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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

恋愛睡眠のすすめ

2013-11-11 | 映画(ら行)

■「恋愛睡眠のすすめ/The Science Of Sleep」(2006年・フランス=イタリア)

監督=ミシェル・ゴンドリー
主演=ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンスブール アラン・シャバ ミュウ・ミュウ

 男子は夢の中や妄想で恋愛をシュミレーションしたがる生き物だ。そりゃ女子だって彼氏を喜ばせることを想像して、ときめいたりもするだろう。でも男子は本当に恋したら、好きな女の子のことを考え、いろんな想像をめぐらしながら長い時間を過ごす。そして狩猟本能があるからなのか、どうしたら二人の距離を縮められるかの行動を頭の中で想像して、プランをたてる。誰もがすることだ。そんな男のコの妄想や考えを見事にスクリーンに示した映画が、「(500)日のサマー」だった。スプリットスクリーンで左右に分かれた画面で、主人公の想像と現実が同時進行するシーンは、僕らの心を見透かされたようで切なさと気恥ずかしさが入り交じる名場面だった。「初体験リッジモント・ハイ」の映画史に残るフィービー・ケイツのムフフな場面も、ジャッジ・ラインホールドの妄想だったよね。「夢の中なら大胆になれるのに。」とヒロインに言ったのは、「ノッティングヒルの恋人」のヒュー・グラント。きっと彼も夢でコクるシュミレーションをしていたはず。

 ミシェル・ゴンドリー監督の「恋愛睡眠のすすめ」の主人公ステファンもそんな男子のひとり。だけど度を超している。夢の中の彼は「ステファンTV」という番組のホストであり、ボール紙で作られた街を飛び回り、職場の風変わりな同僚たちとバカ騒ぎを繰り広げる。そして彼はアパートの隣に引っ越してきた女性ステファニーと出会う。彼女の友達に興味をもったのが始まりだったが、次第に二人は仲良くなっていく。だって二人は想像の世界を楽しむことができる似たもの同士。ステファニーはメルヘンチックな想像を好むいわゆる"不思議ちゃん"だった。だけど不器用なステファンは、隣に住んでいることさえ最初はタイミングを逸して言い出せず、近くに住んでいると嘘をつく情けなさ。冒頭、申し上げたように不器用な男子は妄想でうまくいくことを想像する。妄想癖のあるステファンもそうだ。そしてステファンは次第に現実と想像の区別がつなかくなっていく・・・。

 男として共感はできるのだけど、大人なんだからそこまでやっちゃダメだろ・・・と主人公の行動を現実的になって冷ややかに見てしまう。それは僕が夢みる頃を過ぎた大人になっちまったからなのか、ミシェル・ゴンドリー監督のやり過ぎ演出を過剰と感じたからなのか。ビジュアル面の面白さや斬新さを楽しみながらも、とにかくステファンがじれったくて仕方なく、映画にのめり込めない自分がいる。パリを去ろうと決意するクライマックスも、ステファニーを不快にさせるようなことばかり口にして不器用にも程ってもんがある。しかしステファニーのロフトで彼が目にしたのは・・・二人にとっての大事なもの。そのまま眠りにおちてしまったステファンとそれを見つめるステファニー。不思議な余韻を残すラストシーンに、それまでのじれったさを忘れて何故かほっとしてしまった。

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ロジャー&ミー

2013-07-12 | 映画(ら行)

■「ロジャー&ミー/Roger & Me」(1989年・アメリカ)

●1989年全米批評家協会賞 ドキュメンタリー映画賞
●1989年NY批評家協会賞 ドキュメンタリー映画賞
●1989年LA批評家協会賞 ドキュメンタリー映画賞

監督=マイケル・ムーア
主演=マイケル・ムーア ロジャー・スミス

 2004年話題の人の一人、マイケル・ムーア。アポなし突撃取材がモットーのこの方。礼儀知らずという声もあるけれど。そうでもしないと取材できない、そんな正攻法じゃ敵わない相手に挑んでいる人だから支持があるのも事実。そて、その原点である「ロジャー&ミー」が廉価版DVDでリリースされたので観てみました。故郷であるミシガン州フリントは、GM(ゼネラルモータース)の工場で栄えた町。ところが工場の閉鎖に伴い15万人の人口のうち3万人が失業するということに。監督は憤りと疑問を胸に、巨大企業に戦いを挑む!・・・というドキュメンタリー。

