堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

18.12.31 特17条の2第4項 審査の進め方(審査基準案)

2006-12-31 17:44:17 | Weblog
 特許法17条の2第4項 審査基準案 
 
4.1 基本的な審査の進め方 

(1) 発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かの判断は、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているか否かにより行う。

 同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているか否かの判断に当たっては第Ⅰ部第2章「発明の単一性の要件」に従う。

 ただし、補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合は、下記4.3に従って審査を進める。

 補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有している場合には、当該補正後のすべての発明について、新規性・進歩性等の特許要件についての審査を行う。

 一方、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明との間に同一の又は対応する特別な技術的特徴を見出すことができない場合には、補正後の特許請求の範囲の中で、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しない発明(以下、「特別な技術的特徴が変更された発明」という。)については、新規性・進歩性等の特許要件についての審査対象とせず、それ以外の発明については、新規性・進歩性等の特許要件についての審査対象とする。

 この場合には、新規性・進歩性等の特許要件についての審査対象となる発明の審査結果とともに、第17条の2第4項の要件違反の拒絶理由を通知する。

(2)上記(1)の判断において、特別な技術的特徴は、明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「明細書等」という。)の記載、出願時の技術常識並びに補正前の拒絶理由通知で引用された先行技術に基づいて把握することとする。

(説明)
 補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明及び補正後の特許請求の範囲の各発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有するかどうかを、明細書等の記載、出願時の技術常識及び補正前の拒絶理由通知で引用された先行技術に加えて、補正前に出願人に提示していなかった先行技術に基づいて判断できることとすると、拒絶理由通知を受けた出願人が補正を検討する際に、発明の特別な技術的特徴を変更する補正とならない範囲について十分に予測することができなくなる。
 このような状況下で補正がなされると、「第Ⅸ部 審査の進め方」に従って発明の特別な技術的特徴を変更する補正である旨の最後の拒絶理由通知がなされ、結果的に本来特許されるべきであった発明への補正の途が閉ざされてしまう場合がある。
 したがって、上記のとおり取扱うこととする。

18.12.31 審査基準(案) 特許法17条の2第4項

2006-12-31 10:23:06 | Weblog
審査基準(案)特許法17条の2第4項

3.基本的な考え方

 第17条の2第4項は、拒絶理由通知後に補正された発明と、補正前の特許請求の範囲に記載された発明のうち拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明とが、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しないことにより、発明の単一性の要件を満たさなくなるような補正(以下、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」という。)を禁止する規定であり、発明の単一性の要件を補正後の特許請求の範囲に記載された発明にまで拡張するものである。

 このことから、発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かは、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより判断する。

 また、補正前に拒絶理由通知が複数回なされている場合には、一回目の拒絶理由通知を含めその補正前までになされたすべての拒絶理由通知において新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、当該補正後の特許請求の範囲に記載されたすべての発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより判断する。

18.12.30 特許法17条の2第4項の審査基準(案)

2006-12-30 11:41:26 | Weblog
特許法17条の2第4項の審査基準(案)

出願人の便宜を考慮して、適用の要件をかなり緩和しています。
何回も熟読しないと、特許庁の考え方を理解するのが困難です。
年末・年始を利用して特許庁の考え方を理解することをお勧めします。

18.12.29 改訂審査基準(案)

2006-12-29 10:00:09 | Weblog
平成18年12月28日に
平成18年改正法関連の改訂審査基準(案)が特許庁HPに掲示されました。
改訂審査基準(案)の内容はチェックしておいた方がよいと思います。

下記は、特許庁HPに掲載された概要説明です。

≪改訂審査基準(案)のポイント≫

(1)「出願の分割」の改訂審査基準(案)
 特許法第44条第1項が改正され、特許査定後及び拒絶査定後の一定期間も出願の分割が可能となりました。これを受けて策定しました改訂審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

