登録意匠に係る物品は減速機であるのに対し,被告製品は,減速機部分にモーター部分を連結して一個の物品となした減速機付きモーター(ギヤードモーター)であるから,両者は物品が異なり,被告製品の意匠は本件登録意匠と同一又は類似であるということはできない。

※コメント
 被告製品が完成品であるときは、完成品に含まれる部品を対象として、登録意匠と対比して類否判断はできないとしています。
 登録意匠が部品の意匠であるときは、対象製品がその部品を含む完成品であるときは、意匠法23の適用においては、意匠は非類似となります。
 したがって、意匠法23条を根拠とする侵害は成立しないことになります。


★判決文の続き
 また,原告が主張するように,利用関係による意匠権の侵害が認められるとしても,前記認定に係る本件登録意匠の要部は,前記3認定の事実からすると,被告製品の意匠においては,外部から認識できないから,このような場合には,利用関係が存すると認めることはできず,したがって,利用関係による意匠権の侵害も認められない。

※コメント
 「利用関係による意匠権の侵害」という表現は、意匠法23条を根拠とする侵害が成立しないときでも、意匠法26条を根拠とする侵害が成立する場合があるということです。
 本件事案では、完成品の外部から部品が隠れて見えない状態ですので、利用関係による意匠権の侵害も否定されています。


★判決文の続き
(2)この点,原告は,本件登録意匠との類否判断の対象となるべき製品は,被告製品の減速機部分であると主張するが,前記認定のとおり,減速機部分は,ねじでモーター部分と固定されており,減速機部分は減速機付きモーターの一構成部分にすぎないというべきであるから,被告製品の減速機部分のみを切り離して本件登録意匠との類否判断の対象とすることはできないというべきである(もっとも,利用関係の判断に当たっては,減速機部分のみを類否判断の対象にすることがあり得るが,利用関係も成立しないことは前述のとおりである。)。

※コメント
 裁判所は、完成品から部品を取り出して、登録意匠と対比することはできないと判示しています。

21/1/20 特許法41条3項の解釈 

2009-01-20 08:23:10 | Weblog
特許法41条3項の解釈

「第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願」

★国内優先権の主張を伴う後の出願を意味します。

「の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」

★後の出願の出願当初の明細書等を意味します。
 補正がされた後の明細書や、特許後に訂正がされた後の明細書等は含まれません。したがって、補正により削除した発明であっても、優先権の利益が認められることになります。

「(外国語書面出願にあつては、外国語書面)」

★後の出願が外国語書面出願のときは、願書に最初に添付した明細書が存在しませんので、外国語書面に置き換えています。外国語書面は補正をすることができませんので、外国語書面の内容は確定したものとなります。

「に記載された発明のうち、」

★後の出願当初又は外国語書面に記載した発明について優先権の利益を認めることになります。

「当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」

★先の出願の出願当初の明細書等に記載された発明について優先権の利益を認めることになります。

「(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)」

★先の出願が外国語書面出願の場合は、外国語書面に記載した発明について優先権の利益を認めることになります。

「に記載された発明」

★先の出願の当初明細書に記載された発明と同一の発明であることを意味します。

「(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の二第一項若しくは第二項(同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、」

★先の出願がすでに優先権(パリ条約の優先権、パリ条約の例による優先権、国内優先権)の主張を伴っている場合について適用します。例えば、特許出願Aに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Bをし、その後、特許出願Bに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Cをしたような場合です。

「当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)」

★先の出願がすでに優先権の主張を伴う場合において、先の出願のより先の出願の当初明細書にも記載されている発明については、優先権の利益を認めないとするものです。
 例えば、特許出願Aに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Bをし、その後、特許出願Bに基づく優先権の主張を伴う後の特許出願Cをしたような場合において、特許出願Aの出願当初の明細書等には発明イが記載され、特許出願Bの出願当初の明細書等には発明イと発明ロが記載され、特許出願Cの出願当初の明細書等には発明イと発明ロと発明ハが記載されていたとします。
 特許出願Cに係る発明のうち、発明イについては、このかっこ書が適用されますので、優先権の利益が否定されることになります。
 特許出願Cに係る発明のうち、優先権の利益が認められるのは、発明ロのみとなります。

