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2021年7月31日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-31 06:22:47 | Weblog
2021年7月31日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―06 特許異議の申立てについての決定

1.決定の手続

(1)特許異議が複数の請求項に申し立てられている場合

 特許異議が複数の請求項に申し立てられているときは、これら全ての請求項について、請求項ごとに特許を取り消すか、維持するか、特許異議の申立てを却下するかを示し、一つの決定により行う。

(2)複数の特許異議の申立てがあった場合

 複数の特許異議の申立てがあった場合、原則、審理は併合され(→67―07の1.)、特許を取り消すか又は維持するかは一つの決定により行う。

2.決定に記載すべき事項

 特許異議の申立てについての決定には、特許異議申立事件の番号、特許権者・特許異議申立人及び代理人の氏名等、特許の表示、結論及び理由、決定の年月日を記載し(特§120の6①)、決定をした審判官全員が記名、押印しなければならない(特施規§45の6→特施規§50の10)(押印代替措置→00―02の2.)(→45―03)。
 また、特許異議申立てが特許異議申立期間内に行われたことを確認するために、特許異議申立日や特許掲載公報の発行日を、決定の理由中に記載する。

3.決定の理由の起案

(1)取消決定

 取消決定の結論及び理由には、それぞれ、特許異議の申立てがされた全ての請求項についての結論(維持、取消、申立却下等)及びその理由を記載する。取消理由通知(決定の予告の取消理由通知を行ったときは当該取消理由通知)に記載されなかった理由で取消決定をすることはできない。取消決定が取消訴訟により取り消された後に、この取消決定に記載しなかった取消理由に基づいて再度の取消決定をするような事態を避けるため、取消決定の起案においては、取消理由通知(決定の予告の取消理由通知を行ったときは当該取消理由通知)に記載された理由のうち、取消決定の根拠となる全ての取消理由を決定の理由中に記載する。

(2)維持決定

 ア 取消理由を通知することなく維持決定をするときは、特許異議の申立ての理由によっては特許が取り消されない理由を、特許異議の申立てについての決定の理由中に記載する。

 イ 取消理由通知又は取消理由通知(決定の予告)をした後に維持決定をするときは、少なくとも、直前の取消理由通知書(又は取消理由通知書(決定の予告))に記載した全ての取消理由によっては特許が取り消されない理由、及び、当該直前の取消理由通知(又は取消理由通知(決定の予告))において採用しなかった特許異議申立理由では特許が取り消されない理由を、決定の理由中に記載する。

(3)訂正の請求がされた場合(→45―04の5.オ(イ))

 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について訂正の請求がされ、当該訂正を認めるときは、認める旨を特許異議の申立てについての決定の結論に示すとともに、決定の理由中に認める理由を記載する。
 当該訂正の請求を認めないときは、認めない旨は、決定の結論には記載せず、決定の理由中に訂正を認めない旨及び訂正を認めない理由を記載する。
 一部の請求項を削除する訂正の請求があり、その訂正が認められたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しなくなった場合、存在しない請求項についての申立てを却下することを記載する。
 なお、訂正の請求により、特許異議の申立てがされた請求項が全て削除されたときは、特許異議の申立ての対象が存在しないこととなるから、当該訂正の請求を認め、特許異議の申立てを却下する(特§120の8①→特§135)。


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2021年7月31日 その3 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-31 06:21:40 | Weblog
2021年7月31日 その3 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05.5 取消理由通知(決定の予告)

1.取消理由通知(決定の予告)が必要な場合

(1)無効審判においては、特許庁と裁判所との間の「キャッチボール現象」(→51―17の2.)を防止するため、平成23年法改正により、「審決の予告」を行って訂正の機会を与えると共に、審決取消訴訟係属中の訂正審判の請求を禁止した。特許異議の申立てにおいても、取消決定取消訴訟係属中の訂正審判の請求は禁止されている(特§126②)ため、取消理由の通知後に、再び特許を取り消すべき旨の判断となったときは、取消理由通知(決定の予告)を特許権者に送付することで、再度訂正の機会を与えることとする。
 こうすることにより、1回目の取消理由通知と、取消理由通知(決定の予告)とでそれぞれ1回の訂正の機会が与えられ、審判合議体の判断を踏まえた訂正の機会を二度与えることが担保されることとなる。
 また、無効審判は特許の有効性に関する当事者間の紛争解決を制度趣旨としており、両当事者の主張立証が尽くされた上で審決がなされる必要がある
 一方、特許異議申立制度は特許の早期安定化を図ることを制度趣旨としており、当事者の手続保障にも配慮しつつ、早期に最終的な判断を示すことが期待されている。
 以上の背景を踏まえて、2回目の取消理由通知は、原則として、取消理由通知(決定の予告)とする。
 ただし、2回目の取消理由通知が訂正の機会を与えることのみを目的とする場合(例えば、合議体が軽微な記載不備の解消等により特許を維持できるとの心証を有している場合)は、取消理由通知(決定の予告)とせず、通常の取消理由通知とする。