 企業城下町が崩壊していく様は考えていた以上だった。犯罪が増加して刑務所を新築し、失業した工員を雇って犯罪を犯した元工員を見張る・・・笑うに笑えない現実、GM会長ロジャー・スミス氏のクリスマススピーチにイヴに家を追い出される人々を重ねる場面、ビーチボーイズの ♪Wouldn't It Be Nice(素敵じゃないか) の使い方・・・監督の題材の選び方と使い方は見慣れたTVのドキュメンタリー番組とは全く違うものだ。利益を追求する企業の行動を”悪”だとは言えない。しかし解雇した工員たちへのケアとして、GMや市がやってきたことは一体なんだ。ブロードウェイ級のショウをみせる劇場を建てて半額で入れます!?そんなことで人々に感謝されるとでも思ったのだろうか?単に憤りだけで撮った映画ではなく、工場閉鎖で揺れる町の人々を追うムーア監督の視線には愛がある。しかし、それ故にオレの町をこんなにしやがって!という監督の気持ちは私的な怨念となって、この映画から第三者的な見方を失わせている原因ともなっているようにも思う。憤りと疑問、それに地方都市で暮らす人々への愛がバランスよく描かれたのが「ボウリング・フォー・コロンバイン」だったのだなぁと改めて思った。

(2004年筆)

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ラマになった王様

2013-07-11 | 映画(ら行)

■「ラマになった王様/The Emperor's New Groove」(2000年・アメリカ)


監督=マーク・ディンダル
声の出演=デヴィッド・スペイド ジョン・グッドマン トム・ジョーンズ

 最近のディズニー映画にはなかったラフな楽しさに満ちた映画。昔の「ドナルドダック」や「ミッキーマウス」のTVシリーズ等いわゆる”トゥーン”に通ずるくだけた楽しさだ。お話自体は”わがままばかりしているといけないよ”という寓話であるが、危機また危機のドタバタがやはり一番印象に残る。確かに楽しい。

 今回は南米が舞台。映画全体としては確かに楽しいんだけれど、僕にはどうも心にひっかかるところが・・・。それは随所に散りばめられた見せ場の数々が、あまりにも米国文化的だということ。例えばミュージカルシーンやタイトルでも使われる"groove"という言葉の現代的な響き、秘密の研究所に降りていくときのウォータースライダー等々。そんな現代的な楽しさばかりが残って、南米の情緒とか風物といったものが、なーんか否定されているようにさえ思えた。

 これまでのディズニー作品には文明化されていない地域やアメリカとは異なる文化圏を題材にしたお話でも、そこには徹底した描かれ方があった。「ジャングル・ブック」では音楽にジャズを使った以外は現代的味付けはないし、最近の「ムーラン」にしたって古き東アジアの考え方を尊重している作風に思われた。だが「ラマになった王様」にはそれはない。スタッフはマチュピチュを訪れて遺跡や風景を背景画の参考にしたらしいけど、お話自体は”ご当地ネタではウケない”とでも言いたげで、そこが残念だ。確かにアドベンチャーや成長物語として観れば楽しい。でも昔の南米の人はみんな巨大ダンゴムシを食っているっていうの?。ギャグなんだろうけど、パチャが平然と食べ方を教えるところがあるだけに、もしそういう風俗がないのならば”偏見”につながる恐れもあると思うのね。ともかく楽しめる映画ではあったのだけど、ちょっと気にしてしまいました。

(2003年筆)


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LOVERS

2013-07-10 | 映画(ら行)

■「LOVERS/十面埋伏」(2004年・中国)