「については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。」

★先の出願は、特許法42条1項本文の規定により、その日から1年3月を経過した時にみなし取下げとなります。
 そこで、後の出願について出願公開等されたときに、先の出願について出願公開等されたものとみなして、先の出願を特許法29条の2の「他の特許出願」として引用することができる旨を規定しています。
 この規定は、先の出願を特許法29条の2の引用例とするものです。
 後の出願を特許法29条の2の引用例とするときは、後の出願の出願日を基準として、それよりも後願についてのみ、後願を排除することができます。後の出願の日前の出願に対しては、後の出願を引用して特許法29条の2で拒絶することができません。
 だからこそ、この規定を設けて、先の出願が出願公開されたものとみなして、先の出願を特許法29条の2の引用例とすることが必要となるわけです。

 以上です。


21/1/17 平成21年度弁理士試験の日程

2009-01-17 14:59:11 | Weblog
平成21年度弁理士試験の日程等が公告されました。

2 試験の期日

(1)短答式筆記試験
 平成21年5月24日(日)

(2)論文式筆記試験
 平成21年7月5日(日)に必須科目を、平成21年7月26日(日)に選択科目を、短答式筆記試験に合格した者について行う。

(3)口述試験
 平成21年10月16日(金)から平成21年10月23日(金)までの期間、筆記試験に合格した者について行う。

21/1/6 特許登録令16条(平成20年改正)

2009-01-06 11:51:56 | Weblog
特許登録令第十六条(平成20年12月26日公布、平成21年4月1日施行)

 次に掲げる事項の登録は、特許庁長官が職権でしなければならない。

一・二(略)

三 特許法第三十四条の二第二項の規定により設定されたものとみなされた専用実施権の設定

四 登録された仮通常実施権について特許法第三十四条の三第二項又は第三項の規定により許諾されたものとみなされた通常実施権の設定

五 混同による専用実施権、通常実施権、仮専用実施権、仮通常実施権又は質権の消滅

六・七(略)

八 特許法第三十四条の二第五項の規定により設定されたものとみなされた仮専用実施権の設定

九 登録された仮通常実施権について特許法第三十四条の三第五項又は第六項の規定により許諾されたものとみなされた仮通常実施権の設定

十 仮専用実施権又は登録された仮通常実施権に係る特許出願に係る特許を受ける権利について、特許法第三十四条第四項又は第五項の規定による届出がされた場合における当該特許を受ける権利を有する者の変更

十一 特許法第三十四条の二第六項の規定による仮専用実施権の消滅又は同法第三十四条の三第七項若しくは第八項の規定による仮通常実施権の消滅


21/1/5 新たなスタート

2009-01-05 04:13:43 | Weblog
 早いもので、1月になりました。

 5月の短答式試験に向けて、さらには6月の論文式試験に向けて、新たなスタートを切る時期になりました。

 短答式試験にしても、論文式試験にしても、条文を理解しているかどうかが合否を大きく分ける決め手になることが多いと思います。

 条文を理解していれば、どのような事案に対しても、条文を適用した結果、どうなるのか説明することができます。

 常に、条文をベースにしてものごとを考えることが大事となります。

 平成20年度の論文式試験の特実法の問題Ⅰでは、「根拠とともに説明せよ。」とあります。これは、根拠条文を明示して解答することを要求するものです。つまり、解答の根拠として条文の理解を求めるものです。

 条文の理解がまだ十分でない方は、条文の勉強を継続していくことをお勧めします。

 条文を理解するためには、単に条文を熟読するのみならず、解説書(青本、審査基準等)を参照することが大事です。

 重要な裁判例も出題されますので、チェックをしておくことが大事です。

 なお、1月~3月は、毎週土曜日の午前中は短答ゼミ、午後は論文ゼミを開催しています。今からでも参加することができます。参加希望の方はお知らせください。