① 出願の分割の時期的要件に特許査定後及び拒絶査定後の一定期間を追加しまし た。
② 特許査定後及び拒絶査定後の一定期間内にする出願の分割の実体的要件は、
 )分割出願の明細書等が原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲  内であること
 )分割出願の明細書等が原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲  内であること
 )原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部を分割出願に係る発明  としたものでないこと
 の三要件です。
③ 分割の実体的要件を迅速・的確に判断する際に役立つよう、説明書類の提出が 要請される旨を追加しました。
 
(2)第50条の2の通知」の審査基準(案)
 特許法に第50条の2の規定が追加され、分割出願において、原出願で既に通知済みの拒絶の理由と同一の拒絶理由が発見された場合等には、拒絶理由通知と併せて第50条の2の通知を行い、「最後の拒絶理由通知」を受けた場合と同様の補正の制限が課されることとなりました。これを受けて策定しました審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

① 既に通知済みの拒絶の理由と同一であるか否かの判断は、本願の明細書が他の 特許出願の拒絶理由通知に対する補正後の明細書等であると仮定した場合に、そ の拒絶の理由を解消していないかどうかにより行います。
② 既に通知済みの拒絶理由通知とは、本願の出願審査の請求前に、出願人のもと に到達しているか、又は、出願人が閲覧することができた拒絶理由通知です。
③ 第50条の2の通知が併せてなされた拒絶理由通知に対して補正がされた場合 の補正の適否等の判断手法は、「第Ⅸ部 審査の進め方」の「第2節 各論   6.「最後の拒絶理由通知」に対して補正がされたときの審査」に従います。
 
(3)「発明の単一性の要件」の改訂審査基準(案)
 現行審査基準によれば、特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合において、発明の単一性の要件を問わずに、新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われる範囲が必ずしも明確ではありませんでした。発明の単一性の要件と密接に関連する特許法第17条の2第4項が改正されたことも踏まえ、上記の場合に新規性・進歩性等の特許要件についての審査を行う範囲を明確化するため、発明の単一性の要件の審査基準を改訂することとしました。改訂審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

 特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合であっても、例外的に、一定の範囲に含まれる発明は発明の単一性の要件を問わずに、新規性・進歩性等の特許要件についての審査の対象となることを明確化しました。

(4)「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準(案)特許法第17条の2第4項が改正され、審査が行われた後に審査対象の発明を発明の単一性の範囲を超えて補正することが禁止されることとなりました。これを受けて策定しました審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

① 発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かの判断は、補正前に新規 性・進歩性等の特許要件についての審査が行われた発明と補正後の発明とが、全 体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより行います。
② 特別な技術的特徴が変更された発明については、新規性・進歩性等の特許要件 についての審査を行わずに、第17条の2第4項違反の拒絶理由を通知します。
③ 補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しな い場合、「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」において、発明の単一性の要件 を問わない範囲の補正については、第17条の2第4項の要件を問わないことと します。
 
(5)「審査の進め方」の改訂審査基準(案)改訂した審査基準(案)のポイントは、以下のとおりです。

① 第17条の2第4項の規定により、発明の特別な技術的特徴を変更する補正が 禁止されたことに伴い、審査を行う際の判断手順を整理しました。  
② 知的財産推進計画2006及びイノベーション促進のための特許審査改革加速 プランに基づき、外国特許庁の先行技術調査・審査結果を有効活用する旨を加筆 し、同時に「外国特許庁の先行技術調査・審査結果の利用ガイドライン」を別添 として策定しました。  
③ 第194条第1項の規定に基づき、出願人等に提出を求めることができる書類 等の一例として、分割出願が分割の実体的要件を満たしていること等の説明を求 める書類を明記しました。