●2005年全米批評家協会賞 監督賞

監督=チャン・イーモウ
主演=金城武 チャン・ツィイー アンディ・ラウ

 イーモウ監督の前作「HERO」でも美しい映像美に酔ったが、今回も然り。冒頭のチャン・ツィイーの華麗な舞、緑の竹林、白い雪原、スローモーションの鮮血・・・凝りに凝った色づかいは強い印象を残す。遊郭での舞を観るだけでもう大満足。金城、歌ってんじゃねぇよ、真面目に見ろよ!と怒りたくなるくらい見とれてしまった(笑)。イーモウ監督は北京オリンピック開会式の演出を手がけるそうだけど、この華麗な映像絵巻を生で見せて欲しいなぁ。「HERO」は文字通りのヒロイズムというテーマが貫かれた映画だった。書をめぐる精神論なんて欧米人にわかるのか?と思えるくらいに徹底した描かれ方をしていた。歴史の陰にこんな男たち女たちがいた。だけど歴史は誰もそれを語らない・・・そんな無常観がたまらなかった。だが「LOVERS」は、男女の三角関係を軸にしたラブロマンスと伝統的な武侠映画の融合。それはそれで立派な試みだ。しかし、どうもどっちつかずの印象を受けてしまう。

 前半のアクション場面は見せ場だらけだ。特に竹林での戦いの場面は素晴らしい。頭上を飛び交う刺客たち、降り注ぐ竹の槍。スピーディーでしかも斬新。これは武侠映画の名作「侠女」へのオマージュだろう、非常に力のこもった見応えのある場面だ。ところが三角関係が露呈してからの後半は前半の勢いがなくなってくる。ラストの雪原の戦いだって、妙に間延びしてしまってしつこささえ感じられた。それも愛の深さ故?そう思えばそれを克明に描いた丁寧さには頭が下がります。チャン・ツィイーでラブシーンをよっぽど撮りたかったんだろうね。武侠映画の精神性では欧米人に受けないので、恋愛映画にしてしまったのだろうか。結局「謀(はかりごと)」をめぐるサスペンスとのバランスの問題なんだろうね。そういう意味では「HERO」よりも女性に受けそうな映画とも言えるかな。ワダ・エミの衣装は今回も独創的で美しい。

(2004年筆)




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レインメーカー

2013-07-06 | 映画(ら行)

■「レインメーカー/The Rainmaker」(1997年・アメリカ)

監督=フランシス・F・コッポラ
主演=マット・デイモン クレア・デーンズ ダニー・デビート

 ジョン・グリシャムの映画化作品は、観ていて本当に力が入る。本作は低所得層の一家が白血病に対する保険金支払いをめぐって保険会社を相手に起こした訴訟がメインの物語となっている。そして司法試験に合格したばかりの正義感に燃えた主人公が、公判を通じて成長していく様を描く。同じグリシャム作品でも「依頼人」の様なサスペンス的面白さはないけれど、法廷映画としては「評決のとき」とともに申し分ない出来といえるだろう。司法の世界を熟知した作家の原作だけに、司法界に対する目はとても厳しい。

 コッポラのメガホンとプロデューサーであるマイケル・ダグラス下に、スタアキャストが結集し、主演の若手を支えている。ジョン・ボイドの悪徳弁護士役は貫禄ものだし、ダニー・デビートもこういう役はさすがに巧い。特筆すべきはお久しぶりのミッキー・ロークだね。主人公の雇い主であるダーティな弁護士役だけど、出番が少ないのに異様な存在感。訴訟中の主人公を助けるところはかっこよかった。経験もない主人公だけに訴訟の準備はさぞかし大変なはずなのだが、その辺りはあまり描かれないのでその辺のリアルさは今ひとつかな。でもロースクール卒業後の就職や司法取引の様子などは、他の映画では見られないようなリアルさがある。法廷ものがお好きな人なら、きっと満足できるはず。 

(2003年筆)

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恋愛小説家

2013-06-29 | 映画(ら行)

■「恋愛小説家/As Good As It Gets」(1997年・アメリカ)

監督=ジェームズ・L・ブルックス
主演=ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント グレッグ・キニア