(2)取消理由通知(決定の予告)には、「決定の予告」である旨を冒頭に明示する。
 特許権者は、指定期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)内に意見書の提出及び訂正の請求をすることができる(特§120の5①②)。

(3)特許を維持すべき旨の判断となったときは、維持決定をする。

2.取消理由通知(決定の予告)が不要な場合
 以下の場合には、取消理由通知(決定の予告)は行わず、決定をする。

(1)取消理由通知に対する応答がない(意見書の提出又は訂正の請求がない)場合
 取消理由通知に対して何ら応答がないときは、さらに訂正の機会を付与す必要がないため、決定の予告は行わない(→67―05.3の3.)。

(2)決定の予告を希望しない旨の特許権者の申出がある場合
 特許権者が特許異議の申立てについての決定を早期に得ることを目的として決定の予告を希望しないときは、決定の予告は行わない。特許権者は決定の予告を希望しない旨の申出を取消理由通知に対する意見書にて行う。

3.取消理由通知(決定の予告)の記載内容

 取消理由通知(決定の予告)の結論には、特許異議の申立てがされた全ての請求項についての結論(維持、取消、申立却下等)を記載する。取消理由通知(決定の予告)の理由には、合議体が特許を取り消すべきと判断した理由を決定と同様の内容で記載する。
 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について訂正の請求がされ、当該訂正の請求を認めるときは、訂正を認める旨を、取消理由通知(決定の予告)の結論に示すとともに、取消理由通知(決定の予告)の理由中に訂正を認める理由を記載する。
 当該訂正の請求を認めないときは、訂正を認めない旨は取消理由通知(決定の予告)の結論には記載せず、取消理由通知(決定の予告)の理由中に訂正を認めない旨及び訂正を認めない理由を記載する。

4.取消理由通知(決定の予告)後の審理

 取消理由通知(決定の予告)後の審理は、訂正の請求の有無に応じて、以下のように進める。

(1)訂正の請求がある場合

 特許異議申立人から意見書の提出を希望しない旨の申出がなく、特許異議申立人に対して意見書を提出する機会を与える必要のない特別の事情にも当たらないときは、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える(→具体的手続は67―05.4の1.参照)。
 特許異議申立人には、取消理由通知(決定の予告)等を送付する(特§120の5⑤))。
 取消理由通知(決定の予告)後において、特許異議申立人に対して意見書を提出する機会を与えない場合は、通常の取消理由通知における以下の①~④の場合(→67―05.4の2.)に加え、⑤、⑥の場合が挙げられる。
 ① 訂正の請求が訂正要件に適合しない場合
 ② 訂正が誤記の訂正等軽微なものである場合
 ③ 訂正が請求項の削除のみの場合
 ④ 訂正が特許異議の申立てがされていない請求項のみについてされた場合
 ⑤ 訂正の内容を検討しても、特許を取り消すべきと合議体が判断した場合
 ⑥ すでに特許異議申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断した場合

(2)訂正の請求がない場合

 特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えることなく審理し、特許権者から意見書の提出があれば、その内容を検討し、取消理由通知(決定の予告)の理由により特許を取り消すべきと判断できるときは、取消理由通知(決定の予告)に記載した内容により決定をする(特§114②)。
 基本的には取消理由通知(決定の予告)に記載した内容を決定に記載すればよいが、誤記の訂正や取消理由通知(決定の予告)の後に出された特許権者の意見書への言及を必要に応じてする。
 なお、訂正の請求がない場合であっても、特許権者の主張により、合議体が特許を取り消すべきとした理由に疑義が生じたときは、特許異議申立人に対して審尋することができる。