18.12.28 年末・年始の勉強方法

2006-12-28 09:53:41 | Weblog
年末・年始の勉強方法

年末・年始は、5日間程度のお休みをとることができると思います。
この5日間に何をなすべきか、とても大事です。

自分に足りないものは何か。

条文の理解は十分か。
解釈上の論点の確認はできているか。
裁判例の確認はできているか。
平成18年改正法の理解は十分か。

以下は、短答試験の勉強方法についてのアドバイスです。

★お勧めできる勉強方法

・青本を熟読すること。
 青本は、短答試験、論文視点、口述試験の問題を作成するうえで、試験委員が最も重要視する基本書です。
 青本の説明がそのまま短答試験に出題されることは多いと思います。
 問題文を見たとたんに青本の説明が思い浮かぶようになれば、短答試験は楽勝です。

・条文を熟読すること。
 短答試験では、条文をそのまま問題文とすることもあります。
 条文を知っていると、問題文を見たとたんに、条文のとおりであることが分かります。
 条文のチェックが甘いと、○か×かの判断に迷うようになります。
 これでは時間のロスとなります。
 条文を熟読する時間に比例して、短答試験の得点がアップします。
 短答試験で35点前後にとどまる大きな原因の一つは、条文の読み込みをやっていないことにあると思います。
 
・改正法解説書を熟読すること。
 青本は、平成11年改正までしか対応していません。
 平成14年改正、平成15年改正、平成16年改正、平成17年改正、平成18年改正については、改正法解説書を熟読することが大事です。
 試験委員は、青本と同様に、改正法解説書から問題を作成することが多いと思います。

★お勧めできない勉強方法

・短答試験の過去問を単に繰り返して解答するだけの勉強
 同じ問題を何回も繰り返すだけでは、解答を暗記してしまい、○又は×のプロセスが欠落するおそれが高くなります。
 どの条文が適用されてどのような結論がでるのか、これを考えずに解答しても、ほとんど効果がないと思います。
 枝ごとに、どの条文が適用されるのか、その条文の内容はどのようなものか、条文を適用した結果どうなるのか、この点をよく考えて、解答するようにすれば、変形問題や新作問題にも応用できる力がつきます。
 ほとんど考えずに解答する方法では、応用力がまったくつかないといえます。
 過去問はほとんど100%正解を出せるのに、実際の短答試験にはなかなか合格できないという方は、やり方に問題があることが多いと思います。
 よく考えて解答する勉強方法をとらなければ、変形問題や新作問題にはまったく対応ができない結果になります。
 
・条文、青本、改正法解説書をほとんど読まない勉強方法
 条文、青本、改正法解説書を熟読することは、たいへんつらい作業になります。
 つらい作業は、つい、後回しになります。
 問題を解いている方が楽です。
 楽な方に傾くと、結果的に、短答試験に不合格になる可能性が高くなります。
 つらい作業である条文等の熟読をきちんとした方が優先的に短答試験に合格していきます。
 条文等を熟読しない方は、本当の理解をしていないことが多く、その場の思いつきで解答し、ことごとく失敗しているケースが多いと思います。
 よく考えて勉強する方法はお勧めです。
 弁理士になってからも、役に立ちます。

18.12.26 平成18年改正法解説書の発売

2006-12-26 12:29:24 | Weblog
 平成18年改正法解説書の発売

 本日から平成18年改正法解説書が発売になります。
 価格は500円前後です。
 最初は、虎ノ門の発明協会で発売されます。
 一般の書店に出回るのは、もう少しかかるかもしれません。
 

181.12.26 代々木塾の論文答案練習会の案内

2006-12-26 12:26:16 | Weblog
代々木塾の論文答案練習会の案内

論文答案練習会の通学コースは、下記の3つの地域で開催します。

 お申込み欄は、代々木塾HPのトップ頁にあります。
 左側の講座案内にはありません。
 まだ定員に余裕があります。
 
 東京会場  飯田橋レインボービル及び家の光会館(飯田橋駅)
 大阪会場  大阪科学技術センター(本町駅)
 名古屋会場 名古屋市東区葵I.M.Yビル(千種駅)

 1月9日(火)から開始します。 毎週火曜日です。
 不公平がないように、3つの会場で同時に行います。
 各会場とも担当講師が解説をします。
 答案は採点し、得点調整をしたうえ、翌週に返却します。
 詳細な採点講評を配付します。  