●1998年アカデミー賞 主演男優賞・主演女優賞
●1998年ゴールデングローブ賞 作品賞・主演男優賞・主演女優賞

 平気で人種差別をする、異常な潔癖性、金にものを言わせる・・・ほとほと嫌なヤツなのにどこかチャーミング!、こんなジャック・ニコルソ見たことない。この映画の魅力は彼の怪演によるものと言っていいだろう。ロマンティック・コメディ向けとはとても思えない人選だけに、それが奇妙にハマる面白さは他では見られない。そういう意味ではオスカーは当然なのかもしれないな。また相手役ヘレン・ハントがまた魅力的だ。前半のやつれた厳しい表情から、一変して恋する女となる後半の演じ分けは見事。

 そんな役者陣の好演はさておき、気になるところも。人物設定やお話自体は呆れるほどベタで(貧富の差やら同性愛者の隣人等々)、主人公とのギャップ・価値観の違いはあまりにも歴然。これほどの違いを乗り越えた恋愛成就・相互理解だからカンドー!って図式なんだろうけど、そこまで徹底した設定にしないと観客はピンとこない?とでも思っているのだろうか?。わかりやすいのは確かなんだけどね。それに演出過剰だろ?と思えるところも気になるし、ゲイの画家がヘレン・ハントの裸を見て意欲を取り戻すあたりもどうも都合がよすぎる。

 そう思いながらも、アート・ガーファンクルの主題歌が流れるエンド・クレジットを眺めながら僕は思った。あー、恋がしたい!恋がしたい!(笑)。恋する幸せな気分があふれるこの映画の術中に、僕もまたはまってしまったようだ。それは「君に言われてからいい人になろうと思った」といった素直な一言や、画家と友達としてキスする彼女を見て子供のようにスネたり、ドライブにCD編集して持参する主人公の素直な行動に共感できるからだろう。

(2004年筆)




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ローマでアモーレ

2013-06-22 | 映画(ら行)

■「ローマでアモーレ/To Rome With Love」(2012年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン アレック・ボールドウィン ロベルト・ベニーニ ペネロペ・クルス ジェシー・アイゼンバーグ

 ヨーロッパが舞台のアレン先生の作品はおとなしい印象がある。確かに過去にもイングマル・ベルイマン監督みたいな静かで物憂げな作品群(例えば「私の中のもう一人の私」や「セプテンバー」)もあった。でも最近のヨーロッパで撮られた作品はそれまでになかった落ち着きと品が感じられた。「マッチポイント」のエロティックな視線とサスペンス描写、「それでも恋するバルセロナ」の達観したような恋愛観、古きよき時代を回顧する「ミッドナイト・イン・パリ」。これまで、ウディ・アレン(時には別の男優)が口にする世間に対する皮肉や風刺は、僕らを笑わせながらも刺激してくれた。また、70年代に撮ってたお下劣なセックスコメディ(例えば「SEXのすべて」「スリーパー」)も今ではストレートには撮りにくい題材になっている。そうした部分は最近控えめになっていた。

 しかし。イタリアの陽光を浴びたウディ・アレン先生は違った。新作「ローマでアモーレ」には、毒とキレのある台詞、昔の作品を思わせる下品な部分が見え隠れする。ウディ・アレン映画らしいエッセンスが盛り込まれた逸品である。ここ最近のアレン先生の作品には「クスッ」とさせるものはあっても、声出して笑わせてくれるようなバカバカしさはなかった。そういう意味では「ローマでアモーレ」は、最近の作風の洗練された印象は受けない。好きなテーマを、好きな台詞で彩っている。開き直ったようなアレン先生が見られる楽しい映画。シャワーを浴びると緊張が解けて美声で歌える男性を自分のオペラに出演させるエピソードは、たまらない面白さ。ローマに出てきた田舎ものカップルに訪れたトラブルは、イタリアという舞台だからこそハジケちゃったアレン先生らしいセックスコメディの真骨頂。イタリア語の響きが「SEXのすべて」の不感症エピソードを思い出させる。その騒動を乗り越えた二人は、最初よりも少しだけ自信に満ちた顔をする。経験は人を成長させる。突然パパラッチのターゲットになる一般人ロベルト・ベニーニの騒動も楽しい。
「なんでオレが有名なんだ?」「有名なことで有名なんです」
もう理屈抜きの巻き込まれコメディに、僕らは心のどっかでかわいそうと思ってももう笑うしかない。