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2021年7月31日 その2 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-31 06:20:34 | Weblog
2021年7月31日 その2 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05.4 特許異議申立人による意見書の提出

1.特許異議申立人による意見書の提出

(1)通知した取消理由に対して適法な訂正の請求があったときは、特許異議申立人が希望しない場合(注)又はその機会を与える必要がないと認められる特別の事情がある場合を除き(特§120の5⑤ただし書)、取消理由を記載した書面(特許権者に通知する取消理由と同内容が記載されているもの)とともに、意見書、訂正請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面(この節67―05.4において「訂正明細書等」という。)の副本を特許異議申立人に送付し、相当の期間(標準30日(在外者50日)→25―01.4)を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない(特§120の5⑤)。

(注)特許異議申立人が意見書の提出を希望しない場合は、特許異議申立書において意見書の提出を希望しない旨の申出を行ったときである(特施規§45の2様式61の2備考4参照)。

(2)合議体は、特許異議申立人が提出した意見書の内容を参酌し、審理する。
 ただし、意見の内容が、実質的に新たな理由及び証拠を提示しているときは、公益に及ぼす影響や特許異議の申立ての期間が特許掲載公報発行の日から6月以内に制限されている趣旨を踏まえ、訂正により追加された事項についての見解など訂正の請求の内容に付随して生じる理由である場合や、適切な取消理由を構成することが一見して明らかな場合を除き、当該実質的に新たな理由及び証拠は採用しない。

2.特別の事情について

 迅速かつ効率的な審理の観点から、訂正の請求の内容が実質的な判断に影響を与えるものではない場合等、特許異議申立人に意見を聴くまでもないことが明らかなときは、特別の事情にあたるとして、特許異議申立人に意見書を提出する機会は与えない。

 特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えない場合としては、以下のものが挙げられる。
 ① 訂正の請求が訂正要件に適合しない場合
 訂正の請求が適法でなく、却下されたとき(特§120の5⑨→特§133③、特§120の8→特§133の2②)又は訂正が認められないときは(→3.(1))、「訂正の請求があつたとき」に該当しない。

 ② 訂正が誤記の訂正等軽微なものである場合

 ③ 訂正が一部の請求項の削除のみの場合

 ④ 訂正が特許異議の申立てがされていない請求項のみについてされた場合
 なお、取消理由通知(決定の予告)後の特別の事情については、67―05.5の4.(1)を参照。

3.特許異議申立人による意見書の提出手続

(1)審判長は、上記1.(1)にしたがって、必要な書面を特許異議申立人に送付する。訂正請求書に方式上の不備があったときは、自発的に提出された補正書、又は、特許権者に補正を命じ提出させた補正書の副本を加えて特許異議申立人に送付する(→21―02)。
 また、訂正要件に適合しないときは、訂正拒絶理由を通知し、補正により訂正の請求が要件に適合した後に送付する。この場合、送付する書面は、上記書面に加えて、訂正拒絶の理由を記載した書面のほか、通知された訂正拒絶理由に対して特許権者から提出された書面(意見書、訂正請求書の補正書及びこれに添付された訂正明細書等の副本)となる。
 なお、訂正請求書の補正によっても訂正の要件に適合しない場合には、特別の事情(→2.①)にあたるとして特許異議申立人に意見を求めず、書面の送付も行わない。

(2)特許異議申立人は、意見書を作成し、指定期間(標準30日(在外者50日)→25―01.4)内に提出する(特施規§45の3③様式61の5)。
 意見書の意見の内容の欄には、訂正の請求に係る事項について、特に述べる必要が生じたものについて具体的に記載する(→1.(2))。
 意見書を提出する場合は、必要な数の副本(特許権者の数+参加人の数+1(審理用))を提出しなければならない(特施規§4、特施規§45の6→特施規§50の4)。
 なお、必要な副本の数は、特許異議申立人への意見書提出の機会を知らせる通知書に記載されている。


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2021年7月31日 その1 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-31 06:18:51 | Weblog
2021年7月31日 その1 弁理士試験 代々木塾 審判便覧
 