18.12.25 発明の単一性の審査の進め方

2006-12-25 11:55:51 | Weblog
4.発明の単一性の審査の進め方 

(1)請求の範囲の「最初」に記載されている発明との関係で発明の単一性を判断する。
 発明の単一性の要件を満たす請求項については、通常の審査を行う。
 一の請求項内で発明の単一性の要件を満たさない場合は、請求項内の最初の選択肢との関係で単一性の要件を満たす範囲について、通常の審査を行う。

(2)発明の単一性の要件が独立形式請求項の間で満たされている場合、独立形式請求項に係る発明には、特別な技術的特徴が存在しているので、それらを引用する引用形式請求項に係る発明にも、通常同一の特別な技術的特徴が存在しており、引用形式請求項によって単一性の欠如の問題を生ずることは少ないと考えられる。
 したがって、通常、まず独立形式請求項どうしの対比で発明の単一性の有無を判断するのが効率的である。
 しかし、例えば、カテゴリーの異なる請求項を引用する引用形式請求項のように、発明の単一性の判断に影響するものもあり得るので、そのような引用形式請求項については注意を要する。

(3)他の請求項のすべての発明特定事項を含む同一カテゴリーの請求項(形式的に引用形式であるか独立形式であるかを問わない)が直列的な従属系列(注1)を形成している範囲では、まとめて先行技術調査・審査するのが合理的である場合が多い。このように先行技術調査・審査を行うことが合理的であると判断されるときには、発明の単一性を問題とせずに審査を行うこととする。

(注1)直列的な従属系列の例
請求項1:センサー(A)を設けたことを特徴とする特定構造の自動ドア
請求項2:センサーは光センサー(A’)である請求項1の自動ドア 
請求項3:光センサーは赤外線センサー(A”)である請求項2の自動ドア 
 この例では、請求項1、請求項2、請求項3は、それぞれ前の請求項の全ての発明特定事項を引用しているため、直列的な従属系列を形成している。 

(4)一の独立形式請求項の従属系列が分岐している場合において、当初、分岐点の請求項に係る発明の特別な技術的特徴とされたものが、先行技術に対する貢献をもたらさないことが明らかとなった場合であっても、直列的な従属関係を形成している範囲では、まとめて先行技術調査・審査するのが合理的である場合が多い。このように先行技術調査・審査を行うことが合理的であると判断されるときには、最初の一の直列的な従属系列を形成している範囲については、発明の単一性を問題とせずに審査を行うこととする(注2)。

(注1)分岐点の請求項の先行技術に対する貢献が否定される場合 
請求項1:センサー(A)を設けたことを特徴とする特定構造の自動ドア 
請求項2:センサーは光センサー(A’)である請求項1の自動ドア 
請求項3:センサー(A)の取り付け角度調整手段(B)を設けたことを特徴とする請求項1の自動ドア
 この例において、当初、請求項1の特別な技術的特徴とされたセンサー(A)の先行技術に対する貢献が否定されたような場合であっても、最初の直列的な従属関係を形成している、請求項1、請求項2をまとめて先行技術調査・審査を行うことが合理的である場合が多い。

(5)発明の単一性の要件(第37条)は、拒絶理由(第49条)ではあるが、無効理由(第123条)にはされていない。これは、第37条が出願人、第三者及び特許庁の便宜のための規定であり、他の拒絶理由と比較すると、発明に実質的に瑕疵があるわけではなく、二以上の特許出願とすべきであったという手続き上の瑕疵があるのみであるので、そのまま特許されたとしても直接的に第三者の利益を著しく害することにはならないからである。したがって、発明の単一性がない場合でも、それまでの調査結果が有効に利用できる場合等、そのまま審査を続行するのが効率的と判断されるときは、審査を続行することができる。 