そしてアレン先生の映画、最大のお楽しみは男と女の恋模様。複数の物語が同時進行する群像劇はそれぞれに違う味わいだけど、それぞれに笑わせた後で男女の関係をちょっぴり考えさせてくれる。建築家を志す青年ジェシー・アイゼンバーグが、彼女の友達エレン・ペイジに夢中になっていくエピソードでは、アレック・ボールドウィンが恋の指南役・解説者(?)として唐突に登場する。これってアレン先生の主演作「ボギー!俺も男だ」で、ハンフリー・ボガードが突然現れて人生のアドバイスをする話を思わせる。恋することは自然なこと。それは成就するかどうかにかかわらず人を成長させてくれる。

アレン映画は豪華なキャストも魅力。真っ赤なミニドレスで登場するペネロペ・クルスはとっても魅力的。スペイン映画やイタリア映画で観る彼女は、ハリウッド製の映画でみる彼女とは全然違う。「それでも恋するバルセロナ」で演じた感情で生きてるような元妻役もすごかったが、今回は売れっ子コールガールを楽しそうに演じている。僕は、エレン・ペイジをアレン先生好みだろうと以前から思っていた。彼女も友達の彼氏を翻弄する小悪魔を好演。この知的な会話をひたすらしゃべり倒す女性は、アレン作品ではいけ好かない存在として出てくることもあるけれど、エレン・ペイジが顔近づけてあの視線でしゃべられたら誰でもクラクラする。とにかくしゃべりが上手いキャストでないとアレン作品は務まらない。今回も達者なメンバーで楽しい映画に仕上がっている。

それにしてもローマ・・・やっぱりいいなぁ。僕は20年前にトレビの泉にコインを1個投げ入れている。だから、いつかきっとまた行けるさ。うん。きっと。

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ルーカスの初恋メモリー

2013-06-16 | 映画(ら行)

■「ルーカスの初恋メモリー/Lucas」(1986年・アメリカ)

監督=デビッド・セルツァー
主演=コリー・ハイム ケリー・グリーン チャーリー・シーン ウィノナ・ライダー

 14才なんだけど飛び級で高校に進学した少年ルーカスが、2つ年上の転校生美少女に恋をする。ところが彼女は、チャーリー・シーン扮するフットボール部のキャプテンに恋心・・・という三角関係青春映画。憧れ、初恋、いじめ・・・と全体的には思春期独特の甘酸っぱくほろ苦い懐かしさが漂って楽しいのだけれど、フットボール部、チアガールが学校の花形というアメリカン・ハイスクールの風潮に、思いっきり文化部系である僕はどうも乗り切れなかった。どうみても無理なフットボールの試合に彼はこだわり続ける必要などないではないか!ブラバンでいいとこみせればいいじゃん!と元ブラバンとしては思うのだが。まぁそこは一途な少年の心情を汲むとして。他人と違うことを恥じる必要などない。自分は自分、としっかりすることがよいのだぁ!っと、やっぱり根は前向きなアメリカ映画である。

 主人公をひたすら見守るブラバンのコにウィノナ・ライダー!。幼っさなーい!でもかわいい!。とロリータの血が騒いだ方々もおるのでは(笑)。ケリー・グリーンは「グーニーズ」でもそうだけど、健康的で素朴なアメリカ娘として適役ですよね。主人公ルーカスが初めて彼女をみる場面、BGMが 美しく青きドナウ ってところが魂の高揚感をベタベタに表現していてグッドでした!。エイティーズお約束の挿入歌にはダイアー・ストレイツの Walk Of Life。クレジットにはトンプソン・ツインズの King For A Day もあったが、地上波の深夜枠で観たので切られていたのかな?気づかなかった(でも内容からすればベストな選曲)。そうそう、フットボールの試合で応援するブラバンが演奏しているのが、シーナ・イーストンの Strut ってのが何とも違和感。