審判便覧 67―05.3 意見書又は訂正請求書提出後の審理

4.訂正請求書が提出された場合の審理

(1)訂正請求書の方式違反と補正

 ア 訂正請求書が補正可能な方式違反の場合の取扱い
 訂正請求書が、手数料不足、委任状不備又は専用実施権者等がいる場合における承諾書不備(特§120の5⑨→特§127)など方式に違反し、補正が可能なものに対して、自発的に補正がされないときは、審判長は特許権者に対し相当の期間(不備の内容により、標準10日から30日。→25―01.5)を指定して補正を命じる(特§120の5⑨→特§133①、特§120の8①→特§133②)。

 訂正請求書の請求の趣旨及び理由が、記載要件(特§120の5⑨→特§131③、特施規§46の2②)を満たさないとき(例えば、特許異議の申立てが請求項ごとに請求されているのに、訂正の請求が請求項ごとに請求されていないときや、一群の請求項が正確に特定されていないとき(別の訂正単位とする求めに不備があるときを含む)、明細書又は図面の訂正と関係する全ての請求項が請求の対象とされていないときなど)は、審判長は、特許権者に対し相当の期間(標準30日→25―01.5)を指定して補正を命じる。

 これらの補正を命じられた事項について、特許権者が必要な補正を行わないときは、審判長は決定をもって訂正請求書を却下する(特§120の5⑨→特§133③)。

 特許権者は、訂正請求書の却下の決定に対して、東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に訴えを提起することができる(特§178①)。

 イ 補正をすることができない不適法な訂正請求の取扱い
 方式違反が補正をすることができないものであるとき(期間経過後の請求など)は、特許権者に対し却下の理由を通知し、弁明書提出の機会を与え(特§120の8①→特§133の2②)た後に、審判長は決定をもって当該訂正の請求を却下する(特§120の8①→特§133の2①)。

 特許権者は、訂正の請求の却下の決定(特§120の8→特§133の2①)に対して、行政不服審査法による不服申立て又は行政事件訴訟法による地方裁判所への訴えの提起をすることができる。

 合議体は、訂正の請求の却下の決定をした事件について特許異議の申立てについての決定をするときは、その理由中に、訂正の請求が却下された旨を記載する。

 ウ 命令に応じた訂正請求書の補正の取扱い
 訂正請求書の補正は、請求の理由以外は、その要旨を変更するものであってはならないが、補正を命じられた事項についてする補正は、訂正請求書の要旨を変更する補正であっても、当該補正命令に応じる場合に限り認められる(特§120の5⑨→特§131の2①三)。

(2)訂正の請求の審理

 ア 訂正の適否の判断

(ア)特許請求の範囲に係る訂正の検討
 訂正の請求が訂正要件を満たしているかの判断は、まず訂正事項ごとにそれぞれ訂正要件の適合性の判断をする。

[訂正要件]
 a 特§120の5②:訂正の目的(特許請求の範囲の減縮、誤記・誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明または他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすること(書き下しをすること)のいずれか。)

 b 特§120の5⑨→特§126⑤:特許明細書等(誤記・誤訳の訂正の場合は当初明細書等)の範囲内訂正(新規事項禁止)

 c 特§120の5⑨→特§126⑥:特許請求の範囲の拡張・変更禁止

 d 特§120の5⑨→特§126⑦:独立特許要件(特許異議の申立てがされていない請求項に係るものであって、特許請求の範囲の減縮または誤記・誤訳の訂正を目的とするものに限る。)

 最終的な訂正の適否の判断は、訂正が請求された単位に応じて行う。例えば、請求項ごとの請求については請求項ごとに、一群の請求項ごとの請求については一群の請求項ごとに、特許全体に対しての請求についてはその特許全体に対して、それぞれ訂正の適否の判断をする。

(イ)明細書及び図面に係る訂正の検討
 複数の請求項に関係する明細書又は図面についての訂正事項の適否の判断は、当該訂正事項が含まれる請求項(又は一群の請求項)についての請求ごとに行う。

 イ 訂正の請求が訂正要件に適合しない場合の取扱い
 訂正の請求が訂正要件(特§120の5②ただし書各号、特§120の5⑨→特§126⑤⑥⑦)に適合しないときは、訂正拒絶理由を通知する(特§120の5⑥)。
 特に、特許異議の申立てがされていない請求項の訂正の請求については、独立特許要件(特§120の5⑨→特§126⑦)に適合しないときにも、訂正拒絶理由を通知することに留意する(→67―05.2の1.(2)ウ)。