(6)発明の単一性について拒絶理由を通知する際には、その理由を具体的に指摘する。

18.12.23 関連意匠制度の改正点について

2006-12-23 10:21:01 | Weblog
意匠法10条1項

1.主体の同一の読み方

 意匠法10条1項の下記の条文から主体の同一を解釈します。

 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、

★「意匠登録出願人は、」
 関連意匠の意匠登録出願人を意味します。
 関連意匠の出願の査定時における出願人を意味します。
 関連意匠の出願について出願人名義変更届を提出した場合には、変更後の名義人を意味します。

★「自己の意匠登録出願に係る意匠」
 「自己の」とは、関連意匠の出願人からみて「自己の」という意味です。
 したがって、本意匠の出願が特許庁に係属しているときは、関連意匠の出願人は、本意匠の出願人と同一であることが要件となります。
 「意匠登録出願に係る意匠」とは、本意匠の意匠登録出願がまだ意匠登録を受ける前であって、特許庁に係属していることを意味します。

★「又は自己の登録意匠」
 「自己の」とは、関連意匠の出願人からみて「自己の」という意味です。
 「登録意匠」とは、意匠登録を受けている意匠を意味します。
 そうすると、本意匠は、関連意匠の出願時においてすでに意匠登録を受けていてもよいことを意味します。
 この場合の主体の同一は、出願人の同一ではなくて、関連意匠の出願人と本意匠の意匠権者とが同一であることを意味します。
 したがって、関連意匠の意匠登録の要件として、出願人が同一であること、というのは正確ではないことになります。
 本意匠の意匠権者とは、関連意匠の出願の査定時における本意匠の意匠権者を意味します。したがって、本意匠の意匠権の設定の登録時の意匠権者ではなくても、その後、関連意匠の出願の査定時までに、本意匠の意匠権を譲り受けた場合には、譲り受けた者がここでいう「自己の登録意匠」の「自己」に該当します。
 つまり、関連意匠の出願の査定時までに、本意匠となるべき自己の登録意匠が存在すれば、主体の同一の要件は満たすことになります。
 この点において、意匠法3条の2ただし書とは、大きく異なります。

2.関連意匠制度の利用の態様

(1)本意匠の出願をした後、本意匠の出願がまだ特許庁に係属している間に、同一人が関連意匠の出願をする場合
 本意匠の出願がまだ特許庁に係属中ですので、「本意匠の意匠登録出願の日後であって、20条3項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報の発行の日前である場合」の要件は、満たすことになります。

(2)本意匠の出願をし、本意匠についてすでに意匠権の設定の登録がされた後に、同一人が関連意匠の出願をする場合
 この場合は、本意匠の出願が掲載された意匠公報の発行の日前である場合に限り、関連意匠の出願をすることができることになります。
 意匠登録査定謄本が送達され、第1年分の登録料を納付すると、意匠権の設定の登録がされ、その後、意匠公報が発行されることになります。そうすると、出願人としては、本意匠の出願について意匠登録査定謄本の送達があった時点で、関連意匠の出願の可能性を検討することが必要となります。
 謄本送達から登録料の納付まで30日あり、登録から意匠公報の発行まで約45日あるようですので、約2月半の期間中に関連意匠の出願の決断をすればよいことになります。

