麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

10月の観劇を振り返る(後編)

2006年11月01日 | 鑑賞
 経営協(現製作協*)の研修でイギリス-アイルランドを訪れた際、通訳・コーディネートで同行いただいた時は本名だったが、02年、三輪えり花として新たな一歩を踏み出して以来、去年は昴の代表作『アルジャーノンに花束を』を演出、そして三百人劇場柿落としであり、当初はこれで幕を引くと言われていた財産演目『夏の夜の夢』の大仕事をついに手中にし、年末にはさらに木山事務所にも初進出!
 彼女らしい「一足飛び」の活躍だ

 おっと。余りに唐突すぎました。
 一昨日に続く「今月の舞台回顧録」は、まず劇団昴『夏の夜の夢』(作/W・シェイクスピア 訳/福田恆存 演出/三輪えり花 10/6~29)について。。。

 いずれにしろ、良い意味で予想に反する「昴らしい」作品に仕上がっていて驚いた。
 三輪演出について、以前「組織力を重んじるヨーロッパサッカーが主体の昴にあって、ただ一人ブラジルサッカーをする」と例えたことがあるが、今回も「トリッキーな夏夜」を想定、というより確信していたのだ。
 勿論、盟友・横井紅炎の花装飾や衣裳(東演もお世話になっている萩野緑嬢)、あるいはまったく無意味(笑)に降る花びらなど、えり花ワールドもしっかり表現されていたが、全体としてとてもキュートかつエレガントな仕上がりになっていた。もっともっと、彼女らしいハチャメチャ感があって良かったのに・・・。
 ただこれは個人的な彼女の1ファンの言であり、“さよなら三百人劇場”の一環である『夏夜』としては、十二分に素敵な舞台でした。
 完売完売・・・で、僕の回りでも見逃した人が多かったようです。再演を熱望します。
               *日本新劇経営製作者協会
               (現在は、日本新劇製作者協会に改称)
  
 財産演目といえば、青年座は伝家の宝刀『ブンナよ、木からおりてこい』(作/水上勉 10/14~22)を本多劇場で。
 1978-81の脚色/小松幹生、演出/篠崎光正の第1期に始まり、85-88の宮田慶子演出(第2期)、92-2000鈴木完一郎演出(第3期)に続く、黒岩亮演出の第4期! 非常にスタイリッシュで、哲学的でもある「ブンナ」で、過去の「らしいブンナ」を知る人には若干違和感があったようだが、仮面ライダーシリーズが1号、2号、V3、Xと回を追っていく中で、アマゾンが登場するのと同様(?)、なるほど新しいものを求めて、こーゆータッチになるのはありだよな、と。言いつつ、僕自身「青年座のブンナ」を観るのは初めてなのだが・・・。
 でも、その黒岩氏が下北沢演劇祭の区民上演グループBで、オーソドックスなブンナを演出されたのは観ています。その上で「あり」との感想です。

 あ。余りに名作なのでとっとと走りましたが、トノサマ蛙のブンナが仲間達の制止も聞かずに椎の木に登り、そこで自然界の弱肉強食を目の当たりにし「命とは」を知る・・・と書くと、ありきたりな寓話劇に思えますが、蛇や牛蛙や鼠など……登場人物が皆、活き活きとしたそれはそれは素晴らしくいい本なのです!

 さて。佐藤祐四、平尾仁、大屋仁志、五十嵐明ら青年座の若きエースが演じてきたブンナを、今回は高義治が務めた! 02年の入団以来、座内の板はもちろん、自ら「八幡ムードメーカー」※というユニットを立ち上げるなど精力的に“演劇する男”!! 今回も見事に大役を演じきり、今後も期待大だ!
 そうそう菅尾なぎさ振付のムーブメントも4期ブンナの特色だが、雀A・子蛙など演じた豊田茂の動きは中でも目を引いた。妖艶な(?)横堀悦夫の蛇、ド迫力でコミカルな山秀樹の牛蛙も特筆すべき演技だったので最後に加えておく。

                  ※=川上英四郎、佐々木聡一と共宰

 昨日、サザンシアターで青年劇場『族譜』(原作/梶山季之 脚本・演出/ジェームス三木)を観劇。よって10月は、7本。東演で3作品やったわりには健闘か?

【原則的に敬称略】

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1 コメント

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申し訳 (elica)
2006-11-18 01:22:13
劇評、ありがとうございます。
いろいろやってみたいことを全部試させてもらった「夏夜夢」でした。
自分の言語でやりたかったです。
それとも、あの言語に合わせるべきだったのか。。。
僕としては極力あわせたつもりなのだが、やっぱりぎくしゃくしたということか・・・
木山、頑張ります。
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