(3)訂正拒絶理由通知に対する特許権者の応答

 ア 訂正拒絶理由通知に対しては、意見書の提出及び訂正請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面(この節 67―05.3において「訂正明細書等」という。)についての補正をすることができる(特§120の5⑥、§17の5①)。専用実施権者等があるときは、補正をすることについてこれらの者の承諾が必要である(特§120の5⑨→特§127)。

 イ 訂正拒絶理由通知に対しては、訂正事項の削除、軽微な瑕疵の補正等、訂正請求書の要旨を変更しないものであれば補正をすることができる。
 訂正審判の請求書の補正と同様に、新たに訂正事項を加えることや、訂正事項を変更することは、訂正請求書の要旨を変更するものとして取り扱う。
 ただし、①ある請求項の訂正事項を当該請求項の削除という訂正事項に変更する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正、並びに②請求項の削除という訂正事項を追加する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正は、訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものとは取り扱わない(→54―05.1の2.)。

 ウ 訂正拒絶理由通知に対する意見書及び補正書を検討した結果、依然として訂正の請求が訂正要件に適合していないと判断したときは、当該訂正を認めず審理し、一方、訂正の請求が訂正要件に適合すると判断したときは、当該訂正を認めた上で、審理する。

(4)訂正請求書、訂正明細書等の補正ができる期間

 訂正請求書は、事件が特許庁に係属している場合に限り、補正をすることができる(特§17①)。ただし、訂正請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、以下に掲げる期間に限ってすることができる(特§17の5①)。

 ア 取消理由通知(決定の予告として行う取消理由通知を含む)に対する意見書提出期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)(特§120の5①)

 イ 訂正拒絶理由通知に対する意見書提出期間(標準30日(在外者50日)→25―01.4)(特§120の5⑥)
 訂正明細書等は、訂正請求書の請求の趣旨と一体のものであり、両者を同時に補正しなければならないので、訂正請求書の補正をすることができる時期は、事実上、訂正明細書等の補正をすることができる時期と同じく訂正拒絶理由通知に対する指定期間に限られる。


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2021年7月30日 その2 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-30 20:49:32 | Weblog
2021年7月30日 その2 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05.2 特許権者による意見書又は訂正請求書の提出

1.取消理由通知に対する特許権者の対応

(1)意見書の提出
 特許権者は、取消理由が通知されたときは、指定期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)内に意見書を提出することができる(特§120の5①)。
 特許権者が、早期に決定を得ることを目的として取消理由通知(決定の予告)(→67―05.5)を希望しない場合には、特許権者はその旨を当該意見書に記載する(→67―05.5の2.)。

(2)訂正の請求
 特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(この節67―05.2において「明細書等」という。)の訂正を請求することができる(特§120の5②)。
 なお、専用実施権者等があるときは、これらの者の承諾が必要である(特§120の5⑨→特§127)。

ア 訂正を請求できる期間
 訂正を請求できる期間は、取消理由通知において指定された意見書の提出期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)である(特§120の5①)。

イ 訂正の請求の対象(→38―00)
 特許異議の申立てがされていない請求項についても訂正することができる(特§120の5⑨→特§126⑦)。
(ア)一群の請求項と訂正の請求(→38―01)
(イ)明細書又は図面の訂正(→38―02)

ウ 訂正要件(→38―03)
 特許異議の申立てがされた請求項については、訂正後における発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであること(独立特許要件)を訂正要件として判断することはなく、他の訂正要件に適合する限り、訂正を認めた上で審理する。
 一方、特許異議の申立てがされていない請求項又は先の訂正請求による訂正が部分的に確定した請求項に対する訂正については、他の訂正要件に加えて独立特許要件を判断する(特§120の5⑨→特§126⑦)(→51―11の1.(3))。

エ 訂正の請求の方式等

(ア)訂正請求書
 訂正の請求は、所定の訂正請求書によりしなければならない(特施規§45の3②、特施規様式61の4)。また、訂正請求書の請求の趣旨及びその理由は、訂正請求書の記載要件(特§120の5⑨→特§131③、特施規§46の 2)を満たすようにしなければならない。
 訂正の請求は、訂正審判と同様に、専用実施権者等の承諾(特§127)、審判請求の方式(特§131①、③及び④)及び共同審判(特§132③、④)の規定が準用される(特§120の5⑨)。