3.9条1項の拒絶理由通知を受けた場合のとり得る措置
 甲が意匠イについて意匠登録出願Aをしたとします。その日後、乙が意匠イに類似する意匠ロについて意匠登録出願Bをしたとします。
 甲の出願Aについて意匠権の設定の登録がされたとします。
 甲の出願Aについて意匠公報が発行される前に乙の出願Bについて9条1項違反の拒絶理由が通知されたとします。
 乙は、甲と交渉して、出願Bの査定時まで(拒絶理由通知に対する指定期間内)に、甲の意匠イに係る意匠権を譲り受けて、移転の登録をすることができれば、意匠イは、乙の登録意匠となりますので、登録意匠イを本意匠とし、出願Bに係る意匠ロを関連意匠とするために、出願Bの願書に「本意匠の表示」の欄を追加する補正をすることにより、10条1項の要件を満たすことができます。
 なお、乙が甲と交渉している間に、甲の出願Aについて意匠公報が発行されることもあると思います。その場合であっても、乙の出願Bは、甲の出願Aの意匠公報の発行の日前にされていますので、時期的要件を満たすことはできます。
 自己の登録意匠は、出願Bの査定時までに存在すればよいので、この要件も満たすことができます。
 意匠法3条の2では、先願の出願人とは、先願の意匠権の設定の登録時の出願人を意味しますので、先願意匠権を譲り受けたとしても、出願人同一の要件を満たすことはできませんが、この点で、10条1項と大きく異なります。
 3条の2は、条文上「出願人」が「同一」であることが必要です。10条1項は、本意匠の出願が特許庁に係属中は出願人が同一であることが必要ですが、本意匠の出願が意匠権の設定の登録がされた後は、「自己の登録意匠」が存在すればよいことになります。
 以上より、前記の例では、出願Bの出願人を甲にして、甲が関連意匠の意匠権の設定の登録を受けた後に、甲の出願Aに係る本意匠の意匠権と、甲の出願Bに係る関連意匠の意匠権を一括して乙が譲り受けるという迂回手続をとる理由はまったくありません。2つの意匠権を移転登録することになりますので、登録免許税が2場合となります。
 つまり、本意匠の意匠権と関連意匠の意匠権を一括して譲り受けることができるのであれば、乙が甲から出願Aに係る意匠権を譲り受けて、出願Bについて乙が関連意匠の意匠権を取得する方が手続的にも費用的にも経済的です。この視点は大事です。

18.12.22 地域団体商標の出願人が個人や会社の場合

2006-12-22 11:49:07 | Weblog
方式審査便覧 1 5 . 2 0 ( 却下- 1 )
不適法な出願書類等に係る手続の却下の取扱い

 不適法な手続であって、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする(特18条の2第1項) 。
 また、却下しようとするときは、その理由を通知し、弁明の機会を与えなければならない( 特18条の2第2項)。

1 . 出願手続の却下
 願書及びその添付書類が、次に掲げる事項に該当する場合には、特許法第18条の2第1項の規定により却下するものとする(商標法第5条の2第1項の規定に該当するときは、同条第2項の規定により補完をすべきことを命じ、指定された期間内にその補完をしないときは、同条第5項の規定により却下するものとする。) 。

(商標登録出願)
(18)地域団体商標登録出願において、商標法第7条の2第1項に規定する「組合等」以外の者(個人、会社等)が出願をしたとき(願書に添付された書面全体から出願書面作成時に誤記したことが明らかな場合を除く。)。〔商7条の2第1項〕

★コメント
 地域団体商標の商標登録出願の出願人が商標法7条の2第1項に規定する組合等に該当しない場合には、同法7条の2第4項の規定により、形式的に、組合等に該当することの証明書を提出すべき補正命令をするものと理解していました。
 組合等に該当しない者が出願人である場合には、組合等に該当することの証明書を提出することができませんので、補正命令に応じないとして、出願を却下する(準特18条1項)ものと理解していました。
 私が担当する講座では、そのように説明してきました。
 しかし、前記方式審査便覧によれば、地域団体商標の商標登録出願の出願人が、個人や会社である場合には、商標法7条の2第4項の補正命令をすることなく、準用する特許法18条の2を適用するようです。
 出願人が個人や会社の場合には、補正命令をしても、補正をすることができないので、補正命令をすることなく、準用する特許法18条の2を適用する趣旨のようです。
 そこで、弁理士試験においても、そのように理解することがよいと思います。
 私の説明は、訂正します。

 準用する特許法18条の2により却下するときは、その前に、弁明書提出の機会が付与されることになります。この時点では、まだ出願は却下されていません。出願は特許庁に係属していることになります。そうすると、出願が却下される前に、通常の商標登録出願に変更することができます。出願に係る商標が、全国的範囲の需要者に周知になっていれば、3条2項の適用を受けることができ、商標登録される可能性があります。