2024年3月27日 弁理士試験 代々木塾 特許法 拒絶理由の通知
問題
次の記載は、適切であるといえるか。
甲は、特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願Bをし、出願Bに係る特許を受ける権利を乙に承継した。
その後、出願Aについて拒絶の理由が通知されたが、甲は乙に出願Aについて通知された拒絶の理由を知らせなかった。
出願Aについて拒絶の理由が通知された後、出願Aが出願公開される前に、乙が出願Bについて出願審査の請求をした場合、出願Bについての拒絶の理由が出願Aについての拒絶の理由と同一であるときは、特許法第50条の2の規定によれば、審査官は、出願Bについて、既に通知された拒絶の理由と同一である旨を、その拒絶の理由と併せて通知しなければならない。
解答
特許法50条の2は「審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。」と規定している。
青本には、下記の記載がある。
本条中の「当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかった」とは、例えば次のような場合である。
(1)「他の特許出願」についての拒絶理由の通知が、「当該特許出願」についての出願審査の請求よりも後だった場合。
(2)出願後の権利継承のために「当該特許出願」と「他の特許出願」の出願人が異なっており、かつ「当該特許出願」についての出願審査の請求のときに「他の特許出願」が出願公開前であったために、拒絶理由通知書の閲覧等ができなかった場合。
甲が特許出願Aを分割して新たな特許出願Bをした後、特許出願Bの出願人が乙に変更された場合において、特許出願Aについて拒絶理由が通知されたが、特許出願Aについて出願公開前に、特許出願Bについて乙が出願審査の請求をしたときは、乙は、当然には、特許出願Aについての拒絶理由の内容を知ることはできない。この場合は、特許法50条の2は適用されない。
よって、本問の記載は、不適切である。
問題
次の記載は、適切であるといえるか。
甲は、特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願Bをし、出願Bに係る特許を受ける権利を乙に承継した。
その後、出願Aについて拒絶の理由が通知されたが、甲は乙に出願Aについて通知された拒絶の理由を知らせなかった。
出願Aについて拒絶の理由が通知された後、出願Aが出願公開される前に、乙が出願Bについて出願審査の請求をした場合、出願Bについての拒絶の理由が出願Aについての拒絶の理由と同一であるときは、特許法第50条の2の規定によれば、審査官は、出願Bについて、既に通知された拒絶の理由と同一である旨を、その拒絶の理由と併せて通知しなければならない。
解答
特許法50条の2は「審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。」と規定している。
青本には、下記の記載がある。
本条中の「当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかった」とは、例えば次のような場合である。
(1)「他の特許出願」についての拒絶理由の通知が、「当該特許出願」についての出願審査の請求よりも後だった場合。
(2)出願後の権利継承のために「当該特許出願」と「他の特許出願」の出願人が異なっており、かつ「当該特許出願」についての出願審査の請求のときに「他の特許出願」が出願公開前であったために、拒絶理由通知書の閲覧等ができなかった場合。
甲が特許出願Aを分割して新たな特許出願Bをした後、特許出願Bの出願人が乙に変更された場合において、特許出願Aについて拒絶理由が通知されたが、特許出願Aについて出願公開前に、特許出願Bについて乙が出願審査の請求をしたときは、乙は、当然には、特許出願Aについての拒絶理由の内容を知ることはできない。この場合は、特許法50条の2は適用されない。
よって、本問の記載は、不適切である。