(イ)請求の趣旨及びその理由(→38―04)

(ウ)訂正明細書等(→38―05)

(エ)手数料(→38―06)

(オ)意見書、訂正請求書等の副本の提出
 特許権者は、意見書、訂正請求書及び訂正明細書等を提出するときは、必要な数の副本(特許異議申立人の数+参加人の数+1(審理用))を提出しなければならない(特施規§4、特施規§45の6→特施規§50の4)。
 なお、必要な副本の数は、取消理由通知に記載されている。

(3)複数回の訂正の請求

 一の特許異議申立事件において複数回の訂正の請求がされたときは、先にされた訂正の請求は取り下げられたものとみなされる(特§120の5⑦)。
 したがって、二回目以降の訂正の請求についても、訂正の基準となる特許請求の範囲、明細書及び図面は、設定登録時(既に確定した訂正がある場合は、その訂正時。)の特許請求の範囲、明細書及び図面であって、直前の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲、訂正明細書及び図面ではない。
 なお、確定した訂正については、後にした訂正の請求によって取り下げられたものとはみなされない(→51―11の3.)。

(4)訂正の請求の取下げ

 特許異議の申立てにおける訂正の請求は、取消理由通知(決定の予告として行う取消理由通知を含む)において指定された意見書を提出する期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)又は訂正拒絶理由の通知において指定された意見書を提出する期間(標準30日(在外者50日)→25―01.4)に限り、取り下げることができる(特§120の5⑧、特§17の5①)。この場合に、訂正の請求を請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない(特§120の5⑧、特施規§45の6→§50の2の2)。訂正の請求の一部を取りやめたいときは、訂正請求書の補正(特§17①)及び訂正に係る明細書、特許請求の範囲、図面の補正(特§17の5①)により訂正事項の一部削除をすることができる。


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2021年7月30日 その1 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-30 20:48:18 | Weblog
2021年7月30日 その1 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05.1 取消理由通知

1.取消理由通知(特§120の5)の趣旨と種類

(1)取消理由通知の趣旨
 取消理由通知は、特許を取り消すべき旨の判断となった場合に、合議体の判断を示し、意見書の提出及び訂正の機会を特許権者に与えるものである。

(2)取消理由通知の種類
 取消理由通知には、運用上、通常の取消理由通知と、特許を取り消すべき旨の決定の前に、訂正の機会を特許権者に与えるための取消理由通知(この章67において「取消理由通知(決定の予告)」という。)(→67―05.5)の2種類がある。

2.取消理由通知の手続

 合議体が審理し、特許を取り消すべきと判断したときは、特許権者に取消理由を通知し、相当の期間(標準60日(在外者90日)→25―01.4)を指定して、意見書の提出及び訂正の機会を与える。特許異議申立人には、取消理由通知を送付しない(後に特許権者から訂正の請求があった場合は、特許権者に通知した取消理由を記載した書面が送付される(特§120の5⑤))(67―05.4)。
 なお、特許権者は、取消理由通知書に記載された取消理由について意見すれば足り、特許異議申立書又は特許異議申立人から提出された意見書や審尋に対する回答書に記載された理由及び証拠に対して意見を述べる必要はない(→67―05の2.(3))。
 取消理由を通知するときは、特許権者が意見書等を提出する場合に必要な副本の数(特許異議申立人の数+参加人の数+1(審理用))を指定する(特施規§4、特施規§45の6→特施規§50の4)。

3.取消理由通知の検討

(1)審理にあたっては、全ての特許異議の申立ての理由及び証拠について検討する。また、必要なときは、職権により、特許異議申立人が申し立てない理由及び証拠についても審理を行う(→67―05の3.(3))。

(2)取消理由を構成できないときは、特許を維持すべき旨の決定(この章67において「維持決定」という。)をする(→67―06の3.(2))。

(3)複数の取消理由を構成できるときは、原則として、これらを全て取消理由とする。また、適用条文が異なる取消理由については、それぞれの適用条文について取消理由とする。

(4)ただし、上記(3)において、複数の取消理由を構成できるときは、事件全体の効率的・合理的な解決が図れるように、事案に応じた適切なものを選び、取消理由とすることもできる。この場合、複数回の取消理由通知や特許取消決定の取消判決が確定した後に再度別の理由による取消決定をすることがないよう、特許請求の範囲が減縮される可能性があることも考慮しつつ、理由及び証拠を検討する。