(2002年筆)





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ラストスタンド

2013-05-19 | 映画(ら行)

■「ラストスタンド/The Last Stand」(2013年・アメリカ)

監督=キム・ジウン
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー フォレスト・ウィティカー ジョニー・ノックスヴィル

※結末に触れています。ご注意を。
カリフォルニア州知事を退いたアーノルド・シュワルツェネッガーの映画界復帰主演第1作。スクリーンのこっち側では新年度が始まって、僕らも何かと鬱憤が溜まってる。この勧善懲悪映画の快感はそんな気持ちを吹き飛ばしてくれた。しかもこの映画は"圧倒的な力をもって悪をねじ伏せる"これまでのアメリカ映画とはひと味違う。これまでのアメリカ映画が示してきたのはパワーを誇示すること。そして、その前にどんな悪もひれ伏す様子が描かれ続けた。しかし「ラストスタンド」が僕らに示してくれたのは誇りだ。

シボレーコルベットの最新型をぶっ飛ばしてメキシコへの逃亡を図る麻薬王コルテス(エドゥアルド・ノリエガ)。隣の席には人質とされたFBI女性捜査官。軍隊並みの組織を配下に持つ彼は、次々と検問を突破して南へと突っ走る。取り逃がした失態から、コルテスを必死でを止めようとするFBIバニスター(フォレスト・ウィティカー)は、コルテスが通過すると思われる田舎町ソマートンの保安官オーウェンズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)に連絡を取り、SWATを派遣するから手出しをするなと言い放つ。ところがコルテスの組織は次々とSWAT部隊の南下を食い止め、ついにソマートンの町がコルテスを食い止める最後の砦となってしまう。保安官とともに立ち向かうのは寄せ集めのメンバーばかり。それでも彼らは誇りをもって悪に立ち向かう。

これまでのハリウッド製アクション映画と「ラストスタンド」が異なると思える点はいくつかある。ひとつはアメリカが誇る大組織が失態を演じて、それを田舎町の保安官が解決するという構図。10年くらい前の映画を例に出せば、国内で核爆発を起こしたテロ組織を次々と粛正する「トータル・フィアーズ」のラストにしても、ロバート・レッドフォードが自宅から電話かけまくって危機にある元部下を救う「スパイ・ゲーム」にしても、強大な組織があっての物語。それは、「こんなアメリカなんだから手出しをするな」と、商業映画を使って世界に宣伝しているかのような絶対的な強さだった。それがどうだろう。「ラストスタンド」でFBIが繰り出す策はことごとく失敗する。シュワルツェネッガーも州知事として、連邦政府の失態を地方政治が尻を拭かされているようなことを経験したのかもしれない。ともかく「ラストスタンド」はパワーという大樹の陰に寄る映画ではないのだ。一人暮らしのおばあちゃんでも銃を手にして、SWATをも退けた悪人を射殺する(全米ライフル協会推薦映画か?とも思ったが・笑)。

そしてヒーロー像の変化がある。これまでシュワルツェネッガーが演じてきたヒーローは超人的な活躍を僕らにみせてくれた。しかし、それはあくまで個人の力量だった。「コマンドー」や「プレデター」は軍隊に属していながら最後は個人の知力とパワーが事態を解決する映画だった。「トータル・リコール」にしても個人が困難に立ち向かう話だし、演じてきた数々の悪役にしてもヒーローにしても(「エクスペンダブルス」を除いて)誰かと組むことはない。ところが「ラストスタンド」のオーウェンズ保安官は、これまでの映画では見られなかった行動が。それは"リーダーシップ"だ。寄せ集めのメンバーでも適材適所でうまく人を活かし、困難に立ち向かう。脚本がうまくできているのはもちろんだけど、州知事を経験したシュワルツェネッガーだからこそ説得力が増す一面だとも思えるのだ。