(5)合議体は、合議体としての認定及び判断を取消理由通知書に記載する。異議申立書に記載された取消理由に係る特許異議申立人の主張を、記載箇所(ページ、行)を示すのみで引用することは、合議体の認定及び判断が示されていないと解されるおそれがあるため、行わない。ただし、異議申立書に記載された証拠等の説明については、合議体としての認定の根拠として必要なときに限り、引用することができる。


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2021年7月29日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-29 04:12:11 | Weblog
2021年7月29日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05 特許異議の申立てについての審理

3.審理の範囲

(1)審理の対象

 審理の対象は、特許異議の申立てがされた請求項に限られる(特§120の2②)。
 複数の特許異議の申立てがあった場合、原則審理は併合され(→67―07)、当該併合した特許異議の申立てのいずれかにおいて申立てがされた請求項は、全て審理の対象となる。

(2)特許異議の申立ての理由及び証拠に基づく審理

 特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠に基づいて審理する(例1~3)。

(例1)特許異議の申立ての理由及び証拠を追加や変更なく採用
 特許異議申立人甲が証拠A,Bの組合せを提出したときに、適切であることから追加や変更なく用いる場合。

(例2)特許異議の申立ての理由及び証拠から取消理由になり得る適切なものを採用
 特許異議申立人甲が証拠A,Bの組合せまたはC,Dの組合せを選択的に提出したときに、A,Bの組合せを取消理由の根拠として用いる場合。

(例3)複数の特許異議の申立ての理由及び証拠から取消理由になり得るものを採用
 特許異議申立人甲が証拠A,Bの組合せ、同乙が証拠C,Dの組合せ、同丙がEを提出したときに、A,Bの組合せ、及びEのそれぞれを取消理由の根拠として用いる場合。

(3)職権審理

 合議体は、職権により、特許異議申立人が申し立てない理由についても審理することができ(特§120の2①)、また、特許異議申立人が申し立てない証拠の採用も可能である。
 職権審理の発動は合議体の義務ではなく裁量権とされている。合議体が職権審理の権限を発動するか否かは、特許庁自らが当該特許処分の適否について審理し、当該特許に瑕疵があるときは、その是正を図ることにより、特許の早期安定化を図るとの制度の趣旨(→67―00)を踏まえ、その事件が公益に及ぼす影響、職権探知をすることによる審理遅延の可能性、職権探知の結果としての真実発見の可能性、等を総合的に考慮し、事案に応じて合議体が決定すべきものである。
 職権審理により特許異議申立人が申し立てない理由や証拠を用いる例として、証拠の組合せ(例4)、特許異議申立人が提出していない証拠の採用(例5)、適用条文の変更(例6)等が挙げられる。

(例4)複数の特許異議の申立てにおいて提出された証拠の組合せ
 特許異議申立人甲が証拠A,B、同乙が証拠C,Dを提出したときに、AとDの組合せを取消理由の根拠として用いる場合。

(例5)特許異議申立人が提出していない証拠を用いる場合
 特許異議申立人が提出した証拠A,Bに加えて、審査において提示された証拠Cを取消理由の根拠として用いる場合。
 特許異議申立書により申し出た証拠に基づく進歩性等の取消理由を裏付ける証拠(技術分野の技術常識を示す文献など)や申立ての理由となった記載要件違反を立証するための証拠を、補足するため、職権調査により発見した証拠を用いる場合。

(例6)適用条文の変更
 特許異議の申立ての理由において、新規性(特§29①)の適用が主張されているのに対して、進歩性(特§29②)の適用が妥当と判断する場合。

 なお、特許異議の申立てでは、特に、早期に最終的な判断を示すことが求められているから、特許異議申立人が申し立てない証拠は、上記(例5)の場合のほか、審判官がきわめて容易に入手できる証拠に限り採用する。

 一方、特許異議申立期間を特許掲載公報発行の日から6月以内に限定し(特§113①)、かつ、特許異議申立書に請求の理由の記載を求めること(特§115①三)、特許異議申立書の補正も当該期間後は制限を設けていること(特§115②)に鑑み、刊行物等提出書で提出された文献であって、特許異議申立期間経過後に提出されたものは、適切な取消理由を構成することが一見して明らかな場合を除き、証拠として用いない。