そして映画のラスト。オーウェンズ保安官は犯人を殺さない。この10年間、アメリカ映画はテロとの戦いを描き続けてきた。それは国の組織が世界を守るために戦っているというプロパガンダという意味もあっただろう。そこには殺戮が描かれ続けた。そうでなくとも勧善懲悪のアクション映画なら、必ずと言っていい程に悪役の死をもって物語は終結する。「ラストスタンド」と同じ脚本が80年代に撮られていたら、コルテスの背後には社会主義国家が暗躍していて、孤独なヒーローが鋼鉄の橋桁から渓谷にコルテスを突き落とす場面で終わっただろう。しかし、シュワルツェネッガー扮するオーウェンズ保安官は、ぼろぼろになったスポーツカーにロープでコルテスを結びつけて凱旋するのだ。さすがに州知事を務めた人物が殺戮の限りを尽くすような描写は、復帰第1作として好ましくないという配慮もあっての演出だとは思う。悪がはびこるどうしようもない現実はある。しかしそこに誇りをもって立ち向かうことを示していると思えるのだ。いずれにせよ、この映画が復帰第1作となったことを称えたい。派手な見せ物CGやドンパチやるだけがハリウッド映画じゃないことを、静かに示してくれるアクション映画だ。穴だらけの脚本がトホホだった「ダイハード/ラスト・デイ」よりはるかに素晴らしい快作。スペイン映画で活躍したエドゥアルド・ノリエガが出演しているのが、ヨーロッパ映画好きな僕は個人的には嬉しかった。



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レザボア・ドッグス

2013-05-13 | 映画(ら行)

■「レザボア・ドッグス/Reservoir Dogs」(1992年・アメリカ)

●1993年インディペント・スピリット・アワード 助演男優賞
●1992年トロント国際映画祭 国際批評家賞

監督=クエンティン・タランティーノ
出演=ハーベイ・カイテル ティム・ロス スティーブ・ブシェーミ

 言わずと知れたタランティーノのデビュー作にして代表作。オ-プニングの”マドンナ談義”からグイグイ観客を引き込んで離さない。「ジョークはディティールが大事なんだ」という劇中の台詞も出てくるが、この映画は全編がまさにそのディティールの寄せ集め。犯罪映画のくせに襲撃シーンもない、追っかけもない。集合場所の倉庫内という限られた空間で、ほとんどストーリーテリングしていく。ハーベイ・カイテルの二丁拳銃(ルーツはジョン・ウー?)を除いて、カッコつけた銃撃戦もない。従来の犯罪映画が重要視してきた場面はことごとく排除されている。にもかかわらずこの映画は実に魅力的だ。

 それは台詞によるところが大きい。とにかく男達はよくしゃべる!。スコセッシの犯罪映画ならジョー・ペシがしゃべり続けていて、ロバート・デ・ニーロは寡黙。でも「レザボア・ドッグス」はみんながみんなよくしゃべる。普通なら説明くさくなりそうなところを、口調や話題だけでキャラクターを表現しているのがすごい。他にもこの映画にはタランティーノのアイディアが満載だ。直接残酷な場面を見せずにカメラが上を向いたり、(編集を楽にするために?)長回しがあったり。

 タランティーノ映画は映像のメガミックスだと思うのね。タランティーノは映像を自在に操るDJなのだ。自分がレコメンドする映画たちを、愛情を込めて再構成する。例えば登場人物がMr.ホワイト、Mr.ピンクと色で呼び合うが、これはロバート・ショウ主演の「サブウェイ・パニック」(月曜ロードショーで観たなぁ)。台詞の中にはパム・グリアの名も。そしてそこにはイカした音楽が重なる。Little Green Bag をバックにサングラスの男達がスローで歩くタイトル。映像と音楽が見事に調和する場面だ。ここだけでも何度でも観たい。ただバイオレンス嫌いの僕は、ここまで血をみるとちょっとね・・・。マイケル・マドセンがやたら怖かった。

(2004年筆)



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