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2021年7月29日 その3 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-29 03:58:48 | Weblog
2021年7月29日 その3 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 67―05 特許異議の申立てについての審理

2.特許異議の申立ての審理の開始

(1)複数の特許異議の申立てがあったときは、原則として審理を併合し、合議体は、全ての申立理由を整理し、まとめて審理する(特§120の3①)(→67―07)。
 本案審理は、特許異議申立期間の経過を待って行う。

(2)特許異議申立期間の経過前であっても、特許権者が希望すれば、特許異議申立期間の経過前に審理を開始する(→67―08)。

(3)特許異議の申立てについての審理は、特許異議申立書又は特許異議申立人から提出された意見書に記載された理由及び証拠に対し特許権者が答弁するのではなく、審判長が通知した取消理由に対し特許権者が意見書等を提出することにより進行する。


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2021年7月29日 その2 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-29 03:46:32 | Weblog
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審判便覧 67―04 特許異議の申立ての不備と補正

2.特許異議申立書の補正

(1)補正の考え方

 特許異議申立書には、特許異議の申立ての主体(特許異議申立人)、客体(申立てに係る特許の表示(特許番号、請求項))及び特許異議の申立ての理由及び必要な証拠を記載しなければならず(特§115①)、この特許異議申立書の補正はいつでもできるが、その要旨を変更するものであってはならない(特§115②本文)。

(2)具体的取扱い

 ア 主体(特許異議申立人)の補正
 特許異議の申立ての主体(特許異議申立人)の補正は、特許異議申立人の同一性が失われる場合には要旨変更となる。対象の同一性が失われない範囲で、記載の誤りを正すものは要旨変更としない。

 イ 客体(特許番号、請求項)の補正
 特許異議の申立ての客体(特許番号、請求項)の補正についても、特許番号、請求項の同一性が失われる場合には要旨変更となる。
 ただし、特許異議の申立ての対象としての請求項の削除は、本来要旨変更となるものであるが、申立てに係る請求項の取下げ(→67―03の3.)と同様に取り扱うことができることから、例外的に取消理由が通知されるまでは要旨変更としない。

 ウ 理由及び証拠の補正
 特許異議の申立ての理由及び証拠の補正については、例外的に、その要旨を変更するものであっても、特許異議申立期間が経過する時又は取消理由の通知がある時のいずれか早い時までは、理由及び証拠の追加、変更ができる(特§115②ただし書)(→21―06)。
 この時以降は、特許異議申立書の要旨を変更しない範囲でのみ補正できる。
(参考)特許異議の申立てから本案審理開始までの方式フロー(→20―00)


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2021年7月29日 その1 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-29 03:36:02 | Weblog
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審判便覧 67―04 特許異議の申立ての不備と補正

1.特許異議申立(書)の不備と処分(→21―00~09)

(1)補正命令と申立書却下

 特許異議申立書の方式違反(記載事項欠落、不明確、手数料不足・未納等)に対して、自発的に補正がされないときは、方式違反の内容に応じて、審判長が補正命令又は審尋をする(特§120の8①→特§133①、②、特§134④)(→21―02)。
 補正命令に対し、指定した期間(不備の内容により、標準10日から30日。→25―01.5)内に補正がされないときは、審判長は決定をもって特許異議申立書を却下する(特§120の8①→特§133③)。

(2)補正をすることができない不適法な特許異議の申立てと申立て却下

 不適法な申立てであって、補正をすることができない特許異議の申立て(申立てできる期間外になされたもの、対象となる特許が不存在のもの等)に対しては、合議体は決定をもって特許異議の申立てを却下する(特§120の8①→特§135)。

 なお、特許異議の申立てがされた請求項のうち、一部の請求項について、申立期間の経過時又は取消理由通知時のいずれか早い時までに申立ての理由及び証拠に補正がなされずに、申立ての理由及び証拠の実質的な記載・表示がないものがあるときはその申立てを却下するが、その時までに当該請求項についての申立てが取り下げられたときはこの限りでない。

(3)却下の決定に対する不服申立て

 上記(1)の特許異議申立書の却下の決定に対して不服があるときは、東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に訴えを提起することができる(特§178①)。

 上記(2)の特許異議の申立ての却下の決定に対しては、不服申立てをすることができない(特§120の8②、§135、§195 の 4)。


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